グローバル・スタンダードの最高峰資格CFAとCFPを持つ完全独立のFP・資産運用アドバイザー尾藤峰男の書評ブログ

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『敗者のゲーム-なぜ資産運用で勝てないのか』チャールズ・エリス著(日本経済新聞出版社)を読んで

2009-10-30 08:25:58 | 書評
久々に腰を落ち着けて、投資の本を読んだが、これは名著だ。著者のセミナーを聴き、この本についても名前だけは知っていたが、読んでみるとこの世界で生計を営む人間が読んでも、改めて学ぶことは多い。

この本のタイトル、敗者のゲームとは、敗者にならないようにゲームで努めると言い換えるとわかりやすいだろう。投資運用は、勝者のゲームから敗者のゲームに変化したと著者は言うのだ。すなわち、ゲームで勝つより負けないようにすることが大事になったということだ。スポーツで言えば、テニスで相手のミスでポイントを得る、ゴルフでミスショットをしないことでいいスコアを得るというようなことだ。

こうすれば、結果としていい成績が残せ、相対的に相手に勝つことにつながる。これが投資の世界では、プロの投資家が五萬といる中で攻めて勝つ(積極的運用)のは難しく、ミスをしないでいいスコアを得る(インデックス運用)ことが結果として長期的にほとんどのポートフォリオマネージャーを打ち負かしているという。いわば、動に対して静で勝つというスタンスだ。

この本を読んでいて感じるのは、投資も哲学であり、いかに基本方針を守り続けられるか、時間を投資のベースに置き、しっかりとした信念の元投資を続けられるかということだ。特に今のような変動の激しい時期には、いかにも役に立つ書だ。

『敗者のゲーム-なぜ資産運用で勝てないのか』チャールズ・エリス著(日本経済新聞出版社)



『節約の王道』林望著(日経プレミアシリーズ)を読んで

2009-10-29 09:04:36 | 書評
この本は、ときにげらげら笑いながら読んだり、なんと合理的な、と驚いたり、こういうやり方もあるんだと目からうろこだったり、一言で言えば、大変ユニークな本だった。

私も節約という面では結構心がけているところはあるのだが、人によってずいぶん意識の仕方、節約することの自分の中での位置づけが違うものだと感じるものがあった。改めて、この著者はユニークな方だと感じ入った次第だ。

この本は、節約の指南書としても当然勉強になるが、人の人生の中での過ごし方、生活への捉え方としても、あまり力を入れずに読める本だ。軽い気持ちで手にとって見るといいだろう。

『節約の王道』林望著(日経プレミアシリーズ)


『徹底図解 人体のからくり』坂井建雄監修(宝島文庫)を読んで

2009-10-28 11:38:45 | 書評
この本が面白い。というのは、普段自分の体の内部のことについて意識していないことが多い中で、この本を読んでいると、自分の体の中を覗き込んでいるようで不思議な気分になってくるのだ。意識していなくても、体の中では各器官、各細胞がフル稼働しているのは、ミクロ単位で見ればまるで大規模工場が整然と必要な業務を着々と行っているという姿が重なる。

また、こういう世界に接すると久々に新しい風を受ける思いで、新鮮極まりない。これが読書の楽しみでもある。

・ 直接コラーゲンをとっても、美肌効果はない。美肌をつくるのは、食事のみ!
・ 毛髪は毎日60本ずつ抜ける
・ スポーツ選手の心臓は実際にデカイ
・ 血液は食品に影響されない。野菜や果物はアルカリ性食品だから、体にいいといわれるが、たくさん食べたからといって、それで体内のphが変化することはない。
・ リンパ液は体重の8%
・ リンパ管は血管に沿って走っている
・ 体に含まれる抗体の量は270~560g
・ ヨーグルトは本当に腸にいい
・ 肛門周辺には、静脈が走っているため、うっ血して痔になりやすい。
・ 胃腸で消化された栄養素は1分間に1リットルのペースで肝臓に運ばれる。
・ 肝臓は3/4切除でも再生される
・ 火事場の馬鹿力は実在し、成人男性で200Kgを持ち上げる力がある。
・ ストレスがあると、呼吸が浅くなり勝ち。呼吸が浅いと、脳や全身に十分な酸素が回らなくなる。思考や活動が衰える。ため息や深呼吸は、腹式呼吸になり脳や体に新たな酸素を供給する。これがストレス解消にもつながる。

