明日へのヒント by シキシマ博士

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「クローズド・ノート」 心の力で切り拓く

2007年10月25日 01時39分58秒 | 明日のための映画
気が付けば、自分の誕生日(10月10日)も、このブログ開設2周年(10月16日)も過ぎてしまいました。
クローズド・ノート
この映画を観たのも少し前なんですが、ちょと忙しくてレビュー出来ないうちに、ぼちぼちと公開期間が終了の劇場も出てきてますね。
でも、丁寧に作られた良質の映画だったので、遅ればせながらですが少し書き記しておこうと思います。

女子大生・香恵(沢尻エリカ)は、母の再婚を機に、アパートに引っ越してくる。
その部屋には前の住人が忘れていった1冊のノートがあった。
何気なく窓の下を見ると、部屋を見上げている男がいる。
後日、香恵のバイト先の万年筆屋にその男が現れる。男の名は石飛リュウ(伊勢谷友介)。
香恵は石飛にひそかな恋心を抱くがその想いを持て余し、なんとなく前の住人が置き忘れたノートを開いてみる。
そこには、小学校の新米教師・伊吹(竹内結子)の、教え子とのふれあいの日々と、恋人〝隆〟への想いが綴られていた…
(監督:行定勲 138分)


この映画って、謎解きの部分に関しては予告編でほぼネタバレしてましたね。
なので、私もネタバレありで行きます。

思わせぶりじゃなく、気負わない、暖か味のある作りにとても好感が持てました。
悪意を持った人は一人も登場しない、刺激の少ない映画です。
でも、誠実に細やかに描くことで、刺激的な表現など無くても十分に伝えることができる。改めてそう感じさせられた映画でした。

とりわけ、伊吹の姿が丁寧に描かれていたので、香恵がそこから影響を受けるのはとてもわかる気がします。
私の愛読書でもあった灰谷健次郎氏の「太陽の子」を読んで、伊吹が先生になったという設定もすごく頷けます。
伊吹みたいなのは、いかにも灰谷を読んで先生に憧れたタイプという感じがします。
たしか、同じ灰谷の小説「兎の眼」の主人公の新米先生もあんな雰囲気だったかな。
でも実際は、あんな素直な子供ばかりじゃないだろうし、理想どおりには行かず挫折するんだと思います。生き続けていれば…。

そのほか、伊吹のエピソードはいささか綺麗ごと過ぎるとも思いますが、だからこそ、香恵の勇気を後押ししたり、同じ道を歩み出す香恵の将来を切り開く原動力になりえるのでしょう。
何より、独特のノスタルジックな雰囲気が、観ていて心地良かったです。

運命のいたずらか、思いがけず知ってしまった他人の人生。
そして、それに影響を受ける自分。
でも、この世に、知らないほうが良かったことなんて一つもないと思う。
時にそれは悲しみや苦しみを伴うけれど、人は知ることで学び、世界を広げていけるのだから。

会ったこともない人が教えてくれたこと。
「心の力」を信じて一歩を踏み出す勇気。
香恵と同様、自分もそれを教わった気がします。

ただ…
観た直後は気づかなかったのですが、後になって妙なことに気づいてしまいました。
伊吹は、破ったページで折った紙飛行機を校舎の窓から飛ばした日の帰りに死んだはず。ノートはどうやって部屋に戻ったのか?
もしかすると、ここの辻褄が合わないから、謎解きから気をそらすために予告編でわざとネタバレしたのかな?
なんてことを考えてしまいました。
全体的にとても良かっただけに、この決定的な矛盾はなんとも惜しい気がします。

それでも、やはり、観て良かったと思います。
香恵が伊吹のメッセージと石飛の心に〝出会った〟ことで自らを切り開けたように、自分もこの映画と〝出会った〟ことから大切な意味を見出せたから。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (kimion20002000)
2008-04-03 23:35:03
TBありがとう。
>窓から飛ばした日の帰りに死んだはず
劇中で、終業式の日の帰りだと強調されていましたっけ。気がつきませんでした。
返信する
>kimion20002000さん (シキシマ博士)
2008-08-24 00:20:56
>終業式の日の帰りだと強調されていましたっけ。

そう言われると…確信が持てなくなってきました(汗)。
スイマセン、機会があったら確認してみます。
でも、そのせいでダメということにはならない、全体的にとても良い映画でしたね。

返しのコメントが大変遅れてしまい、すみませんでした。

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