ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

「しまかぜ」の近鉄50000系

2022年12月19日 00時13分00秒 | 写真

 

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近鉄22000系22115F

2022年12月15日 20時00分00秒 | 写真

近鉄22000系は、1992年に登場した特急用車両で、愛称はACEです。

 近鉄で最初にVVVF制御を採用したのは通勤用車両の1420系(当初は1250系)ですが、これは試作車であり、量産車としては京都市営地下鉄烏丸線直通運転用の3200系が最初のものとなります(いずれも1980年代の登場です)。そして、特急用車両として最初のVVVF制御車が22000系なのです。

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近鉄21000系21102F

2022年12月14日 17時00分00秒 | 写真

アーバンライナーとして有名な近鉄21000系の21102Fです。回送として発車するところを撮影しました。

 「しまかぜ」の50000系や「ひのとり」の80000系が目立つためか、近鉄の特急というと通勤用車両と異なって新車が多く、かつ華やかな印象を受けます。しかし、実際には20世紀中に登場し、長く活躍している車両もあります。21000系もその一つで、1988年に登場しました。ビスタカーの30000系に代表されるようなオレンジと濃紺のツートーンではなく、白を基調とした、当時としては斬新なデザインです。但し、かつての渋谷東急プラザの5階にあったレオでよく見かけたメルクリンの鉄道模型に、よく似た車両があったとも思いました。DB(Deutsche Bundesbahn→Deutsche Bahn)のBaureihe 403です。多少は意識にあったのではないでしょうか。また、これも近鉄特急車の常とも言えますが、足回りなどは革新的でなく、VVVF制御などは採用されていません。1980年代と言えば、例えば東急9000系などのVVVF制御車も登場していましたし、チョッパ制御車も多数登場していました。

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のるるんのモデル 営業運転開始から20年が経過した

2022年12月11日 00時00分00秒 | 写真

 2002年に営業運転を開始した東急電鉄の2代目5000系は、2022年に20周年を迎えました。東急線のキャラクター、のるるんのモデルにもなったこの系列は、田園都市線用として登場し、10両編成で東京メトロ半蔵門線はもとより、東武伊勢崎線・日光線への直通運転も行っています。また、5118F、5119F、5121Fおよび5122Fは8両編成として東横線で運用されており、横浜高速鉄道みなとみらい線、東京メトロ副都心線、西武有楽町線・西武池袋線および東武東上線にも直通しています。

 各駅停車押上行きとして、二子玉川駅4番線に到着するところです。

 5000系は、21世紀に入ってからの東急線のスタンダードとなりました。目黒線用として5080系、東横線用として5050系、その10両編成ヴァージョンである5050系4000番台、さらに横浜高速鉄道が所有するY500系が製造されてきました。最近、目黒線が8両編成化されたことで中間車が製造されていますし、5050系4000番台も増備されています。そればかりか、池上線および東急多摩川線用の7000系、大井町線急行用の6000系も、基本は5000系ですから、5000系シリーズは世田谷線を除く東急各線で活躍していることとなります。

 田園都市線用の5000系は、或る意味において時代の急速な流れに翻弄された系列と言えます。田園都市線の混雑緩和のために6扉車が登場し、編成の組み替えが行われました。6扉車の組み入れにより、一部の4扉車が5050系に編入されています。その後、ホームドアの整備により6扉車が不要となり、廃車されてしまいました。20年間にかなりの変化を見せた5000系は、少なくともあと10年程、田園都市線、半蔵門線、東武伊勢崎線・日光線を走ることでしょう。

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地方公共団体の議員のなり手を増やすため(?)

