グローバル・スタンダードの最高峰資格CFAとCFPを持つ完全独立のFP・資産運用アドバイザー尾藤峰男の書評ブログ

びとうファイナンシャルサービスはお客様の利益のみに目をむけた金融機関から完全独立のFP・資産運用アドバイザーです。

『キュリー夫人伝』エーヴ・キュリー著(白水社)を読んで

2011-12-30 17:26:40 | 書評
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-こうすればセカンドライフを豊かに過ごすことができる-

混迷の世の中、本当のことを知ることが難しくなっています。特に資産運用は、情報があふれかえり、中でも利益を何とか取り込もうとしてリスクの高い商品を売り込む金融機関や証券会社、FX会社、商品先物会社の宣伝・広告は激しくなっていて、利用者が本当に正しい資産運用の方法を学ぶ機会が限られています。

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~参加無料 限定10名~
日時:2012年1月28日(土)15:00~17:00

場所:TKP東京駅丸の内会議室カンファレンス5(日比谷帝劇ビル地下1階)
http://tkpteigeki.net/access/index.shtml
(最寄り駅:有楽町・日比谷駅)


申し込みは、下記メールまたは電話にて「1月28日セミナー参加希望」
として、お名前とご連絡先をお知らせください。
E-メール: info@bfsc.jp
Tel: 03-6721-8386


講師:尾藤 峰男 びとうファイナンシャルサービス代表取締役

講師プロフィール:
米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、
1級FP技能士、金融機関から完全に独立したFP・資産運用アドバイザーとして、
個人の金融資産や退職金の運用助言・ライフプランニングサービスを提供する。
2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資への造詣
が深い。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経マネーなどへのコメント多数。日経
CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」日本経済
新聞出版社。投資助言・代理業として関東財務局登録。


◆このセミナーで「セカンドライフを豊かに過ごすための資産運用法」がわかる!◆

30年以上の経験と資産運用の頂点の資格を持つ、FP・資産運用アドバイザー
尾藤 峰男だからこそ語ることのできる「セカンドライフを豊かに過ごすため
の資産運用法」をお話します。

日本の将来が不透明で、先行き閉塞感がつのる中、老後や家族の将来はどうな
るか、一人で考えあぐねていても、解決の糸口はなかなか見つかりません。

証券会社や銀行に相談しても、本当に役に立つ情報は提供してくれません。自
分たちが売りたい商品のための情報しか話さないのです。

一度きりしかない人生を幸せに生きるためには、資産運用で失敗はできません。
金融機関から完全独立で、お客様の利益を最優先におくびとうファイナンシャ
ルサービスだからこそお話できることがあります。土曜の午後のひと時を、「
本当の資産運用とは」を学び、セカンドライフを豊かに過ごすために使ってみ
ませんか。



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弊社は、『お仕事帰り・休日の無料個別相談』サービスを実施しています。次のようなことでお困りの方、お悩みの方に的確なアドバイスをさせていただきます。

● 退職金が入ったが、どう(運用)したらいいかわからない…。

● お金はほとんどが、利息のつかない定期預金においてある。

● 自己流の運用のやり方でほんとうにいいのか、自信がない。

● 証券会社のいうとおりにしたら、株や投資信託で大損した…。

● 銀行や証券会社は、高い手数料の商品ばかり勧めるので、信用できない。

● お金の運用を、本当に信頼できる人に訊きたいが、誰に訊いたらいいか
  わからない。

● 大切な老後の資金を間違いなく、着実に殖やしたい。

● 仕事が忙しいので、お金の運用に時間はないが、それでもしっかり殖やし
たい。

● 今後の日本のことを考えると、海外に投資すべきだと思うが、どうしたらいいかわからない。

資産運用は、やり方によって大きな差が出ます。金融機関から完全独立のFP・資産運用アドバイザーが価値あるアドバイスを提供する「無料個別相談」をお気軽にご利用ください。

『お仕事帰り・休日の無料個別相談』スケジュール
毎週水曜日 18:30~
毎週土曜日 13:00~、15:00~、17:00~

なお、他の曜日につきましても別途調整いたしますので、ご相談ください。
完全予約制ですので、事前に下記までご氏名、ご連絡先をお知らせください。
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『キュリー夫人伝』エーヴ・キュリー著(白水社)を読んで



小生は、キュリー夫人を、恥ずかしながら、名前を知っている程度であった。また、この本は大部なので(500ページ超)、本棚に置いたままになっていたが、思い切って取り組んでみた。ところが、ところが、どんどん読み進めて、休みの日にはベッドで横になりずっと読み、夜中に目を覚ませばまた読み始め、電車の中でも最後は涙を流して、読み終えた。

キュリー夫人そして夫のピエール、夫婦でのノーベル物理学賞受賞、そして、夫の不慮の死後も、2回目のノーベル賞受賞を果たす。二人の驚異的な探究心は、とても言葉では言い表せない。キュリー夫人、若かりし頃。あまり勉学に没頭するあまり、食べることを忘れ、栄養失調になり、友人が止めに入ったほどだ。実験をやれば、もう止まらない、衝かれた生き物のようなのだ。世界的な二人の学者がもつ実験室は、バラック小屋。雨は漏り、隙間風は入る。いつもお金には困り、生活にも事欠くほど。それでも、ラジウム製造の特許料で莫大な富が入るはずが、万人が自由につくれるようにしなければと、まったく意に介しない。

