遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

May『黄金バット』(大大阪舞台博覧会 vol.2)

2021-03-24 11:30:20 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

■観劇三昧:May『黄金バット』

2021/3/23

父親が娘に、幼い頃の恩人である二人の密入国おじさんの思い出を語る話。

個人的に1960年代というと現代感強いけど、戦争との近さが全然違う。

題材が題材だけに素直にあらすじを追うだけでも緊張感を持って見られるし、黄金バットに象徴される光と影の対比をどんどん重ねていく表現も巧み。

自身が抱える影に抵抗するため、余計に明るくふるまう人たち。

もしかしたら、当時の社会情勢とも重なるのかも。

短い時間の中に情報量が詰め込まれていて、面白さの層が厚い。

最初に見てから時間が経ったので何度か見返しているけど、苦にならない。

境遇が違いすぎて、登場人物たちに共感できるかと言われるとかなり難しいけど、理解できないままでも、自分の中にとどめておきたい作品だった。

あと、「6才」と書いてある説明的なランドセルかわいい。

特に短編だと、説明しない上品さよりもスピード感が大切になることよくある。


■詳細(観劇三昧HP)

公演時期:2016/02/13
地域:近畿
キャスト:『大大阪舞台博覧会 vol.2』参加作品
スタッフ 作・演出:金哲義

あらすじ

『大大阪舞台博覧会 vol.2』参加作品

「大阪にはどんな劇団があるの?」
「どのパフォーマーが面白い?」
大阪市が主催する「アーティストを発掘・育成・サポートしていくのはファンである観客である」 というコンセプトに基づいた舞台公演企画。
応募総数57組から選ばれた、関西を代表する若手・ベテラン24組の短編舞台作品を一挙公開!

▼団体紹介
1993年結成。大阪を拠点に、東京・韓国でも作品を上演。本公演は35回を数える。
演劇の他、ライブハウスでのパフォーマンスやマダン劇、学校公演等の活動も行う。
脚本・演出を座長である金哲義が手がけ、人間の立ち位置を問う作品を作り続ける。
現在、団員は中学生1名を含む8名。
まだまだ新たな表現とフィールドを求めて活動中の「オトナゲナイ」集団である。

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無名劇団『無名稿 機械』(大大阪舞台博覧会 vol.2)

2017-09-15 00:38:07 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

観劇三昧:無名劇団『無名稿 機械』

2017/9/14 

靴作りの工房で、人殺しが起きる話。

解決はしない。そこに至る構造を描いた話。

複雑な世界の在り方を単純化して構造を取り出すのに、演劇という方法は有効だと思う。

最初のうちは、手作りと機械製造だったり、個人の工房と大手メーカーだったり、わかりやすい人間と非人間的な事柄を対比させる。

そのうち、新入りに脅威を感じる先輩、順番に回ってくるいじめ、人殺しにしても人間関係のドロドロした部分にしても、人間らしいようで、最終的には人間も機械の部品の一部にすぎないという結論に至っていると思う。

機械がきしむ大きな音も、雑踏を行き交う人々のめまぐるしさも、どう考えてもライブで成立する作品で、パソコンのような小さな画面には向いていない。

顔もあんまり映っていないので、時々、誰が喋っているのかも見失う。

あえてそう思わせることで劇場に来てもらおうという作戦なのかもしれない。

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コトリ会議『小鳥。名前はコネリ。』(大大阪舞台博覧会 vol.2)

2017-05-17 00:35:17 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

観劇三昧:コトリ会議『小鳥。名前はコネリ。』(大大阪舞台博覧会 vol.2)

