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ひろば 川崎高津公法研究室別室

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講義内容を公開します 酒税 2022年版その2

2022年07月15日 00時00分00秒 | 租税法講義ノート〔第3版〕

 3.酒税の納税義務者

 酒税の納税義務者は、国内で製造された酒類、輸入酒類のいずれに該当するかに応じて異なる。

 国内で製造された酒類については、酒類の製造者が納税義務者である。納税義務の成立時期は、製造者が酒類を製造場から「移出」した時点である(酒税法第6条第1項、国税通則法第15条第2項第7号)。「移出」は、酒類を流通過程に置くために製造場から他の場所へ移すことを意味するので、売買、贈与、交換、占有移転などの別を問わない〈判例とともに、金子・前掲書854頁を参照。〉

 一方、国外で製造された輸入酒類については、酒類引取者(酒類を保税地域から引き取る者)が納税義務者である。納税義務の成立時期は、保税地域から引き取る時点である(酒税法第6条第2項、国税通則法第15条第2項第7号)。

 この他、酒税の納税義務については、注意しなければならない規定が存在する。

 まず、酒税法第6条の3第1項は酒類等の移出が行われたものとみなす場合を定める。例えば、酒類が製造場において飲用されたとき(同第1号)、酒類等製造免許が取り消された場合などにおいて酒類が製造場に現存するとき(同第2号。同第3号も参照)、酒類が滞納処分や強制執行などの手続により換価されたとき(同第4号)である(以上については同第4項も参照)。また、同第3項は「酒類等が保税地域において飲用される場合には、その飲用者が飲用の時に当該酒類等をその保税地域から引き取るものとみなす」と定める。

 次に、同第6条の4は収去酒類について非課税とする旨を定める。

 収去酒類とは、食品衛生法第28条第1項に基づいて臨検検査等が行われる際に無償で収去された酒類、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第69条第4項および第6項に基づいて立入検査等が行われる際に無償で収去される酒類をいう。

 そして、最も注意しなければならない規定ともいえるのが、次に示す同第43条である。

 「(みなし製造)

 第43条 酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす。ただし、次に掲げる場合については、この限りでない。

 一 清酒の製造免許を受けた者が、政令で定めるところにより、清酒にアルコールその他政令で定める物品を加えたとき。

 二 清酒又は合成清酒の製造免許を受けた者が、当該製造場において清酒と合成清酒とを混和したとき。

 三 連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎との混和をしたとき。

 四 ウイスキーとブランデーとの混和をしたとき。

 五 酒類製造者が、政令で定めるところにより、その製造免許を受けた品目の酒類(政令で定める品目の酒類に限る。)と糖類その他の政令で定める物品との混和をしたとき(前各号に該当する場合を除く。)。

 六 政令で定める手続により、所轄税務署長の承認を受け、酒類の保存のため、酒類にアルコールその他政令で定める物品を混和したとき(前各号に該当する場合を除く。)。

 2 前項の場合において、酒類に炭酸ガス(炭酸水を含む。)の混和をした酒類の品目は、この法律で別に定める場合を除き、当該混和前の酒類の品目とする。

 3 第1項第1号の規定の適用を受けて、清酒にアルコールその他の物品を加えた酒類は、清酒とみなす。

 4 第1項第6号の規定の適用を受けて、酒類にアルコールその他の物品の混和をした酒類は、当該混和前の品目の酒類とみなす。

 5 第1項の規定にかかわらず、酒類の製造場以外の場所で酒類と水との混和をしたとき(政令で定める場合を除く。)は、新たに酒類を製造したものとみなす。この場合において、当該混和後の酒類の品目は、この法律で別に定める場合を除き、当該混和前の酒類の品目とする。

 6 連続式蒸留機によつて蒸留された原料用アルコールと連続式蒸留焼酎との混和をしてアルコール分が36度未満の酒類としたときは、新たに連続式蒸留焼酎を製造したものとみなす。

 7 単式蒸留機によつて蒸留された原料用アルコールと単式蒸留焼酎との混和をしてアルコール分が45度以下の酒類としたときは、新たに単式蒸留焼酎を製造したものとみなす。

 8 第1項、第2項及び第5項の規定にかかわらず、リキュールと水又は炭酸水との混和をしてエキス分2度未満の酒類としたときは、新たにスピリッツを製造したものとみなす。

 9 前各項に規定する場合を除くほか、酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和に関し、必要な事項は、政令で定める。

10 前各項の規定は、消費の直前において酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和をする場合で政令で定めるときについては、適用しない。

11 前各項の規定は、政令で定めるところにより、酒類の消費者が自ら消費するため酒類と他の物品(酒類を除く。)との混和をする場合(前項の規定に該当する場合を除く。)については、適用しない。

12 前項の規定の適用を受けた酒類は、販売してはならない。」

 例えば、自宅で梅酒を作るとする。梅酒は焼酎に梅などを混和して作るものであるから、焼酎からリキュールに変わることとなり、「新たに酒類を製造した」とみなされることとなるはずであるが、同第11項および酒税法施行令第50条第14項により、自宅で梅酒を作る場合には「新たに酒類を製造した」とみなされない。但し、あくまでも自家消費に留まらなければならず、他人に販売してはならない(酒税法第43条第12項、同第56条第1項第4号)。同様のことは料理店などの経営者が営業場において提供する梅酒についても妥当する(同第10項、租税特別措置法第87条の8)。

 次に、自宅でハイボールを作るとする。ハイボールはウイスキーに炭酸水を混和して作るものであるから、酒税法第43条第2項によってウイスキーとして扱われることとなるが「新たに酒類を製造した」とみなされることとなるはずである。しかし、この場合も同第11項によって「新たに酒類を製造した」とみなされない。自家消費に留まらなければならないことは梅酒の場合と同様である。また、カクテルの種類によっては酒税法第43条および酒税法施行令第50条第14項に違反するおそれもあるので、注意されたい。自家消費であるから何でもよいという訳ではないのである。

