ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

三箇日に溝口を歩く(4)

2015年01月22日 16時08分32秒 | まち歩き

溝口神社を出て、宗隆寺の前を通り、栄橋交差点に着きました。1990年代後半に完成をみた再開発により、この交差点も大きく変わりました。今回はその様子です。

 普段なら交通量が多いのですが、三箇日ともなるとさすがに車の量も少なめです。交差点の左奥は下作延で、旧大山街道でもある神奈川県道14号鶴見溝ノ口線と交差するのは南武沿線道路(正式には川崎都市計画道路3.5.6小杉菅線というらしい)で、手前側が溝の口駅、武蔵小杉駅方面、奥へ進めば津田山駅、久地駅方面です。

 現在は四つ角となっていますが、これは再開発の結果であり、以前は三つ角でした。南武沿線道路側の溝の口駅からこの交差点までの部分は、道路となっていなかったのです。従って、再開発事業完成前の時代、武蔵溝ノ口駅・溝の口駅から津田山駅方面へ、車で向かうには、現在のバス路線(小杉駅前行き、川崎駅西口北行き、向ヶ丘遊園駅東口行き、登戸駅前行き)と同じく、田園都市線のガード下を抜けて溝口交差点を左折し、旧大山街道を通ってこの交差点で右折する、というルートをとらざるをえなかったのです。

 我々は、この交差点を渡り、西口商店街を通って溝の口駅に向かいます。私の用事があったためです。或るブログでは田園都市線の異端児と称された溝口ですが、その理由の多くは西口のためでしょう。ずいぶんと寂れてしまいましたが、とくに夕方以降であれば、歩いていて楽しい所です(もっとも、酔客ばかりですが)。

先程にも記しましたが、栄橋交差点からこの方向の道が、わずか20年足らず前まではなかったのです(少なくとも大型自動車が往来できるようなものとしては)。

 奥にノクティが見えます。言うまでもなく、溝口の地名から来ています。一般的かどうかわからないのですが、「のくち」と略す言い方があり、それをもじったのでしょう。意外かもしれませんが、根っからの地元の人間は地名を略したりしないものです。小杉町のことを「むさこ」などという馬鹿な表現で言う人もいますが、これでは武蔵小杉なのか武蔵小山なのかわからない場合もあるでしょう。地元の人間は小杉、あるいは字の名称で言うかもしれません。

 いつの頃からか、栄橋交差点の東南側に、御覧のような案内板が建てられています。田園都市線の溝の口駅から二子新地駅までの間ということになりますが、溝口、二子は勿論、久地、諏訪にも関連するものがあります。だいぶ減ってしまいましたが、現在でも歴史的な価値のある建物が(高津交差点付近を中心に)いくつか残っています。

 また、7月下旬(最終の日曜日)に高津区民祭が行われます。会場は旧大山街道ですが、その南端が栄橋交差点です。二子新地駅付近まで(高津交差点を除いて)通行止めとなりますので、普段は車に追い立てられるように歩く人たちも、この時ばかりは堂々と道の真ん中を歩くこともできます。但し、人出は多いので、お気を付け下さい。

 そう言えば、この案内板には登場しないのですが、三丁目に糀ホールがあります。岩崎酒店の真上で、ミニクラシックコンサートなどが催されます。時々、名を見て聞いて驚くような方が来られるそうです(実際、何年も前にポスターで前橋汀子さんの名を見た時には驚きました)。実はまだ私も入ったことがないので、機会を見て行ってみようと思っています。

 現在はどこを見ても橋もなければ川もないような場所ですが、ここは二ヶ領用水と平瀬川が交差していた場所で、そこにかけられていたのが栄橋です。読み方ですが、この案内板には「さかえはし」と書かれています。

 東京、川崎、横浜では「××坂」を「××さか」と濁らずに読む所が多く、東急バスのバス停名には、その伝統に忠実なものがいくつかあります。例えば、横浜市都筑区にある道中坂下は「どうちゅうさかした」ですし、世田谷区にある深沢坂下は「ふかさわさかした」です。

 それはともあれ、ここ栄橋ですが、元々は境橋という名であったと書かれています。由来は、溝口村上宿(かみじゅく)と下作延村片町との境にある橋、ということです。また、別名として「馬上免(ばんじょうめん)橋」とも言われていました。案内板には「古代から中世にかけ、このあたりに馬上からの検見(見積もり)で税などが免除された田畑があったと伝えられている」と書かれています。

 境橋が栄橋となったのがいつの頃かはわかりませんが、明治21年に発行された溝口村の「地誌」に栄橋とあるとのことです。

親柱石が立てられています。再開発事業のために工事が行われた際に掘り出されたとのことです。


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