グローバル・スタンダードの最高峰資格CFAとCFPを持つ完全独立のFP・資産運用アドバイザー尾藤峰男の書評ブログ

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私の10キロ・ジョギングの走り方

2008-11-28 08:16:40 | Weblog
私は、ジムや公園で週に2回程度ジョギングをするのだが、その走行法を少しばかりご披露したい。10キロというと大した距離でもないが、やはりそれなりの走り方や走っている間のコンディションの整え方がある。また、体のどこを鍛えておくべきかということも、だいじなポイントだ。

私の場合の走りのペースは、以下のとおりだ。ただしこれは、ジムでのジョギング。ジムだからこれだけペースが測れるわけだ。

2分間-6.4キロ/1時間
2分間-6.8キロ/1時間
3分間-7.6キロ/1時間
3分間-8キロ/1時間
2.5分‐8.4キロ/1時間
2.5分‐8.8キロ/1時間
45分‐9.2キロ/1時間
3分‐8.4キロ/1時間
2分‐7.6キロ/1時間
2分-6.2キロ/1時間
2分-6.0キロ/1時間
1分-5.5キロ/1時間

これで、ぴたり10キロ、1時間10分走ることになる。このペースは頭の中にはいっていて、標準メニューというところだ。いってみれば、徐々にペースを上げ、高原状態でペースを保ち、徐々にクールダウンしていくというパターンだ。

かなり、無理のないペース配分となっていて、このところ4~5年はこれが続いている。ただ、そのときの体調により、途中どうしても走れなくなり、6キロ程度でやめることもある。そこで、走る際のコンディションの整え方をそれなりに考えるわけだ。

● 走る前に食べて、エネルギー補給
まず平日勤務後のケースだが、走る1時間前にチョコレートバーを食べる。これで栄養補給をしておかないとガソリンがもたない。腹が減ったまま走るのは、厳に慎んだほうがいい。ガソリンが入っていないのを体感してしまう。ここで、カップラーメンなどで用を済ますとカロリーが高くても、走る助けにはならない。

そして、走る前に180ccほどスポーツドリンクを飲んでおく。

● 腕と足のストレッチ
そして腕と足のストレッチ。スタートだ。

● 体調を感じながら、戦略を立てる
上のペースを上げていく過程で、本日の体調を測る、またこれからの走りにどう呼吸や腕の振りをするべきかなどを考える。

● 呼吸法が大事
少し無理が出そうだなと感じると、吐く呼吸をかなり大きくして、頻繁に行なう。この呼吸が大事だ。吐く呼吸法は、ヨガや太極拳でもそうだが、人間の体の根源に宿るものらしい。それが、走りでも当てはまる。吸う呼吸をしてしまうと過呼吸になり逆効果だ。この呼吸をずっと続ける。

● 腕と足の筋肉を鍛える
それと腕の振り。これはかなりしっかり振ることがポイントだ。そのためにはやはり腕の筋肉を鍛えておくことが必要になる。走っているだけでは走りは上達しないという。足もやはり筋肉が大事。足が強くないと、長い距離を走るのに無理がくる。鍛えておかないと、距離が長くなってくると、無力感を感じるのだ。

● 走行中の水分補給
また、走りの間にも、水分補給は欠かせない。小生の場合、かなりスケジュール化していて、29分と49分のところで100ccほど補給する。

● クールダウン
急に走りを止めるのは、やめたほうがいいだろう。徐々にスピードを落としていくほうが体にとってもいいと感じる。そのため、毎時6キロ台、5キロ台を何分か歩けば、元の脈拍数に戻り、体も無理なく終わる。

こんなところが、私の走り方のポイントだが、あまり無理していない中で体調を感じながら、10キロを疲れ果てないで走るために、考えながら走っているというところだ。

『商経-無一文から一兆円を稼いだ中国商人の教え』史源著(インプレス)を読んで

2008-11-27 11:22:37 | 書評


この本は、胡雪岩という清代末期に無一文から一兆円を稼いだ中国人の商いの教えをまとめたものだ。その時代を商いで生き抜き、一代で巨万の富を築いた立志伝中の人物である。ただ晩年政争に巻き込まれ、あっという間に没落したため、半ば忘れられた存在になっていた。今では商売に関心を持っている中国人なら、知らない人はいないという。