 一方、ショットバーで提供されるハイボールを店員が作り、客に提供した場合は、酒税法第43条第10項および酒税法施行令第50条第13項が適用されるため、「新たに酒類を製造した」とみなされない。カクテルについても同様である。但し、あくまでも「酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者がその営業場において消費者の求めに応じ、又は酒類の消費者が自ら消費するため、当該混和をするとき」に限られる。

 

 4.酒類の製造、販売に関する免許制度

 酒税法は、酒類等(酒類、酒母またはもろみ)を製造しようとする者、販売しようとする者に対し、製造場または販売場ごとに所轄税務署長の免許〈行政法学における許可に該当する。〉を受けなければならない旨を規定する。この免許制度は酒税の徴収確保のためであり、「酒税の円滑な転嫁及び検査取締り上の要請等を目的として採用された」〈富川・前掲書151頁。これに対し、金子・前掲書852頁は「国民の健康と衛生の維持ならびに酒税の保全のため」と説明する。〉

 〔1〕酒類製造免許

 酒税法第7条第1項は、「酒類を製造しようとする者は、政令で定める手続により、製造しようとする酒類の品目(第3条第7号から第23号までに掲げる酒類の区分をいう。以下同じ。)別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許(以下「製造免許」という。)を受けなければならない。ただし、酒類の製造免許を受けた者(以下「酒類製造者」という。)が、その製造免許を受けた製造場において当該酒類の原料とするため製造する酒類については、この限りでない」と定める。免許の効力が対象(物)および場所の面において制約を受けていることに注意されたい。

 また、同第2項は、1つの製造場における1年間の製造見込数量を、種類ごとに定めている。製造免許を受ける際には、この製造見込数量を超えることが求められる。

 酒類製造免許を受けずに酒類を製造した者には刑事罰が科される(同第54条)。

 〔2〕酒母またはもろみの製造免許

 酒母またはもろみを製造しようとする者についても、やはり製造場ごとに製造免許を受けなければならない(同第8条)。但し、酒類製造業者が製造場において酒類の製造のように供するために酒母またはもろみを製造する場合など、除外事由もある(同第1号〜第3号)。

 酒母またはもろみの製造免許を受けずに酒母またはもろみを製造した者には刑事罰が科される(同第54条)。

 〔3〕酒類販売業免許

 酒類販売業、酒類販売代理業、酒類販売媒介業のいずれかを営もうとする者は、販売場ごとにその販売場の所在地(販売場を設けない場合には住所地)を所轄する税務署長の免許を受けなければならない。但し、酒類製造業者が製造場において酒類の販売業を営む場合、および「酒場、料理店その他酒類をもつぱら自己の営業場において飲用に供する業」については酒類販売業免許が不要である(同第9条第1項。同第2項および同第3項も参照)。

 なお、酒類販売業免許は大きく酒類小売業免許および酒類卸売業免許に大別され、さらに酒類小売業免許は3種類、酒類卸売業免許は8種類に分けられる〈富川・前掲書153頁。〉

 酒類販売業免許を受けないで酒類を販売した者には刑事罰が科される(同第56条第1項第1号)。

 〔4〕上記各種免許の要件

 上記各種免許の申請者が酒税法第10条各号のいずれかに該当する場合には、税務署長は申請者に対して免許を与えないことができる。列挙事由をみると、酒税法の規定に違反したことによって免許等を「取り消され」てから一定の期間を経過していない者、滞納処分を受けてから一定の期間を経過していない者、一定の事由による刑の執行が終わってから一定の期間を経過していない者などが多いが、「正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に製造場又は販売場を設けようとする場合」(同第9号)、「酒類の製造免許又は酒類の販売業免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合」(同第10号)、「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の製造免許又は酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合」(同第11号)、「酒類の製造免許の申請者が酒類の製造について必要な技術的能力を備えていないと認められる場合又は製造場の設備が不十分と認められる場合」(同第12条)があげられている。

 この他、上記各種免許の「取消し」については同第12条ないし第14条を、製造場または販売場の移転の許可については同第16条を、製造業または販売業の廃止については同第17条を、販売場を設けていない酒類販売業者の住所の移転については同第18条を、酒類製造業または酒類販売業の相続については同第19条を参照していただきたい。

 〔5〕免許制度と憲法

 ●最一小判平成元年12月14日刑集43巻13号841頁(「どぶろく裁判上告審判決」)

 事案:千葉県の某町に居住するX(被告人)は、所轄税務署長から清酒製造免許を受けることなく、自宅で清酒を製造した。これが酒税法第7条に違反するとして、原料を収税官吏に差し押さえられた上、起訴された。Xは、酒類製造免許制度が酒の自己消費を規制するものであって憲法第13条に違反するなどと主張したが、一審判決(千葉地判昭和61年3月26日判時1187号157頁)はXを罰金刑に処す旨の判決を下し、控訴審判決(東京高判昭和61年9月29日高刑集39巻4号357頁)もXの控訴を棄却した。最高裁判所第一小法廷もXの上告を棄却した。

 判旨:酒税法第7条第1項および同第54条第1項は「自己消費を目的とする酒類製造であっても、これを放任するときは酒税収入の減少など酒税の徴収確保に支障を生じる事態が予想されるところから、国の重要な財政収入である酒税の徴収を確保するため、製造目的のいかんを問わず、酒類製造を一律に免許の対象とした上、免許を受けないで酒類を製造した者を処罰することとしたものであり」(最二小判昭和30年7月29日刑集9巻9号1972頁を参照)、「これにより自己消費目的の酒類製造の自由が制約されるとしても、そのような規制が立法府の裁量権を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるとはいえず、憲法31条、13条に違反するものでない」(最大判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁、最一小判昭和35年2月11日集刑132号219頁を参照)。

