「さんしょ」１９３号を読んで

「さんしょ」１９３号を読んで
○金澤ひろあき
　今年も記録的な暑さ。熱中症にならないように気を遣いながら暮らしております。
・米は高いが田に水がないと低い口調　ひろあき
　農家の方へのインタビューで、こんなシーンがありました。自然に大きく左右されるので仕方ないのかもしれませんが、やるせない気がします。そしてお米も出来が悪いと、ずっと高値も続くのでしょうか。ここ数年、世の中が苦しくなっている気がします。
「さんしょ」１９３号より、
・ひまわりの種戦止んだらこぼします　鈴木和枝
　昔、ウクライナを舞台にした「ひまわり」という映画があったことを連想します。戦争で引き裂かれた愛の悲しみを伝えていました。
　今も戦は止む気配もなく、さらに世界各地に拡大していっている様相です。平和が似合うひまわりの大地が戻ってきてほしいのですが。
・「可愛い女」と教えてくれた貴女　細川章恵
・認知症　夫はいつも笑わせる　同
　こういう友人、親族が本当に有り難いです。お互いに大事な存在で、自分のことを大切に思って下さる人々を描く。大切な存在の姿を伝えてくれる句です。
・亡夫の削った鉛筆引き出しに一本　石神君子
　亡くなった方が、亡くなる少し前に残したものなのでしょう。鉛筆のような小さなものでも捨てたくない。そして、それを見ると、亡くなった方を思い出す。これも大切な人にかかわる句です。
・片方なのはくつ下だけじゃないスリッパも　小沢真知子
　こうなると、呆れたというよりも、笑うしかない。でも、自分を突き放して冷静に見る目があり、それがいい味ですね。また、いい味といえば、
・猫がゆく　まねして歩けと後ろを向く　鈴木喜夫
　本当に自分本位の猫の姿ですが、そのしぐさに愛嬌がありますね。
・絶対的時間が短い妻と居る　山川遊狐
　人生の残り時間を考えているのでしょうか。それだけになおさら「妻と」一緒に。切実であたたかいものが伝わります。