幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

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「刑務所の経済学」中島隆信著 ”生活保護費よりもかかっている刑務所のコスト”

2022-05-14 18:45:18 | 本の紹介
・刑事犯罪というのは社会にとってきわめて割の合わない非効率な行いである。
 過去に刑務所の世話になっている人が、性懲りもなくスーパーで300円分のパンを万引きしたとしよう、現行犯逮捕され、本人も罪を認めて直ちに送検、拘置所に収容されて検察の取り調べを受ける。
そのさい、国選弁護人がつく、累犯もあるので起訴されて裁判にかけられ、送検から一か月の拘置期間を経たのち、懲役六か月の判決を受けて服役、満期で出所して社会に戻る。この間の費用はどのくらいだろうか?
 概算で130万円ほどかかる。法治国家と呼ばれている私たちの社会は、わずか300円の万引きに対してさえ、130万円もの税金を投入して後始末をしているのである。平成21年の入所受刑者のうち窃盗犯は9,280人である。したがって、年間でのこうした費用は窃盗だけでも122億円にも上る。

・障害者施設運営のために行政が支出する額は、年間おより8,000億円にのぼる。法務省矯正官署の平静22年度の予算額は、2,300億円であり、それを一日平均収容数74,000人で割れば、一人あたりおよそ300万円かかっている計算となる。

・引きこもりは100万人とも160万人とも言われるが、統計がないため、その人数は正確に把握されていない。仮に働くことによって一年間で200万円そうとうの付加価値を生産できるとすれば、引きこもりには2~3兆円程度の機会費用が毎年発生していることになる。おなじことは、ホームレスや施設に収容され社会参加できない人たちにも当てはまるだろう。

・「比較優位の原則」
 どのような人にも必ず比較優位があるのだから、絶対的に劣位にある人たちであっても社会の一員として迎え入れられ、その得意分野で社会に貢献してもらうべきということ、すなわち弱音を社会から排除することは人道的に赦されないのはもちろんのこと、経済的にも得策ではないということなのである。

・「赦し」は「和解」ではなく「受け入れ」
1) 失敗を赦すということは失敗を不問に付すという意味ではない。
2) 二つ目の問題は難しい。その理由は「赦し」を「和解」ととらえるからではないかと思われる。有期刑を受けた犯罪者が刑務所から出所してきたということは、犯罪被害者とは和解できていなくても、社会的には赦されているということになる。

・犯罪者を「悪人」と決めつけて終わるのではなく、その人がなぜ「悪いことをする人」になってしまったかを分析し、そのうえで、「悪人」と「善人」にするというよりも、どうすれば「悪いことをしない人」にできるかを考えるのである。それはいうまでもなく、社会に受け入れるためのプロセスにつながっていくのだ。

・12のステップ
http://www.al-anon.or.jp/about/property.html

1.私達はアルコールに対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。
2.私達は自分より偉大な力が、私達を正気に戻してくれると信じるようになった。
3.私達の意志と生命の方向を変え、自分で理解している神、ハイヤーパワーの配慮の下に置く決心をした。
4.探し求め、恐れることなく、生きてきたことの棚卸表を作った。
5.神に対し、自分自身に対し、いま一人の人間に対し、自分の誤りの正確な本質を認めた。
6.これらの性格上の欠点をすべて取り除くことを、神にゆだねる心の準備が完全にできた。
7.自分の短所を変えて下さい、と謙虚に神に求めた。
8.私達が傷つけたすべての人の表を作り、そのすべての人達に埋め合わせをする気持ちになった。
9.その人達、または他の人々を傷つけない限り、機会あるたびに直接埋め合わせをした。
10.自分の生き方の棚卸を実行し続け、誤った時はただちに認めた。
11.自分で理解している神との意識的触れ合いを深めるために、神の意志を知り、それだけを行っていく力を祈りと黙想によって求めた。
12.これらのステップを経た結果、霊的に目覚め、この話を他の人達に伝え、また自分のあらゆることに、この原理を実践するように努力した。

・日蓮宗法華経寺住職
「100回裏切られても100回赦す」

・日本では受刑者一人あたりの収容費用は年間約300万円である。
 高齢労働省の資料によれば、平成20年の生活保護費一人あたり月額は141,306円で、これを単純に12倍すると、一人あたり年間およし170万円の支給額となる。
したがって、刑務所の役割のひとつである無力化が効果的かどうかは、「受刑者が社会復帰したとき年間130万円を超える損失を社会に与えるかどうかによって判定される」というのがひとつの考え方になるだろう。