『徹底図解 人体のからくり』坂井建雄監修(宝島文庫)

『東京の中古ワンルームマンションを3戸持ちなさい』重吉勉著(かんき出版)を読んで

2009-10-27 09:43:20 | 書評
この本は、不動産管理会社20年のベテラン社長が、本のタイトルのとおりのテーマを書き綴る本である。我田引水的危惧を覚える向きがあるだろうが、読んでみると、いやはや、この本は有用な情報が入ったまともな本だ。著者はお金の魔力、すごさを知っている人物だという気がする。

小生は、ブログタイトルのとおり、お金の運用の専門家だが、お金は一攫千金で稼げるものではない。こつこつ積み重ねてそれが雪だるまのように大きくなっていくのが、お金の増やし方だ。その考えを、著者は、この本で信念を持って読者に提起している。資産運用でも、長期投資という面が非常に重要なのだが、著者は「ワンルームマンションを耐用年数の60年持ち切れ!」といっている。ここが、不動産投資のポイントだ。そして小生もそこはまったく同意なのだ。

その投資法を、「東京の中古ワンルームマンションへの投資」という形で提示しているのだが、これも東京の外国人人口の増加、ワンルームマンション需給見通し、大規模開発計画などをあげて、けっこう説得力がある。確かにそのとおりなのだろうと納得できる気がしてくる。

この本を読んでいて一貫して感じることは、「まともな考え方からは、まともな方法が生まれてくる。そしてそれが成功へのもっとも近道である。」ということだ。


『東京の中古ワンルームマンションを3戸持ちなさい』重吉勉著(かんき出版)


『フロンティア突破の経営力』小川政信著(プレジデント社)を読んで

2009-10-26 09:27:04 | 書評
この本は、実戦の数知れぬ場数を踏んだ俊英の経営コンサルタントが、事業戦略展開の革新的方法論を著わした力作だ。実例をベースに具体論を展開していくので、大変わかりやすい。またこれまでのコンサルティングで培ってきた実戦体験やノウハウから、論理にも深みを感じる。


この本で著者が強調するのは、現実・現場をスピーディに解明することが大事であり、意見や認識にとらわれずに、いかに的確に短時間で必要な対策を取れるかということだ。


サンプル数は少なくても、「立体感のある生情報」と、ごくシンプルなロジックにもとづく推論だけが助けになる。しかも、「立体感のある生情報」の収集はものすごくスピーディにできる。ここが、本書の核心だ。


さらに「当人の認識である意見に基づいて経営判断を行ってはならない。意見交換より大事なのは、事業の成否を決める現場・現実のメカニズムの解明だ。」とも説く。そして「そのアプローチには基本的に3つしかなく、第一が、ひとつの軸での輪切り。第2が、多次元の刀での空間切り。第3が、N=3で知るの応用。この3つでどんな経営課題の本質にもたどりつくことができる」


また「核」「鍵」を抽出する段階では消去法的思考が役に立つとする。消去法により、鍵をえぐり出す。そして今度は、その「鍵」に意識を集中させて「解決策をありとあらゆる次元で考える。」


自分が抱えている「暗黙の意識」のようなものが、「鍵」に意識を集中することを妨げる。われわれのめがねが曇っているということは常に意識しておいたほうがよい。この修行をいったん行い始めると、相当程度まで実戦に堪えるところまで到達できるとする。


この本は、ある面では経営課題に限らず、物事の発想法、問題解決のステップという面でも大いに威力を発揮するのではないか。ここまで紹介してきたことはほんの冒頭部分であり、詳しくは本書を読みとくことをお勧めする。それだけの価値は十二分にある本だ。


『フロンティア突破の経営力』小川政信著(プレジデント社)

