ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

西武小田原店と船橋店が閉店するというニュースを見て

2017年08月29日 08時00分00秒 | 社会・経済

 西武百貨店と言えば、旗艦店は何と言っても池袋店ですが、私が幼い頃から渋谷店があり、何度か入りました。

 一時期は関東地方に限らず、北海道は札幌や旭川、近畿は大阪・心斎橋や神戸、さらに四国は高知にもありましたが、店舗が少なくなりました。昨年には春日部店が閉店し、少なくとも関東では比較的大きく報じられました。今年に入ってから筑波店や八尾店が閉店していますし、10月には西武高槻店およびそごう神戸店がエイチ・ツー・オーリテイリングに譲渡されることとなっています。そう言えば、川崎駅東口のルフロンにも川崎西武がありました(今はヨドバシカメラとなっている所です)。

 さて、セブン&アイ・ホールディングスの傘下であるそごう・西武が運営し、いつのまにか「百貨店」が取れて「西武」とだけ言うようになった西武百貨店ですが、来年2月末に小田原店と船橋店が閉店することとなりました。朝日新聞8月26日(土)付朝刊11面14版掲載の「西武船橋店・小田原店を閉店 来年2月末 経営資源集中へ」という記事で報じられていました。また、「西武小田原店 営業終了のお知らせ」および「西武船橋店 営業終了のお知らせ」も読んでみました。

 私は、小田原店、船橋店のどちらにも行ったことがありません(そもそも、小田原市、船橋市のどちらにも、行ったことがあまりないのです)。従って、どのような状況なのかを詳しく知りません。

 小田原店のほうは、元々ロビンソン百貨店としてオープンし、長らく親しまれてきたのですが、2009年にそごう・西武に統合されました。上記朝日新聞記事に「駅から遠いアクセスの悪さから集客に苦戦し、17年連続で営業赤字を脱せなかった」と書かれているので、どこにあるのかと思って地図を見ると、一番近い駅は小田原駅ではなく、鴨宮駅でした。その鴨宮駅からでもかなり離れています(直線距離で1キロメートルくらいでしょうか)。スーパーマーケット(西武小田原店の近くにイトーヨーカドーがあります)や郊外型ショッピングモールなどであればともかく、百貨店は厳しかったのではないでしょうか。売上高のピークは2003年度だったとのことですが、その時でも営業赤字だったようです。2017年2月期の売上は2003年度の半分程度にまで落ち込んでいたとのことです。

 船橋店のほうは、JR船橋駅の南側にあります。北側が東武百貨店なので、池袋と少し似ています。西武船橋店は1967年に開店しており、西武百貨店が池袋以外の場所へ進出する、言い換えれば多店舗化のはしりのような存在でした(渋谷店は1968年に開店)。こちらは郊外型ショッピングモールなどの勢いに負けたようで、8年連続の営業赤字でした。売上のピークは1991年度で551億円であったのが、2017年2月期には169億円となっていました。

 船橋店のほうは自社ビルであるとのことですが、小田原店のほうはどうなのでしょうか。

 少し前まで「爆買い」などと言って、東京の百貨店の売上げは大きく伸びたなどと報じられましたが、バブルと言うべきであったのか、短い時間でした。しかも、その「爆買い」による恩恵は、或る意味では当然のことですが東京、大阪といったような所に限られました。そして、2016年(度?)の百貨店の売上げは、全国で6兆円を下回っています。これは36年ぶりとのことです。

 百貨店の閉店はそごう・西武だけの話ではありません。今年、三越も、千葉三越と多摩センター三越を閉めています。しかも多摩センター三越は多摩そごうがあった場所でもあります。

 ここまで書いて、思ったことがあります。百貨店、デパートという形態は、少なくとも日本では古い、いや、昔ほど多くの人々を引きつけなくなっているものとなっているのではないでしょうか。

 私がまだ10代であった頃(1970年代後半から1980年代後半まで)に、日曜日の18時半から「サザエさん」を見ていて、一家で買い物というと百貨店というシーンが出てくる度に「古いなあ」、「今、こんなことを言い合ってる家族はどの程度あるんだろう」などと思ったものです。アニメの時代設定からすれば仕方がないところでしょう。ただ、それにしても、とは思うのです。ちなみに、大分大学に勤務していた時代から、私は「サザエさん」をほとんど見ていません。

コメント (3)
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