名声にも目もくれず、銀行に、数々の栄誉のメダルを持って、戦時の拠出のために行けば、銀行員が止める始末。キュリー夫人には、遅ればせながら、多くのことを学んだ。あー、これだから、いい本を読むということは、すばらしい。


・ 大きな功績がありながら、そこにさらに大きな謙遜が加わると、人は長い間知られずにいることがある。-モンテーニュ

・ 先生方(キュリー夫妻)は、食事に十分な時間をとっていらっしゃいません。

・ アングロサクソン人は、自分たちがすばらしいと思う人間には誠を尽くす。

・ たとえ何が起ころうと、魂の抜け殻になろうと、それでも研究を続けなくてはならない。-夫ピエール

・ 人はおもしろく有意義な人生を送れると思っています。肝心なのは、与えられた人生を無駄にせず、「私は自分にできることをやった。」といえるようにすること。

・ 私はいつも、一つの目標に辛抱強くむかっています。そこに真実があるという確信を、少しも持てないまま。それでもなおそこを目指すのは、蚕が繭を作るのと同じように、なにかがわたしをそうさせるから。



『キュリー夫人伝』エーヴ・キュリー著(白水社)

『「NO」と言える日本』盛田昭夫・石原慎太郎共著(光文社)を読んで

2011-12-28 16:26:13 | 書評
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るか、一人で考えあぐねていても、解決の糸口はなかなか見つかりません。

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『「NO」と言える日本』盛田昭夫・石原慎太郎共著(光文社)を読んで


この本は、日本が絶頂期にいる時期に出版された。1989年1月である。この時期を、現在を知っている視点から振り返ると、意外と盛田氏、石原氏ともに、日本が絶頂期にあるという意識がないのが面白い。人間は、その時期にいるとバブルであるということは感じないのだ。これはあくまでもあとから振り返るとそうだった、という観点でしかわからない。そして、ダメなアメリカは、この時期から黄金の10年を迎えるのである。

さて、この本を読んでいると、そうはいっても日本の国力からして「NO」というべきであると高らかに宣言しているのは、そのころ半導体ではアメリカを脅威に陥れたように日本に大いに国力があったからだ。アメリカ追従ではなく、アジアの中ではっきりとしたリーダーシップをとるべきであると石原氏は強調する。果たして、いま日本がアメリカに対し、はっきりと「NO」といえるほど力があるかというと、残念ながら国力は、この本の出版時に比べ、相当落ちてきているといわざるを得ない。出版から20年以上がたち、国の変遷というものを感じるのである。

石原氏は、現在もばりばりの現役で、東京都知事。石原氏に、この本を書いた当時といまを比較した感想を聞きたいものである。たとえば、「NO」と言える日本のその後について。


『「NO」と言える日本』盛田昭夫・石原慎太郎共著(光文社)

『その他大勢から抜け出す成功法則』ジョンC.マクスウェル著(三笠書房)を読んで

2011-12-27 11:20:25 | 書評
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『その他大勢から抜け出す成功法則』ジョンC.マクスウェル著(三笠書房)を読んで


この著者は、解説によるとアメリカでもっとも信頼されている「リーダーシップ論」の権威ということである。かの齋藤孝先生が訳者となって推薦している本のため読んだが、確かに参考になることが多い、なかなかの本だ。小生が読んで、ここは学ぼう、実行しようと思ったことを記しておく。なお、これは小生が得るところがあると思った箇所であり、ほかにも皆さんにとってもっと得るところが多い箇所はあるだろう。

・ プロの世界でやっていくうちに、「勝ち組」の人たちと付き合うことがいかに大切か、わかってきた。

・ (ジャック・ウェルチが、同僚に差をつけるためにはどうしたらよいかと問われて)ほとんどの人はいわれたことしかしません。しかしそうではない人もいます。上司の質問は、単なる出発点に過ぎません。上司に質問されたら、その質問を足がかりにして、もっといろいろなアイディアを出さなければならないのです。早く出世するには、質問に答えることだけに没頭するのではなく、上司の頭の中にある一連のアイディアに付加価値を与えてやるのです。

・ アインシュタイン―考えるということは大変なことだ。だから考える人間はほとんどいない。

・ すばらしいアイディアを思いつき、時間をかけて磨きをかけたとしても、それで満足して終わりにしてはいけない。つまり、次には他人を巻き込んでアイディアに広がりを持たせ、最大限の可能性を引き出さなくてはならない。

・ 考える時間を省略しがちな多忙な生活に歯止めをかけるには、二週間に半日、一ヶ月に丸一日、そして毎年2~3日を考えるための時間として確保している。おかげで“肝心なこと”を集中して考えられるようになった。

・ 考え方に広がりを持たせ、より大きなヴィジョンを手にしたいと思えば、手を差し伸べてくれる人を探すことだ。だが、アドバイスを求めるときは相手を賢く選ばなければならない。あなたのことを気にかけてくれていて、専門分野に詳しく、あなたよりも経験豊富でなければならない。