『女子大生会計士の事件簿』山田真哉著(角川文庫)を読んで

2009-10-23 08:23:40 | 書評
この本は、ベストセラーとなった公認会計士山田氏の一連のシリーズだ。一話一話完結型のストーリーで、大変気軽に読める。ただ規模は小さい。ある面、日常的な企業のカネをめぐる恥部を暴いているところがあるが、会計というものを知らない若者が入っていく読み物としては、面白いのではないか。

ただ、悪いところばかりを描くのとは別に、会社はこんなところが資金の面で苦労するところだとか、巧みな経理処理など(節税、利益コントロールなど)を含めた広がりを持たせると、さらに若者の知識の幅を広げることになるだろう。

いずれにしても、社会的にもいい企画のシリーズだ。

『女子大生会計士の事件簿』山田真哉著(角川文庫)

『ビジネス選書&読書術』藤井孝一著(日本実業出版社)を読んで

2009-10-22 08:36:21 | 書評
この本は、本を書く鉄則を実によく守って、丁寧に書かれている。だからわかりやすい。特にこの本の特色は、どういい本を見つけるかというところにある。どの本でも、本の価格はやはりそれなりの価値は十分あると小生は思っているが、なかで、いい本を読んだといううれしい感覚は、なんともいえない。この記述は、書く側にとっても大いに参考になるところだろう。

さらに読書の三原則についても書かれている。
・ 読む目的を明確にする。
・ 読んだらそれを行動に移す。
・ 人に話をしたり、記録にまとめる。

実にコンパクトに学べるいい本だ。

『ビジネス選書&読書術』藤井孝一著(日本実業出版社)


『カネは後からついてくる!』岡野雅行著(青春出版社)を読んで

2009-10-21 12:08:17 | 書評
前著の『人生は勉強より「世渡り力」だ!』に次ぐ出版だ。あいかわらず江戸っ子のいうことは歯切れがいい。外から来た脅しまがいのファックスや相手先への猛烈な文句を書いた実物を見せる。そこらにある本とは迫力が違う。今だから言える(時効で)前に止まっていたクルマのタイアに穴を開けた話など、おやおやものだ。けれんみなく、実にさわやかな人生だ。自分の生き方に絶対の自信を持っており、迷いというものを知らない。ここまで自分というものをもてれば、鬼に金棒だ。そこには、ものすごい血と汗の努力の結晶がある。しかしそれを見せないところが江戸っ子なのだろう。

・ 「今日の接待代、いったいいくらかかるんだ!?」なんてしみったれたことをいってるようなやつからは、大きなカネは逃げちまうんだ、覚えておきなよ。
・ 闇雲に攻めたってダメ。攻めどころをズバリ見きわめて、そこを集中的に攻めりゃ、どんな難航不落の相手だって必ず落とせる。
・ 「恩義に報いる」というのも攻めどころだよ。報いてくれりゃ、相手は悪い気はしないから、仕事が広がっていくじゃないか。
・ 付き合いができた人との関係を切っちゃダメだね。付き合いを続けていれば、相手はいつか参謀役になってくれる。
・ 何を言おうか考えるようじゃまだまだだね。反射的に「これだ」って言葉が出てくるようにならなきゃな。
・ 営業はとにかくマメに顔を出すことが鉄則には違いないけど、いつも正攻法ばっかりじゃダメだよ。時には相手の心理を読んで、兵糧攻めだの水攻めだのって、攻め方を変えなきゃな。難攻不落に見える相手ほど、そんな裏をかいた策に弱い。
・ みんなも、雇われ人根性はもたないほうがいいね。その根性に囚われてしまうと、理不尽に耐えるのが習い性になるんだよ。言いたいこともいえない、悪くもないのに誤っちまう。ダメだよ、そんなんじゃ。
・ イヤなヤツ、ムカつくやろうを“おろそか”にするなよ。そういう手合いほど使い道があるってこと、覚えといてほしいね。
・ こすっからく立ち回ったんじゃ、信頼なんか得られっこないんだよ、この世の中は。
・ いつだって、新しいモノが突然できるなんてことはない。自分で失敗を重ねて積み上げた過去の技術やノウハウが、未来をつくるんだ。
・ どうせうそをつくんなら、“攻め”のウソでなくっちゃね。自分でやりたいことがあって、それを実現するためにつくウソ、窮地からの一発逆転を狙ってつくウソ、自分を賭けて大勝負に出るときのウソ。そんなんなら俺はウソをつかれたっていいね。-忠臣蔵名場面「大石内蔵助助対垣見五郎兵衛」
・ いいかい、ウソは腹をくくってつけよ。
・ 自信があるからでかい声になるんじゃなくて、でかい声を腹から出してると自信がついてくるんだよ。
・ 声の小さいのもダメだね。小声でボソボソしゃべって、自分をわかってもらおうなんて甘いんだよ。言いたいことをでっかい声で言わなくっちゃ、「俺」の存在なんて認めちゃもらえないぞ。存在が認められなきゃ、付き合いなんて始まらないよ。
・ 楽しそうな顔しててみなよ。誰だって「おっ、なにかいいことあった?」って声を掛けたくなるってもんだよ。でっかい声を出せば、それだけ目立つし、こっちの言い分だって通るんだ。
・ もうひとつ、でっかい声の効用を教えようか。いつもでっかい声を出しているやつが、ここぞというときに黙ってみなよ。相手に与えるインパクトは半端じゃない。“沈黙はカネなり”ってのは、でっかい声あってこその金言なんだ。
・ 玉の井のお姉さんから教わったことで、ずっと胸に刻みつけてきたのは、何かしてもらったら「ありがとう」を4回言えってことだよ。
・ 「ありがとう4回」を徹底すりゃ、「かわいがられる」ことは俺が保証する。何かにつけて誘いがかかるだろうし、本人がいないところでも話題になるよ。
・ 「本業以外の芸」が本業を決める。
・ 利口になったら強いぞ。仕事や人生で行き詰ったって、ちっともこわかないね。「これがダメならあれやってみるか。あれもダメならこんな手もあるな」って具合に、次の一手がどんどん出てくる。頭がいいだけじゃ、煮詰まっちまって、動きが取れなくなるんだよ。