タイトルの「商経」は、商いの原典といった意味だそうだ。ここで、その本のここはと思ったポイントをご紹介しよう。

・ 人を見るときは、一点にこだわってはいけないし、一面だけを見てはいけない。
・ 人の長所を活用するためには短所を容認し、完璧な人を求めず、能力のある人を求める。
・ 人材を使う際には、1人にいくつもの才能を期待するのではなく、その人だけが持つ特殊な才能をうまく生かすべきだ。
・ 部下を信頼し、彼らがすべてを独自に処理できるような権限を与え、不必要な口出しは決してしなかった。
・ 胡雪岩の人材活用法は、「人の能力を見て、これを最大限に活用すること」である。
・ 信頼して人を使い、その人を守り、支持することほど、人材を激励する手段はない。
・ 人と仕事をするときは、情けを持ってその人を動かせ。
・ 仕事をするときには、機会をうまく捉えて、自然に、そして順調に進めるべきであって、無理に押し進めるようにしてはならない。
・ 機会とは、待つものではなく、つかむもの。機会をうまく捉えるには、時代の流れをよく把握し、すばやく行動に移すことがだいじだ。またチャンスが来なければ自分で作り出さねばならない。
・ 時局が困難なときほど、機会はより多い。
・ 商人として成功するには、ひとたびチャンスを見つけたら、果敢に考え、恐れずに行動して、それを結実させるだけの度胸が必要だ。
・ 遠大な視野で4,5年先のことを見据え、大きな流れを発見できてこそ、出世や飛躍が可能になる。
・ 大きなことを成そうとする人は、遠大な計画を持つべきであり、目先の小さな利益に執着してはならない。
・ 勢いがあれば、必ず利益がある。
・ 人間はかならず、社会に対する責任感を持たねばならない。
・ 信念なくして、大商人になることはできない。
・ 一度志を立てたら、困難にぶつかっても途中で投げ出さず、最後までやり遂げる強い意志を持つ。
・ 人間として最も大切なものは、信用である。
・ 困ったことがあったら、正直に友人に相談したほうがよい。あなたたちの困難はすなわち私たちの困難である。また、自分のことばかり考えないで、友人のことも考えなければならない。世間を渡り歩くには、友人に害を与えるようなことをしてはいけない。同様に、顧客に損害を与えてはいけない。
・ 交友関係において、強調したいこと-1.友人に害を与えないこと。2.友人を助けること。3.友人とともに発展すること
・ 目先の小さな利益にとらわれず、遠くの利益を見る。
・ 商店は礼儀をもって客に接し、徹底したサービスを提供してこそ、客を集め、金を稼げる。
・ 利益と危険を同時に見つめながら、果敢な決断を下すことができる能力が事業の成敗を左右する。

このあたりでおわるが、これらのことが胡雪岩の実際の商いや行動の中でわかりやすくかかれており、大いに一読の価値がある。

『商経-無一文から一兆円を稼いだ中国商人の教え』史源著(インプレス)

『サブプライムを売った男の告白』リチャード・ビトナー著(ダイヤモンド社)を読んで

2008-11-26 09:43:54 | 書評
この本は、はっきり言ってかなりやばい本だ。現在の金融危機の発端となったサブプライムローンの販売、組成が如何になされていたかを、あらゆる関与者を巻き込み克明に追っている。著者自身は、サブプライムローンの貸し手という立場で商売をしていたが、かなりまともなやり方でやっていて、問題が顕在化する前にビジネスから手を引いたという。

この住宅バブルが起きる背景に、如何に甘いローン供与がなされ、それを生み出す仲介者であるブローカーが、まさに法の網をくぐるというより、法を犯してまでビジネスを成立させる様が述べられていて、驚愕ものだ。

この本を読んでみると、今の事態に陥ったのは必然だったとも感じるし、よくもここまできわどい商売がまかり通るものだと、アメリカの拝金主義的悪い一端も見える。

また、格付け機関や住宅ローンを供与する大手金融機関の果たした役割や責任についても書かれていて、現在に至る住宅バブルの崩壊、金融危機へたどった道を理解する上でも格好の読み物だ。小説的にも、楽しく読める。

『サブプライムを売った男の告白』リチャード・ビトナー著(ダイヤモンド社)