・ 集中さえできれば、自分を向上させることができる。

・ 思考をどこに集中させるべきかを厳選することが重要だ。つまるところ、成果を上げられる領域に集中せよということだ。われわれに必要なのは、核心に焦点を絞ることであり、それとは無関係なことに心を奪われないことである。そのためには優先順位の原則を守ることだ。最初に始めるべきことは、「もっとも収穫の大きいところ」である。

・ 何をするにも、全力投球すると、万能選手になれない。私はいつも「人生の99%は私にとって知る必要のないものだ」といっている。もっとも意義のある1%に集中するようにしている。そして、それを実行するのが早ければ早いほど、重要な得意分野に集中することができる。

・ 創造性が特に発揮されるのは、何かと何かを関連付けたり、いろいろな方向から眺めたりして、新しい表現方法を見つけようとするときである。

・ 創造的であるとは、人生でどんな問題に出会っても、そこからチャンスを見出せるということである。

・ 創造的に考えるには、よい質問をしなければならない。

・ 人は誰かといっしょにいると、その人と同じような考え方をするようになるものだ。創造的なことに携わっている創造的な人たちと付き合っているうちに、自分自身も創造性が高まっていく。

・ どうしても失敗できないとき、戦略的に考える習慣ほど有益なものはない。

・ 一日の自省は、一生の富をもたらす。

・ 反省する時間を持つことで、あらゆる経験を、冷静に、かつ新しい視点から眺められるようになる。

・ ソクラテスは「反省なき人生など価値がない」といった。

・ 私は、キーパーソンと十分に付き合っているだろうか。彼らの成功を助けるために何ができるか。どういう分野で彼らを指導することができるか。

・ 過去の経験を省みることには三つの意義がある。すなわち、先を見通す力を養い、絶えず自分の現在位置を確認し、将来に関する助言と方向性を与えてくれる。

・ 「非・常識」に考える習慣を身につければ、あなたは自分が思った以上の成果を上げることができる。

・ アインシュタイン―「私の人生は、精神的にも、社会的にも、今生きている人も死んでしまった人も含めた仲間たちの努力の上に成り立っており、私が受け取ったものに報いるためにどれほど真剣に取り組まなければならないかということを一日に何度も考えさせられる。」

・ 自分と他人のアイディアを組み合わせることによって、パワーが二乗にも三乗にもなり、1人では絶対に思いつかないようなアイディアを手に入れることができる。

・ すべての成功思考は三つまたは四つの優れた考えから始まる。そして優れた考えの多くはアイディアを共有することで生まれる。

・ 成功の尺度は、どれだけ人の役に立つことができたかということにしかない―利他の心

・ あらゆる小さな活動には目的があり、小さな目標をきっちりと達成していくことが大きな目標の達成につながっていく。


『その他大勢から抜け出す成功法則』ジョンC.マクスウェル著(三笠書房)

『イノベーションと企業家精神』ピーター・F・ドラッカー著(ダイヤモンド社)を読んで―No.2

2011-12-26 12:29:03 | 書評
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『イノベーションと企業家精神』ピーター・F・ドラッカー著(ダイヤモンド社)を読んで―No.2


ドラッカーの主張は、きわめて明瞭でありシンプルである。しかしそれは体系的である。そのため、あらゆる人が実行しやすい。この本を書いた1985年、ドラッカーはすでに76歳だったが、それまでに積み上げられたコンサルタントとしての経験、多くの企業の歴史的な変遷、現代の企業活動などを交え、非常に中身の濃い内容となっている。

・ 企業家たるものは、如何に成功物語に心動かされようとも、「アイディア」にもとづくイノベーションには手を染めない方が賢明である。

・ 分析と体系的かつ勤勉な努力を土台とし、目的意識を持つイノベーションだけが、イノベーションの実践として論ずるに値する。イノベーションとは、体系的になされてはじめて成功するのである。


(イノベーションでなすべきこと)
・ イノベーションを明確な目的意識のもとに行おうとするならば、まずその機会の分析から始めなければならない。

・ イノベーションとは認識の働きであるとともに、知覚の働きでもある。したがって、「なすべきこと」の第2は、目を見開き、関心をもって、耳をそばだてることである。イノベーションに成功するものは、左右の脳をともに駆使する。

・ イノベーションは簡単なものでなければならない。かつ焦点を絞らなければならない。

・ イノベーションを成功させるためには、小規模に始めなければならない。

・ イノベーションはトップに立つことを狙って行うべきである。

・ 将来のイノベーションを狙うのではなく、現在のイノベーションを狙わなければならない。

・ 大企業の中で、長い間働いてきた経営管理者や専門家が、25年なり35年なり勤続したあと、結局最後の仕事となすべきものは何かをつかんで、早期退職している。


(ベンチャービジネスにおける企業家的経営管理)
・ 第一に、市場志向でなければならない。

・ 第二に、財務上の見通しがなければならない。

・ 第三に、トップ経営陣を持てるように、かつ持たなければならなくなるかなり以前から、トップ経営陣を作っておかなければならない。

・ 第四に、創業した企業家自身について、その役割、仕事の範囲、他との関係を決めておかなければならない。


(企業家的戦略)
・ 総力をもって攻撃すること

・ 手薄なところを攻撃すること

・ 生態学的地位を確保すること―トールゲイト戦略、専門技術戦略、専門市場戦略

専門技術戦略について、まず第一にいえることは、新しい産業なり、新しい市場なり、新しい大きな傾向なりの初期の段階において、機会を体系的に探すべきだ。

・ 製品や市場の性格を変えること

・ (前払い制の現代の郵便の仕組みを作った)ヒルは、顧客はいったい何を期待しているかを問うたのである。この問いこそ、効用や価値や経済特性を変えることをもって企業家的戦略としようとするとき、常に問うべき第一の質問である。

