goo blog サービス終了のお知らせ 

Mo.の事件簿 A diary of Mo’s trips

事件簿などという大層なタイトルだが、実は単なる旅行記です。

8・ギリシャで困ったこと。

2008-07-13 | ギリシャ/Greece:2008
しみじみ思うに、イラクリオンで泊まったホテルのロケーションは抜群だった。
小さい町だから、ある程度どこに泊ろうと中心部に近いことは近い。が、わたしのホテルは
バスステーションとフェリー乗り場と海に近かった。これはかなりのアドバンテージ。
そこまで考えて決めたホテルではなかったんだけどね。


マリア遺跡へ行くためにバスステーションへ向かう。小さな建物。



Bus station.

一応長距離バスなので、バスのチケットは事前に買う。
「マリア遺跡に行きたいんだけど?」
係の人はにこりともせずにチケットを発行してくれる。
だが気になるのは、チケットに「マリア」としか書いてないこと。
マリア遺跡は現代のマリアの町の向こうにあるとガイドブックには書いてある。
このチケットでは現代のマリアまでしか行けないのでは?
「マリア遺跡に行けるよね?」
マリアって書いてあるでしょ?ときついまなざしを返されて、引き下がるしかなくなる。

まあいいや、バスの運転手に訊けばわかるだろ。
マリア行きの表示が出ている場所にはバスが2台停まっている。
「これ、マリア行き?マリア遺跡に行きたいんだけど」
運転手は軽く頷いたように見えた。しかしそれだけ。目を見てはっきり答えない。
本当にこのバスでいいか不安になる。



これに先立って、アテネの空港でもこんなことがあった。
着いてすぐ、わたしはイラクリオン行きの飛行機のチェックインカウンターを探した。
その時点で離陸6時間前だから、普通であればチェックインには早すぎる。
が、表示には一応カウンターは開いていることになっているし、実際人も並んでいるようだ。
とりあえず行ってみて、早いと言われたらまた出なおせばいい。

そう考えてカウンターに行く。どうやら受け付けてくれるらしい。
そして係の女性はきっぱりと、「搭乗券を発行します」と言う。
チェックイン時に搭乗券を発行するのは当たり前。なぜわざわざそれを強調するんだろう。
搭乗券が出てくる。それだけ。
「荷物は預けられないの?」と訊くと、やはりきっぱりと、
「後で」
「後で?」
「後で」

……まあね。予想通りではあるのだ。
チェックインには早すぎる。まだ積み込む飛行機の準備も出来ないので、荷物も預かれないのだろう。
だが、ここでわたしとしては「まだ早すぎるから後で」とか、「だいたい何時頃から受け付ける」とか
そういう一言を添えて欲しいのだ。それだけで安心感が全然違う。
「後で」と切って捨てるように言われると、後で、はわかるけれど……と不安は去らない。


今回ギリシャで困ったのは、実はこういう部分です。
何か訊いても、根気良く教えてくれる人があまりいない。
「○○で××で□□だから、△△なの。OK?」という言い方をしてくれない。
「ない!」「こっち!」「そう!」……みんながみんなそういうわけではないけれど、
再度の質問がしにくいくらい、きっぱりと言い切る。
わたしが今まで旅をして来た場所は、外国からの旅行者と見れば、まるで5歳児に対するように
手取り足取り世話を焼いてくれる人が多かったので、違いに戸惑う。

旅行者を社会的弱者と捉える見方がない社会なのだろう。
大人なんだから普通にわかると思っているのかもしれない。
でもねー、わからない時は大人でもわからないんですよー。

実は、日本もこんな感じかも。
わたし自身も、自分が初めて海外旅行をしてその国の人に親切にされるまで、
旅行者を「手助けが必要な人」と見たことはなかった。
だが実際のところ、旅行者は基本的にはかなりの頻度で大なり小なり困っているし、
意識しているにせよ無意識にせよ、不安なものです。
たしかに、別に困ってない時に世話を焼かれるのもうざったい話ではあるが、
どちらがいいかと言えば、何かにつけ不安を感じるよりはお節介くらいのほうが有難い。

日本は(も)、表示やシステムが合理的とは言えないことが多い気がするので、
海外からの旅行者には難しいだろうなあと思います。英語表示も全然足りないし。
日本に来た外国人旅行者には(国内旅行者にも)、無理しない範囲で親切にしてあげましょう。
旅先での親切は身に沁みます。

