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江戸っ子はセンスで情を売る

2005-09-17 21:51:02 | 児童書以外
江戸っ子長さんの舶来屋一代記
茂登山/長市郎??著集英社 (2005.7)通常24時間以内に発送します。


エネルギーに満ち溢れた本である。江戸っ子の語りを楽しみつつ、ちょっとずつ読んでいたのだが、途中から急に加速度がついちゃったよ。(章ごとに話している場所の設定を変えてるんだよ。あるときは自宅、あるときは講演会場、あるときは軽井沢の別荘ってね。)

サンモトヤマ会長、茂登山長市郎氏~御年84歳。1964年、銀座並木通りにブランドショップを開店。持ち前の運とセンスで日本にブランド信仰を定着させた立役者。宵越しの金はもたねえ(著者曰く「持てねえンだよっ」)生粋の江戸っ子商人である。

戦争で九死に一生を得た茂登山さんは「美しいものを売りたい」熱情に駆られ、闇屋から一念発起、一流を求めて欧州に渡る。一流のホテルに宿泊・美術館めぐり・一流の食事ととにかく一流を味わいつくす。そして自分のセンスだけを頼りに、当時日本ではどことも取引のなかったエルメス・グッチに単身商談交渉するのである。モチロン、最初はけんもほろろに断られるのだがそこでめげていては、この本もない。どうやってこの本丸を落としたかは本を読んでのお楽しみだが、とにかく、卓越した一流に対する美意識・センスがある上、徹底した情を持った商人として自分を位置づけきっちりとそれをこなしてゆく姿はアッパレとしかいいようがない。顧客も恩師と仰ぐ写真家の名取氏、留置場にぶち込まれ絶望の淵に立たされた時に助けてくれた今東光氏などソウソウたる顔ぶれである。

特に、商品選定においては、徹底的にまず自らのセンスを尺度に選び、その後で、品揃え・ディスプレイのイメージ・固定客の好みによって、商品をふるいにかけていくといったくだりなど、司書の図書選定とも共通するものがあり興味深かった。

お客様と自らのポリシーを二つながら満足させながら、より質の高いサービスを目指す茂登山氏。
「商品の質をあげれば離れるお客さんもいるが、新しいお客もできる。」「値段を先に見るな。品物を見て自分のセンスで選べ」一流のブランドショップを築き上げた彼ならではの自負である。

「仕事は自ら創るものである」「自分の夢を売れ」「先を読んで計画を立てる」「成功しても2割余裕を残しておけ」当たり前であるが、ガツーンと一発くらった1冊であった。(よくビジネス本に書いてあることなんだけど重みが違うんです)

サンモトヤマのHPもみてみた。梅田阪急17番街にも支店があるのだ。うーん。値札を先に見ないよう努力・・・。
サンモトヤマ<
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