・ 顧客というものは、合理的に行動すると考えなければならない。

・ 顧客にとっての効用や価値や現実から出発すればするほど、成功するチャンスも大きい。

・イノベーションは、小さなものから試験的に始められる。それは柔軟性がある。その機会は、具体的な事象に近いところでのみ見出される。計画立案者が対象とする大きく括った集計概念の中に見出されるのではなく、そこからはみ出たものの中から、予期せざるものの中に、調和せざるものの中に、あるいは「コップが半分満たされている」ということと「半分空である」ということとの違いの中に、さらに一連のプロセスの弱い部分に見出される。



『イノベーションと企業家精神』ピーター・F・ドラッカー著(ダイヤモンド社)


『イノベーションと企業家精神』ピーター・F・ドラッカー著(ダイヤモンド社)を読んで―No.1

2011-12-22 11:56:01 | 書評
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場所:TKP東京駅丸の内会議室カンファレンス5(日比谷帝劇ビル地下1階)
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Tel: 03-6721-8386


講師:尾藤 峰男 びとうファイナンシャルサービス代表取締役

講師プロフィール:
米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、
1級FP技能士、金融機関から完全に独立したFP・資産運用アドバイザーとして、
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2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資への造詣
が深い。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経マネーなどへのコメント多数。日経
CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」日本経済
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『イノベーションと企業家精神』ピーター・F・ドラッカー著(ダイヤモンド社)を読んで―No.1


マネージメントの巨匠、ドラッカー。2005年に95歳でなくなったが、その間の足跡は、まるで歴史の生き証人であるかのようだ。彼自身は、自分は著述家だといっているというが、未来学者でもあり、経営学者、経営コンサルタントでもある。

小生は、自分でも驚くが、これまでドラッカーをじっくり読んだことはない。読むきっかけがなかったというべきかも知れない。いつか読もうと、本棚にはこの本を含め何冊かドラッカーの本が並んでいる。この本は、はじめて読んだドラッカー本である。読んでみるとやはりその慧眼には、どきっとする学びがある。


・ ハイテクにおける失敗が教えてくれるものは、企業家精神もまた体系的でなければならないということであり、経営管理の対象とされなければならないということである。そして何にもまして企業家精神は、目的意識を伴ったイノベーションに、その基礎を置かなければならないのである。

・ 予期せざる成功こそ、イノベーションの最大の機会である。これほどリスクが小さく、苦労が少なくてすむイノベーションはない。しかるに、予期せざる成功は、ほとんど全く無視されるか、あるいは受入れを拒否される。

・ イノベーションとは、明確な目的意識のもとに合理的かつ体系的に行われる組織的活動である。

・ 産業の構造変化は、その産業の外にいるものに対して、きわめてまれともいうべき大きな機会を与えてくれる。構造変化がもたらすさまざまな変化や、そこに生じる機会というものは、誰でも明確に見ることができる。あるいは予測することができる。ところがそれらの変化や機会は、産業のうちにいるものの目には、脅威として映るだけである。外部のものにとってのイノベーションのチャンスが、ここにある。その結果、大きな産業においてさえ、外部のものがさしたる危険を冒すことなく、急速に力をつけ、主要な勢力となることができる。

・ 構造変化に基づくイノベーションは、単純そのものでなければ成功しない。

・ 産業の外部で起きるあらゆる変化のうち、人口構成の変化ほど明瞭なものはない。人口構成の変化とは、総人口の増減のみならず、年齢構成、性別構成、雇用状況、教育水準、所得階層等の変化のことである。いずれも不明瞭たりえないようなものばかりである。しかも、その近い将来における変化ももっとも予測しやすい。これらの変化は、リードタイムまで明らかである。

・ 外へ出て、質問し、耳を傾けるものにとってこそ、人口構成の変化は、きわめて信頼性と生産性の高いイノベーションの機会となるのである。

・ 知識に基づくイノベーションを成功させるには、イノベーションに必要な要素をすべて分析する必要がある。必要な要素とは、知識、社会、経済、認識などである。企業家としては、まだ満たされていないものは何かを明らかにしなければならない。しかるのちに、その欠落している要素を埋めることができるかどうかを判断しなければならない。

・ 知識に基づくイノベーションを成功させるための第二の条件は、イノベーションの位置づけを明確にするということである。戦略を定め、最初からまっすぐ突き進んでいかなければならない。進むべき道を明確に定めておくことが、如何に大きな力を発揮するかは、エジソンの成功、あるいはIBMとコンピュータの歴史を見れば明らかである。

・ 知識に基づくイノベーションを起こすものは、とくにそのイノベーションが科学的・技術的知識に基づくものである場合には、企業家的経営管理を学び、それを実行しなければならない。