『デキる人はやっている一流の人脈術』島田昭彦著(アスカ)を読んで

2008-11-25 08:32:03 | 書評
この手の本はいわゆるノウハウ本と思いがちで、テクニックに走るのではと斜に構えがちだが、読んでみて違った。なかなか奥の深いものがある。

著者が強調していることは、テクニックなどの前に、人を思いやる、礼を尽くす、自分を大事にすることだ。それなくして、いい人脈はできないという。また、人脈は一朝一夕にできるものではなく、地道な積み重ね、自分を磨き、相手の役に立ちながら作り上げていくものと説いている。

巻末で、藤巻幸夫氏と対談している中で、藤巻氏はこういっている。-僕はめちゃシビアですよ。すごい人を見ている。目がピュアなのか、打算的じゃないかとか。

確かに、人脈を広げる上でのテクニックも満載だが、この前提にくる大事なところを押さえていることで、この本の信頼性が出てきている。


・相手と自分はフラットで、50:50であること。老若男女、国籍を問わず、尊敬や尊重ができる関係性がまず大切。

・相手は何をしてほしいのか、相手のメリットを考えて、デメリットに配慮するということが、とても大切です。相手のために何ができるかではなく、相手の立場に立って考えてみること。相手の社会的地位やさまざまな先入観をまず取り払って、目線を合わせること。

・人と人と距離感を如何に保つか。

・人との縁を細く長く、そして礼を尽くす。自分自身の近況を常に発信しておく。

・力を抜くことを憶える。自然体での融合が一番-人との付き合いは、まず自分のペースを保つことが大切。

・人前で自己アピールをするコツ
-自分自身のプロフィールの原稿をつくっておくこと
-キャッチーな言葉を自分ですぐ言えるようにすること

・ あまり相手がこちらに関心を持ってくれていないのに、逢いましょう、逢ってくださいとメールや電話でお願いするのは、相手にとってもやや精神的な負担が出 てくる。相手がこちらにどれだけ興味や関心を示してくれていたのかを的確に把握することが大事。無意味にアプローチしても、あまり有効な方法ではない。

・一つ一つのキャッチボールの積み重ねが信頼を築く

・人は逢った回数に応じて親近感を高めていきます。人脈をつくる上で近道とか、楽勝な方法などありません。最もアナログで地道に、この人と思った人にはコンタクトを取りながら、関係を深めていくのが、一番確実な方法。

・人に逢うことを恐れない。人脈を築く上で、壁にぶつかって悩んだときには人に逢う。

・感謝の言葉は言い過ぎて言いすぎることはない。お礼は大体3回から4回言って丁度いいくらい。

・これまで知り合った人と人の縁を細く長くでもいいので、どれだけ大切にできるか。時間を経て、環境が変わると、相手が予想だにしない存在に大化けしていることだってある。

・有名無名どんな人でも焦らず、じっくり、人と人との信頼関係や小さな縁を大切に絆を深めていく。

・まったく違うジャンルの人脈をたくさん持っていれば、解決のスピードは速い。

・一つの相談が、大きく人生を変えることもあります。小さな相談から、大きな相談まで、手を抜くことなく、真剣に向かい合ってください。

『デキる人はやっている一流の人脈術』島田昭彦著(アスカ)


われわれ都会人は、地方のことが本当にわかっているか?

2008-11-21 08:50:24 | 時事
昨日は、山形・荘内のある著名人の方のセミナーを拝聴した。

この講演を聴いて感じたことは、私たち都会人は、本当に地方のことを、歴史、文化、地勢、県民性などを含め、よくわかっているのだろうかということだ。

これは、もしかすると小生自身が特にそうかもしれないが、日本人が日本のことを知らないままでいるというきらいはないのだろうか。よく、『地方には道路が足りない、空港が足りないと公共インフラの話ばかり』と都会の人はうんざり気味に受け止めているが、地方にとっては本当に切実な問題だという。政局がらみの話にしてしまい本質の部分が見えにくくなっていると思う次第だ。

また地方の文化や県民性などをうかがっていると、今まで知らなかった世界が開け、本当に新鮮な気持ちになる。特に日本は、地方色が強く、古くからの伝統というものはそれぞれの地方での貴重な文化価値があるものと思う。われわれ日本人は、もっとこのように積み上げてきた財産を大切にし、みずからもっと知ろうと学ぶ姿勢が大事なのではないだろうか。