 ●最三小判平成4年12月15日民集46巻9号2829頁

 事案:東京都内のX株式会社は、昭和49年7月30日に所轄税務署長に対して酒類販売業免許の申請をしたが、所轄税務署長は昭和51年11月24日付で免許拒否処分を行った。これは、X株式会社が酒税法第10条第10号(「酒類の製造免許又は酒類の販売業免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合」)に該当することが理由とされたものである。X株式会社は免許拒否処分の取消を求めて出訴した。一審判決(東京地判昭和54年4月12日税資105号46頁)はX株式会社の請求を認容したが、控訴審判決(東京高判昭和62年11月26日判時1259号30頁)は所轄税務署長の控訴を容れてX株式会社の請求を棄却したため、X株式会社が上告した。最高裁判所第三小法廷は上告を棄却した。

 判旨:①「酒税が、沿革的に見て、国税全体に占める割合が高く、これを確実に徴収する必要性が高い税目であるとともに、酒類の販売代金に占める割合も高率であったことにかんがみると、酒税法が昭和13年法律第48号による改正により、酒税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のために、このような制度を採用したことは、当初は、その必要性と合理性があったというべきであり、酒税の納税義務者とされた酒類製造者のため、酒類の販売代金の回収を確実にさせることによって消費者への酒税の負担の円滑な転嫁を実現する目的で、これを阻害するおそれのある酒類販売業者を免許制によって酒類の流通過程から排除することとしたのも、酒税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという重要な公共の利益のために採られた合理的な措置であったということができる。その後の社会状況の変化と租税法体系の変遷に伴い、酒税の国税全体に占める割合等が相対的に低下するに至った本件処分当時の時点においてもなお、酒類販売業について免許制度を存置しておくことの必要性及び合理性については、議論の余地があることは否定できないとしても、前記のような酒税の賦課徴収に関する仕組みがいまだ合理性を失うに至っているとはいえないと考えられることに加えて、酒税は、本来、消費者にその負担が転嫁されるべき性質の税目であること、酒類の販売業免許制度によって規制されるのが、そもそも、致酔性を有する嗜好品である性質上、販売秩序維持等の観点からもその販売について何らかの規制が行われてもやむを得ないと考えられる商品である酒類の販売の自由にとどまることをも考慮すると、当時においてなお酒類販売業免許制度を存置すべきものとした立法府の判断が、前記のような政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理であるとまでは断定し難い。」

 ②酒税法第10条第10号は「免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に、酒類販売業の免許を与えないことができる旨を定めるものであって、酒類製造者において酒類販売代金の回収に困難を来すおそれがあると考えられる最も典型的な場合を規定したものということができ、右基準は、酒類の販売免許制度を採用した前記のような立法目的からして合理的なものということができる。また、同号の規定が不明確で行政庁のし意的判断を許すようなものであるとも認め難い。そうすると、酒税法9条、10条10号の規定が、立法府の裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理であるということはできず、右規定が憲法22条1項に違反するものということはできない。」

 なお、同旨の判決として、最一小判平成10年3月26日判時1639号36頁、最三小判平成14年6月4日判時1788号160頁などがある。

 

 5.酒税の課税標準および税率

 酒税の課税標準は、酒税法第22条第1項により、酒類の製造場から移出された、または保税地域から引き取られた酒類の数量であるとされる。但し、「粉末酒に係る数量の計算は、その重量を基礎として政令で定める方法により行う」(同第2項)。このことから、酒税は従量税である。

 そのため、税率も数量を単位として定められる。同第23条は、酒類の種類に応じて1㎘あたりの税率を次のように定める。

 ①発泡性酒類:155,000円(同第1項第1号)。

 但し、「発泡性酒類のうちその他の発泡性酒類」は100,000円(同第2項)。

 ②醸造酒類:100,000円(同第1項第2号)。

 ③蒸留酒類:200,000円が基本である(アルコール分が20度であることを前提としている)。アルコール分が21度以上である場合には、200,000円に、1度毎に10,000円を加えた金額である(同第3号)。但し、ウイスキー、ブランデーおよびスピリッツでアルコール分が37度未満であれば370,000円(同第3項)。

 ④混成酒類:200,000円が基本である(アルコール分が20度であることを前提としている)。アルコール分が21度以上である場合には、200,000円に、1度毎に10,000円を加えた金額とする(同第4号)。但し、次に掲げるものは別に定められる。

 ・合成清酒:100,000円(同第4項第1号)。

 ・みりん:20,000円(同第2号)。

 ・雑酒(みりんに類似する酒類として政令で定められるもの):20,000円(同号)

 ・甘味果実酒およびリキュール:120,000円を基本とし、アルコール分が13度以上である場合には、120,000円に、1度毎に10,000円を加えた金額とする(同第3号)。

 ・粉末酒:390,000円(同第4号)。

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講義内容を公開します 酒税 2022年版その1

2022年07月14日 01時00分00秒 | 租税法講義ノート〔第3版〕

 0.はじめに

 酒税(法)に関する参考書として、さしあたり、次のものをあげておく。

 石村耕治編『税金のすべてがわかる現代税法入門塾』〔第9版〕(2018年、清文社)414頁〈第10版(2020年)および第11版(2022年)には酒税などに関する記述がないので注意されたい。また、租税法の教科書で酒税法に関する説明の記述がある者は非常に少ない。〉

 金子宏『租税法』〔第二十四版〕(2021年、弘文堂)852頁以下

 三木義一編『よくわかる税法入門』〔第16版〕(2022年、有斐閣)275頁以下

 富川泰敬『令和3年版図解酒税』(2021年、大蔵財務協会)

 なお、酒税法は税理士試験の科目の1つであるため、複数の受験予備校から参考書が刊行されている。しかし、酒税法の受験者は少ないようである。

 この他の受験科目は会計学科目(簿記論および財務会計論)ならびに租税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、国税徴収法、住民税、事業税および固定資産税)である。会計学科目はいずれも必須である。租税法科目からは3科目を選択することとなるが、所得税法または法人税法を必ず選択しなければならない。

