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『おくのほそ道の旅』萩原恭男・杉田美登著(岩波ジュニア新書)を読んで

2009-06-25 08:16:53 | 書評
この本は、松尾芭蕉が、おくのほそ道を歩いた行程そのものを実際に歩いてたどるものだ。芭蕉の旅は、決して物見遊山ではなく、修行僧のように厳しいものだった。時には、一日50キロ近くを歩き、雨や雷に難渋し、昔の旅の厳しさが手に取るように感じられる。

奥の細道の「細道」は、芭蕉がひたすら歩んできた俳諧一筋の生き方を表しているという。「奥」はこの元禄2年のたびで巡った陸奥、出羽、北陸を指しているという。

「おくのほそ道」の冒頭において、芭蕉は「すべてのものは、同じ状態にとどまることなくどんどん変化していく。それが、人生の本当の姿だ」とその人生観を述べている。

芭蕉は、この旅の間「旅日記」を書いており、かなり克明に行程を記している。1689年(元禄2年)芭蕉46歳のとき、ふと思い立ってはじめた旅である。行程は、千住から始まり、日光、白河、福島、松島、平泉、新庄、酒田、村上、新潟、高岡、金沢、福井、関が原、大垣まで、3月終わりから9月初めまで半年の旅だった。

このように行程をたどりながらその間に読んだ俳句は、自然の清涼さや芭蕉の心情を感じ、さすがに味わい深い。

・ 旅の厳しさ、泊まりの難渋を表して
蚤虱(のみしらみ)馬の尿する枕元

・平泉が藤原3代の栄華の跡形もなく、全くの農村になっている様を前に
夏草や兵(つわもの)どもが夢のあと

・ 出羽の国、立石寺にて
閑さ(しずかさ)や岩にしみ入る蝉の声

・ 最上川の川岸にて
五月雨(さみだれ)を集て涼し最上川

・ 越後の出雲崎にて、佐渡を前に
荒海や佐渡によこたふ天河(あまのがわ)


『おくのほそ道の旅』萩原恭男・杉田美登著(岩波ジュニア新書)


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