“旅の方ならお茶など上がれ、私も旅することがある”



もう一つ、困ったこと。ギリシャの人は相当な早口……。
英語を喋ってるんだか、ギリシャ語を喋ってるんだか、実はよくわからない。
相手が喋り終わって、何とか耳に残った一つの単語が英語っぽいので、
今のは英語だったのかもしれない、という感じだ。
わからなければ何人にでも訊きまくる、というのが旅の基本だが、
訊いてもよくわからないので、「多分こっちでいいだろうけど、不安」という状態は多かった。



7・イラクリオン考古学博物館。

2008-07-07 | ギリシャ/Greece:2008
そもそもなぜクレタ島まで足を伸ばしたかというと、
ここにはクノッソス宮殿という有名な遺跡があるから。クレタ文明の代表的な遺跡。
ギリシャにそう何度も来られるとは思えないし、この機会を逃すと永遠に訪れることなく
人生が終わりそうな気がしたので。

クノッソス宮殿はイラクリオンの町からバスで30分弱のところにある。
が、実際に行くのは翌日のことにして、まずは町中にある考古学博物館へ。
ここにはクノッソスの出土品が数多く収蔵されている。……しかし改装中で展示は一部分のみ。

改装中なのは事前にホームページでチェックしたので知っていた。
でもなあ、いくら改装中っていっても、この狭さはないんじゃないか。
展示室はバレーコートくらいの広さの部屋一つのみ。考古学博物館といったら、
イラクリオンの観光地の第一だろう、それがこんな状態じゃああかんなあ。

美術館・博物館は体力気力を充実させて、正面からがっぷり四つに取り組んでこそですよ。
そういう状態でこそ、出会いがあるというものなのに……こんなしょぼい展示では気が乗らんわ。


有名な収蔵品はこの辺だろうか。



A rhyton (libation vase) in the shape of a bull's head.

牛のリュトン(=杯)。どこがどうなって杯になっているのか、いまひとつよくわかりませんが……





Snake Goddess.

蛇の女神。クレタ文明はいわゆる古代ギリシア文明に先行する古い文明のため、
古代ギリシアの調和や明朗さとはまた別の文法で成り立っている。
おどろおどろしい。が、造型は意外にモダンですね。





Wall painting of Minoan bull jumping.

牛跳びの壁画。クレタ文明は牛がキーワード。
ギリシャ神話のミノタウロス(牛頭人身の怪物)の迷宮も、クレタ島にあったとされる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%82%B9


気合が入っていない時に有名どころを見ても、「はいはい、これね」程度の感興しかわかず……。
ううん、これでは見たって言えるのか。



わたしがこの博物館で最も注目したのはこれ。




It says "luxurious gaming board,known as the chessboard."

“チェスボード”と言われているらしい。もちろんチェスそのもののゲーム盤ではないけれど、
それに似たボードゲームだったはずだと。
しかしこれ、紀元前1600年―1500年あたりのものだそうですよ。3500年前。
そんな昔なのに、なんと洗練されたデザイン。遊び道具にさえここまで凝れる文化は相当に豊かだ。
やはりこの地域は進んでいたんだなあ。日本はまだ縄文時代でしかなかったのに。






Portrait bust of a man.A tombstone?

少々写真がぼけているが、これも数少ない気に入ったものの一つ。
たしか墓のそばに飾られたモニュメント、という説明だった気がするが……
時代はいつだっけかな。メモしてくるのを忘れると、もう二度と思いだせない。
表情が心を打つ。死者の像というより、死者を悼む側の人物である気がする。
悲しみをこらえようと歪んだ顔。時代を越えて、すぐ隣にいるように感じる。



あっさりと考古学博物館を見終わってしまい、この時点で12時。
この午後をどうやって使おうか。

じゃ、マリア遺跡へ行っちゃおう。本来は明日の予定だったし、スケジュールきついなら
行かなくてもいいと思っていた場所だけど。
マリア遺跡はイラクリオンからバスで1時間かかるらしい。バスもあるかどうかわからないな。
とりあえずバスステーションに行ってみることにする。

6・ところで、ギリシャは犬なのです。

2008-07-04 | ギリシャ/Greece:2008
「ギリシャの猫」という本はあっても「ギリシャの犬」という本は出てないようだ。
しかしわたしは声を大にして言いたい。ギリシャは犬だ!

