ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

神奈川県内の、鉄道敷設法別表に掲載された予定線

2014年11月29日 16時40分26秒 | 社会・経済

 2013年2月10日付で「鉄道敷設法別表第52号 意外な候補は大手私鉄の超有名路線だった?」という記事を掲載しました。その続きというようなところで、話を進めていきます。

 最近、青葉台で国土交通省鉄道局監修『注解鉄道六法平成26年版』(第一法規)を買いました。これは、言うまでもなく六法の類ですが、法律は勿論、政令や省令、さらに通達も掲載されている専門分野法令集です。店によって置かれているコーナーが違い、青葉台では工学のコーナーに置かれており、二子玉川ライズの文教堂では鉄道(趣味)のコーナーに置かれていました。溝口(正確には久本三丁目)の文教堂本店でも鉄道(趣味)のコーナーに置かれていたと記憶しています。

 さて、『注解鉄道六法』には「国鉄改革」の編があり、そこに鉄道敷設法が掲載されています。正確に記すならば、この名称の法律は二つあり、一つは旧鉄道敷設法とも言われる明治25年法律第4号〔他に北海道鉄道敷設法(明治29年5月法律第93号)などがありました〕、もう一つが別表で有名な大正11年4月11日法律第37号です。これまでこのブログで取り上げてきたのも大正11年の法律のほうです。

 別表で神奈川県に関係する予定路線として、どこがあげられているかは、興味のあるところでした。第52号は既に記していますが、他にどのような所があげられているか、書き写してみます(漢字は現在のものを使用します)。

 「五十ノ五 東京都国分寺附近ヨリ神奈川県小倉附近ニ至ル鉄道」

 「五十二ノ二 神奈川県桜木町ヨリ北鎌倉ニ至ル鉄道」

 「五十三 神奈川県横須賀ヨリ浦賀ニ至ル鉄道」

 「五十三ノ二 神奈川県塩浜附近ヨリ千葉県木更津附近ニ至ル鉄道」

 第52号は国有鉄道の路線としては実現しなかったものの、東急大井町線、田園都市線、小田急小田原線の各一部として実現しています。その他の予定路線はどうでしょうか。

 まずは上記の「五十ノ五」、つまり第50号ノ5です。「神奈川県小倉」とは現在の川崎市幸区小倉のことで、新鶴見信号場(旧新鶴見操車場)があり、その近くには新川崎駅もあります。そこから「国分寺附近」へ伸びる路線としては、武蔵野線が該当します。新鶴見信号場から府中本町駅までは貨物線であり、定期の旅客営業はありません。旅客化を望む声もあったのですが、JR側が難色を示したこともあり、実現していません。なお、武蔵野線の正式の区間は鶴見から府中本町、新座、新松戸を経由して西船橋までとなっています。従って、第50号ノ5は、実際には鶴見から府中本町までの区間となったことになります。

 武蔵野線は鉄道敷設法と深い関係のある路線で、「四十九ノ二 千葉県船橋ヨリ小金ニ至ル鉄道」、「五十ノ二 千葉県我孫子ヨリ埼玉県大宮ニ至ル鉄道」、「五十ノ三 埼玉県与野ヨリ東京府立川ニ至ル鉄道」として構想されていました。それぞれ、起点や終点が変更された上で、当初は貨物路線として開通した訳です。ちなみに、武蔵野線には国立から新小平までの貨物線もあります。

 以上の例から明らかですが、起点、終点のどちらかが変更された上で実現している例は少なくありません。

 次に「五十二ノ二」、つまり第52号ノ2です。これは現在の根岸線として実現しています。但し、桜木町から磯子を経由して大船までです。根岸線は、1964年に桜木町から磯子までの区間が開業し、1970年に磯子から洋光台までの区間、1973年に洋光台から大船までの区間が開業しています。

 続いて「五十三」、つまり第53号です。これが具体的にどのようなルートなのかが不明なのですが、JTBキャンブックスの1冊、森口誠之『鉄道未成線を歩く 国鉄編』によると、横須賀線の横須賀から久里浜まで、京浜急行久里浜線の久里浜から堀ノ内まで、および京浜急行本線の堀ノ内から浦賀までとして実現したことになります。ただ、地図を見ている限りでは違うルートなのではないかという気もします。

 最後に「五十三ノ二」、つまり第53号の2です。現在の東京湾アクアラインのように、東京湾を横断するのかと思いきや、そうではなかったのでしょうか。神奈川県の塩浜とは川崎市川崎区塩浜のことで、現在、東海道本線の川崎貨物駅があります。先の『鉄道未成線を歩く 国鉄編』によれば、面倒な話となります。

 まず、川崎貨物駅から東京貨物ターミナル駅までは東海道本線の貨物線として開業しています。この貨物線は浜松町に向かうのですが、上記の本では東京貨物ターミナルから天王洲アイルまでは未開業、天王洲アイルから新木場までは東京臨海高速鉄道りんかい線として開業、新木場から蘇我までは京葉線として開業、蘇我から京葉久保田までが京葉臨海鉄道(貨物線)、京葉久保田から木更津までは未開業、ということになります。

 単に私自身の興味で記してきました。詳しく調べた訳でもないのですが、川崎市には鉄道敷設法で建設が予定されていた路線が意外に多いと感じました。


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