・ 選択の道はない。知識に基づくイノベーションを行おうとするならば、「受容度」については、賭けをするしか道はない。

・ イノベーションのための努力は、体系的であることが必要であり、組織的、目的的であることが不可欠である。


『イノベーションと企業家精神』ピーター・F・ドラッカー著(ダイヤモンド社)

『アインシュタイン伝』矢野健太郎著(新潮文庫)を読んで

2011-12-21 10:58:48 | 書評
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1級FP技能士、金融機関から完全に独立したFP・資産運用アドバイザーとして、
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2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資への造詣
が深い。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経マネーなどへのコメント多数。日経
CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」日本経済
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『アインシュタイン伝』矢野健太郎著(新潮文庫)を読んで


これまでアインシュタインについては、相対性理論を生み出した人物程度しか知らなかったので、何か適当な本で勉強してみたいと思って入手したのが、この本だ。数学者で晩年のアインシュタインから教示を受けた矢野健太郎が書いた伝記だ。書き方は率直明解で、読みやすい。何より相対性理論やニュートン、ガリレオ、ポアンカレなどの数学・物理学の理論をわかりやすく解説できる立場にいるのがいい。それでも小生にはほとんどわからなかったが・・・。この世界は、小生にとってはやや違う世界だが、たまにはこういう世界を味わってみるのもいいものだ。


アインシュタインのエピソードやトピックを記しておく。

・ アインシュタインは5つのときに、父から示された羅針盤に非常に大きな関心を示した。・・・アインシュタインの解釈は、目には見えないが、この羅針盤の針をいつも同じ方向に向ける何物かが、ふつうは空虚であると考えられているわれわれの空間の中にあるはずだということであった。これは、のちにアインシュタインが展開した相対性理論、特に一般相対性理論の考えにつながるものであるといっても言い過ぎではないように思われる。

・ アインシュタインが相対性理論を発表したのは、スイス・ベルンの特許局役人だった26歳のときだ。

・ アインシュタインは、人に説明しながら自分の考えをまとめていくというタイプの人であった。

・ E=mc² Eはエネルギー、mは質量、cは光の速度 cは3にゼロが十個ついた数センチメートル・秒という大きな値でありながらこれを二乗するのだから、9にゼロが二十個ついた大きな数字になり、この式は、非常に小さな質量が非常に大きなエネルギーに転換しうることを示している。これが、原子爆弾の元になった公式だ。

・ 広島・長崎に落とされた原子爆弾のそもそものきっかけは、ナチスが原子爆弾開発に成功しそれを投下する暴挙を怖れたアメリカの学者たちが、アメリカが原爆開発を先行させナチスへの抑止力にするようにアメリカ政府トップに進言するのに、それなりの人物でないと目を通してもらえないだろうとアインシュタインを担ぎ上げ、時の大統領ルーズベルトに、アインシュタイン名で書簡を送ったことにある。それからたった6年ほどで原子爆弾は完成し、投下されたのだ。アインシュタインは、これを痛く悲しんだという。

・ アインシュタインは、すばらしい同僚や友人にめぐまれていた。

・ 人たちが、うっかりした質問をして恥をかきたくないと思うものだが、アインシュタインは、活発に質問を発し、アインシュタインの素朴な質問が、しばしば立派な理論の糸口になったといわれている。

・ アインシュタインは学生と会うことを好んだひとつの原因は、彼が彼の考えを、人に説明しながらまとめていくという傾向をもっていたことにあるかもしれない。

・ アインシュタインの家の近くにすむ少女が、友だちに「あそこの人だったら数学のわからない問題を教えてくれるかもしれないよ」と教えられ、アインシュタインの家によく行っていたのをようやく知った母親が、恐縮してあやまりにアインシュタインの家に行ったら、アインシュタインが「いやいや、そんなにお詫びになる必要はありません。私はあなたのお嬢さんと話をすることによって、お嬢さんが私から学んだ以上のことをお嬢さんから学んだに違いないからです。」と答えたという。


『アインシュタイン伝』矢野健太郎著(新潮文庫)

『人間とは何か』マーク・トウェイン著(岩波文庫)を読んで

2011-12-20 10:28:46 | 書評
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『人間とは何か』マーク・トウェイン著(岩波文庫)を読んで


この書は、当初匿名で発表され、のちにマーク・トウェインが書いた著作と確認された。著者特有のシニカル(皮肉的)な見方で人間を見ている。たとえば、人間は機械であり、自己の満足のために行動する生き物であるという。晩年になるにつれてこの傾向が強くなったようである。なかなか入りにくい部分が多いが、その中で、ここはなるほどと思ったところを記しておこう。要は読書というものは、自分が吸収したいところを吸収すればいいのである。

・ 行為という行為は、すべて(本質的に)自己満足の衝動から生まれるものであって、それ以外のものはない。

・ もともと教育なんてもんは、すべて形こそ異なれ、外からの影響の結果に過ぎんのだな。そして、それには人間関係ってやつが、なんてったって大部分なんだよ。要するに人間って奴は、すべて外からの影響が作り出す産物に過ぎん。

・ 人間改造できる余地は、人それぞれの限度によって、完成のレベルがある。その要素は、教育ともう一つ、「気質」である。つまり、君が生まれながらに持っている性質のことだ。これだけは、いくら教育したところで抹殺することはできん。ただできることは、それに圧力を加えて、そっと押さえつけておくことだけだよ。君はどうもかっとなる性質らしいな?だから、それは絶対になくならん。ただ絶えず警戒の目を光らせて、ほとんど常に押さえつけておくことができる。その気質があるっていうこと、つまりそれが君の限界なんだよ。

