JR西日本の美祢線が全線不通となったのは2023年6月のことです。それから1年以上が経過していますが、2021年度の平均通過人員は366、2022年度のそれは377と、JR西日本が積極的に鉄道での復旧に乗り出すとは思えないレヴェルに留まっています。実際に、「美祢線の復旧はいかにあるべきか」において記したように、今年(2024年)5月に開かれた美祢線利用促進協議会の総会においてJR西日本は単独での復旧や運行が困難であると表明しました。
さて、美祢線利用促進協議会の臨時総会が7月30日に山陽小野田市で開かれました。朝日新聞社が、2024年7月31日の10時30分付で「美祢線復旧と他の交通手段、両方を検討する部会設置へ JRや沿線市」(https://www.asahi.com/articles/ASS7Z4TW2S7ZTZNB001M.html)として報じていますので、この記事を引用または参照しつつ、記していきます。
今回の臨時総会ですが、これは5月の総会においてJR西日本が「持続可能性などを議論する部会の設置を提案」したことを受けたものです。もっとも、臨時総会で決定されたのは「鉄道の復旧と、鉄道以外の交通手段の両方を検討する部会の設置」、つまり「復旧検討部会」の設置に留まります。これが全会一致で決まったのは、やはり1年以上も美祢線が運休していることによります。
選択肢は、JR西日本の鉄道としての復旧、上下分離方式による鉄道としての復旧、日田彦山線の添田駅から夜明駅までの区間において採用されたBRT、完全な路線バス(つまり代替バス)、というところでしょうか。勿論、その他もありえますが、ここでは鉄道、BRT、路線バスを候補としておきましょう。部会において利便性、復旧費、運行費などを調査の上で検討することになるとのことです。当然、過去の実例も調査検討の対象になるでしょう。
おそらく、JR西日本は既に結論を用意していることでしょう。一応は「部会で鉄道の復旧費や運行費を提示する考え」であり、「部会では、ふさわしい交通手段を一つに絞らず、検討結果を総会に報告するという」のですが、「前提を置かない」ことになっている点には注意を要します。
また、臨時総会では「利用ニーズを把握するための住民アンケートの実施や、代行バスの運行本数を増便したうえで、停留所の拡充や快速便の導入などの実証をすることも決めた」とのことです。以前に記したことに関連しますが、この住民アンケートは安易な方向に流れやすいように思われます。仮に「普段は利用しない」と「鉄道路線として残したい」という回答数がともに多い場合には、「普段は利用しない」を優先して判断すべきです。「利用しないが、鉄道路線として残したい」という意見ほど無責任なものはないからであり、仮にこのような意見が多いようであったら即座に美祢線の廃止を決定すべきですし、このような意見を沿線自治体が支持するのであれば、その自治体は無責任極まりないものであり、公共交通を語る資格はありません。
ただ、鉄道、BRT、路線バスのどれを選ぶにしても、難題であることは否定できません。
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