そうすることによって初めて、地方のことを理解し、都会と地方の格差も縮まり、相互認識が高まるということだと思う。

『インドと中国』ロビン・メレディス著(ウェッジ)を読んで

2008-11-20 10:06:12 | 書評
この書は、昨年9月に出版されたものだが、今でも十分読むに値する。というのは、グローバルな変化が激しく、この手の書はすぐ時代遅れとなる恐れがある中で、もっと両国の底の部分からかなり深く洞察がされているからだ。

どのように中国の近代化、緩やかな市場主義化が始まったか、どうして地方と沿岸部の格差が起きたか、中国の世界の生産基地化がどうして起こったのか、などかなり詳しく書かれている。一方、インドについても、その国の植民地から独立後の成り立ちに根底を置く産業化の遅れ、国のインフラの未発達度のすごさ、世界のアウトソーシングの受け入れ基地の経緯などがこちらも詳細に書かれている。

また両国間の分析では、国の成り立ちの違い、産業政策の大きな相違、人口構成の大きな違い、経済・産業のインフラの差など、かなり際立つものがあり、それらがよくわかり吸収することは多い。

これからのインド・中国を見ていく上で、ぜひそのベースとなる知識として読んでおくと非常によい。お勧めする本だ。

ただ一言言わせていただくと、図表は一つもなく、ただ長い文章がつづき、また重なる記述がかなりあるのには、やや閉口した。

『インドと中国』ロビン・メレディス著(ウェッジ)


GM、フォード、クライスラーは救済されるべきか?

2008-11-19 07:50:28 | 時事
アメリカのビッグスリーといわれる3大自動車メーカーが、倒産の秒読み段階に入っている。年を越せるかというところまできているようだ。3社の経営トップは、政府や議会に対し、緊急支援の働きかけを強めている。

確かに、金融危機のあおりを受け、売り上げが急減しているのは確かだ。10月のGMの売り上げは前年比40%減というのだから、強烈なショックだ。経営首脳も、このあおりを受けた被害者という立場で、緊急融資を要請している。しかしながら、国が産業界を支援していいものだろうか。

資本主義の世界では、競争による淘汰は必然だ。アメリカ自動車業界は、日本の自動車メーカーに長年にわたり負けてきた。20年以上にわたって後塵を拝してきたわけだが、その間必要な手立てをしてきたようには見えない。外国メーカーへの規制など政府への働きかけを強め、その保護の下で生き延びようという姿勢が一貫して見えていた。

確かに、資本主義が暴走し、今のような金融危機を起こし、格差が広がり、そのシステムの悪い面が見える。オバマ政権になりその修正は図られよう。しかしながら、だからといって競争で負けてきた産業を政府が支えたら、いくら支えても切がないというか、経営モラルの低下、競争活力を弱める結果は目に見えている。

この帰趨は、注目するところだ。

『君主論』マキアヴェリ著(岩波文庫)を読んで

2008-11-18 07:28:54 | 書評
この本は、誰もが名前を知る名著。実は小生の本棚になんと1975年からすわっていた。もう茶色に変わっているが、どういうわけか手にとって見た。少しは中身を知っておきたいという気持ちからだ。

時代は16世紀初め、イタリア、フィレンツェの役人だったマキアヴェッリが、フランスから侵略を受けたイタリアの復興を願って、フィレンツェの統治者メディチ家に献上しようとした書物だ。実際には、任官を願っての思惑もあったようだが、メディチ家には渡らず、著者没後出版され、以後ルソーなどにより見直され、政治学の古典となった。

内容は、当時の情勢に経ち、あるいはギリシャ時代の歴史にまでさかのぼりかなり実用的に書かれている。その中で、今の時代にもマッチした、あるいはもうすでにこの頃からこう考えられていたのかというような部分をご紹介しよう。

・ 庶民の一人が非道暴虐によらないで、市民一般の好意によってその国の主権者になるときは、これを市民的主権と呼ぶことができる。

・ 君主は民衆を味方に持たなければならぬ、でないと一朝ことがあるときに対策はない。

・ ある主が民衆の上に基礎を置き、かつよく号令し、勇気を有し、不運に屈せず、その他の準備において欠くところなく、断固たる決心と行動とによって全民衆の心を握って行なったならば、民衆によって欺かれることはないし、かつ自分でもしっかりした基礎をすえていることに気がつくであろう。