 

 1.酒税の概要

 〈以下、説明の都合により、これまで講義で扱ってきた消費税については「消費税」と記す。〉

 酒税は国税であり、間接税の一種である消費税(消費課税)のうちの間接消費税に属する。但し、名称が示すように個別消費税であり、この点において「消費税」および地方消費税と異なる。

 課税の根拠となる法律は酒税法である。この法律も度々改正されているが、講義の趣旨に従い、消費税法施行以後に限定して特に重要な改正について述べておく。

 まず、1989(平成元)年度税制改正である。消費税法の施行により、国税・地方税を問わず、物品税など多くの税目が廃止されたが、酒税、たばこ税などは残された。しかし、酒類や煙草〈一般的な紙巻き煙草の他に、加熱式煙草、葉巻、刻み煙草(パイプや煙管を使うもの)などを含む。なお、日本の法律では平仮名で「たばこ」と記されるには「消費税」も課されるため、二重課税ではないかという疑問が根強い。

 また、1989年度税制改正における酒税法の改正の背景には、1986年7月に、酒税法に規定される税率の格差について当時のヨーロッパ共同体(EC; European Community)諸国から「関税及び貿易に関する一般協定」(GATT; General Agreement on Tariffs and Trade)第23条に基づく協議の要請がなされ、翌年11月10日採択のパネル報告でGATT第3条に違反すると判断された事実がある。そこで、従価税制度および級別制度の廃止など、大きな改正が行われた。但し、焼酎とその他の蒸留酒との税率の格差などの問題は残された。

 従価税とは、消費税などのように課税物件の価額を課税標準とする租税をいう。

 級別制度とは、清酒やウイスキーにおいて採用されていたもので、アルコール度数に応じて酒類を特級、一級などと分類し、その分類に応じた税率を設定するものである。

 次に2006(平成18)年度税制改正である。改正前の酒類は10種類とされていたが、改正後は4種類にまとめられた。

 そして2017(平成29)年度税制改正である。この改正においては、酒類間の税負担の公平という観点から税率が見直された。

 なお、2020(令和2)年度以降の税制改正における改正は次の通りである。

 ①2020年度

 ・「酒類の製造免許に係る最低製造数量基準について、輸出するために清酒を製造しようとする者が清酒の製造免許を申請した場合には、最低製造数量基準(現行:60 ㎘)を適用しない」〈「令和2年度税制改正の大綱(令和元年12月20日閣議決定)」(以下、令和2年度政府税制改正大綱)70頁。2021年4月1日以後の申請に係る免許につき適用される。〉

 ・「酒類の製造免許等の承継制度について、酒類の製造免許等を承継することができる者の範囲に、事業譲渡によりその事業の全部を承継した者を加える」〈令和2年度政府税制改正大綱70頁。2020年4月1日以後に行われる事業譲渡につき適用される。〉

 ・「酒類の製造免許等の申請書について、住民票の写しの添付を不要とする」〈令和2年度政府税制改正大綱70頁。2021年4月1日以後に提出される申請書につき適用される。

 ・「酒類の品目等の表示義務について、一定の原料用アルコールについては、品目の表示を泡盛とすることを可能とする」〈令和2年度政府税制改正大綱70頁。

 ②2021(令和3)年度

 ・「ビールに係る酒税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する」〈「令和3年度税制改正の大綱(令和2年12月21日閣議決定)」(以下、令和3年度政府税制改正大綱)72頁。〉

 ・「沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置の適用期限を1年延長する」〈令和3年度政府税制改正大綱78頁。〉

 ・東日本大震災の「被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する」〈令和3年度政府税制改正大綱95頁。〉

 ③2022(令和4)年度

 ・「消費税の仕入税額控除の要件として保存することとされている輸入許可書等及び輸出免税の要件として保存することとされている輸出許可書等の範囲に、これらの書類に係る電磁的記録を含めることとする」とともに、「酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税における輸出免税の適用に当たって必要となる帳簿の記載について、輸出許可書等に係る電磁的記録に基づいて記載できることとする」〈「令和4年度税制改正の大綱(令和3年12月24日閣議決定)」(以下、令和4年度政府税制改正大綱)60頁。〉

 ・「ウイスキー又はブランデーに類似するスピリッツに係る製造時の酒税の承認制度を見直し、誤認防止のための要件を設けた上、移出時の承認制度とするとともに、その承認における着色度に関する制限を撤廃する」〈令和4年度政府税制改正大綱60頁。2023年4月1日以降に承認を受けるスピリッツについて適用される。〉

 ・沖縄県産の「単式蒸留焼酎に係る酒税の軽減措置について、軽減割合を、その前年度の県内課税移出数量が200㎘を超え1,300㎘以下の場合にあっては、令和6年5月15日から令和8年5月14日までの間は30%、令和8年5月15日から令和11年5月14日までの間は20%、令和11年5月15日以後は10%とし、その前年度の県内課税移出数量が1,300㎘を超える場合にあっては、令和6年5月15日から令和8年5月14日までの間は25%、令和8年5月15日から令和11年5月14日までの間は15%、令和11 年5月15日以後は5%とし、その適用期限を令和14 年5月14日まで延長した上、廃止する」〈令和4年度政府税制改正大綱60頁。沖縄県産の単式蒸留焼酎とは泡盛のことである。〉

 ・沖縄県産の「単式蒸留焼酎以外の酒類に係る酒税の軽減措置について、軽減割合を令和5年10月1日以後は15%とし、その適用期限を令和8年9月30日まで延長した上、廃止する」〈令和4年度政府税制改正大綱61頁。〉

 