2022年12月10日 13時00分00秒 | 国際・政治

 先月(2022年11月)、神奈川県大井町の町議会議員補欠選挙において、立候補者がゼロであったため、無投票になったという事件がありました。実質的には選挙が行われなかったこととなります。

 最近、選挙を行うとしても候補者がいないという状況がよく見受けられます。2017年には高知県大川村で、議員のなり手がいないということで、議会を廃止し、地方自治法第94条に定められる町村議会を設置しようという動きがあり、総務省も「町村総会のあり方に関する研究会」を設置したことがありました。この研究会が「議員のなり手不足の要因」としてあげているものは、次の通りです(「町村議会のあり方に関する研究会報告書の概要」から引用しておきます)。

 ・議会は「広範な事項を議決対象としており、専門性がより強く求められるとともに拘束時間が長くなっている」。

 ・「各市町村において定数削減を進めてきた結果、元々議員定数が少ない小規模市町村ほど議員の負担感が増加している。(1町村当たりの議員定数:15.25人(平成11年)→11.45人(平成27年))」

 ・「小規模市町村においては、時間的拘束が大きい一方、議員報酬だけでは生計を立てていけない状況にある」。2016年4月1日における平均議員報酬月額は、都道府県が812,781円、政令指定都市が792,325円、政令指定都市を除く市が405,743円、特別区が608,387円、町村が213,153円となっています。

 ・「小規模市町村においては、人口が少なく、事業所も限られていることから、兼職禁止及び請負禁止の実態的影響が大きい」。

 最後に上げた兼職禁止および請負禁止が、実は今回の主題です。どちらも地方自治法に定められておりますので、規定を紹介しておきましょう。 

 第92条第1項:「普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。」

 第92条第2項:「普通地方公共団体の議会の議員は、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占める職員(以下「短時間勤務職員」という。)と兼ねることができない。」

 第92条の2:「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。」

 小規模市町村の議員報酬月額が少ないのであれば、引き上げればよいというようにも考えられますが、実際のところは無理、とまでは言えなくとも非常に難しいでしょう。また、議会を開く時間帯を変えればよいとも考えられますし、外国では夕方以降に議会を開いているところもあると聞いたことがあるのですが、やはり、日本の場合は難しいでしょう。

 そこで、地方自治法を改正し、兼業禁止および請負禁止を緩和しようと、第210回国会において衆議院議員提出法律案第17号の「地方自治法の一部を改正する法律案」が審査・審議されました。この法律案が12月9日の参議院総務委員会において可決されました。朝日新聞2022年12月10日付朝刊4面13版Sに「地方議員なり手増へ 兼業規制緩和 地方自治法改正へ」という記事が掲載されており、法律案の内容が紹介されています。

 衆議院のサイトに、この法律案の全文が掲載されています。ここで紹介させていただきます(原文の漢数字を算用数字に改めた箇所があります)。

 

 地方自治法(昭和22年法律第67号)の一部を次のように改正する。

 第92条の2中「請負をする者」を「請負(業として行う工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入その他の取引で当該普通地方公共団体が対価の支払をすべきものをいう。以下この条、第142条、第180条の5第6項及び第252条の28第3項第10号において同じ。)をする者(各会計年度において支払を受ける当該請負の対価の総額が普通地方公共団体の議会の適正な運営の確保のための環境の整備を図る観点から政令で定める額を超えない者を除く。)」に改める。

 第101条に次の一項を加える。

  前項の規定による招集の告示をした後に当該招集に係る開会の日に会議を開くことが災害その他やむを得ない事由により困難であると認めるときは、当該告示をした者は、当該招集に係る開会の日の変更をすることができる。この場合においては、変更後の開会の日及び変更の理由を告示しなければならない。

   附則

 (施行期日)

 第1条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第101条の改正規定及び附則第6条の規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

 第2条 この法律の施行前にこの法律による改正前の地方自治法第92条の2(同法第287条の2第7項、第292条及び第296条第3項において準用する場合を含む。)に規定する請負をする者及びその支配人に該当した者については、なお従前の例による。

 (市町村の合併の特例に関する法律の一部改正)

 第3条 市町村の合併の特例に関する法律(平成16年法律第59号)の一部を次のように改正する。

  第36条第7項中「構成員」と」の下に「、「議会の適正な」とあるのは「合併特例区協議会の適正な」と」を加える。

 (所得税法等の一部を改正する法律の一部改正)