空港そばのバス停でキケンな行動を取る犬と遭遇したのを皮切りに、犬がとにかく目につく。
野良犬なのか、飼い犬なのかは判然としない。首輪をしている犬もいた。
首輪をしていない犬でも、そばに飼い主らしき人がいた場合もあったように思う。
みんな一様にだらーっとしている。いや、暑いのはわかる。厚い毛皮着てるんだし。
ならば家で寝てたらどうかね?何もこんな大通りで……

Greece:The kingdom of dogs.









King's sleeping face.

堂々たる寝顔。ま、でも迫害されていないってことだよね。


小型犬の場合は引き綱をつけられていた犬もいたけど、大型犬(中型犬?)は全部引き綱なし。
本当にあちこちにいるので、犬が大っ嫌いでコワイ、という人にとっては
ギリシャはつらい国になるかも……


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


イラクリオンの町について、もう少し補足。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3

歴史ある町であるのは間違いないが、今は完全に観光都市。
そもそもギリシャには夏のバカンスで来る人々が多いため、落ち着いた古都という雰囲気ではなく、
少々チャラチャラした印象。明るくて賑やか。
洋服屋さんのショーウィンドーの色の鮮やかさが印象的。
外国人のみなさんは年代に関係なく、派手な色柄物をお召しになる方が多いですからね。
こう言っては失礼だけどヨーロッパの人は巨体が多い。しかも体型と年代に関わらず、
身につけているのはタンクトップや短パン。うーん、迫力がある。




南国だけに、公園に咲いているのはハイビスカス。


観光客が多ければ、それを目当てのレストランやタベルナ(ギリシャ語で大衆食堂のこと)も当然ある。
おなじオープンテラスでも、フランスのカフェのようにオシャレでシックという感じではなく、
だいたいがもっと庶民的な雰囲気の店。あまりお高い雰囲気のところは見かけない。
港町なのでやはりお薦めはシーフード。ふふふ、わたしも食べるぞ。

お土産屋さんもすごくたくさん。
が、みんな似たような品揃え(絵葉書、カレンダー、観光地的皿、コップ、置き物……)なので、
片っ端から入りたくなるという感じはしない。値段もさほど違わないんじゃないかな。
あ、8月25日通りにあったカバンやさんに、キティちゃんのポシェットがいくつかありました。
パチもんかな?なんにせよ日本のキャラクターの生命力は強い。




St.Marco Cathedral.

聖マルコ大聖堂。
キリスト教といって日本人が思い浮かべるのはまずカトリックの教会だろうと思うが、
ギリシャはギリシャ正教会。やはり建物の雰囲気からして違う。
カトリックやプロテスタントの大聖堂は縦長なので奥行きがあるが、ギリシャ正教会の大聖堂は、
間口は広いが奥行きがあまりなかった。入ってみて意外に狭く、「あら、こんなもん?」的軽い驚き。
しかしこの石畳の照り返しは強烈だった……


この大聖堂の向かいにミノアン・フェリーというフェリー会社の事務所があり、
翌晩のアテネ行きのフェリーのチケットを無事手に入れた。
このフェリーが今回の旅行の予約で一番苦労した部分。
航空券を頼んだ代理店には、日本で予約出来るところはないと言われ、しょーがないので
ネット上で探したんだけど、何しろ相手は英語だ。比較的わかりやすそうなページから
だいたいこんなもんだろう、と予約してみたものの、ほんとに予約出来たかどうか不安でした。



5・「なんてラッキーなの!」と叫ぶ。

2008-07-01 | ギリシャ/Greece:2008
7:30にホテル到着。チェックインをするにはとてつもなく早すぎるが、
とにかくこのスーツケースをあずかってもらわないと動きがとれない。
とりあえずフロントのおねーさんに名前を告げ、予約をしている旨を伝える。
ネットでの予約だったので微かな不安があったのだが、無事予約は出来ているようだ。

おねーさんが鍵を渡してくれる。
「部屋は今から使っていいです。朝食は7時から……」
その言葉をぶったぎってわたしは叫ぶ。
「今から!?ほんと!?なんてラッキーなの!どうもありがとう!」
おねーさん、わたしのあまりの大声に、かなり退く。