『カネは後からついてくる!』岡野雅行著(青春出版社)

『目立つ力』勝間和代著(小学館新書)を読んで

2009-10-20 10:49:57 | 書評
この本は、ブームともなってきた勝間さんの最新刊だ。この人は、言い回しがうまい。たとえば、「インターネットにつながっていると、私は、まるで機動戦士ガンダムでアムロがモビルスーツを操っているような気分になる」とか、「私はこういった自分の見せ方を、「立体名刺」と呼んでいます。」こういう言い回しを自由に操ることのできる人を見ているとうらやましくもなるが、だからこそ、学ぶべきことも多い。

この本では、「目立つ力」をインターネットメディア、その中でもブログに重点を置いて「自分をいかに目立たせるか」を懇切丁寧に教えてくれる。著者のいう「ギブの五乗」のとおりだ。どうしてここまでできるのか不思議に思えてくるのだが、この本を読んでいて感じるのは、やはりそこには大切な「人的ネットワーク」があるという感を持つ。日々与えながら、吸収しているのだ。

・ ブログを作ることは、思考することにつながる。
・ ブログを中心としたインターネット戦略は以下の5つの手続きで行っていく。
1. コンセプトを決める
2. 目的を決める
3. コンテンツを決める
4. 読者を想定する
5. 差別化する
・ せっせとブログランキングに参加したり、ブログに連動したメルマガを出したり、トラックバックをまめに行ったり、様々な工夫を凝らす。
・ ブログに使える時間はせいぜい30分から1時間、この時間内に、どうやって付加価値を出していくか、考え抜く作業が「差別化」だ。

座談会
小飼弾-公度が高いほど傲慢にふるまうべき。理由は3つ。傲慢なほうが表現は簡潔。傲慢を続けるには、自己研鑽をしなくてはならない。リアルとの兼ね合い、公の場では胸を張って、そうでない場合には、腰を低くする。
青山直美-とにかく毎日続けることと、こうなりたいなという人と、トラックバックを送るなどのコミュニケーションをとること。
青山-私はまねばっかりです、ブログにしても、メルマガにしても。テンプレートなんて、そのままコピペ。
勝間-インターネットって、まね文化ですよね。
小飼-まず、徹底的にまねてみることです。そうすると、違和感が絶対残ります。・・・それが個性なんです。どれだけ自分の違和感を大切にできるか、そこがあなたの個性だからです。
青山-何のために目立つか、を意識する必要があります。
青山-ネットで目立っている人たちっていうのは、「無私」な人が多いと思います。