2017/5/16

入院中の母と娘の会話。13分弱。短い。

話に起伏らしい起伏がほとんどない。

飴を食べること、歌を唄うことなど、他愛ない話をする。

母親の話し方はしっかりしているものの、記憶がしっかりしていないようで、同じ話をしているのに気づかなかったり、しょうもないことで謝ったりする。

これから日がたつにつれ、少しずつより話が噛みあわなくなっていくんだろうなと思うと、滅びの予感ばかりでさびしくなる。

歌の調子が妙に明るいことや「あめちゃん」というかわいらしい大阪らしい呼び方も、かえってさびしさが強調されている。

そういう母と話しながら、娘は何を感じているんだろうということを考えながら見る。

それでぽろっと出た最後の一言を言われて、今度は母親は何を感じるんだろうということも考えて、しみじみした。

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オパンポン創造社『最後の晩餐』

2017-03-20 01:25:10 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

観劇三昧:オパンポン創造社『最後の晩餐』(無料)

2017/3/19

地球最後の日を迎えて自分のやりたいことをやろうとする妻と、それに戸惑う夫と、豚野郎の三人芝居。

たぶん初めて見る人は、前情報なしでいきなり見たほうが楽しい。

始まって30秒くらいで作品の方向性がわかる。速い。

展開も予想どおり。変に捻られても困る。

絶対的に間違いのないシチュエーションなので、なにをやってもおもしろい。

特に30分のうちの前半15分の全力疾走ぶり。

小難しいことを考えさせないテンポのよさで、

ケラケラ笑いながら見る。

あんまりテーマ性を考えてもしょうがないような気もするけど、一応、最後の晩餐を銘打っているからにはメニューも含めて何かあるのかもしれない。

それよりも、「30分あげるんで、なんか面白いことやってください」というお題に、真摯に向き合って、しかも成功しているところがとても素晴らしいと思う。

================メモ===============

カテゴリー:トラジコメディ
劇団名:オパンポン創造社
公演時期:2016/02/14
地域:関西
『大大阪舞台博覧会 vol.2』参加作品

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少年眼鏡『怪物』(大大阪舞台博覧会vol.2)

2016-08-11 19:18:47 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

2016/8/10

夫であり父親である男が、妻を殺した娘と一緒に暮らす話。

二人芝居。26分。

視覚効果が凝っている。

装置はすべて新聞紙で装飾。

大黒の代わりに新聞紙を整然と並べている。

遠目で見ると格子のように見えるので、親子の食卓なのに牢屋のような閉塞感がある。

娘の影に父親が取り込まれるようなところ、写真、秒針の音、演出のテンポがいい。

準備に時間のかかる装置が使いにくい短編演劇祭で、安っぽくならないように工夫している。転換が早そう。

父親から見ると娘が怪物にしか見えない。

ジェーン・スーさんの書籍を思い出す。

子は鎹という言葉があるけど、いま両親と娘の組み合わせだと、妻(母)が鎹になることが結構あるみたい。

どうやってまとめるのかなと思っていたけど、最後は理に落とさず、情でまとめている。

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劇団子供鉅人『人力お化け屋敷「恐怖の館2」』(大大阪舞台博覧会vol.2)

2016-08-09 02:11:28 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

2016/8/9

ほぼ素舞台。人力だけでお化け屋敷を再現しようとするパフォーマンス。

実際にお客さんが次々と舞台に上がってお化け屋敷を体験する。

MCの方が一人でシステムの説明、解説、ツッコミを担当し、他10人ちょっとのお化け役がコロスとしてお化け屋敷を作る。

30分で120人のお客さんを入れようとする。

実際には全員は入ってなかったようだけど、見ている間ずっと、

「思いついても普通はやらない。力技にもほどがある」

「怖くはない」

「いったい、自分は何を見せられているんだ」

「雑」「軽い」「楽しい」「みんな頑張れ」

「入ってみたくないか、いやみたい」

というような思いがループする。

タイトルどおり素直にお化け屋敷だと思わず、体験型のアートだと受け止めると楽しい。

幽霊じゃなくても舞台役者さんの演技は、間近で見ると迫力があって結構怖い。

一般のお客さんならそのあたりの恐怖体験はできるかも。

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モンゴルズシアターカンパニー『私』(大大阪舞台博覧会vol.2)