・刑務所収容による犯罪者の無力化効果を考えるうえで考慮すべきポイントが二つある。
1) 犯罪の代替効果
 ある空き巣藩が裁判で有期刑を言い渡され、収監されたとしよう。この場合の無力化とは、この空き巣犯が少なくとも刑務所に収容されている間は空き巣ができないという意味で、犯罪を減らす効果のことである。
 一人の空き巣犯が収監されたからといっても、それで空き巣が減るわけではなく、他の空き巣犯の縄張りを拡大しただけの効果なのかもしれない。要するに、別の犯人に置き換わっただけという意味で、「代替効果」というのである。 
2) 年齢である。一般に、強盗、殺人、強姦などの重犯剤で刑務所に入る人の数は、年齢とともに減少するといわれている。そうだとすると、壮年のときに犯した殺人罪で無期懲役を受けて収監された場合、その人が再び銃犯罪に関わる確率は年齢とともに下がっていくことになる。
こうした高齢受刑者については、年間300万円の費用をかけ、刑務所で無力化し続ける意味があるのかが問われなければならないだろう。

・抑止効果と無力化の識別問題
 罰則強化には犯罪の損失を引き上げ、犯行を思い留まられる効果(抑止効果)と、犯罪者を刑務所に収容し、犯行を不可能にする効果(無力化)の両方がある。

・罰則による抑止力向上は意味があるか
 レビットの結論は、「三振法」(前科が2回以上ある者が3度目の有罪判決をうけた場合、その者は犯した罪の種類にかかわらず終身刑となる)は一般的には効果があるというものである。ただし、代替効果のない強姦や強盗の多い市域では犯罪は減らない一方、刑務所の収容人数は増えるため、非効率性をもたらすだろう。

・裁判の過程では、加害者の全家庭環境や過去の出来事など、すべてのプライバシーが検察によって白日の下にさらされるだろう。加害者家族はマスコミに追い回され、近隣から白い目で見られ、一家離散や引っ越しを余儀なくされることもあるだろう。人間としての自尊心やアイデンティティをずたずたにされるのだ。

・『死刑でいいです』真下周著/池谷孝司編著
信田さよ子カウンセラー
「私は性犯罪者の処遇プログラムもやっていますが、反省は最後です。まずはどうやって再犯を防止するか。反省を促すより、まずは再犯させないというのが重要です。・・・日本は明治以来の刑法で、時代錯誤的にまず反省を求める。でも、中途半端に反省を求めても言い逃れを生むだけです。マニュアル的に「申し訳ないことをしました」と頭を下げるだけでは駄目。反省しなくても、再犯の防止はできる。『更生とは何か』を考える必要がありますね。」

・「コースの定理」
 紛争が起きたとき、法律がどのように定められいても、当事者間の交渉が可能であれば、交渉を通じて社会的に最も望ましい解決店に到達することができる。

・なぜ刑罰に上限があるのか
 刑罰を責任の範囲内に限定することについて、法学の視点からの理由は、目的刑論を暴走を防ぐためとされる。
 現代の日本では想定しにくいとはいえ、時の政府にとって都合の悪い人を思想犯や政治犯に仕立て上げ、転向しない限り刑務所に収容するというのも、目的刑論の考え方に基づくといえるだろう。

・平成12年に制定された「犯罪被害者保護法」では、被害者に公判の傍聴、公判記録の閲覧が求められるようになり、さらに平成22年の刑事訴訟法改正では、被害者が公判に参加し、検察官への意見陳述、証人への尋問、さらに被告人への質問ができるようになった。

・司法のあり方に関して、法益を侵害したことの責任を加害者にとらせるべきとする考え方を「応報的司法」という。それに対して、損害を受けた被害者またはその遺族、ならびに犯罪によって信頼性が傷つけれた地域社会にに対して、できる限り以前の状態に戻れるよう現状を修復することを目的とすろ司法のあり方を「修復的司法」という。
 修復的司法では、犯罪は地域社会の安定した関係性を破壊する活動とみなされ、地域コミュニティのメンバーが協力して関係性の修復を行う。

・刑務所では絶対に起こしてはならない不祥事が三つある。
1) 刑務官による暴行で受刑者が死亡するような事件はもちろん御法度だが、自殺者を出すことも刑務所の不祥事である。
2) 脱走である。これは、死亡と同様に行政処分を受けた受刑者を預かるという任務に反するだけでなく、地域社会に不安を与えるという意味で大きな不祥事である。
3) 暴動である。

・秩序維持の工夫
1) 規則的な生活
2) 運動会
3) 刑務作業
4) 仮釈放
5) 受刑者のランク付け
6) 刑務官との信頼関係

・刑務所の効率的運用
1) 経理夫の活用
2) PFI(Private Finance Initiative)刑務所 
「美祢:(山口県)「播磨」(兵庫県)「喜連川」(栃木県)「島根あさひ」(島根県) 

・出所後のことを考えない刑務所
 刑務所に長くいればいるほど更生は難しくなるのである。

・両少年院(医療少年院、特別少年院)の悩み
1) 親が子どもの障害を認めたがらないことだという。
2) 出院後の受け入れ先が容易に見つからないことである。

・自尊心回復手段としての非行
 小栗は自らの職務経験に基づき、非行少年のほとんどが学業不振児であると指摘する。知的障害児の範疇には入らないものの、IQでいえば75から80程度のいわゆる境界線に位置する少年たちである。

