在ウクライナの米国大使館が、キエフから退避して、ウクライナの最西部のリビウに移った。
ウォールストリート・ジャーナルによれば、国務省はコンピュータなどを破壊して出るよう命令してるみたいだ。
つまり、撤退の時みたいな仕様。何をどう言いつくろっても、逃げた、としか言えない。
U.S. Is Closing Kyiv Embassy, Relocating Diplomatic Operations to Western Ukraine
青いところがよりロシア、赤いところが一応西側といういつもの図。
キエフは真ん中で、そこから一番西の、Livivに行く。ほぼポーランド国境近く。
アメリカからはもう1つ。ペンタゴンは引き続き、米兵がウクライナで戦うことはないと明言している模様。これはずっとそうだがまた言った。
Pentagon reveals if US troops will fight in Ukraine
他方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ここ数日、オリガルヒとかビッグ・ビジネスのオーナーたちがウクライナからチャーター機で出国したことを非難。
加えて、キエフから出ていった国についても非難している。
Also, he described as erroneous the decision by some foreign diplomats to move to western Ukraine in the context of current tensions.
そして、ウクライナで戒厳令の噂が出回っているそうで、キエフ政権の防衛大臣が否定してる。
No grounds to impose martial law in Ukraine - defense minister
そして、ロシアでは、ロシアの下院が、ドンバスの2つの共和国をロシア連邦が承認するか否かの審議が開始される。
State Duma to consider two competing appeals to president on Donbass — speaker
"The issue of the appeal to the president about the need to recognize the Donetsk and Lugansk people’s republics will be considered tomorrow in preferential voting," he said. "The version that will collect more votes in the preferential voting will be adopted."
ドネツクとルガンスクの各共和国は既にロシア連邦に認めてください、編入してくださいという態勢はとっくにできている。
またロシア国民も、ウクライナ全部の面倒を見るなんてことはまっぴらごめんだが、ドンバスは命がけでロシア世界に残ろうとした人々だし、ロシア人たちもいろんな具合に戦っているので、是非とも救わねばならん、ってのが合意されている。
これをロシア連邦政府が前に進めない理由はただ1つ。ミンスク合意こそウクライナ問題の唯一の解決法であると自ら宣言し、ドイツ、フランスも宣言し、それを国連総会に持って行って正規の手続きにしたから。
だがしかし、過去7年間、ヨーロッパ人たちはこれを前に進めなかった。
すなわち、キエフの政権に、ドネツクとルガンスクの人たちと話し合うよう進めなかった。各共和国に多少多めの独自性をもたせて自治共和国にして、もって連邦制にしろということは、ウクライナの一体性の保持ではあるわけです。それすら努力せずに、ウクライナの一体性を擁護するもない。嘘ばっかり言ってるのが西側。
で、始終キエフ政権に爆撃されたり銃撃されてるわけだから、人道的に考えてロシア連邦が2つの共和国を認めて、連邦の一部にしていく道が出来ても、もはや仕方がない。
で、もしこれをやると、しかしながら、西側各国とそのメディアが再び、クリミアの時と同様、ロシアが侵略して取ったのなんのと言うわけでしょ?
そしてどうなるかというと、ロシアに「甚大かつ即時の結果をもたらす経済・金融制裁」を科す、とか宣言していくんでしょう。
こんなの。
G7財務相、ロシアに経済・金融制裁の用意 侵攻なら
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR148L30U2A210C2000000/
声明文では、G7はロシア経済に「甚大かつ即時の結果をもたらす経済・金融制裁」を科す用意ができていると強調した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR148L30U2A210C2000000/
声明文では、G7はロシア経済に「甚大かつ即時の結果をもたらす経済・金融制裁」を科す用意ができていると強調した。
だがしかし、あら不思議。侵略しようがしまいが、いずれにしても、何をしても制裁すると息巻く。
だったら、2つの共和国を承認した方が、多くの人間にとって幸せだな、とロシア連邦議会が判断し、それを大統領に認めてくださいねと念押しするかもしれない。
この場合、誰が困るんでしょう。それはヨーロッパ。
ヨーロッパが苦境を乗り切るためには、キエフにドンバスと話せといって、ドンバスがOKと言ってくれないとならない。ロシアの国会の動きの方が早ければ、そっちに取られてしまう。
つまり、ぐずぐずしてたら、ヨーロッパは本当に大けがだぞ、もう知らないからな、とロシアに最後通牒を突きつけられている、って感じか。
■ 何がなんだか
クーデター仲間はどう振舞ってるんだろうか?
でも、経緯として、3か月粘ったがロシアが引っかかってくれないどころか、多分、ウクライナの前線もひっかかってくれなかった。自分らがツールだと気づかれちゃった。
そこで、こうなったら、ロシアがロシアがロシアが~と叫びながら退避して、ドンバス承認なんてことになったら、そうらやっぱりウクライナを破壊する気だったのだ、それ見たことか~とか言い出す?
どんなスーパーパワーやねん、といったところ。
■ オマケ
どうしてウクライナからビッグ・ビジネスとかオリガルヒが逃げたのか。
そりゃ仲間割れもあるんだろうけど、でも、全体として、カザフスタン効果もあるのかも。
ベラルーシ、カザフスタンと、ロシアが入っていくことで、それまでの30年間西側のバックで生き生き金儲けをしていた層が逮捕とお取り調べにあってる。オリガルヒたちは、明日でなくとも遅かれ早かれウクライナもそうなる、と読んだのではなかろうか。
カザフスタンのトカエフ大統領は、1月の政変の後、9月あたりを目途に政体をリフォームすると言っているが、その中で、social contract(社会契約)という語を使っていたのが私の目を引いたのだった。
「総じて、国家と社会の関係の変革はもっと早くにすべきだった。私たちには新しい社会契約の形が必要だ」
“overall, a transformation of relations between the state and the society is overdue. We need a new form of social contract.”
と言ってた。これはつまり、ソビエトの中央が勝手に割れたら構成共和国がみんなバラバラになっちゃった、というソ連の割れ方において、ソビエト国民の意思は全然反映されていなかった、ということを思い起こしての発言ではなかろうか。であれば、ベラルーシ、ウクライナにもそれは言える。
ウクライナがバンデラ主義者の国になるなんて、大多数のウクライナ国民は聞かされてない。
2年前TAKUMIさんのホロコースト記事に深く感嘆したのですが同じ時期、こちらの方のブログも発見し、尚更感慨一入でした。アウシュビッツで解放された側と解放した兵士それぞれの回想でした。
https://yocchan31.blogspot.com/2020/02/75.html
自分ではとても捜して来られない有用記事を載せてくれるTAKUMIさんと共に大変頼りにしてます。
https://yocchan31.blogspot.com/2018/04/blog-post_11.html
『西側はどうしてロシア人には我慢ならないのか』もいつもDEEPLYJAPANさん読んでるので笑えました。ここ数日はこちらと2ブログを真っ先にチェック。ついてるコメントも皆さん機知に富んでるのが共通ですよね。
TAKUMI様、不躾によそ様のurlを貼付けましたがご不快の際はどうかご容赦を。存分に削除して下さい。