 第4条 所得税法等の一部を改正する法律(令和4年法律第4号)の一部を次のように改正する。

  附則第86条中地方自治法第252条の28第3項第10号を同項第12号とする改正規定の前に次のように加える。

   第92条の2中「第252条の28第3項第10号」を「第252条の28第3項第12号」に改める。

 (政令への委任)

 第5条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (政府の措置等)

 第6条 政府は、事業主に対し、地方公共団体の議会の議員の選挙においてその雇用する労働者が容易に立候補をすることができるよう、地方公共団体の議会の議員の選挙における立候補に伴う休暇等に関する事項を就業規則に定めることその他の自主的な取組を促すものとする。

 2 地方公共団体の議会の議員の選挙における労働者の立候補に伴う休暇等に関する法制度については、事業主の負担に配慮しつつ、かつ、他の公職の選挙における労働者の立候補に伴う休暇等に関する制度の在り方についての検討の状況も踏まえ、この法律による改正後の規定の施行の状況、前項の自主的な取組の状況等を勘案して、引き続き検討が加えられるものとする。

   理由

 地方公共団体の議会の議員に係る請負に関する規制における請負の定義の明確化及び議員個人による請負に関する規制の緩和をするほか、災害等の場合の地方公共団体の議会の開会の日の変更に関する規定を整備する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 このような法律案の提出者は、衆議院のサイトによれば浮島智子議員(公明党)となっていますが、上記朝日新聞記事によると「超党派の議員立法」ということでした。衆議院が議案として受理したのが12月6日、委員会での審査が省略された上で12月8日に衆議院本会議において可決されています。賛成会派は自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブおよび有志の会であり、反対会派は日本共産党のみです。そして、今日、つまり2022年12月10日(会期末となっています)に参議院本会議で成立の見通しであるということです。

 改正が実現するならば、第92条の2は次のような規定となります。

 「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負(業として行う工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入その他の取引で当該普通地方公共団体が対価の支払をすべきものをいう。以下この条、第142条、第180条の5第6項及び第252条の28第3項第10号において同じ。)をする者(各会計年度において支払を受ける当該請負の対価の総額が普通地方公共団体の議会の適正な運営の確保のための環境の整備を図る観点から政令で定める額を超えない者を除く。)及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。」

 つまり、地方公共団体に対して請負をする法人などの無限責任社員や取締役などとの兼職は引き続き禁止されるものの、個人事業主との兼職は可能であるということです。もとより、ただ個人事業主であればよいという訳ではなく、「各会計年度において支払を受ける当該請負の対価の総額が普通地方公共団体の議会の適正な運営の確保のための環境の整備を図る観点から政令で定める額を超えない」ことが条件となっています。法律案では明示されていませんが、上記朝日新聞記事によると「取引額の上限は、個人事業主の年間平均売上高の2割程度にあたる300万円を想定している」とのことです。

 兼業禁止の緩和は、全国都道府県議会議長会などが求めていたことで、小規模市町村では産業構造などから考えると個人事業主が議員との兼業をしやすいという事情があるのでしょう。ただ、取引額の上限が妥当であるか、疑問が残るところではあります(資料がないので分析などはできませんが)。上記朝日新聞記事にも書かれていますが、「兼業しやすい自営業者」が「自治体と何らかの取引があるケースが多い」からです。

 また、上記朝日新聞記事では「改正法案では、勤め人が議員になりやすくするため、政府が企業や団体に立候補休暇や副業規定の整備を促すことを求めることも付則に盛り込んだ」と書かれているのみですが、附則第6条こそが実は重要なのではないかと考えられます。開会の時間帯もそうですし、現在であればZoom、Webex、Google Meetなどを利用したオンライン議会も可能なはずです。こうした点は、政府に丸投げするのではなく、国会こそが或る程度の提案をすべきでしょう。まして、今回の法律案は衆議院議員提出法律案なのですから。