 2.酒税法による酒類の定義

 〔1〕酒類の定義および種類

 酒税法第1条は、酒税の課税物件が酒類であることを明定する。その上で、同第2条第1項は、酒類を「アルコール分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が90度以上のアルコールのうち、第7条第1項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう」と定義する。この定義から、アルコール分が1%以上の飲料であれば酒類とされることがわかる。

 但し、アルコール分が90%以上であるものは、酒類の原料として製造されるものを除き、酒税法ではなくアルコール事業法の適用対象となる。 また、同第2項は酒類を発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類および混成酒類に分類する。

 〔2〕四種の酒類

 (1)発泡性酒類(酒税法第3条第3号)

 発泡性酒類はビール(同イ)、発泡酒(同ロ)、「その他の発泡性酒類」(アルコール分が11度未満のもの。同ハ)とされる。

 (2)醸造酒類(同第4号)

 醸造酒類は、清酒(同イ)、果実酒(同ロ)、「その他の醸造酒」(同ハ)とされる。

 (3)蒸留酒類(同第5号)

 蒸留酒類は、連続式蒸留焼酎(同イ)〈2006年の税制改正までは焼酎甲類と言われていた。〉、単式蒸留焼酎(同ロ)〈2006年の税制改正までは焼酎乙類と言われていた。〉、ウイスキー(同ハ)、ブランデー(同ニ)、原料用アルコール(同ホ)、スピリッツ(同ヘ)とされる。

 (4)混成酒類(同第6号)

 混成酒類は、合成清酒(同イ)、みりん(同ロ)、甘味果実酒(同ハ)、リキュール(同ニ)、粉末酒(同ホ)、雑種(同ヘ)とされる。

 〔3〕それぞれの品目の定義

 酒税法第3条第7号以下において定義されている(第27号は便宜上取り上げている)。

 清酒(第7号):「次に掲げる酒類でアルコール分が22度未満のものをいう。

 イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの

 ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の100分の50を超えないものに限る。)

 ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの」

 合成清酒(第8号):「アルコール(次号の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が36度以上45度以下のものを含む。第15号ハ及び第16号ロ並びに第8条第3号を除き、以下同じ。)、焼酎(連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎をいい、水以外の物品を加えたものを除く。第11号において同じ。)又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類(当該酒類の原料として米又は米を原料の全部若しくは一部として製造した物品を使用したものについては、米(米を原料の全部又は一部として製造した物品の原料となつた米を含む。)の重量の合計が、アルコール分20度に換算した場合の当該酒類の重量の100分の5を超えないものに限る。)で、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似するもの(アルコール分が16度未満でエキス分が5度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る。)をいう。」

 連続式蒸留焼酎(第9号):「アルコール含有物を連続式蒸留機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸留機をいう。次号イ及び第43条第6項において同じ。)により蒸留した酒類(これに水を加えたもの及び政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る。)を含み、次に掲げるものを除く。)で、アルコール分が36度未満のものをいう。

 イ 発芽させた穀類又は果実(果実を乾燥させ若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含み、なつめやしの実その他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)を原料の全部又は一部としたもの〈製法によってウイスキー、スピリッツ、ブランデーのいずれかに分類される。〉

 ロ しらかばの炭その他政令で定めるものでこしたもの〈スピリッツに分類されるウォッカ。〉

 ハ 含糖質物(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のもの〈スピリッツに分類されるラム酒やテキーラが該当する。〉

 ニ アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの〈スピリッツに分類されるジン。〉

 単式蒸留焼酎(第10号):「次に掲げる酒類(これらに水を加えたものを含み、前号イからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)でアルコール分が45度以下のものをいう。

 イ 穀類又は芋類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機(以下この号及び第43条第7項において「単式蒸留機」という。)により蒸留したもの〈芋焼酎、麦焼酎、米焼酎。〉

 ロ 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの〈泡盛。〉

 ハ 清酒かす及び水若しくは清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は清酒かすを単式蒸留機により蒸留したもの

 ニ 砂糖(政令で定めるものに限る。)、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの〈黒糖焼酎〉

 ホ 穀類又は芋類、これらのこうじ、水及び政令で定める物品を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が穀類又は芋類(これらのこうじを含む。)の重量を超えないものに限る。)〈ごま焼酎、しそ焼酎〉

 ヘ イからホまでに掲げる酒類以外の酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(これに政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る。)を含む。)」

 みりん(第11号):「次に掲げる酒類でアルコール分が15度未満のもの(エキス分が40度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る。)をいう。

 イ 米及び米こうじに焼酎又はアルコールを加えて、こしたもの

 ロ 米、米こうじ及び焼酎又はアルコールにみりんその他政令で定める物品を加えて、こしたもの

 ハ みりんに焼酎又はアルコールを加えたもの ニ みりんにみりんかすを加えて、こしたもの」

 ビール(第12号):「次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のものをいう。

 イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの

 ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る。)

 ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る。)」

 果実酒(第13号):「次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のもの(ロからニまでに掲げるものについては、アルコール分が15度以上のものその他政令で定めるものを除く。)をいう。

 イ 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの〈ワイン。〉

 ロ 果実又は果実及び水に糖類(政令で定めるものに限る。ハ及びニにおいて同じ。)を加えて発酵させたもの

 ハ イ又はロに掲げる酒類に糖類を加えて発酵させたもの

 ニ イからハまでに掲げる酒類にブランデー、アルコール若しくは政令で定めるスピリッツ(以下この号並びに次号ハ及びニにおいて「ブランデー等」という。)又は糖類、香味料若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量(既に加えたブランデー等があるときは、そのブランデー等のアルコール分の総量を加えた数量。同号ハにおいて同じ。)が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10を超えないものに限る。)

