ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

文書隠しの問題か そうでなくとも管理の問題

2018年04月03日 00時00分00秒 | 国際・政治

 「もり・かけ」だったら蕎麦屋、「もり・かけ・スパ」であればどこのファミレスかと思えるような話ですが、朝日新聞朝刊に森友問題での文書改竄が1面トップ記事として掲載されたのは、ほぼ1か月前、3月2日のことでした。私もこの記事を切り抜いておきましたが、公文書に関わる問題は何も森友問題だけではなく、現在の政権において頻発しています。改竄はもとより、異常な程の短期間での廃棄などです。

 どう考えても、先進国のやることではありません。後進国(敢えて使います)が行うことです。少なくとも、公文書の管理という行政の基本が踏まえられていません。森友問題は、まさにこの行政の基本が蔑ろにされたという点で大問題なのです。このことを理解していない政治家なども少なくないのかもしれませんが、仮に理解が広められていないとすれば、日本は、公文書の管理、もう少し広げて情報の管理という点において失敗国家以外の何物でもありません。 

 そのために、私はこのブログで「情報公開法制は、情報を速やかに廃棄するためにある」、「政府は情報公開法廃止法案でも提出したらどうでしょうか」などと書いてきたのです。半分冗談ですが、半分本気です。この5年程の間に、情報公開法や個人情報法護法などの存在意義がなくなっているからです。背伸びしてもしょうがないでしょう。おまけに、21世紀に入ってからそれなりの期間が経過しようとしている時に忖度だの何だのと、江戸時代か何時代かというようなことが平気で行われる始末です。

 最近、渋谷、日本橋、青葉台などの書店に入ると、民主主義の限界論に関する書物が目に付くのですが、それはヨーロッパやアメリカについては妥当する部分が多いとしても、日本ではどこまでなのか、疑いたくなることがあります。限界というのは、民主主義なら民主主義を進み抜いて初めて当たる壁です。しかし、文書隠し、文書改竄、忖度などは、民主主義を進み抜くどころか、民主主義の入口にようやくたどり着いたか未だにたどり着いていないかのどちらかというところでしょう。つまり、まだ入り込んでもいないということです。

 こんなことを書いてきたのは、4月2日の18時8分付で、朝日新聞社のサイトに「イラク派遣の日報、存在していた 政府『ない』と答弁」(https://www.asahi.com/articles/ASL425WRTL42UTFK00Z.html)という記事が掲載されたからです。

 日報と言えば、自衛隊が南スーダンに派遣された際の日報の廃棄を思い出しました。実はこれも、廃棄されたはずがデータとして保管されていたという話なのですが、それ以上に驚かされたのは、日報の保存期間が1年未満と異常な程に短かく設定されていたからです。コピーであればともあれ、原本としては短すぎるのではないでしょうか。

 上記記事は陸上自衛隊がイラクに派遣された際の日報に関するものです。2004年から2006年までのうち、376日分でおよそ14000頁にのぼっており、こうした日報が防衛省内で見つかったと防衛大臣が発表したのでした。昨年2月の国会では不存在(正確に言えば、見つけられなかった)という答弁がなされていました。

 記事にはこれ以上のことが書かれていませんので、詳しいことはわかりません。考えられるのは、①存在していることはわかっており、しっかりとした保管もなされていたが、見つからないと報告された、②存在していることはわかっていたが、どこに保管されているのかわからなかった、③既に廃棄して存在していなかったはずであるが、実は何らかの意図の下に保管されていた、④既に廃棄して存在していなかったはずであるが、実は廃棄の手続などに瑕疵があり、残されていた、というところでしょうか。

 いずれにせよ、今年つまり2018年は、公文書の管理という基本問題が日本では疎かにされていたことを示す事件が次々に明らかになった年です。この際なので、もっと徹底して追及し、膿を完全に出し切る必要があります。一度にさらされる恥は大きくなりますが、痛みは一時のことです。膿を出し切らなければ、さらに化膿して、将来に取り返しの付かないこととなるでしょう。

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 4月2日付の朝日新聞社のサイトの記事では、編集委員の原真人氏による「首相が疎む財務省、皮肉な集中砲火 『悪玉論』の行方は」(https://www.asahi.com/articles/ASL3Y65Q4L3YULZU014.html)も必読でしょう。毎週火曜日の朝刊に掲載される「波聞風問」の一記事です。


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