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近鉄2800系ク2904

2022年12月10日 00時00分00秒 | 写真

近鉄名古屋駅で、普通富吉行きとして発車を待っている近鉄2800系のク2904を撮影しました。

 今回の近鉄2800系は1970年代の製造で、2610系と基本は同じであるものの、ロングシートを採用したものです。

 「近鉄1233系ク1342」において「近鉄は、大手私鉄の中でも特急用車両と通勤用車両とのギャップが激しいところではないでしょうか」と記しました(首都圏の大手私鉄や西鉄と比べるとよくわかるところです)。近鉄は、特急用車両については「しまかぜ」の50000系、「ひのとり」の80000系など、鉄道友の会のブルーリボン賞を何度も受賞するだけの実績を積んでいます。しかし、通勤用車両についてはどうでしょうか。地域輸送にどれほど力を入れているのかわかりませんが、他の大手私鉄と比較しても今ひとつのような気がします。大阪線、奈良線、京都線などは利便性が高いのですが、名古屋線についてはJR東海が本気を出したらシェアを奪えるだろうと考えられる気がします。

 私は、東急8000系がローレル賞受賞を逃したこと、国鉄50系客車がローレル賞を受賞したことの2点からして、ブルーリボン賞もローレル賞もあてにならないと思っています。どちらも先見の明がなさ過ぎるという理由です。

 まあ、このことについては脇に置いておきましょう。

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就学支援制度拡充の動きについての疑問

2022年12月09日 00時00分00秒 | 国際・政治

 2022年12月6日付の朝日新聞朝刊14面13版Sに「就学支援制度 若者の選択肢 狭めるな」と題された社説が掲載されています。朝、電車の中で読み、すぐに社説とは別の観点からの疑問が湧き上がりました。

 私は、「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の就学及び就業の促進に関する法律(平成30年6月1日法律第37号)」という論文を書きました。そこにおいて、地域大学振興法と略している法律の効果に疑問を呈示するとともに、J. S. ミル『大学教育について』(2011年、岩波文庫)の一節を引用してから、次のように記しました。

 「大学が高等教育機関としての使命を果たすことよりも、時の政権や経済界の意向に振り回され、産業競争力の強化のための駒に堕するようでは(科学)研究力が低下するのも当然である。まして、地域大学振興法は大学を地方創生の道具として扱おうとするものである。大学の高等教育機関としての本質に関する議論または検討は彼方に追いやられていると言いうるであろう。これでは、その名称の通りに各地域の大学の振興に結びつくのか、心許ないと評さざるをえないであろう。」

 今、政府が検討しているという就学支援制度の概要は、朝日新聞朝刊社説において取り上げられているところによると、上に示した拙文とほぼ同じ趣旨なのだろうと考えられます。

 社説は、「岸田首相が議長を務める政府の『教育未来創造会議』は5月、子どもが多い家庭や理工・農学系学部の学生に限り、中間所得層にも支援を広げるよう提言した。この線に沿って24年度から見直すため、文部科学省が有識者会議を設置し、今月中に報告書をまとめる予定だ」と記した上で、「政府が重視する『成長分野』の学部だけ支援を手厚くするのには、違和感がある。家計が苦しい学生が、本当に学びたい分野への進学を断念することを誘発しかねない」と記しています。

 この点も重要ですが(最重要とも言えるでしょう)、私が気になったのは次の部分です。

 「文科省は、『直近3年度全ての収容定員充足率が8割未満』の大学を対象から外す考えだ。経営難の大学の延命に利用させないためというが、『充足率8割未満=経営困難』ではない。また、対象外になるのは、地方大学が多いとみられている。大学生の『地方に学ぶ場がなくなる』との声や、子どもの貧困対策に取り組む団体の『子どもの選択肢が狭くなる』との声にも、耳を傾けるべきだ。」