 ホ イからニまでに掲げる酒類に政令で定める植物を浸してその成分を浸出させたもの」

 甘味果実酒(第14号):「次に掲げる酒類で果実酒以外のものをいう〈ヴェルモット、ポートワイン、シェリー酒など。〉

 イ 果実又は果実及び水に糖類を加えて発酵させたもの

 ロ 前号イ若しくはロに掲げる酒類又はイに掲げる酒類に糖類を加えて発酵させたもの

 ハ 前号イからハまでに掲げる酒類又はイ若しくはロに掲げる酒類にブランデー等又は糖類、香味料、色素若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の90を超えないものに限る。ニにおいて同じ。)

 ニ 果実酒又はイからハまでに掲げる酒類に植物を浸してその成分を浸出させたもの若しくは薬剤を加えたもの又はこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素若しくは水を加えたもの」

 ウイスキー(第15号):「次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第9号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。

 イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)〈モルトウイスキー(大麦を使用するもの)。〉

 ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)〈グレーンウイスキー(トウモロコシ、ライ麦などを使用するもの)。〉

 ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る。)」

 ブランデー(第16号):「次に掲げる酒類(イに掲げるものについては、第9号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。

 イ 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る。)

 ロ イに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る。)」

 原料用アルコール(第17号):「第9号又は第10号の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が45度を超えるものをいう。」

 発泡酒(第18号。2023年9月30日までの定義):「麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(第7号から前号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のものに限る。)をいう。」

 発泡酒の製法はビールと同様であるが、麦芽の重量の比率が50%未満であるか、果実や香味料の使用量が麦芽の重量の5%を超えると発泡酒となる。輸入品の「ビール」の中には、日本の酒税法に照らせば発泡酒として扱われるものも少なくない。また、日本の「地ビール」として発売されるものにも発泡酒として扱われるものが存在する。

 発泡酒(第18号。2023年10月1日からの定義):「次に掲げる酒類(第7号から前号までに掲げる酒類を除く。)で発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のものに限る。)をいう。

 イ 麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)

 ロ イに掲げる酒類以外の酒類で、ホップ又は財務省令で定める苦味料を原料の一部としたもの

 ハ イ又はロに掲げる酒類以外の酒類で、香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして政令で定めるもの」

 【★イは従来通りであり、ロとハが新たに加えられた。これにより、「新ジャンル」は、2023年9月30日まではその他の醸造酒またはリキュールとして扱われるが、2023年10月1日からは発泡酒として扱われることとなる。】

 その他の醸造酒(第19号):「穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第7号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が20度未満のもの(エキス分が2度以上のものに限る。)をいう。」〈どぶろく、マッコリなど。〉

 スピリッツ(第20号)「第7号から前号までに掲げる酒類以外の酒類でエキス分が2度未満のものをいう。」

 リキュール(第21号):「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの(第7号から第19号までに掲げる酒類、前条第1項に規定する溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く。)をいう。」〈カシス、カンパリなど。また、梅酒はリキュールに分類される。〉

 粉末酒(第22号):「前条第1項に規定する溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状の酒類をいう。」

 雑酒(第23号):「第7号から前号までに掲げる酒類以外の酒類をいう。」

 酒母(第24号):「酵母で含糖質物を発酵させることができるもの及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるもの並びにこれらにこうじを混和したもの(製薬用、製パン用、しようゆ製造用その他酒税の保全上支障がないものとして財務省令で定める用途に供せられるものを除く。)をいう。」

 もろみ(第25号):「酒類の原料となる物品に発酵させる手段を講じたもの(酒類の製造の用に供することができるものに限る。)で、こし又は蒸留する前のもの(こさない又は蒸留しない酒類に係るものについては、主発酵が終わる前のもの)をいう。」

 こうじ(第26号):「でん粉質物その他政令で定める物品にかび類を繁殖させたもの(当該繁殖させたものから分離させた胞子又は浸出させた酵素を含む。)で、でん粉質物を糖化させることができるものをいう。」

 保税地域(第27号):「関税法(昭和29年法律第61号)第29条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。」

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月曜日の朝、高津駅(DT09)

2022年07月13日 09時00分00秒 | 写真

再び、東急8500系で唯一、田園都市線に残っている8637Fに乗ることができました。月曜日の朝、高津駅でのことです。

まずは、ホームのない2番線を、大井町線急行溝の口行きの東急6000系6102Fが通過していきます。

4番線に8637Fが到着しました。各駅停車南栗橋行き(渋谷駅から先は急行)として、東京メトロ半蔵門線、東武伊勢崎線、東武日光線に乗り入れます。私は渋谷駅まで乗りました。

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特に意味はありませんが

2022年07月09日 00時35分00秒 | 写真

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消費税の税収が2年連続で第1位

2022年07月07日 00時00分00秒 | 国際・政治

 私は、講義の関係で毎年度の国家予算を手に入れ、読んでいます。

 2014年度以降、消費税が税収の1位となることが多くなりました。所得税と消費税が1位と2位を占めており、少し開いて3位に法人税となる傾向が続いています。一方、決算においても同様の傾向が現れており、法人税の存在感が低下しているとも言えます。これは、少なくとも第二次安倍晋三内閣発足以降の傾向です。さて、2021年度はどうだったでしょうか。朝日新聞2022年7月6日付朝刊3面14版に「税収67兆円、2年連続最高 昨年度 経済回復で消費税増」(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15345814.html)という記事が、同朝刊6面13版◎●に「消費税最多、増す存在感 所得の再分配機能、低下傾向」(https://digital.asahi.com/articles/DA3S15345769.html)という記事が掲載されています。