しかし考えてもみてください。
夜行バスで地元を出発したのは、6月4日の23時でした。
成田離陸が5日の11時、イラクリオンに着いたのが6月6日の7時。
日本時間でいうと(多分)6日の13時。
フライトは24時間ちょっとだけれど、夜行バスの移動を含めると38時間の移動。
そういう状況でこの時間から部屋が使えるなんて。おねーさんが天使に見えます。
思わず歓声も出るというものではないですか。


ちなみにホテルは
部屋は相当に小さいんだけど、まあまあのインテリア。生意気にちょっとしたベランダがついている。
ベランダから右を見る。

View from my room.Right side.




Left side.

左を見る。





正面は向かいの集合住宅が迫り、眺めのいい部屋というわけではないがご近所の生活感が漂って楽しい。
向かいのベランダにネグリジェを来たおばさまの姿があった。すぐ引っ込んだ。
2時間半ほど部屋で休息。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


よし、行くぞ。気分は出陣。

イラクリオンは島で最大の町だが、一般的な規模としては大きくない。
観光客が行くような中心部は1キロ弱四方。端から端まで歩くだけなら、15分かせいぜい20分。
うーん、ものすごく似てるというわけでもないけど、日本で言えば鎌倉あたりの雰囲気だろうか。
海に向かって開いている町だし。鎌倉を小ぶりにして、“侘び”を取り去ったような。
侘びの代わりにイラクリオンには明るい寂しさがありました。人の通らない、町の裏通りなんかに。




This is main street.It called the 25th August street.

町のメインストリート、8月25日通り。緩い坂道。両側はお土産やさん多し。
こちらの坂道をまっすぐ上ると、中心の中心、観光客がうじゃうじゃ集まるモロシーニの噴水へ至る。




The other side.

こちらが坂道の下り。遠くに海が見える道って、ロマンティックだと思いませんか。


ついでにモロシーニの噴水。

The Morosini Fountain.




別になんてことない噴水だと思うんですけどねえ。まあ歴史はあるらしく、
作られたのが1628年、飾りのライオン像は14世紀のものだとか。
この周りにはカフェなどが並んでいます。


この辺を歩いてようやく、「来たなあ、イラクリオンくんだりまで」という感慨を覚える。
旅行の時はいつも思う。遠い空の下で生まれたわたしが、この場所を歩いている不思議。




Many kinds of gelato.I choosed a scoop of melon sorbet.

皆が食いつく写真。反射してわかりにくいが、山盛りのジェラート。
普段わたしはシャーベットではなくアイスクリーム派なんだけど、ここではメロンシャーベットを選択。
1.3ユーロ。200円ちょっと。さっぱりと美味い。

シャーベットを選んだことが実は物語っているのだが……
6月のギリシャは、とてもとてもとてもとても暑い。
だが本人は、この時点ではその暑さをあんまりよくわかっていない。
今のところは単に「あちーなー」と思っているだけ。……この段階でちゃんとわかっていたら、
この日の午後、ああいう行動はしなかっただろうに。



イラクリオンはやたらと旅行代理店が多く、もしかして
3軒に1軒はそうなのでは……と思うほどだった。
どこでも一様に「フェリー」「レンタカー」「クルーズ」という看板を出している。
想像以上にどっぷりと観光都市。

わたしの中では「工事中の町」のイメージ。
目抜き通りから外れると、道が途端に無愛想になる。ひっそりとしてあまり人通りがない。
階段の縁がちょっと欠けてたり、敷石がずれてたりして、どこか雑然とした雰囲気が漂う。
工事中の雰囲気と似ている。
実際、手直し工事をした方がいいんじゃないかな、と思った所があちこちにあった。
賑やかすぎるほどのメインストリートと、裏通りの静けさ。
活気があるのかないのか、よくわからない町。



4・クレタ島へ。

2008-06-29 | ギリシャ/Greece:2008



Daybreak.

