この本は、一言でいうとすごい。私が知る限りでは、営業のやり方として独創的でこれまであまり聞いたことがない。発想がユニークそのものだ。しかしそれでいて奇を衒ったような小手先を使った営業手法ではない。営業とは何たるかと問えば、おそらく著者は、お客様に役に立つ付加価値のある情報を伝えるものと答えるのではないか。1時間程度で気楽に読める本ではあるが、そこから得られるものは余りあるものだ。小生もぜひ実行に移したい。
・ お客様は、私が話す保険の話より、保険を商売とする人間の体験談に興味がある。
・ 「私を信じていただけますか」が契約の基準
・ 「任せるのだったらすべて任せてください。私に任せるかどうかを決めてください。」
・ 契約が決まるパターンは、「任せていただけますか?」という私の問いに「じゃあ、林さんに任せるよ」と言ってくれるとき。
・ あるときは海外での経験を話し、あるときは映画から学んだことを話し、そしてある日、契約が結ばれる。「私に任せていただけますか」「うん、すべて任せよう」
・ 自分が体験してきたことを「お客様に喜ばれる情報」として語れる人は、世の中それほど多くない。
・ 私の場合は、すべての体験を自分の付加価値にしている。付加価値にするため体験しているといってよい。「ベトナム視察、ニュージーランド不動産購入、アフリカ、アラスカ視察、バンジージャンプ、ミグ21体験など」
・ 経営者にとって、インターネットの情報は全く意味がない。だから私は、実際に現地へ行って体験している。ここが私と他の営業マンの決定的な違いだ。お客様の役に立つ人間だから、「林の話を聞きたい」と思ってもらえる。
・ まずは、自分のお客様(となってくれそうな人)がどんな情報を求めているか察知すること。察知したら、行動に移すこと。そして体験したことを自分のことばで語れるようになると、お客様は自然に集まってくる。
・ 私は、“営業は人間力”だと昔から考えている。目に見えない商品は、売る人によって売上に大きく差が出る。
・ お客様がファンになってくれるような人間とは、①自分に有益な情報(生きた情報)をもたらしてくれる人間 ②経営の話ができ、耳の痛いことも正直に言ってくれる人間
・ 性悪説をベースに経営理念を構築している社長とは韓非子を知らないと意志の疎通はできないし、性善説がベースの社長とは孔子を知らないと会話は弾まない。
・ ブランドイメージを壊す契約は「断る」勇気をもつ
・ そのときは「せっかく取ってきたのに」と思ったが、今となっては“断る営業”はすごく生かされている。
・ お客様が私と会うことで、最も付加価値を感じられるのはなんだろうかと真剣に考えてしっくりきたのが、「人がやったことがないことをやっている人間」「人が持っていない知識を持っている人間」これがファン作りのために出した結論だ。
・ コミットメントが成功サイクルをつくる。逃げ道を断って自分を高める。コミットメントをすると「その数字を達成するにはどうしたらいいか」しか考えなくなる。
・ 「決めたことはできる」という体験を積むと、成功のサイクルができてくる。
・ 宣言しないと目標を達成することはできない。
・ 「買ってもらおう」と思わなければ強気になれる。
・ 手ぶらの旅を通してあらためて思うのは、コミットメントしている人間、腹を決めている人間がいかに強いかということだった。
・ 特にマニュアルや義務感で働いている人間は、コミットメントした人間には絶対に勝てない。
・ それは、常にクロージングを決め、それを実現することにだけ集中して動いているからだ。
・ 「自分の枠を取り払え」と話しながら、人間とは弱いもので、私も時間がたつと、いつの間にか自分のフィルターにかけている。成功者に学ぶのであれば、いいとこ取りではなく「全部取り」をまずしてみる。うまくいっていない自分が判断するなんて、ロジック的にもおかしな話だ。
・ 時間を無理やり作ってでも、研修は受けた方がいい。自分だけ、仲間だけ、社内だけでは限界がある。
・ 次のステップに移るには「違和感が必要だ」居心地が良いところにいると、そこから成長することはない。だから、つねに居心地の悪い場所、違和感を覚える場所に身を置く。
・ 自分の枠組みだけで考えるようになると、いつも間にか、安全領域内だけで働く人間になってしまう。自分を違和感ある場所に置くことは、こうした意味でも有効である。
・ アウトプットすると、またインプットできる量が増える。さらに多くのことを吸収できる準備ができる。また、アウトプットすることによって、自分の感じ方も違ってくる。心が動いたことは記憶せず、すぐ人に話す。
・ 体験したことは必ず、ビジネスに落とし込む。
・ 視点が違えば感じ方が異なる。これが「事実」と「現実」の違いだ。
・ 自分のモチベーションがものすごく高いときに話すのと、すごく腰が引けて早く帰りたいと思っているときに話すのとでは、同じことを言ったとしてもお客様への伝わり方は全く違ってくる。
・ 要するに、コミットメントした瞬間に行かないと、物事は何も進まない。決断した瞬間に動かないと一生始まらない。
・ すべての体験は、ビジネスに結びつく。何をするにも視点を持ってやる。
・ どんなときでも一番考えるのは、「お客様や相手が何を欲しているか」
・ 相手によって話し方は変える。社長の場合、従業員の場合では欲していることは違う。
・ 10年越しでなかなか契約に至らない先に、アラスカの話をして、話の最後にひとこと、「ところで、そろそろ決算じゃありませんか?」これで決まった。
・ お客様の話にはとことん突っ込んだ。その代わり喧嘩をすることもあった。真剣に話をすればするほど、いい合いになったりすることもあった。
・ プロはごまかすわけでもなく、だますわけでもなく、いとも簡単にお客様を誘導できる。同じような営業トークでも、ほんの一言変えたり、視点を少し変えてあげるだけで誘導できてしまう。
・ 営業の仕事にも基本はある。相手に対してどう対応したら早く打ち解けられるか、タイプによって共感される接し方があるとか。それを数多く経験して、学ぶ必要がある。
・ 人の話は最後まで聞かないと、本質は全く見えてこない。相手がしゃべり終わるまでは、絶対に自分からしゃべらない。
・ うまくいかないのは、伝わっていないからだ。
・ インターネットでものが買える時代に、わざわざ人を介してものを買うわけだから、そこには大きな付加価値が求められる。
『世界トップクラス営業マンの1年の目標を20分で達成する仕事術』林正孝著(大和書房)