 地方大学の厳密な意味はともあれ、また、「収容定員充足率が8割未満」の大学は全国の何処にも見られるとはいえ、やはり首都圏などの大都市圏以外にあるところが多いのです。このブログでも私立大学の公立大学化を取り上げていますが、そのような例も大都市圏以外の場所によく見られます。これも「収容定員充足率が8割未満」の大学の話なのです。

 しかし、地域大学振興法の趣旨を生かすとすれば、日本各地にある大学に目配りをしなければなりません。また、日本の大学の数が多すぎるというような批判もありますが、それはこれまでの政策の失敗であるにすぎません。誰も責任を取らないでしょうが、政策は歴史的に検証すべきであるということです。

 就学支援制度の強化は、理工系の学部や農学系の学部を持つ大学には有利となるでしょう。しかし、そのような大学は、国公立であれば(農学系はともあれ)全国にあるはずですが、私立となると大都市圏に偏在しているのではないかと思われます。あるいは、各都道府県に理系学部(理工系学部など)を有する大学はあったとしても、数は少ないものと思われます。

 ここで、地方大学振興法第13条および第14条の規定を紹介しておきます。

 

 (特定地域内学部収容定員の抑制等)

 第13条 大学の設置者又は大学を設置しようとする者は、特定地域外の地域における若者の修学及び就業を促進するため、特定地域内における大学の学部の設置、特定地域外から特定地域内への大学の学部の移転その他の方法により、特定地域内学部収容定員(特定地域内に校舎が所在する大学の学部の学生の収容定員のうち、当該校舎で授業を受ける学生に係るものとして政令で定めるところにより算定した収容定員をいう。以下この条及び附則第三条において同じ。)を増加させてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

 一 特定地域内に設置している学部等(大学の学部、高等専門学校の学科又は専修学校の専門課程をいう。以下この号において同じ。)の廃止、特定地域内から特定地域外への学部等の移転その他の方法により特定地域内学部等収容定員(特定地域内に校舎が所在する学部等の学生等(大学の学部若しくは高等専門学校の学科の学生又は専修学校の専門課程の生徒をいう。以下この号において同じ。)の収容定員のうち、当該校舎で授業を受ける学生等に係るものとして政令で定めるところにより算定した収容定員をいう。以下この号及び次号において同じ。)を減少させることと併せて、政令で定めるところにより、当該学部等を置く大学、高等専門学校又は専修学校の設置者(同号において「大学等の設置者」という。)が当該減少させる特定地域内学部等収容定員の数を考慮して政令で定めるところにより算定した数の範囲内で特定地域内学部収容定員を増加させる場合

 二 前号に規定する方法により特定地域内学部等収容定員を減少させる大学等の設置者との協議に基づき、当該特定地域内学部等収容定員の減少と併せて、政令で定めるところにより、当該大学等の設置者とは異なる大学の設置者又は大学を設置しようとする者が当該減少させる特定地域内学部等収容定員の数を考慮して政令で定めるところにより算定した数の範囲内で特定地域内学部収容定員を増加させる場合

 三 大学における教育研究の国際競争力の向上、実践的な教育研究の充実その他の教育研究の質的向上を図るために外国人留学生又は就業者である学生に限定して特定地域内学部収容定員を増加させる場合その他の特定地域内学部収容定員を増加させることが特定地域以外の地域における若者の著しい減少を助長するおそれが少ないものとして政令で定める場合

 (勧告及び命令)

 第14条 文部科学大臣は、大学(学校教育法第2条第2項に規定する公立学校又は私立学校であるものに限る。以下この項において同じ。)の設置者又は大学を設置しようとする者(以下この条において「公私立大学設置者等」という。)が前条の規定に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該公私立大学設置者等に対し、その是正のために必要な措置を講ずることを勧告することができる。

 2 文部科学大臣は、前項の規定による勧告を受けた公私立大学設置者等が、正当な理由がなくて当該勧告に係る措置を講じなかったときは、当該公私立大学設置者等に対し、当該措置を講ずることを命ずることができる。