この写真が、実は今回の旅行でのベストショット。夜明けのアテネ空港です。


ヨーロッパは全体的に北に寄っているので、夏の朝はやたらと早く明け、夜はひたすら明るい、
というイメージがあるのだが、さすがにヨーロッパもギリシャまで来ると日本と特に変わらない。
5:40発の飛行機に乗る頃はもう夜が明けてるかと思っていたが。
ギリシャは緯度が低い。アテネで新潟とほぼ同じ緯度。
クレタ島の最大都市、イラクリオンで東京とほぼ同じ。

ヨーロッパ内を飛ぶのは、日本とヨーロッパを結ぶような長距離便と違って、小さい飛行機。
でも長距離便より客室乗務員が楽しそうに働いている気がするのはなんでだろう。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


50分の飛行でクレタ島が見えて来る。
途中で朝日が昇った。エーゲ海の日の出だ。





The sunrise from Aegean Sea.

飛行機はまるで海へ着陸するように高度を下げていく。
6:25、クレタ島イラクリオン空港へ着陸。ようやく最初の目的地へ辿り着いた。


空港からイラクリオンの市街地まではバスで行くつもりで――
しかし初めの一歩から「あれ?」。
普通は空港を出てすぐに、中心部へ行くバスなり地下鉄なりの乗り場があるものだが。
空港の外はがらんとしてタクシーしか見当たらない。いくら小さい空港で、早朝とはいえ、
バス停まで見当たらないとはどういうことだ。

空港の職員らしき美人のお姉さんに訊くと、にっこり笑って「バス停はあそこよ」と指をさす。
あそこかいな。木の陰に隠れて全然目立たないぞ。
それに空港とバス停の位置関係おかしくないか。なんであんな中途半端なところに……
何となく釈然としないが。スーツケースをガラガラ引きずって道を横断。

……なぜこんなところに犬がいる?
バス停前の道を大きな犬が3匹寝そべって道をふさいでいる。
どいてもらえないと、スーツケースが通れないんですが……
「すみません、ちょっと通して下さい」
仕方ねえなあ、という感じで皆さんどいて下さいました。あまりこちらには興味がないみたい。
少々汚れているので、撫でる勇気は出ない。

この犬たちは、寝そべっていたかと思うとたまに起き上がって道路に降り、
走っている車に並走してじゃれつく、というとても怖いことをやっている。
おいっ!大丈夫なのか、君たちは!
でもバス停でチケットを売っている人も、バスを待っているおじさんも、全然気にしてない。
いつもこんなことをしているんだろうか。命がいくつあっても足りないぞ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ちなみに、バスはけっこう難物でした。
旅行の際利用しやすい交通手段は、はっきりラインが決まっている地下鉄や鉄道で、
バスは基本的にどこでも難しいのだが、ギリシャは特に難しい。
何しろ表示がギリシャ文字ですから……

http://cir.tec.fukuoka-u.ac.jp/10denkikougakka/symbol.html

一応、旅行前に覚える努力はしたので大文字はイケるはずなのだが、何しろ相手はバスである。
表示を読む前に走り去ってしまう!
バス待ちのおじさんに訊いてみた。「中心部へ行きたいんだけど」。
こちらの言うことは通じているようだけれども英語を喋らない人らしい。
次のバスが来た。「これに乗っていいの?」
彼が何かを伝えようとしてくれているのはアリアリとわかるんだけど、
その意思表示があまりにも控えめすぎて、いいのか悪いのかよくわからない(^_^;)。

まあ最終的には無事に乗れたが、後で振り返ってみれば、ここまでの部分で、
ギリシャという国のエッセンスがだいぶ出ている気がする。
とにかく「なぜ?」と思うことが多い国だった。


3・どうも今回の移動はケチがつくなあ。

2008-06-27 | ギリシャ/Greece:2008
パリ・18:15発→アテネ・22:30着のフライト。時差があるので約3時間の飛行。

なんだか出発間際に客室乗務員がもたもたしている。
そのうち彼らの一人が来て、東洋系に名前を訊いてまわる。
わたしも訊かれた。こりゃ遅刻してるのは東洋人だな。

案の定、しばらくたって姿を現したのは東洋人のカップル。遅刻を客室乗務員に怒られている。
しかも、顔を一目見ただけでわかるんだけどさ、
……夫婦喧嘩してるでしょ?アナタたち。