 2021年度の税収は過去最高の更新となりました。これは7月5日に財務省が発表したところで、2年連続であったとのことです。

 一般会計の税収は67兆379億円(およその額。以下も同じ)で、消費税が21兆8886億円(+9172億円)、所得税が21兆3822億円(+2兆1924億円)、法人税が13兆6428億円(+2兆4082億円)となっています。COVID-19の蔓延で税収が下がったかと思われていたかもしれませんが、2020年度ほどの状況ではなかったということと、法人税の収入の増加は円安が一因、所得税の収入の増加は株の配当が増えたことが一因という趣旨が、記事には書かれています。勿論、もう少しの分析が必要ですが、今はこのままとしておきます。ただ、上記3面記事に「コロナ渦で業績が低迷する中小企業も多いが、その多くはもともと赤字で法人税を納めておらず、税収への影響は小さいという」と書かれており、税収の増加が景気の動向とあまり関係がないようにも見えることが気になります。それだけ、日本国内における経済格差が拡大しているとも言えるでしょう。配当所得が多くなっているために所得税収が増えているとすれば、配当の増額が一部の国民および法人にのみ恩恵をもたらしているということが推測されます。かなり大雑把な表現となりますが、株などの投資に収入を向けられるのは高所得層に限られるであろうからです。

 ここで想起されるのが、岸田文雄内閣総理大臣が就任早々に打ち出した「新しい資本主義」です。具体的な内容が果たして新しいものであるか、など、疑わしい点は少なくありませんが、資産所得倍増計画は、池田勇人内閣時代に打ち立てられた所得倍増計画と似て非なるものであり、当初から所得の再分配とは無縁であるとも言えるでしょう。そのことにつながるのが、決算に示される税収の成果です。

 既に記したように、年度予算では消費税が税収の第1位を占める傾向が強くなっているのですが、決算においては所得税が第1位となることが多かったのでした。しかし、2020年度の税収では消費税が第1位となりました。これは、2020年度の状況を思い起こせば明らかで、所得税が第1位になりうる状況ではなかったのです。一方、消費税は、上記6面記事にも書かれているように「高齢者も含めた広い世代が負担し、景気に左右されにくい安定財源だが、税率が一律のため低所得者ほど負担が重く、累進性とは逆の性質を持つ」ものです。但し、それだけではなく、納税義務者である事業者にとっては赤字であろうが何であろうが売上がある限り負担をしなければならない租税です(この点も記事には書いていただきたいものです)。消費税の再分配機能の低さは、担税者である消費者のみの問題ではないと考えられるのです。

 一方、上記6面記事においても正当に指摘されていますが、所得税のうち、利子所得や配当所得の場合は超過累進税率ではなく、比例税率が採用されています。そのために「金融所得の割合が高い富裕層ほど実質的な税率が下がる問題も改善されないままだ」ということになります。また、法人税の税率引き下げも、世界的な観点からの日本企業の活性化には程遠く、内部留保の貯め込みという内向きの結果になっています。従業員の待遇改善にも向かっていないので、或る意味では「引きこもり」増産的な結果になっているとも言えます。上記6面記事によれば、OECDの2015年報告書で日本の再分配機能がOECDの平均を下回っていることのことです。なるほど、平成は「失われた30年」であった訳です。

 さらに聞き捨てならないのは、税収と歳出との差です。しかも、2021年度予算における歳出予算のうち、執行できずに2022年度に繰り越されたのは22兆4000億円でした。これは2021年度に次ぐもので、何のために租税を徴収したのかと問われかねない結果です。しかも、2021年度予算に計上されたはずの歳出予算のうち、繰り越されないままに不用とされたのが6兆3000億円で、これは過去最高だったとのことです。それなら国債の償還費などに充てるべきであったでしょう(予算の流用などが難しいことを承知の上で記しています)。今の日本は、或る意味においてギャンブル中毒の借金持ちのような状態になっていると言えないでしょうか。返せる時に金を返さないという点がよく似ています。

 さて、2022年度の税収はどのようになるのでしょうか。円安(自国の通貨を弱くすることを本気で考える政治屋や経済屋の思考回路はどうなっているのでしょうか。日本では食料を始めとして輸入品が増えていることは、小学生でも知っています)、国際情勢の悪化により、所得の再分配とは程遠い成果になることは目に見えています。国際情勢の悪化に対応できないという点では、70年以上にわたる日本国憲法のツケと言えなくもありませんが、外交下手はおそらく平安時代からの伝統でしょう。

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Ich bin vierundfünfzig Jahre alt. / J'ai cinquante-quatre ans.

2022年07月05日 07時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

今日、54歳になりました。

世の中がますます悪くなっていくような気がしています。日本だけのことでしょうか。

 私が小学校1年生の時にデビューした8500系も、東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東武伊勢崎線・東武日光線を走るのは青帯のBUNKAMURA号、8637Fのみとなりました。朝のラッシュ時に、各駅停車南栗橋行きとして運行されたところを撮影しました。

 左の9000系9004Fも、1980年代後半にデビューしていますから30年以上が経過しています。置き換えの話が出ているようです。

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東急8500系の完全引退間近、ということで

2022年07月03日 08時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 このブログを御覧の皆様は、私が鉄道ファンであることを御存知のことでしょう。

 ただ、おそらくは少数派に分類されるはずです。私は、国鉄・JRの車両などにはあまり関心が強くなく、特に特急用車両や急行用車両のことはよく知りません。乗る機会が少なかったからです。故宮脇俊三氏など、ロングシートでは旅行の情緒がないなどと主張する鉄道ファンは多いのですが、私はむしろ逆で、ロングシートに馴染んできました。さすがに新幹線や特急料金を徴収する列車であればクロスシート(できれば回転クロスシート)を好みますが、そうでなければロングシートで十分であると考えているのです。東京の地下鉄がクロスシートを採用していたら私は忌避しますし、大手私鉄などで朝のラッシュ時にクロスシート車を運用していたら、よほど乗客が少ない閑散路線であろうと思うくらいです。それに、二人席の相席状態というのは、座席指定でもされていない限りは気まずい思いをしたりするものです。実際、私は東武東上線の川越特急に乗る際に、二人席に一人でも座っていたら車内で立っています。

 このような私が、幼少時から最も馴染んできたのは東急の車両でした。東急線の沿線に生まれ育った訳でもないのですが、東横線や田園都市線に乗り、渋谷、自由が丘などへ行く機会が少なくなかったからでしょう。