 3 文部科学大臣は、第1項の規定による勧告又は前項の規定による命令を行うために必要があると認めるときは、当該公私立大学設置者等に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。

 

 どちらの規定も2028年3月31日までの時限適用とされています(附則第2条)。また、第13条に登場する「特定地域」は、地方大学振興法施行令第1条によって東京都の特別区とされています。従って、特別区に「特別区にキャンパスを構える大学は、他の地域にキャンパスを構えるか否かを問わず、原則として特別区に所在するキャンパスの収容定員を増加させてはならないこととなる」ということになります。

 しかし、とくに私立大学を志望する学生にとって、理系の学部は文系の学部より選択肢が狭くなります。様々な分析を行った訳ではないので何とも言えない部分もありますが、首都圏にある、理系の学部を抱える大学への志望者が増える可能性はあります。そうなると、国公立大学はともあれ、他の地方にある大学の志願者が減少することとなるでしょう。そうなれば、首都圏や京阪神地区などにある有力大学が他の地方の大学を吸収統合するならば別として(地域大学振興法で禁じられていないと解釈できます)、大学の偏在は一層進むことになりかねません。

 就学支援制度の本旨は、大学に進学しようとする生徒、あるいは大学に在学中の学生の経済的基盤への補助のはずです。そこに別の趣旨を盛り込むこと自体がおかしい話と言えます。まして、大学の偏在を進めかねない施策は、地域大学振興法の存在意義を失わせます。生活保護を受けるならば大学への進学が認められないという厚生労働省の方針も、就学支援制度の趣旨と矛盾する部分があるのではないでしょうか。COVID-19の拡大によって一層進んだといわれる経済格差に対する取り組みに、今ひとつ真剣さが感じられないように思われるのは、私だけでしょうか。

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租税特別措置の見直しが進まない理由は

2022年12月08日 00時00分00秒 | 国際・政治

 租税特別措置は、主に政策的理由により、所得税法、法人税法などに規定される原則を修正するものです。租税負担を加重するものもありますが、多くの場合には租税負担の軽減、さらに非課税のためのものとなっています。特定の業種、階層のみを対象にすることも少なくないことから租税負担の不公平を招来するものでもありますし、何よりも税制が複雑化します。租税法の規定が難解であると言われますが、原則を定める規定で難解なものは少ないので、特別措置を盛り込むことが原因である場合が多いでしょう。租税特別措置法の諸規定が代表で、とにかく一文が長く、何処の部分と何処の部分が文章的につながるのかを見失ったりします。その上、適用要件が厳格に定められたりするので、何処まで続くのかわからないような文章になったりするのです。一文を短くし、段落を多くする、つまり項を多くするほうがわかりやすくなるはずなのです。

 このようなことを書いたのは、朝日新聞2022年12月7日付朝刊7面13版Sに「租特 進まぬ見直し 政府・与党 50項目超延長へ」という記事が掲載されたからです(租特は租税特別措置のことです)。

 「政府・与党は6日、2022年度に期限切れを迎える50項目以上の租特を延長する方針を固めた。防衛費増額などで新たな財源確保が急務となる中、租特にメスを入れられるか注目されたが、減税に見合った効果があるのか十分に検証しないまま延長を繰り返すことが常態化している。」

 まさにその通りです。これまで何度となく租税特別措置の見直し、整理統合が言われてきましたが、あまり進んでいません。例年、11月下旬から12月上旬まで、自由民主党税制調査会が開かれており、今年も同様のようで、12月6日にも会合が開かれました。その場において、およそ60あるという国税関係の租税特別措置のうち、50超は延長が認められたとのことです。およそ60というのは「業界の意をくむ議員らから延長要望があった」ものであり、おそらくは各省の意向も含まれているでしょう(毎年、各省から税制に関する多くの要望がなされます)。

