ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

UAE労働法(1) 労働時間

2007年09月16日 00時11分48秒 | 法・制度
日本人のアドミの採用もどうにか決まり、事務所の体裁も少しずつ整ってきた。自分自身の頭の整理を兼ねて、UAEの労働法について少し解説してみたい。

UAEの労働法(1980年連邦法第8号、以下「第8号」)は、書店で簡単に入手することができる。写真右がアラビア語の原文で、左がその英語訳。UAEで人を雇うときのバイブルと先輩駐在員に薦められ、出張で来ていた1年前、バージュマンセンターの書店で買った。130ディルハムだった。アラビア語はわからないから、英語訳だけで十分なのだが、残念ながらバラ売りはしていなかった。

ドバイでは、多数の金融機関を集めるフリー・ゾーン、ドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター(DIFC)が、独自の労働法を作って運用しているが、我が社の駐在事務所が入居するフリーゾーンを含め、基本的にはこの第8号が適用されるようだ。もっとも、フリーゾーンに入居する企業にはUAE国民の雇用義務を免れるなどの特則があるので、全てが当てはまるわけではない。

第8号自体は全部で193条でページ数にしても60ページ足らず。和訳するのもさほど難しくはなさそうだが、まだそういうものにお目にかかったことはない。

試しに、今日は労働時間について規定した第65条と第66条を和訳してみよう:

第65条

成人被雇用者の通常労働時間は最大1日8時間または週間48時間とする。ただし、商業、ホテル、カフェ、守衛、レストラン及び労働社会大臣(the Minister of Labour & Social Affairs)の決定によって追加されるその他の職業に従事する人々については1日9時間まで増加することができる。また、一日当たりの労働時間は、過酷または有害な職業については、労働社会大臣の決定によって短縮されることがあり、ラマダンの期間は通常の労働時間は2時間短縮しなければならない。被雇用者がその職場に通勤しまたは職場から帰宅するために費やす時間は、労働時間に含まれない。

第66条

一日の労働時間は、被雇用者が休憩、食事及び祈りのための中断なく連続して5時間以上働くことがないように調整されなけれがならない。前記中断は1時間以上でなければならず、労働時間に含まれない。(以下、工場についての規定なので略)

ちなみに、我が事務所ではこれまで、金曜日と土曜日の完全週休二日に、昼食の休憩1時間をはさんで9時~18時までをオフィスアワーとしていた。ラマダンが始まった13日の当日、9時~16時への変更を社内周知した。8時~15時にしようかどうか迷ったが、結局決め手になったのは、インド人社員が通勤のために利用しているドア・ツー・ドアのバスの時間だった。バスの時間でオフィスアワーが決まるというのも本末転倒ではあるが、近隣の事務所(日系企業のように日本の本社と連絡をとるために朝早く営業するインセンティブがない欧州系がほとんど)の大多数が同じ時間帯で働いているということなのだろう。郷に入りては郷に従え、ここはひとまず大勢に従っておくことにする。

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