「日本って、日本人っていったい何なんだろう?」と、考えてみるとき、日本語の持つ特徴に焦点を当ててみるのも、面白いかも知れない。
欧米や中国の言葉が、主語の後に、動詞が来るのに比べ、日本語の場合、動詞はずっと後の最後に来る、これは最大の特徴だと思う。誰が何をするかが文章や言葉の上でどうしても欠かせないところだ。これがなくては全く意味を成さない。私たちが英語を習い始めた頃、英語と日本語の違いで、まず、驚いたのはこのことだ。そして、和訳するときに動詞の部分を最後に持ってきて約す。ところが、欧米人や中国人は、決して日本語訳のように戻るように考えているわけではない。思考のパターンがそういう順序になっているのだろうと思う。
また、欧米の言語では、質問に対して、必ずYesかNoが先に来る。意思表示が実にはっきりしている。ところが、日本語の場合、質問に対して、最初に「Yes、No」と意思表示することなく、話の最後になってようやく賛成なのか反対なのかが分かる。場合によっては最後まで来ても、曖昧に濁してしまうときも少なくない。欧米人から日本人は何を言っているのか分からないと言われるゆえんなのかも知れない。
日本語は、中国から輸入した「漢字」と、日本人が漢字の一部を変化させて考え出した「平仮名」と「カタカナ」によって表示される。中国の長い歴史の中で使われ続けた多くの語彙と意味の深さがそのまま日本語に取り入れられているし、日本の中で作り上げられた単語も少なくない。平仮名については、日本独自のことば、言い回しを表現するのに使われる。戦後、外来の言葉はカタカナによって標記されるようになった。これがまた絶妙な使い方がされ、言語に近い音を生み出すことができるようになった。例えば、「バイオリン」と標記されていたものが、「ヴァイオリン」と標記されたりするようにもなった。もともとカタカナには「ヴァ」などという表し方はなかったものだが、それが作られ、通用するようになってしまったのだ。実に、変化を取り入れるに便利な文字だ。
このように多様性を備えている言葉を使っている日本人もまた、多様性に富んでいるということなのだろうと思う。