17日は、翌日からの5連休を前に片付けなければならない仕事に忙殺された。そんなさなかに、入居しているホテル・アパートから市政庁税の支払いについて督促を受けた。
ドバイには税金がかからないと一般に言われる。確かに、現時点では、法人税、所得税、日本でいう消費税のような付加価値税(VAT)はUAEに導入されていない。それでは、政府に対して納める税金が全くないかというとさにあらず。レストランやホテルでは、たいてい料金にサービスチャージとともに市政庁税(Municipality Fees)というものが含まれている。
8月頃のことだ。アパートから、市政庁税が4月に5%から10%に値上げされたので、9月まではアパート側で吸収するが、10月分から差分を払ってほしいという手紙が届いた。よく意味がわからないので、その内何か言ってくるに違いないと放っておいた。
その内に、レセプションから毎日のように督促を受けるようになった。あまりにうっとおしいので、支払い義務があることわかれば払う、根拠を教えろと言ったところ、送ってきたのが政令(Decree)の英訳だ。きっと住人の支払い義務について定められているのだろうと思って読むと、ホテルがゲストから得た売り上げの10%を市政庁税として支払えとあるだけだ。こちらが知りたいゲストが負担すべき根拠については何も触れられていない。
法律に根拠がなければ、契約でもいい。2月に入居する際にサインした賃貸借契約では家賃には市政庁税が含まれているというかっこ書がある。ただし、それが賃料に対して何%なのかは明記されていない。
アパートの担当者もいよいよしびれを切らしたか、法務担当のコンタクトを教えてきて、ここにメールを送れという。こちらとしては何の義務もないと思っているのだから、支払い義務があると主張する側がメールするのが筋だと思うが、アパートの法務担当にどの程度の能力があるか興味もある。これまで入手した法律や契約の条項に照らし、支払い義務をみとめない、支払義務があるというなら根拠を示せ、と書いて送る。
間もなく、敷金(Deposit)から、税金などを控除できるとある規定が根拠だと返事がある。
私は、ただちに次のように反論した:
その規定には「賃借人が支払うべき」(payable by the Lesee)市政庁税その他の税金を控除できる、とある。私が求めているのは賃借人が支払うべきとする根拠で、それに対する答えになっていないと。
法務担当者からの最後のメールは、次のようだ:
貴殿はすでに契約時に市政庁税を含む賃料を支払っている、これは市政庁税に対して支払義務があることに合意していることを示している。敷金から控除されたくなければ、速やかに支払え。貴殿と本件につきこれ以上のやりとりをすることは辞退する。
この法務担当者がどういう資格を持っているかはわからない。ただ、法務担当なら、もう少しまともな議論ができるかもしれないとの期待は見事に裏切られた。
議論が途中で一方的に打ち切られてしまったので、あくまで推論だが、要約すると次のようになるだろうか:
市政庁税を賃借人が負担しなければならないとする法律上の根拠はない。賃借人がこれを負担するのは家主との契約による。紛争防止の観点からは、市政庁税の最終負担者について賃貸借契約に明定しておくことが望ましい。
この国の法律家のレベルについては、いつか改めて書こうと思う。
ドバイには税金がかからないと一般に言われる。確かに、現時点では、法人税、所得税、日本でいう消費税のような付加価値税(VAT)はUAEに導入されていない。それでは、政府に対して納める税金が全くないかというとさにあらず。レストランやホテルでは、たいてい料金にサービスチャージとともに市政庁税(Municipality Fees)というものが含まれている。
8月頃のことだ。アパートから、市政庁税が4月に5%から10%に値上げされたので、9月まではアパート側で吸収するが、10月分から差分を払ってほしいという手紙が届いた。よく意味がわからないので、その内何か言ってくるに違いないと放っておいた。
その内に、レセプションから毎日のように督促を受けるようになった。あまりにうっとおしいので、支払い義務があることわかれば払う、根拠を教えろと言ったところ、送ってきたのが政令(Decree)の英訳だ。きっと住人の支払い義務について定められているのだろうと思って読むと、ホテルがゲストから得た売り上げの10%を市政庁税として支払えとあるだけだ。こちらが知りたいゲストが負担すべき根拠については何も触れられていない。
法律に根拠がなければ、契約でもいい。2月に入居する際にサインした賃貸借契約では家賃には市政庁税が含まれているというかっこ書がある。ただし、それが賃料に対して何%なのかは明記されていない。
アパートの担当者もいよいよしびれを切らしたか、法務担当のコンタクトを教えてきて、ここにメールを送れという。こちらとしては何の義務もないと思っているのだから、支払い義務があると主張する側がメールするのが筋だと思うが、アパートの法務担当にどの程度の能力があるか興味もある。これまで入手した法律や契約の条項に照らし、支払い義務をみとめない、支払義務があるというなら根拠を示せ、と書いて送る。
間もなく、敷金(Deposit)から、税金などを控除できるとある規定が根拠だと返事がある。
私は、ただちに次のように反論した:
その規定には「賃借人が支払うべき」(payable by the Lesee)市政庁税その他の税金を控除できる、とある。私が求めているのは賃借人が支払うべきとする根拠で、それに対する答えになっていないと。
法務担当者からの最後のメールは、次のようだ:
貴殿はすでに契約時に市政庁税を含む賃料を支払っている、これは市政庁税に対して支払義務があることに合意していることを示している。敷金から控除されたくなければ、速やかに支払え。貴殿と本件につきこれ以上のやりとりをすることは辞退する。
この法務担当者がどういう資格を持っているかはわからない。ただ、法務担当なら、もう少しまともな議論ができるかもしれないとの期待は見事に裏切られた。
議論が途中で一方的に打ち切られてしまったので、あくまで推論だが、要約すると次のようになるだろうか:
市政庁税を賃借人が負担しなければならないとする法律上の根拠はない。賃借人がこれを負担するのは家主との契約による。紛争防止の観点からは、市政庁税の最終負担者について賃貸借契約に明定しておくことが望ましい。
この国の法律家のレベルについては、いつか改めて書こうと思う。