円空仏の番組
金澤ひろあき
もう30数年前のことで記憶が定かで無いのですが、伊吹山の見えるところ(滋賀県)のお寺に円空仏を見たことがあります。
円空さんは、江戸時代初めの頃の天台系の山伏で岐阜の関辺りの出身らしい。鉈で木っ端に仏を刻み、庶民に与えていたらしい。素朴なそして優しい笑みが魅力の仏像で、関西から北海道まで残っています。
その中の一体(観音様)が滋賀県にあるので、拝観に友人と行ったのですが、お寺の名も地名も、そして一緒に行った友人の名も忘れてしまっているのだから情けない。しかし、そのお寺に円空仏の研究者の長谷川公茂氏が来られていて解説してくださったのは覚えているのです。
先日、その長谷川氏がNHKの「心の時代」に出演されているのを見て、30数年前を思い出したのです。
番組によると長谷川氏は戦後の貧しく苦しい時代に円空仏に出会って救われ、円空の心境になりたいと、ずっと円空研究に取り組まれていました。最初は美術を志し、版画をやっておられたのですが、円空仏の拓本をとり、その迫力をみて、自分の作品を作れなくなったそうです。以後、円空仏研究一筋で、縁が深いのか、岐阜で円空自筆の歌集を発見し出版され、円空の正確な年表を作成もされました。
さらに学問的に調査するだけでなく、「円空の心境」になってはじめて、円空仏がわかるという気持ちで、円空仏がわかるという気持ちで、円空の行った所を訪れ、「内観」という心の中を振り返る修業もされたりしたと。
「事実」や「意味」がわかっただけで満足してしまう私達よりも、深いもの、本当に「わかる」とは何だろうと、自分をふりかえりました。
円空仏風の薫りの笑みがある ひろあき