このカップル、何の因果かわたしの真後ろの席に座る。
やがて聞こえて来る日本語は、ヨメのグチグチしたかきくどき。いわく、
「……お義母さんがお金を出すのはいいよ。でもそしたら絶対そのうち同居するって
言い出すに決まってるじゃん」
おいおい、せっかく旅行に来て一体何をやっているんだ。しかもこんなお約束な嫁姑問題……
ベタすぎて笑っちゃうけど、しかし、

――わたしの楽しい楽しい休暇の邪魔をしないでくれっ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


着陸を控え、夜を飛ぶ飛行機から見下ろす地上は光の花畑。
細かい砂のような光。丘を登る道路の街灯がゆるやかな曲線を描き、やがて途切れる。
ギリシャはやはり大国ではないらしい。上空から見る街の光はみなささやかだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




Athens Eleftherios Venizelos International Airport.

アテネ空港着。

人がいないところを撮っているのでがらんとした印象になっているが、
実はけっこう賑やかでお店も半分以上開いている。写真の時点で、だいたい23:00頃。
ま、時々メンテナンスの作業員は通るけれども。

フライト時刻の掲示板を見て驚いた。
アテネの空港は、最終出発便が2時台、最初の出発便が4時台。つまりほぼ24時間営業に近い。
成田は朝9時(但し到着は6時頃)、夜は22時ですよ。
パリの空港だって、最終は日本行の23:35だった。アテネの人は騒音を気にしないのかな。
やはり宵っぱりの国か?


おかげで空港で夜明かしをする予定のわたしは大変心強かった。
今回の旅行で一番の山場(=ある意味チャレンジ)は実はここ。アテネに22:30に着き、
その後5:40の飛行機でクレタ島に向かう計画。

普通はアテネで一泊し昼ごろの飛行機に乗るとか、数日アテネにいてからクレタ島へ行く、
というような選択をするはずだが、ムボーなわたしは時間と金額と体力を秤にかけた上で、
「よし!空港で5時間待とう!」と決めてしまうのだ。

でもなー、一人で真夜中の空港ってのもなー。他に誰もいなかったらどうしようかなー。
いても、ヤバイ感じの人だったらもっと嫌だしなー。
まあ、さすがに多少は心配もした。

しかし杞憂。





I was waiting for a flight to Creta Island.
I took this photo at 2:00.....

心配するほどのことはなく、お仲間がたくさん。夜中の2時頃。みんな寝てます。
手前の真っ赤なのがわたしのスーツケース。これにもたれて2時間ほど熟睡。



現地時間で午前3時頃、日本に定期連絡。
一人旅なので、一応一日に1回家に電話を入れることになっている。
テレフォンカードを1枚4ユーロ(≒650円)で購入。結局旅行中、このカード1枚で足りた。
国際電話も直通ならばそれほど高くはありません。80円で2分位話せる計算になる。

ギリシャは公衆電話があちこちにあって便利だった。国によっては公衆電話を探すのに苦労する。
時差があるので、定期連絡もタイミングをみはからうのが結構大変なのだ。
こっちが長距離移動中だと、ようやく電話が出来るようになった頃は日本が真夜中だったり。
でもまあ、送り出してくれることに感謝はしてますからね、せめてこのくらいの義務は果たそうと……



2・国外移動も、やはり。

2008-06-26 | ギリシャ/Greece:2008
わたしは失敗したのだった。

今回、飛行機の搭乗手続きも機械に変わっていた。
よくわからないなりに何とか手続きを済ませ、飛行機に乗り込むと……
確認して通路側の席を取ったはずだったのに、席は3列並びの中央。

おーまいがっ!
(↑飛行機に乗ったので早速英語。いや、もちろん内心で。)

12時間のフライト、席真ん中かー。はじっこ取ったはずだったのに、
どーしたんだろどーしたんだろどーしたんだろー。テンションがかなり下がる。
幸い、両隣の人は感じの悪い人ではなかった。結果的にはほぼ快適。

……が、前の席に座っていた60代くらいのカップル2組はうるさかった。
欧米人。英語を喋っているらしい。
よほど旅行が楽しいのか、大声で喋り、笑っては夫婦でベタベタ。突然ガタンと背もたれを倒す。
楽しそうだから多少微笑ましさも感じないではないのだけれど、その傍若無人ぶりはどうなのだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