 おそらく、財務省は租税特別措置の整理統合を真剣に考えているでしょう。何せ、「財務省の試算では、租特による減税がなければ得るはずだった税収は少なくとも年8兆円。税収全体の1割を超える規模だ」という訳ですから。しかも、租税特別措置の効果が十分に検証されていないのです。上記朝日新聞記事にも書かれているように、租税特別措置は「隠れ補助金」とも言われていますし、税制を利用したバラマキと表現することも可能です。

 先程、「租税特別措置の効果が十分に検証されていない」と記しました。実は、検証されていない訳ではありません。上記朝日新聞記事には「総務省は毎年、各省庁が延長を要望する租特の一部について、効果が客観的に分析されているかどうかを点検する。『達成目標』や『過去の効果』など8項目について、A~Eの5段階で評価する。今年は43件が点検対象となり、11月に結果を公表した」とあります。評価の結果は、というと、「全項目がAだったのは2件のみ。中小企業の法人税率の租特は定量的に説明されていないとして、『達成目標』と『将来の効果』がD判定だった。DX投資の租特は8項目のうち7項目がC判定。データの算出根拠が不足していると指摘された」とのことでした。

 それでも租税特別措置は延長されたり、新たに設けられたりします。経済の活性化などが大義名分とされるのですが、どれだけのものが有意義であるのでしょうか。

 ともあれ、今月中に、まず与党の税制改正大綱が公表され、続いて政府の税制改正大綱が発表されます。

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近鉄2000系ク2110

2022年12月07日 07時00分00秒 | 写真

近鉄名古屋駅で、準急近鉄四日市行きとして発車を待っている近鉄2000系のク2110を撮影しました。

 2000系は1978年および1979年に製造された車両で、近鉄名古屋線用です。主電動機を、あのビスタカーとして名高い10100系から流用しています。首都圏の大手私鉄で1970年代の製造というと東急8500系や東武8000系(但し、1963年からの製造)が残っているくらいではないかと思われますが(まだあるかもしれません)、近畿地方の大手私鉄ではこの近鉄2000系、阪急5300系、阪急6000系、阪急6300系、京阪2600系、南海6200系など、かなり多く残っています(1960年代に製造開始となった系列も多く残っているくらいです)。 

 なお、近鉄名古屋線の準急は、近鉄名古屋駅を出ると近鉄蟹江駅まで停まりませんが、その先は終点の近鉄四日市駅まで各駅に停車します。また、近鉄四日市駅より先には行きません。

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2022年度税法Bの第2回中間課題:やはり、この最高裁判所判決を読んでいただきましょう

2022年12月05日 00時00分00秒 | 受験・学校

 このブログにおいて、以前、離婚の際の慰謝料および財産分与に関する最三小判昭和50年5月27日民集29巻5号641頁を紹介しました。また、何度かレポート課題としても取り上げています

 2022年度の中間課題については、あれこれと考えましたが、やはりこの判決を取り上げることとしました。遠藤みちさんも、『両性の平等をめぐる家族法・税・社会保障』(2016年、日本評論社)60頁において「一般的にはわかりにくい判断」と評価していますが、譲渡所得と家族法との関係を考える際には欠かせないものでしょう。

 今回の課題は、「最三小判昭和50年5月27日民集29巻5号641頁(ならびにその一審判決および控訴審判決)を読み、夫婦の離婚に際して一方の配偶者から他方の配偶者に対して支払われる慰謝料(精神的苦痛を受けたことに伴う損害賠償)、離婚の際に行われる財産分与とに分けて、所得税の課税関係について論じなさい。なお、財産分与の法的性質についても言及してください。 」というものです。「字数は2000字以上としますが、上限はありませんので、とくにこの最高裁判決について自由に論じていただいてかまいません」ともしました。私などは、財産分与によって完全に夫婦関係、とくに夫婦の経済関係が完全に終わり、縁が切れることが経済的利益の一種と考えられるのだろうと思うところで、或る意味で粋な判断だと思うのですが、こうした意見についての反論なり何なりも歓迎します。どうか、じっくりと考えてみてください。

 なお、提出方法などについては、大東文化大学のDB manabaを参照していただくものとします。

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