この本は、著名なフランスの哲学者がニーチェ哲学を解説するものだ。正直に言うと、小生にとって著者はそれほど重視しておらず、ニーチェ哲学とはどういうものかを手っ取り早く知るため、著名な本を手軽に読んでみようと思って読んだ。
これも正直な感想だが、よくわからないというか狂気から発せられているような考え方で、もう少し突っ込んで読む必要を感じた。しかし掘り下げて探求するには有り余るほど価値があるように感じる。ニヒリズム、神の否定、自己の破滅など破壊的思想が貫いているようだが、実はそこには人間としての尊厳、自己の確立、力強く生きるように鼓舞する莫大な力を感じるのだ。
解説書とはいいながらも、後半はニーチェ選集になっているので、そのなかから印象に残った部分を紹介しよう。
・ <力>への意志はなにであれほしがったり、手に入れることに存するのではなく、むしろ作り出すことに、そして与えることに存する。
・ 肯定とは意志の最高の<力>である。
・ <生半可な意志>たちの世界はふるい落とされる。
・ <永遠回帰>はただ単に選択的な思想であるだけでなく、また同時に選択的な<存在>でもある。ただ肯定のみが回帰するのであり、肯定されるものが可能なものだけが回帰し、歓びのみが戻ってくる。すべて否定されることがありうるもの、すべて否定であるものは、<永遠回帰>の運動そのものによって追い払われる。
・ 問われているのは、決して人間ではない。人間とは、乗り越えられるべき何者かなのであるから。
・ もっとも静かな言葉こそが、嵐をもたらす言葉なのだ。鳩の足のように歩んでくる思想こそ、世界を導くのだ。
・ 私は愛する、あまりに多くの徳を持とうとしない者を。一つの徳は、二つの徳よりもっと多くの徳なのである。一つの徳は、そこに宿命の重みが吊り下げられる、より強い結び目となるから。
・ 私は愛する、惜しみなく乱費しようとする心の持ち主を。感謝されることを求めず、また決して返礼しないものを。そういうものは絶えず贈るばかりであって、自分のために何も留保したりしないのだ。
・ 私は愛する、その魂がどんな傷の奥でもなお深みをたもつ者を。そしてまた、何か取るに足らないような小さな事件によっても死ぬことができる者を。そういう者こそ、進んで橋を越えるのであるから。
・ 私は愛する、その魂があまりにも豊かに溢れているので、おのれ自身のことを忘却し、あらゆる物事を自らのうちに包容する者を。こうしてその者は、一切の物事を通じて、おのれの消滅へと至るのである。
・ みよ、私は雷光の先触れであり、黒雲から落ちる重い滴だ。そしてこの雷光こそ、超人なのである。
『ニーチェ』ジル・ドルース著(ちくま学芸文庫)
これも正直な感想だが、よくわからないというか狂気から発せられているような考え方で、もう少し突っ込んで読む必要を感じた。しかし掘り下げて探求するには有り余るほど価値があるように感じる。ニヒリズム、神の否定、自己の破滅など破壊的思想が貫いているようだが、実はそこには人間としての尊厳、自己の確立、力強く生きるように鼓舞する莫大な力を感じるのだ。
解説書とはいいながらも、後半はニーチェ選集になっているので、そのなかから印象に残った部分を紹介しよう。
・ <力>への意志はなにであれほしがったり、手に入れることに存するのではなく、むしろ作り出すことに、そして与えることに存する。
・ 肯定とは意志の最高の<力>である。
・ <生半可な意志>たちの世界はふるい落とされる。
・ <永遠回帰>はただ単に選択的な思想であるだけでなく、また同時に選択的な<存在>でもある。ただ肯定のみが回帰するのであり、肯定されるものが可能なものだけが回帰し、歓びのみが戻ってくる。すべて否定されることがありうるもの、すべて否定であるものは、<永遠回帰>の運動そのものによって追い払われる。
・ 問われているのは、決して人間ではない。人間とは、乗り越えられるべき何者かなのであるから。
・ もっとも静かな言葉こそが、嵐をもたらす言葉なのだ。鳩の足のように歩んでくる思想こそ、世界を導くのだ。
・ 私は愛する、あまりに多くの徳を持とうとしない者を。一つの徳は、二つの徳よりもっと多くの徳なのである。一つの徳は、そこに宿命の重みが吊り下げられる、より強い結び目となるから。
・ 私は愛する、惜しみなく乱費しようとする心の持ち主を。感謝されることを求めず、また決して返礼しないものを。そういうものは絶えず贈るばかりであって、自分のために何も留保したりしないのだ。
・ 私は愛する、その魂がどんな傷の奥でもなお深みをたもつ者を。そしてまた、何か取るに足らないような小さな事件によっても死ぬことができる者を。そういう者こそ、進んで橋を越えるのであるから。
・ 私は愛する、その魂があまりにも豊かに溢れているので、おのれ自身のことを忘却し、あらゆる物事を自らのうちに包容する者を。こうしてその者は、一切の物事を通じて、おのれの消滅へと至るのである。
・ みよ、私は雷光の先触れであり、黒雲から落ちる重い滴だ。そしてこの雷光こそ、超人なのである。
『ニーチェ』ジル・ドルース著(ちくま学芸文庫)