N試作場

ジャンルにとらわれず、新しい組み合わせ、おもしろいことを考えていきます。

ESと二人の社長

2012年01月28日 | ビジネス試論
これからの時代、社長の仕事は「二人体制」で進めるのがいいのでは
と夢想することがある。

ビジネス経験が豊富な方には一笑に付される話かもしれませんが、
とりあえず書いてみようと思って、下書きが出来ましたが…

いや、待てよ。

と、ネットで調べてみたら、中古車販売の
ガリバーインターナショナルには社長が二人いた。



で、そもそも「社長」ってなんだ? 代表取締役? 社長執行役員?…

と簡単に調べてみたら、ある程度のことが理解できました。

知らなかった。少し恥ずかしい。

それにしても、自分は興味のないことに関しては、
常識であっても徹底的に知らないなぁと、あらためて思いました。

でも、個人的な都合でありますが、ここで立ち行かなくなってしまうと、
アウトプットの練習ができなくなってしまいますので、

今回は、割り切って「社長」ということで
おおざっぱな試論を展開します。



 *  *  *  *  *



社長というのは、会合に出席したり、スピーチをしたり、表彰状を渡したり、
業界の集まりに顔を出したり、会社にちょっとした来客があれば名刺交換したり、
製品のトラブルがあればお詫びに行ったり、外の人と食事したり…忙しいですよね。



ただ、そういう会合やら、お付き合いのときは、
やはり副社長や専務では格好がつきません。

小さな会や、経営にとってどうでもいい来客に限って
社長の登場が強く求められたりすることもありそうです。

そういう細々したことに、代表者は時間をとられがちですし、
また、それを日々こなすことが社長の務めでもあるかとは思います。

そのために、秘書がスケジュールを管理したり、
専用車があったり。

さて、月並みな表現ですが、時代は大きく変わりました。

ビジネスも、消費者のマインドも、メディア環境も、
本当に大きく変わったと思います。

従来のような仕事振りで、これからも企業トップの役割が
十分に果たせるのであれば問題はありません。

しかし、それが時代にフィットしなくなってきているとしたら、
その社長の在り方、役割も変わるのが自然な理路です。

そこで、二人体制です。

役割分担として、

一人は、対外的な活動をする「対外社長」
「セレモニー社長」「象徴社長」と言ってもいいです。

もう一人は、変な造語ですが、会社を内側からリードする「対内社長」
「実質社長」「本社長」と言ってもいい。

表面上は「対外」のほうが「社長」に見えるように設計します。

「対外社長」は、外から見て「社長」である必要があります。

「社長さんが、わざわざ顔を出してくれた」と思われなければ
その効力を発揮できないからです。

はたから眺めたときに、いかにも「社長さん」に見えるように、
そこに向けて細かなあらゆる演出を施すのです。

では、「対内社長」は何をするのか?

ここで、しばし「ES」(従業員満足)の話に切り替わります。

「ES」については、今後、試論を書きたいと思っています。

例えば、こんなオフィスだったらとか、グーグルの「20%ルール」とか、
組織の中で人と人とのつながりを生み出し育むには?とか、
昼寝制度って絶対いい!とか…書きたいことがいくつかあります。

さて、それはさておきESの難しい課題のひとつに「評価」があります。

日本の企業が急ごしらえで導入した「成果主義」によって、
評価に直結しない地味な仕事が敬遠されたり、
社員の間に給与の不公平感が漂ったり…ということです。

適性に評価されている、と各自が納得できれば、
従業員満足も上がります。

適性な評価のイメージを思いつくままに挙げると、

・上司の好き嫌いで判断されない

・見えにくいけど大切な仕事、地味な行いも評価される

・結果だけでなくプロセスや取り組む姿勢も考慮される

・まわりに与える印象、人間的な影響も考慮される

・裏表があって要領のいい人間がイイ目を見ない


では、そんな、適性な評価がなされ、
会社はきちんと評価していると従業員が
ある程度納得できるようにするためには何が必要か?