・ 道徳家としてなすべきことは何か?せっせと君たちの理想を向上させるように努めることさ。そして自らがまず満足すると同時にだな。そうすれば、必ず君たちの隣人、そしてまた社会をも益するはずだから、そうした行為に確信を持って最大の喜びが感じられるところまで、今も言った理想をますます高く推し進めていくことだな。

・ 事が成就するのは、たった一回の外力じゃなくて、ずっと長期間にわたる崩壊過程の中にあって、いわば最後の力がそれをやるんだとおっしゃるんでしょう。ぼくを追いはぎにするのは、そうしたたった一回の衝動ではなくて、長く続いてきた準備運動の、その最後の物だって言うんでしょう。

・ 事実を考え合わせること、それこそまさに思考っていうもんじゃないのかな。いくらエジソンだってそれ以上のことをやれたとは思えんね。

・ (蟻の世界でも)まったく未経験の新事態にぶつかっているはずなのに、ちゃんとあれこれ関連付ける能力を見事に発揮してだ、それらの総合から見事に適切な結論を引き出しているんだな。-まさに人間のこころの作用じゃないかね。記憶力って助けがあるおかげで、人間はその観察と推理とは忘れないで残しておく。そしてそれらを勘案したり、またさらにふやしたりして、新しい組み合わせを考え出していく。つまり、そんな風にして、一歩一歩、はるかに遠い結果まで到達することになるわけさ。


『人間とは何か』マーク・トウェイン著(岩波文庫)

『商売心得帖』松下幸之助著(PHP文庫)を読んで

2011-12-19 14:19:59 | 書評
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『商売心得帖』松下幸之助著(PHP文庫)を読んで


経営の神髄を捉えた松下幸之助経営シリーズの第一弾だ。非常に平易に書かれているが、まさに苦労をして世界的企業に育て上げた経営者の心得がここにある。会社が大きくなるには、それなりの理由があることが、この本を読むとわかる。松下電器の綱領にはこう書かれている。「社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せん」大言壮語ではないのだ。京セラの稲盛和夫氏によると、松下幸之助はある講演でこういったという。「なにごとも、思わなければあきまへんなー。」


・ 極端にいえば、一軒のお得意を守りぬくということは百軒のお得意をふやすことになるのだ。

・ もしも、お得意先と仕入先のことが、絶えず気になるということがないとすれば、商売はやらない方がよろしい。きついことをいうようですが、本当は寝ても覚めてもというところに、身を入れた商売というものがあると思うのです。

・ 私は、商売というものは、このように考え方ひとつ、やり方ひとつでどうにでもなるものだと思うのです。いうなればお互い何をなすべきかということを、寝ても覚めても考えねばならないときではないでしょうか。

・ 一段高い精神に立つということが、本当に魂の入った商売を可能にするひとつの要諦ではないでしょうか。

・ 仕入先を大切にすれば、仕入先の方でも、“自分をよく理解し大事にしてくれるところには、よい品を安くお届けしよう”ということになりましょう。それが人情というものです。

・ 夫婦の仲がよいこと。これは何も商売上の信用を得るためということだけではなく、多少の例外はありましょうが、何ごとにおいても、ことを進める上で大切なことと、そう思うのです。

・ 私はどんな場合にも絶対安心の境地というものはあり得ないのではないかという気がするのです。それぞれの立場、それぞれの時代の中で、いろいろ難しい状態に直面して、心配したり不安の念を持ったりしているのではないかと思うのです。そういう中で、それぞれにそうした心配や不安と戦い、努力して道を切りひらいているのだと思います。

・ 自己の立場のみを考えてはなりません。生産者にしても、消費者にしても、それぞれの立場だけを考え、主張してはならないと思うのです。そうではなく、お互いに、この社会が発展するためにはどうすればよいか、何が正しいのかということに立って、物事を考え、行っていくことが大事だと思います。

・ われわれは、いかような困難に直面しても、常に業界の公正な競争を助け、適正な商売を通じて、消費者ならびに国家社会の繁栄に寄与するという、大いなる責務を忘れてはならないと思うのです。

・ いかに小さな望みであっても、勇気と決断をもって実行を積み重ねないかぎりは、その望みの実現はむずかしいと思います。

・ 例えばお客さんに商品の説明をする場合でも、その説明の仕方なり内容を、はたして自分が得心するまで考え、工夫した上で話しているかどうかということが大切です。また、その商品は買ってそれだけの値打ちのあるものだという確信を自分自身がもっているかどうか。そういう確信に立つならば、説得にもおのずから工夫が生まれ、お客さんに対する力強い説明と販売もできるというものです。ではどうしたらそうした確信が生まれ、工夫が可能になるか。それは何といっても、まず商品説明にみずから興味を持ち、それを好きになることです。好きになれば努力することが苦にならない。むしろ楽になる。その結果、説得力も向上する。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、まさにそのとおりだと思います。これは、何も商品説明ばかりに限りません。一事が万事、何ごとにも当てはまると思います。だから、商売を繁栄させたいと思えば、まず商売を好きになること。そして、ただお義理や飯のタネにするために事を運ぶというのではなく、誠心誠意それに打ち込むこと。そこにこそ繁栄へのひとつの道があると思います。