余談だが、早くエアバスA380型機が世界標準にならないだろうか。

http://www.afpbb.com/article/economy/2298798/2247882

数年前に総2階建て(建てか?)の飛行機が開発されたと聞いた時は、
「ああ、もしかしたらこれでヨーロッパへの移動が劇的に楽になるかも!」と期待したものだった。
新幹線だって、2階席車両を導入したことで、座席と座席の間がかなり広がったじゃないですか。
昔は新幹線の座席も狭かったけれど、今は快適。ほとんど文句はない。

飛行機も、もしかしたら同じような流れで……と思っていた。
エコノミークラス、そりゃ狭いのは仕方がない。でも横にあと5センチ、前後15センチも広がれば、
かなり居心地は良くなりますよ。早くそうなればいいなあ。
が、昨今の原油価格を考えると、機体より先に燃料サーチャージのバカ高さの方が問題だな。

燃料サーチャージというのは、原油価格によって変動する「時価」の部分。
今回空港使用料など+燃料サーチャージは5万円弱だったので、つまり航空券としては12万でも、
「プラス燃料サーチャージで17万です」ということになる。
いやー、これはつらいですよ。
ちなみに、ネット上などでは航空券やツアーの値段はこれが含まれていない金額で出ているため、
旅行に行こうかと思っている人は注意。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


今回機内でシアワセだったこと2点。

1.「相棒 劇場版」を見られたこと。

ちょっと気になるが映画館まで見に行くまでではない。という映画だったので、見られてラッキー。
感想は……面白かったけど、もし次作があってもテレビ放映待ちでいいな。

2.ゲーム「ATOMICA」。

近年の長距離フライトでは、一人一人モニターがあるタイプの機体がほとんどで、
映画や音楽、ゲームや航行情報など自分専用画面で利用出来るが、
今回はまりまくったゲームが「ATOMICA」。

http://www.astatix.com/atomica-download.php

(この画面だけではどんなゲームかわからないかもしれないが……。
ダウンロードはリスクがありますので、自己責任でお願いします。
なお、フリーでダウンロードししばらく遊べますが、期限があります。)

機内ゲームとしては「上海」以来のヒット。これさえあれば12時間のフライトなんて怖くない。
すごく面白い!実際、3、4時間はやっていたと思う。


……こんなことをしているせいで、睡眠がさっぱり取れない。
気が高ぶっているのか、眠くもならんし。いや、どうしたもんだろうね。
飛行機の中で出来るだけ寝ておかないと、この強行日程を乗り切れない――
と思っている間にパリ・シャルルドゴール空港へ到着。やっぱり眠れていない。



1・国内移動から、すでに。

2008-06-24 | ギリシャ/Greece:2008
バスは朝6時に成田空港へ着く。
さすがの成田空港も、この時間ではほとんど人気がない。
ポツネンと椅子に座りつつ、朝ごはん、どこで食べようかなー、と
空港案内のパンフレットを眺めながら考えるのも、なかなかワビしくて良いもんです。

ちなみに今回は甘栗持参。――日程が厳しくなりそうな旅行の場合は持って行くようにしている。
意外に重いものなので、持って行って良かったかどうかはその時によるが、
いざという時の非常食があるのは心強い。けっこうお腹にたまります。

また、やはり“日本の味”なので、海外の味に飽きた時に食べるとほっとする。
梅干や緑茶を持って行ったことはないけれども、わたしにとってはその代わりになるもの。
甘栗を早速食べながら食べ物やさんの開店を待つ。食べ物関係は一番早い所が7時頃から。


食べ物が高くて不味い成田空港だが、今回朝食をとった「えん」という店は美味しかった。
お茶漬けの店。鮭茶漬け(750円)で小鉢2つ付き。値段も味も、ここは許せる。
寝不足のお腹にも優しい。
去年食べた中華の成○軒なんかは、1000円近い値段のわりに……


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


地元から成田空港への移動は基本的に夜行バス。その理由は、

1.安い。(片道7500円。新幹線+成田エクスプレスだと13000円くらい?)
2.スーツケースを引きずっての移動距離が少なくて済む。
3.前日の夜に出発なので、旅行気分がそれだけ長く味わえる。(これは貧乏性ではないのか……)

空港へのバスは椅子が一列ごとになっているし、リクライニングも遠慮なく出来る為、
夜行バスとしてはかなり睡眠がとりやすい。眠れる時は4、5時間ぐっすり眠っていける。
が、今回のバスは、夜中にずっと喋っている外人さんがいてー……ほとほと参った。

