JR西日本に吉備線という路線があります。岡山駅から備中高松駅を経由して総社駅までの非電化単線で、2003年にJR西日本が同線のLRT化を提案していました。
それから約15年、JR西日本と岡山市および総社市は、4月4日、吉備線のLRT化について合意しました。朝日新聞社のサイトに、4月4日22時57分付で「JR西、吉備線LRT化で沿線と合意 運営関与は全国初」という記事(https://digital.asahi.com/articles/ASL433DB0L43PTIL009.html)が掲載されています。
そもそもLRTとはLight Rail Transitの略なのですが、具体的に何を指すかということについては、見解が分かれるようです。上記朝日新聞社記事では「路面電車やバスなどをバリアフリーで乗り換えできる交通システム全体を指す。(中略)日本では低床の次世代型路面電車もLRTと呼ばれる」と書かれていますが、元々はドイツのシュタットバーン(Stadtbahn)を参考としてアメリカで発生した概念であるようで、専用軌道が基本となっているようです。日本では富山ライトレールが運営する富山港線が有名ですが、この他に東急世田谷線、筑豊電気鉄道線なども含まれます(但し、国によってLRTの概念なり範囲なりが異なることに注意を要します)。
吉備線の一日あたりの乗降客数は、2016年度で5749人です。岡山市北区を通りますが、利用客は減少しているようです。LRT化することにより、駅または停留所を増やし、利便性を高めようという狙いがあるのでしょう。もちろん、本数も増えることとなります。
JR西日本の路線でLRT化したところといえば、富山港線という先例があります。ただ、同線はLRT化に伴ってJR西日本の手を離れました。これに対し、吉備線はLRT化してもJR西日本が運営に関わります。これは日本で初のケースです。
上記記事によれば、初期費用は240億円程で、そのうちの24%をJR西日本が、29%を岡山市が、9%を総社市が、残りを国が負担することとされたようです。また、運行経費としては1年間に6億円程が見込まれており、JR西日本は5億50000万円を、岡山市と総社市が合わせて5000万円を負担することとなりました。
富山港線の場合は一部区間の経路変更が行われ、併用軌道が新設されましたが、吉備線の場合はどうでしょうか。また、富山市には富山港線の他に富山地方鉄道が運営する富山市内線(軌道線)があり、現在は行われていないものの富山港線と富山市内線との直通運転も検討されているようです。吉備線をLRT化した場合、岡山電気軌道の路線と接続、さらに相互直通運転などは考えられているのでしょうか。現在の吉備線はJR西日本の在来線ですから軌間は1067㎜であり、岡山電気軌道の路線の軌間も1067㎜で吉備線と同じです。LRTということであれば吉備線を電化しても直流1500ボルトではなく600ボルトで電化するでしょう。そうなれば、岡山駅の構造次第では直通運転が可能でしょう。ちなみに、富山港線がLRT化される際には、1500ボルトから600ボルトに降圧されています。
直通運転にこだわる必要はないのですが、乗り換えなどが厄介でないことが大事であると考えられます。吉備線のLRT化には注目すべきでしょう。
あるいは対面乗り換えできるような線路配置になってほしいものです。
ただ私の住んでいる都区内では、災害時自転車を含めて車両通行禁止になってしまいます・・・