松下電器の綱領

産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す。


松下電器の信条

向上発展は各員の和親協力を得るにあらざれば得がたし。各員至誠を旨とし一致団結社務に服すること。


松下電器の遵奉すべき精神
一. 産業報国の精神
一. 公明正大の精神
一. 和親一致の精神
一. 力闘向上の精神
一. 礼節謙譲の精神
一. 順応同化の精神
一. 感謝報恩の精神


松下電器基本内規のうちのひとつ
松下電器が将来いかに大をなすとも常に一商人たるの観念を忘れず従業員またその店員たることを自覚して質実謙譲を旨として業務に処すること。


『商売心得帖』松下幸之助著(PHP文庫)

『完全なる経営』A.H.マズロー著(日本経済新聞社)を読んで-No.6

2011-12-15 11:09:22 | 書評
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お知らせ情報
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本年は、11月を最終として、来年は1月から開催する予定です。あらためてご案内しますので、ぜひお越しください。

講師:尾藤 峰男 びとうファイナンシャルサービス代表取締役

講師プロフィール:
米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、
1級FP技能士、金融機関から完全に独立したFP・資産運用アドバイザーとして、
個人の金融資産や退職金の運用助言・ライフプランニングサービスを提供する。
2000年当社設立。グローバルな投資理論や外国株投資・国際分散投資への造詣
が深い。日本経済新聞、週刊東洋経済、日経マネーなどへのコメント多数。日経
CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」日本経済
新聞出版社。投資助言・代理業として関東財務局登録。



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尾藤 峰男だからこそ語ることのできる「セカンドライフを豊かに過ごすため
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本当の資産運用とは」を学び、セカンドライフを豊かに過ごすために使ってみ
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『完全なる経営』A.H.マズロー著(日本経済新聞社)を読んで-No.6


マズロー「完全なる経営」最終部分である。ここを読むと、社会改革が如何に進められるべきか、個々の人間はどのように役割を果たすべきかが非常にわかりやすく描かれている。そこにあるのは、人間の一人ひとりの能力を最大限に活用できるようにする環境を作り、一人ひとりが自覚できる能力をいかんなく発揮すべきであるという主張だ。いわば人間尊重をベースにおく改革の実現である。


低次の不平、高次の不平、メタ不平について

・ 不平がやむことなど決してない。

・ どんなにめぐまれた条件下にあっても不満が根絶されることなどありえない。

・ いい条件下にいるからといって、必ずしもすべての人間が成長し自己実現に向かうわけではない。

・ 人間の相互関係が認められるあらゆる組織体の健康度及び発達度は、理論上、そこで聞かれる不平や不満の階層におけるレベルによって判定することができる。


社会改善理論―ゆっくりと革命を実現する理論

・ 今日の社会を改革しようとするものは、従来と違った意味での革命家でなければならない。急激な改革を求めるのではなく、漸進的な改革の必要性を十分に認識し、緩やかな改革を是とする姿勢で臨まなければならない。

・ 全体論的、漸進的改革は、意識的かつうまくコントロールされた知識を用いながら、もっとも補強を必要とする部分、あるいはもっとも変革を受け入れる下地の整った最前線の全領域を同時に改めていくことで可能になる。

・ 一人ひとりの人間こそが変革にとって最も重要な存在だ。個人は、個人にできる限りのことをなすことができる。

・ 自分の参加した活動がささやかな改革や向上をもたらしたことを大いに誇り、スリルと興奮を味わい、自尊心の感情を強くして大いなる達成感を味わうべきだ。

・ 宇宙レベルの壮大な課題にとりかかるのではなく、身近な具体的課題に専心し努力すべきである。

・ このレベルでのあらゆる職務をこなすことは、より高度な改革を実現するための必要条件なのである。

・ ある向上が低次の権威主義的動機づけのレベルから、高次のレベル、すなわち民主的で進歩的な経営管理のレベルに移行するためには、委員会での議論や日常的な対話といった地道な活動を積み重ねていく必要がある。

・ 肝心なのは、まず手段としての活動が目的に適うものであることを確認したうえで、それらの活動が最終的に何を目指しているかを明確に心に描き続けることだ。

・ 仔細な活動の積み重ねが大きな成果につながる。

・ 1人ですべてのことを成し遂げられる人間はいない。

・ 社会全体を改革できるほどの知識を備えた人間はいない。

・ 最善のリーダーならできることは、改革に必要なさまざまな種類の専門家や理論家を集め、調整の労をとり、いい組織にまとめ上げることなのだ。

・ 社会の全成員が目標を明確にし、全力を尽くして各人になしうる最大の貢献を果たすのが理想的な社会改革の姿だ。

・ どのようなタイプの人間であっても改革に貢献することができる。

・ 自己をみつめ、おのれの才能や能力を十分に把握し、各人に固有の特性―その点にかけては誰にも引けを取らないという特性―を発揮するよう心がけなければならない。

・ 仕事は自分で決めなければならない。人間は社会における位置づけを自ら決定しなければならない。

・ 自己実現者は皆大変な努力家であり、自分の職業や果たすべき義務と一体化し、全身全霊で仕事に打ち込む人々である。

・ 社会改善とは、永続的で固定的で最終的な効果を発揮する変革を一気に起こすものではなく、科学的な方法によるオープンで実験的な試みを積み重ねながら、ゆっくりと着実に進められるべきものなのだ。

