ポーランドからの報告

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ポーランドの交通事故事情

2006年11月01日 | 一般

11月1日はカトリックの万聖節で、ポーランドでも他のヨーロッパの国同様、今日は祝日です。

万聖節の日、敬虔なカトリックのポーランド人は、キャンドルとお花を手に先祖のお墓参りに行きます。一年に一度の大切な日です。そのため毎年ポーランド各地で里帰りの車の大渋滞がおき、あちこちで交通事故の犠牲者がでる悲しい日でもあります。

万聖節の日に限らず、クリスマス休暇やイースター休暇など、連休で里帰りラッシュとなる時は、いつも必ず数十人単位の交通事故犠牲者がでます。そんなわけで、連休が近づいてくると、また交通事故のニュースを聞くのかと、悲しくなります。


そんなポーランドの交通事故事情ですが、日本に比べて非常に悪いといえます。例えば2002年度の交通事故死亡者は5827人でした。 ポーランドの人口は日本の1/3ですので、いかにこの数字が大きいものかがわかると思います。

交通事故が多発する理由として、ドライバーの運転マナーが悪いこと、交通ルールがあまり守られていないこと、土地が平坦なのでスピードが出やすいこと等があります。またポーランドの所得水準がまだまだ低いため、中古車を購入する人が多く、事故を招きやすいというのもあります。現に、日本だったら絶対に車検を通らないような車(ブレーキが利かない等)が、普通に走っていて、びっくりすることも一度や二度ではありません。


とりわけ、対向車線からの追い越し、ポーランドでは普通に行われていることなのですが、これが非常に危険です。いつもこっちでタクシーやバスなどの助手席に乗っていて、ドライバーが対向車線へとハンドルを切る度に、危険だからやめてもらいたいと内心思うのですが、ドライバー本人は一向に気にしている様子がありません。

ポーランドでは、片側一車線ずつ、合計二車線の道路でも、対向車線に出ての追い越しが、合法的に認められている区間があります。とくに農村部などでは、農業用トラクターや積荷を積んだ馬車などが、乗用車に混じって国道や県道を走っており、確かにこれを絶対に追い越さないと、そこから渋滞になってしまう、という状況が間々生じます。そういう場合に、片側が一車線しかないので、対向車線からの追い越しが可能なのです。

しかしこれは鉄道で言えば、複線区間の逆行のようなもので、追い越そうと対向車線に出たとき、向かいから対向車がきたら、正面衝突するわけです。信号で管理されてる鉄道と違って、車の運転の場合、タイミングを誤って対向車線にでて、そこへ対向車が来てしまったら、一環の終わりです。当然、もっとも交通事故が多発するケースとなります。


その悲劇の最たる例が、今から約一年前におきた、アテネオリンピック・女子競泳の金メダリストで、国民的スターだった、オティリア・イェンジェイチャク選手 が起こした交通事故です。

オティリアは、弟さんを助手席に乗せて運転中、追い越しをかけようと対向車線に出たところ、対向車が来てしまい、対向車を避けようとハンドルを左に(沿道方向に)切って、沿道の木に激突しました。 この事故で、オティリアは幸い命に別状はありませんでしたが、助手席の弟さんが亡くなってしまいました。この日は弟さんの19歳の誕生日で、二人は弟さんの誕生日パーティのために、実家に向かうところだったんです。

この事故では、オティリアの無謀運転の責任を問う声が多く、アテネで金メダルをとり、国民的スターとしてCMクイーンだったオティリアも、この一件以来、すっかりCMから姿を消してしまいました。特に弟さんの無念さに同情する声が後を絶たず、全ポーランドが涙した事件でした。公共広告機構(AC)でも、この悲劇を受けて、交通事故防止キャンペーンCMを、新たに数多く製作しました。


それでも交通事故は減らず.....
今日も新たな悲劇のニュースが報道されています。


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2 コメント

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スカスカ・・ (マロンケーキ)
2006-11-02 18:07:51
 何のタイトルかといいますと、、なんと、今年の墓参りは全く渋滞にはまらなかったのです!
10年ぶりに墓参りに行ったうちの旦那は『あれ?
あれ?これだけ?』と拍子抜け。
 人が少ないせい?か、はたまた強風だったせいか子供達は『寒い寒い』の連発で、墓参りもそこそこに、近くに住む親戚の家に駆け込んでました。私も、強烈ウィンターブーツを履いていたけど、寒かった!!!
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コメントありがとうございます (Wasilewska)
2006-11-03 01:11:21

今年は非常に天気が悪かったですよね。我が家も、娘がまだ小さいのと、遠くに住んでいるのとで、結局お墓参りには行きませんでした。
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