・発達障害児の非行
 発達障害児が引き起こす犯罪は、集団では犯罪行為の扇動役であり、単独ではストーカー、小児わいせつ、下着窃盗、痴漢、放火などとのことだ。

・小栗は「自分の失敗を後悔させることで、非行少年の反省が深まったという話をほとんど聞いたことがない」としたうえで、効果的な指導は「子どもの視点を過去にではなく、現在を起点した未来に向けること」だという。

・更生プログラム
1) 自尊心の回復
2) コミュニケーション能力の習得
3) 心のスイッチを入れる
 ・被害者の視点を取り入れた教育
 ・保護者との面談
 ・人間味溢れる教官との出会い 
4) 更生への道筋をつける

・サイコパスは錯乱した人間ではないし、必ずしも反社会的行動ばかりをとる人間でもないということだ。きわめて冷静で戦略的、しかも自己中心的である。・・・サイコパスにはそうした反省はない。反省は処罰を軽くしてもらうための手段くらいにしか考えていない。・・・サイコパスは他人の心の中にうまく入り込む。相手の弱みにつけ込み、孤独さや母性本能を利用する。それで相手がどう思うと、どう傷つこうと関係ない。

・『拘置所のタンポポ』近藤恒夫著(薬物依存)
1)「自分が病気であることを受け入れる」
2)「ジャスト・フォー・トゥデイ」の発想である。
 「二度と手を出さない」と決意するより、「とりあえず今日一日は使わないようにしよう」と考えたほうがいいという。

・コロニー雲仙
 「ふつうの場所で、ふつうの暮らしを」を合い言葉に、障害者が働きながら地域で生活することを目指し、延べ1,900人の障害者に福祉サービスを提供している障害者自立支援グループである。事業数は66、事業所数は51にのぼり、重度の人も軽度の人も、少しでも自立のステップアップを目指して日中活動に励んでいる。
 そしてグループホーム。ケアホームは近隣に約130棟あり、障害者はそれぞれの自立の程度に応じた生活を営んでいる。なかには障害者同士で結婚し、立派に子育てまでしているカップルもいる。
 コロニー雲仙は、平成21年に社会福祉法人として全国初となる更生保護施設の運営に乗り出した。その理由は、これまで30年以上にわたって行ってきた障害者福祉事業のノウハウが触法障害者の支援に活かせると考えたからだ。
 コロニー雲仙の最大の強みは、自立に失敗した障害者でも、少し前のステップに戻ってやり直しができるという「案ずるより産むが易し」型経営をしている点である。人間は失敗しながら成長していく。障害がある人ならばなおされで、これまで障碍者を施設に隔離し、家に閉じ込め、失敗をさせないよう「転ばぬ先の杖」を与え続けてきたことが自立の妨げになっていたといっても過言ではない。失敗を赦すということは、失敗してもやり直しができる仕組みが社会に備わっていることを意味するのである。

・障害者と受刑者にひとつだけ共通点があるとするならば、それは「社会に居場所を見出しにく」ということではないだろうか。誤解のないように申し上げるが、障害者あるいは受刑者だから社会に居場所が少ないのではなく、社会に居場所を持てない人たちが、「障害者」あるいは「受刑者」という名称を与えられて専用の施設に収容されているのである。

感想
刑務所の経済効果について考えたこともなかったので、目からうろこ的な点が多くありました。

「100回裏切られても100回赦す」
そんな人がいれば、何でも相談できそうです。

「人間は失敗しながら成長していく」
この言葉を信じて失敗を恐れずにチャレンジしていくことが結果として良いのでしょう。
どうしても失敗を恐れ、失敗しないような選択肢を選んでしまいます。

「反省させると犯罪者になります」 岡本茂樹著 "人は自分がされたことを、人にして返すものです"

日本の刑務所は出所後に一人で働いて暮らせる指導よりも、刑務所で問題を起こさない方に力点がおかれているため、再犯率が高いそうです。

働ける場を社会が提供できるかなのでしょう。
社会不安が起きるのも、働いて暮らせていけない人が増えるからだといわれています。
障害者や受刑者の方が住みよい社会は皆に住みよい社会なのだと思います。
障害者は法定雇用率が設定してあり、違反すると罰金が科せられます。
しかし、その罰金が少ないので、罰金払ってでも障害者を雇用しない会社もまだまだ多いです。
罰金をもっと多くするとか、障害者を採用すれば補助金が出るとかすればもっと雇用率が高まると思います。
前に、厚労省自身が法定雇用を達成していませんでした。

受刑者についても法定雇用を課すことで社会は変わるかもしれません。

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