一度、注意した人はいたのだけれど、しばらく黙った後またお喋りが始まって。
わたしは今回初めて耳栓を準備して行った。なので、耳栓をしている分には
外人さんのお喋りそのものは眠れないほどうるさくはなかったが、
「ああ、このお喋りでどれほど皆がイライラしていることか」とか、
「いつか誰かが怒鳴り出してしまわないだろうか」とか、
「この状況でなんで延々と話していられるんだろう?」とか、
イロイロ考えて気が休まらず。結局睡眠時間は3時間くらい。

わたしにはこれから過酷な移動が待ち構えているのに、どうしてくれるんだ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


飛行機はエールフランスで、本来は第1ターミナル発着なのだが、今回は急きょ第2ターミナルへ変更。
普段であれば第1だろうと第2だろうとかまわないけれど、
成田空港は最近リニューアルしたらしく、第1ターミナルの方に折紙博物館なるものが出来たらしい。
出国手続き後に行ってみようと思っていたのに、行けなくなって口惜しい。
そこまで口惜しがるほどのもんではないだろうけど。




Narita Airport terminal 2.

第2ターミナル風景。






エールフランスと言いつつ、JALとの共同運航便のため機体はJAL。



成田11:10分発。
乗継のパリ・シャルルドゴール空港まで12時間弱の飛行時間。


――え?話が地味ですか?
いやいや、いくら旅行ったって、事件なんかそうそう起こりませんよ。


旅行日程。

2008-06-23 | ギリシャ/Greece:2008
例によってひたすら観光地を歩きまくる旅行。
じーっと見てもらうとわかるが、けっこう無謀な日程ですよ。
いやもう、そんなムボーな計画を立てるトシじゃないんだってば。


6月 4日 夜行バス(22:50発)にて成田空港へ           (バス中泊)
6月 5日 成田空港→パリ空港→アテネ空港(22:30着)      (空港泊)
6月 6日 アテネ空港(5:40発)→イラクリオン空港(6:30着)  
       クレタ島内                            (イラクリオン泊)
6月 7日 クレタ島内    フェリー(21:00発)にてアテネへ    (フェリー泊)
6月 8日 アテネ市内                            (アテネ泊)
6月 9日 デルフィ                              ( 同上 )
6月10日 ミケーネ                              ( 同上 )
6月11日 エギナ島                              ( 同上 )
6月12日 アテネ市内      アテネ空港(19:35発)→パリへ  (機中泊)
6月13日 パリ空港→成田空港(18:00着)→帰宅(22:40着)      


Itinerary.

4th to Narita,by night bus.
5th Narita(11:10)-(16:10)Paris(18:15)-(22:30)Athens
6th Athens(5:40)-Iraklion(6:30) Creta Island. stay at Iraklion
7th Creta leave Iraklion at 21:00 by ferry.
8th Athens stay at Athens
9th Delphi stay at Athens
10th Mikenes stay at Athens
11th Aegina Island stay at Athens
12th Athens Athens(19:35)-(22:00)Paris(23:35)
13th (18:00)Narita-(22:40)home


さて、どうなったんでしょうねえ……


前口上、という名のいいわけ。

2008-06-22 | ギリシャ/Greece:2008
旅行前からずーっと「ブログにしようかどうしようか」と考えてはいたのです、実は。
が、いつまでも決められなかったのは、書き始めたら間違いなく、

やたらと長い

ものになると自分でわかっていたから。


でもまあ始めてしまいました。こんな長いもんにお付き合いさせてしまうのは
本人としても大変心苦しいのですが、思い出したらたまにちょこちょこと見て下さい。
3日に1度くらいを目安にアップすると思います。
で、今の見通しで行くと今回のギリシャ旅行、記事数が40~50になりそうなので、
……終わるまでもしかしたら150日くらいかかります。はは。ははは。

いいのか、そんなんで。

でも、これでもけっこう削っているんだよう。


自分のための部分、友人知人あての部分、不特定多数に向けての部分が入り乱れ、
多少テンションにばらつきがあるが……その辺はお目こぼしを。


ちなみにタイトルの読み方は「も。の事件簿」です。