・ 数学や古臭い宗教のように絶対的に確実なものを求めようとする姿勢は、きっぱりと捨て去らねばならない。

・ より多くの事実を収拾し、そこから理論を導き出す。社会変革はゆっくりとした歩みを取るものであり、またそうでなければならない。辛抱強い態度が必要なのである。

・ 国の評価は、その国の生産する自動車やカメラの品質によって、ある程度決まってしまう。西ドイツ人の自尊心は低下し、逆に、高品質の製品が高く評価されるようになった日本では、国民の自尊心が高まる。


『完全なる経営』A.H.マズロー著(日本経済新聞社)

『完全なる経営』A.H.マズロー著(日本経済新聞社)を読んで-No.5

2011-12-14 10:18:25 | 書評
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講師:尾藤 峰男 びとうファイナンシャルサービス代表取締役

講師プロフィール:
米国CFA協会認定証券アナリスト、CFPR、日本証券アナリスト協会検定会員、
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CNBCにもたびたび出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」日本経済
新聞出版社。投資助言・代理業として関東財務局登録。



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『完全なる経営』A.H.マズロー著(日本経済新聞社)を読んで-No.5


心理学者マズローがいうことは、きわめて平易だ。そしてそこには、人間の自由、自己・人間個性の尊重など人々に勇気と意欲を起こさせる言葉の数々がある。


創造性に関する覚書

・ 構造や将来性、先の見通し、予測可能性、未来に対する支配力などが欠如した状態に耐え、曖昧さや無計画性を受け入れることのできる能力が、創造性と深い関係にある。ここで発揮される創造性の基盤にあるのは、先のことを考えない、現在の状況に即した行動であり、現在に集中しきる姿勢、すなわち、十分に耳を傾けるという態度である。

・ 全神経を集中して聞き、完全に没頭するためには、先のことを気にせず、いま―ここにあるものを楽しむことができなければならない。遊ぶことが肝心なのだ。

・ 創造性が健康、自己実現、人間としての完全性等と近い関係にあることが次第に明らかになりつつある。やがては、これらが同じ一つのものであると判明するときがくるのではないか。

・ 創造的であるためには、厳密になりすぎないことが重要である。創造的な人間は柔軟性があり、状況の変化に応じて行動を変えることができる。創造的な人間は変化する未来を正面から受け止めることができる。創造的な人間にとって、計画とは先に進む道を探すための足場以上のものではなく、それゆえ、後悔や不安を伴うことなく、やすやすと放棄することができる。

・ 創造的な人間は、いま―ここに全面的に没頭し、完全にその場で見聞きするためには、強靭なパーソナリティをすべて備えていなければならない。完全にいま―ここに没頭するのだ。

・ 創造的な人間は、新たな問題を解決できるという静かな自信を秘めている。これは、健康な自尊心、健康な自己信頼の表れであり、不安や恐れから解放されていることの証拠でもある。


起業家に関する覚書

・ 発明は、すでに知られてはいたものの適切な形式を与えられていなかった断片的な知識が、突如として統合されたものとみるべきだ。

・ 卓越した社会と退行的で堕落した社会と分けるものは、起業家精神を発揮する機会にめぐまれているかどうか、そして、その社会に起業家が大勢いるかどうかという点である。


利益に関する覚書

・ 創造的な人物は、不意に未知の問題や未知の状況に遭遇しても、それに正面から取り組み、即座に適切な行動をとることができるという十分な自信を持っている。

・ 長期的課題と短期的課題とを峻別するような経営管理哲学が、きわめて重要になってくる。


進歩的ないいセールスマンと顧客

・ 他社製品を勧められるような人間は、自分のやっていることには正義も徳もあると確信しており、それによって一時的に痛手を被ることになっても、長期的には自分を含めた全関係者のためになることだと考えている。

・ 公正無私、正直、真実、能率などをモットーとすべきである。こうした善行が実際に企業に利益をもたらす。

・ 新しいマーケティング活動は、他の企業活動と同様、事実の情報開示や公正さ、正直さ、真実さというものを基盤とすべきなのだ。

・ 長期にわたって存続し、その間健全性を維持しながら成長を目指す企業は、顧客との間に駆け引きなしの信頼関係を築きたいと願う。

・ 長期指向が進歩的な経営管理にもたらす最大の恩恵は、企業が一世紀を超える長期間存続し、しかもその業績を維持・向上させていくことができるという確実な保証を与えてくれる。

・ 優秀なマーケッターとは全力で自社製品の長所を強調する人物であり、必ずしも製品に対して中立的な態度を保つ必要はない。

・Y理論的(仕事を休息や遊びと同じく自然なものであり、自発的に仕事に取り組み、達成感や自己実現といった目に見えない報酬によって導かれる)セールスパーソンの正直さによって、長く愛顧し、ひいきにしてくれる良質な顧客が惹きつけられる。


『完全なる経営』A.H.マズロー著(日本経済新聞社)