2016-05-26 00:16:45 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

2016/5/25

世の中のすべての人が「自分のマニュアル」を持ったらどうなるのかという、西野カナのあの歌が拡大したような話。

一人芝居。一人語り系。33分。

自分とそっくりな男に「私はあなたです。あなたの有効期限が切れたのでやってきました」と言われる導入部にわくわくする。

アンパンマンの二次創作で見た「頭を取り替えても取り替えられた頭部分の自我は残る」という話を思い出す。不穏でいい感じ。

ただ、そのあとは冒頭の思考実験になるので、別の話になってしまった印象。

動きや効果をほぼ使わず、ほとんど語りのみで話を進める。特に終盤部分はほとんどリーディングのようになる。

こういう話だと、語る技術の重要さがわかる。

自分をアップデートしていく話というのは、AIの話にも発展できそう。

設問の立て方がおもしろく、いろいろ応用が利きそう。

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笑いの内閣『朝まで生ゴヅラ2020 大大阪舞台博覧会バージョン』

2016-05-17 01:02:55 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

2016/5/9

冒頭にSMAPの謝罪会見のパロディをねじ込む。フットワークが軽い。

長編作品『朝まで生ゴヅラ』のダイジェスト版。

日本にゴヅラという巨大怪獣が現れて日本政府が右往左往する話。26分。

当たり前のように311の原発事故を匂わせている。泊村が襲われているし。

いいところで話が切れて、登場人物・役者へのインタビューが行われるメタ構造。

もちろんつまらなくはないけど、これで本編よりおもしろかったらそれはそれでおかしいし、お手軽な手法のようでバランスをとるのが結構むずかしそうな印象。

SMAPにしても、単に流行りモノに触っておくにとどめず、パロディにしたあと、しっかり構成に組み込んでいる。手馴れている。

自分の好きなメイキングと言うには、形式的過ぎたのでちょっと残念。

それでも、達者な役者さんも多いし、本編絶対おもしろいと思えるので、納得してしまう。

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劇団演りだおれ『姉学』(大大阪舞台博覧会vol.2)

2016-05-08 00:29:18 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

2016/5/3

早くに死んだ母親が、幽霊として家に戻ってきて、成長した息子たちと再会する話。

設定的にウェルメイドな話が始まりそうだったけど、中盤、三男がキレて人を襲い始めたあたりから、収集がつかなくなる。

そこから妙にみんな生き生きとし始めたので、団体としての本質はアクション方向なんじゃないかと思う。

ゲームの無双シリーズみたいに、細かい理屈はいいから楽しく暴れるという感じ。

少なくともウェルメイドではなかった。

上演時間がたったの21分だったからこのバランスだったけど、120分だったら100分はアクションになるのかもしれない。

お父さんの影が薄くて悲しい。

オチの「ゴースト」は、洋画と邦画アレンジバージョンでは男女の役割が逆転してるなんて、いったいどれだけのお客さんがわかるというのだろう。

思い切っている。

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劇団ガバメンツ『女は繰り返す』(大大阪舞台博覧会vol.2)

2016-05-03 00:42:14 | 観劇三昧:大大阪舞台博覧会 vol.2

2016/5/2

登場人物は男女二人。

最初に二人の掛け合いから。

漫才だけど、機能的には落語のまくら。

当たり前のようにしっかり笑いが取っているのがいかにも大阪の芝居らしい。

ふたりは夫婦の役で、夫は母親との二役、妻は義理の父親との二役を演じる。強引。

しかしその強引を通してしまえば魅力になる。

達者な演者だからこそ。

おたがいほとんど立ち位置を変えず、姿勢と話し方だけで二役を演じ分ける。

座ってないだけで、やっぱり落語っぽい。

仮に二人で落語をやるなら、こういう形式になるような気がする。

ただ気をてらっているわけではなく、構成も二人で二役を演じる意味を持たせている。

たった24分で、ありふれた題材からかなり遠くまで風呂敷を広げたのちにスタート地点にすとんと落ちる。

鼠穴みたい。

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