 東急といえば、渋谷駅前のハチ公前広場に展示されていた初代5000系、日本最初のステンレスカーである5200系、日本最初のオールステンレスカーである初代7000系、日本最初のワンハンドルマスコン採用車である8000系などがあります。いずれも、私が幼少時から乗って馴染んでいたものです。とくに、1975年に製造開始、同年に東急線での営業運転開始、1976年に鉄道友の会のローレル賞を受賞した8500系は、小学生時代から現在まで、一体何度利用し、撮影してきたかわからないほどに、愛着を感じていたのです。通勤用車両としてのデザインは、この8500系ほど優れたものはないと思っているほどです。派手さはないのですが、しっかりとまとまっています。デビュー当時の技術水準などに鑑みれば、粋、通、という概念が当てはまるような気がします。大袈裟かつ的外れかもしれませんが、1970年代に登場した日本の鉄道車両の中で、東急8500系ほどの傑作はないのではないでしょうか。その意味では、鉄道友の会のローレル賞に相応しくなかったかもしれません。何故なら、国鉄50系客車、名鉄600形電車など、時代を読めなかったという意味において的外れとしか言い様のない受賞車があるからです。

 

 その8500系も、2022年度中に東急線から完全に引退することが決まっています。東急のステンレスカーで初めて赤帯をまとったこの系列の最後の赤帯車である8631Fが引退したことにより、青帯車である8637Fのみが朝夕のラッシュ時に運行されるだけとなってしまいました。

 このようなことで、東急線の売店で8500系関係グッズが多く売られるようになりました。8500系ファンとしてはあれこれと買いたくなるものばかりです。

 上の写真は、8500系のデハ8500形およびデハ8600形に装着されたことのあるヘッドマーク、または車内に付けられたローレル賞受賞エンブレムを模したキーホルダーのセットです。二子玉川駅の売店で買いました。いくつかは実物で見ていますし、そうでなくとも写真で見ています。

 梶が谷駅の売店でマグネットを見つけたので買いました。まずはTOQ BOX号であった8634Fです。当初の赤帯とTOQ BOX号時代のデザインです。TOQ BOX号時代でもデザインの変更が行われたことがわかるものとなっています。

 マグネットセットは二種類があり、どちらも購入しました。もう一つのセットが、青帯の8637FでTOKYU CABLE TV号でも現在のBUNKAMURA号でもない時のもの、最後まで方向幕のままであり、現在は長津田車輌工場に保存されている8606F、そして末期は伊豆急カラーであった8614Fの、いずれもデハ8600形のデザインです。

 二セットを購入したことが妻に知られましたので、半分以上は呆れられたことでしょう。それでもよいと思っています。

 実は、私が東急に愛着を感じる理由として、幼少時から利用し続けてきたということ以外のものがありますが、ここには記さないこととします。

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或る意味で当たっているのですが

2022年07月02日 09時00分00秒 | 国際・政治

 昨日(2022年7月1日)の21時28分付で朝日新聞社のサイトに掲載された記事(https://www.asahi.com/articles/ASQ7171Y8Q71UTFK02L.html)が気になりました(敢えて見出しを示すのは避けます)。

 某県某市での講演会で某氏の講演が行われました。その際に「普通の生活をしている時に、安全保障や防衛を考える機会はあまりない。それは良いことなんですよ」、「『(安全保障について)考えない方が悪い」という人がよくいるが、それは世の中が分かっていない。(中略)『政治に関心がないのはけしからん』とえらそうに言う人もいる。しかし政治に関心を持たなくても生きていけるというのは良い国です。考えなきゃ生きていけない国のほうがよほど問題なんだ」という発言があったようです。

 或る意味では当たっています。しかし、全てが当たっている訳ではありません。今のドル安、物価高を初めとする経済面なども含めて考えれば、政治に無関心な者が多いということは問題であることが明らかです。

 もう20年程前の話ですが、選挙に関心がない有権者は寝ていてくれればよい、という趣旨の発言が、時の内閣総理大臣からなされました。上に引用した某氏の発言も同じ系統に属するものでしょう。政治家が投票率を低める発言をしてどうするのかと思うのですが、組織票が固ければそれでよい訳ですから、下手に高めては浮動票が多くなってしまいます。

 しかし、選挙で選出される議員が選挙を否定する発言を行うのは、いかがなものでしょうか。民主主義国家を自称しながら、民主主義の根幹を否定しているのですから。

 それならば、日本国憲法の改正ではなく、正面から日本国憲法の廃止を訴えたらいかがでしょうか。カール・シュミット『憲法論』(Carl Schmitt, Verfassungslehre)を読み直さなければなりませんが、改正よりも廃止のほうが簡単にできるはずです。これまでなされた改憲論の中には、改正ではなく廃止を主張していると思われるものもあります。日本国憲法を廃止して新しい憲法を制定するほうが、筋としては通っていると考えられる訳です。

 ※※※※※※※※※※

 あまり関係のない話。時々思うのですが、一票の格差問題を考える際に、投票率を加味しないのは何故でしょうか。投票率を含めて考えるならば、選挙区毎の格差は少なくなります。

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東急グループ100周年

2022年07月01日 00時00分00秒 | 写真

二子玉川駅で、東急グループ100周年のラッピングが施された田園都市線用の2020系2122Fが1番線に到着したので、撮影しました。

 今年の9月2日に東急グループの創立100周年を迎えるということで、4月10日からこのラッピングが施された車両が田園都市線、東横線、大井町線を走っています(目黒線などでも走っているかもしれませんが、見たことがありません)。100周年というのは、現在の目黒線および東急多摩川線の原型を創った目黒蒲田電鉄が1922年に設立されたことに由来します。

車内では、東急グループの歴史を示す写真や動画を見ることができます。BUNKAMURA号とは別の意味で、乗っていて楽しい編成です。

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