ここで「対内社長」の出番となります。

「対内社長」は、寸暇を惜しんでメンバーと交流し、対話をするのです。

社員、アルバイト、派遣社員、とにかく構成員全てと。

しかも、上から目線の聞き取り調査ではありません。

分け隔てなく、横並びに座って語り合い、いっしょに考えていくのです。

時には一対一で、ときには数人で、自由自在に交流します。

「対内社長」の部屋は、対話者をおもてなしできる部屋がいいですね。

ソファ、眺め、飲み物、ときには音楽と、とにかく心地よい空間にします。

「対内社長室」で朝食、昼食、おやつ、または夕方から軽く飲みながら、
みんなが気軽に出入りして活発に話をします。

「対内社長」は、そこでの話の内容によっては、
ある時期ある部署に入り込んで一緒に働きます。

全ては、適正な評価のためです。

今、評価をするということは、それだけ大変なことだと思うのです。
(極論過ぎるでしょうか)

また、「評価」のほかに、もう一つ副産物も見込めます。

「対内社長」は、肌で現場や会社で働くメンバーを知ることになります。

そこで得られた気づきは、きっと経営判断に活きることでしょう。

いわゆる「ミッション」、「バリュー」とか「何とかWAY」とか言われても、
他社のも含め、さっぱり心に響かない。

せめて自分の属する会社の「ミッション」くらいは心に響いてほしい。

それには、自分たちの会社の文脈の中から生まれた土着的な
呪文が必要だと思います。

概念も借り物、紡ぎだす言葉も表現も借り物ではダメです。

自分たちの物語、自分たちの概念、自分たちの言葉や表現を
発見しなければならないと思います。

それが出来たとき、構成員の多くの賛同が得られ、
そうでない人も前向きに妥協できるような方向性を
打ち出すこともできるのではないでしょうか。

私の勝手なイメージですが、
「対内社長」は全社員に向かってこう言います。

 全責任を負ってベースとなる評価を決めます。
 みなさんが働きやすい会社にしたいです。
 みなさんが持てるエネルギーを十分に発揮できる環境にしたいです。

 そのために、みなさんのこと、現場のことを知りたいのです。
 そこに時間と労力を注ぎ込みます。

 大変お邪魔かとは思いますが、どうかよろしくお願いします。


こうして心から頭を下げるのです。

ね、従来の社長のイメージとは違うでしょ。

…だんだん妄想チックになってきたかなぁ。

まあ、もしも、こんな感じでいこうと思ったら、
トップは儀礼的付き合いをこなしたり、セレモニーに出ている暇がないのです。

もちろん、今、「対内社長」の役割として申し上げたことは、
執行役員や部長が行ってもいいと思います。

要は「対内社長」と変わりない結果が得られればいいのであって、
システムや、さじ加減はその企業の規模や人材によって変わるかとは思います。

ユニクロの柳井さんは「ポストが赤いのも自分のせい」とおっしゃったとか。



トップにはそれだけの覚悟と誠意が必要なんだなあ…と、
この言葉、最近、噛みしめています。(管理職でもないのに)

しかし、社長がメンバーと対話したら、硬軟、聖俗、喧々諤々、
いろんな話が出てくるでしょうね。

チェーン店を展開しているある企業では、社内のイントラで
アルバイトでも報告ができるシステムになっていると聞きました。

最初は、あいつが嫌いとか、店長と誰がつきあってるとか、
密告的なものも目についたそうですが、

だんだん前向きな提言にトーンが変わりつつあると
いう話でした。

相互監視社会みたいで窮屈かもしれませんが、
人がブランドと言われ、社員が何かヘマをすればブランドが大きく傷つく、
そんな時代です。

ソーシャルネットの発展とともに、
企業も悪いことや隠し事があれば明るみに出やすい時代だと思いますし、
社員にも、フェアさ、クリーンさが求められるようになってきたと思います。

そこで、「対内社長」の出番です。

現場を知り、適正な評価のベースをつくり、従業員満足を上げ、
企業文化に深く根付いた方向をメンバーに示す。

…と、ここまで書いて、今回は終わりにしたいと思います。

最近のエントリーは、どうも長くなります。

こんな拙文を最後まで読んでいただいた方、
どうもありがとうございます。

今回は、このへんで。