・ 君主は、とくに新たに君主となったものは、彼が政権を得た当初に信用を置かなかったものの方が、もとより信用してきたものよりも却って役に立つことがあることを経験している。

・ 外患より内憂が勝っているときには城砦を築かなければならないが、内憂よりも外患が勝っているときのほうが心配である場合には城砦は放棄すべきである。

・ 君主が真の味方となるかそれとも真の敵となるかというとき、結果を顧慮しないでそのことを公言するときは、またまた尊敬を受けるものである。こうしたはっきりした態度をとることは、中立を守るよりは、常に有利である。

・ 君主が自分が良かれと願うなら、その補佐の臣の上に意を用い、彼らを敬い、豊かにし、慈しみ、彼らと重荷とともに名誉をも分かたねばならぬ。

・ 運命は変転する。そして人間が自分の行動に固執するとする、両者が一致するときは成功し、一致しないときは失敗する。私個人としての考えでは、用心深くあるよりも、むしろ断行したほうがよいと思う。由来運命の神は女神である。だからこれを支配するためには殴ったりけったりする必要がある。冷静にことを処理する人よりも、どうもこうした人にもっとよく従うものであるらしい。だから運命は、女と同じく、常に若者の友である。これ少年は思慮浅く、乱暴で、しかもよく大胆に彼女を支配するからである。

『君主論』講談社学術文庫

『ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラッド著(ダイヤモンド社)を読んで

2008-11-17 07:51:43 | 書評
この本は、1984年にアメリカで発売され、250万部を売り上げた驚異的なベストセラーだ。ところで、この本は、物語小説でありながら、いわばそのストーリーを通して、生産管理やサプライチェーンをリアルに学べるもので、これを実践して劇的な生産性改善を実現した企業が続出したという。日本人には読ませたくなかったのか、2001年になるまで翻訳が許可されなかった、いわくつきの一冊だ。

この著者は、もともとイスラエルの物理学者だが、知人から生産スケジューリングの相談を受けて、物理学で培った発想や知識を屈指してその解決法を導き出した。ついに画期的な生産スケジューリング法とそのスケジューリングソフト「OPT」を開発。この小説を書くにいたった。しかも、主人公の工場長に生産管理を指南するのが、物理学者なのだから、自分自身を重ね合わせているわけだ。

そして、この物理学者が指南したことにより、製品の製造期間が、6ヶ月から2週間に大幅に短縮したという。

物理学者が生産管理の方法を編み出し、これだけ面白いリアルな小説を書くのだから、一人3役をこなしているわけで、世の中にはすごい人がいたものだと感心する。しかもこの小説は500ページをこえる大部で、かなり読み応えがある。

・ 生産的であることは、自己の目標と照らし合わせて何かを達成したこと。
・ 企業の目標は、お金を儲けること。
・ 工場の目的は、最終売り上げ(スループット)を増やすこと。
・ しみこんだ習慣というものはこわい。自分たちで当たり前だと思ってやっている。だから答えを教えてはいけない、考えるヒントが必要なんだ。自分で試してみないといけない。

かなり大部だが、読み応えはたっぷりある。生産管理ばかりでなく、チームを組んで仕事を進めるやり方、物事の考え方、論理的発想法などを、実践例をもとに面白く学べる。

『ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラッド著(ダイヤモンド社)

「株をやる」は正しい言い方か?

2008-11-14 07:54:40 | 投資
昨日のNHKニュース・ナインで、女性キャスターが、「私は株をやったことがないので、よくわかりません」という、それをうけて男性キャスターも「私もやったことがありません」といっていたが、これはこのような全国に放送されるトップ番組で、言って良い表現方法か、かなり違和感をもつ。

「株をやる」という表現は、「競輪・競馬をやる」とか「パチンコをやる」というように、ギャンブルをやるという響きが強い。そもそも日本では、株は、投機という印象が強く、「株をやる」という表現がまかり通っているのだが、本来は、〝株に投資する〟が、正しい。

そもそも株式投資をしたことがない人が、株のことはわからないのは当たり前だが、NHKのメインのニュース番組なのだから、そのあたりは表現に十分注意を払うべきだろう。それでなくても、日本では正しい株式投資がなされていないのだから。

ところで、両キャスターとも、「株をやったことがなくて」、よく経済や金融のコメントができるなあと、あらためて感じた次第だ。