『目立つ力』勝間和代著(小学館新書)

『利益第二主義-過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学』牧尾英二著(ダイヤモンド社)を読んで

2009-10-19 08:20:50 | 書評
この本は、読んで驚いた。こういうやり方の事業が成り立つのかという思いだ。利益のことは考えない。何から何まで全部そろえる。地方の過疎地に巨大スーパーセンターを造る。徹底した利用しやすい店舗つくり。年寄り用巡回バス。24時間営業。社員・パート主導主義。定年は本人が決める。社長は下からの支え役。まさに常識破りの経営だ。エブリデイロープライスのウォールマートに似た面は一部あるが、たくさんの部分で、これまでにないやり方を創造してそれでいて成長を続けるきわめて注目すべきモデルだ。一言で言えば、徹底した「すべてがお客さまのために役に立ちたい」経営だ。

こういうことも考えさせられる。すなわち「真の創造性は、正しい考え方に立脚すれば、発揮できる。」

地方活性化、さらには地方主体の新しい日本の姿も垣間見える。

・ 正しきによりて滅びるものあらば滅びてもよし、断じて滅びず。
・ 私どもの経営は「前例否定」さらには「素人発想」で、小売業のあり方に疑問を投げかけるところから始まっています。
・ AZでは、お客様のためになることであれば、効率は一切追求しません。
・ 最初から前例を否定しようとしたわけではありません。常にお客様の利便性を優先して考えた結果、小売業の常識や前例を否定することになったのです。
・ お客様のリピート率を高くしなければ、小商圏ではAZのような大型店舗の経営は成り立ちません。私たちがもっとも恐れているのは、お客様の数が減ること、リピート率が落ちることです。
・ 他店を見ながら仕事をするのではなく、お客様を見ながら仕事をしようというのが、私どもの基本的な姿勢です。
・ 私どもは、管理小売業を目指していません。だからデータを見る暇があったら売り場に出なさいと担当者に言っています。お客さまの声や棚からデータをもらいなさいという発想です。
・ あの人はいつもニコニコしていて、こっちまで楽しくなる。こういわれるようになればしめたものです。明るい自然な笑顔から争いごとは生まれません。
・ 自分の思うように他人を動かし、他人を変えることは容易なことではありません。では、どうしたらよいか。最も簡単ですぐできて、きわめて効果的な方法は、人を変えるより自分を変えることです。そうすれば自然に人も変わります。
・ 私が何より従業員に望むことは、常に売る立場ではなく買う立場に立って仕事を続ける姿勢です。
素朴で素直で誠実に、平凡で当たり前のことをこつこつと行い、世のため、人のためになるよう、サービス精神を持って仕事をしてほしいと思います。そのためには、常に自分は控えめに、相手を優先して、相手の利益を第一に考え、華美ではなく質素に、自然体を習慣として決して見栄を張らずに、毎日の生活を送ることが大切です。
・ 仕入先と強く交渉して、安く仕入れてたくさん売るか。そういう交渉はしないで、たくさん売ることで自然と安くなるか。考え方だと思いますが、仕入先との関係を考えれば、自然と安くのほうが当然いいです。
・ 自動車販売の二割は業者むけ―共存共栄です。
・ 小売業は営利企業ではありますが、そこからもう一歩踏み込んで、地域の皆さんの生活に何か寄与するという発想を持てば、結果として利益はかえってくると思います。
・ 自分優先から他者優先、損得よりも善悪優先、利益よりもお客さま優先。
・ 私は、人生死ぬまで修行、死ぬまで完成もなく、死ぬまで役割ありと覚悟しており、苦楽で苦を選び、明暗で暗を選び、上下で下を選び、損得で損を選び、修行を続けるまま人生を終われたらと願っています。そうすることで社会的な役割を果たせる気がしてなりません。

『利益第二主義-過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学』牧尾英二著(ダイヤモンド社)