イギリスが5Gシステムからファーウェイ製品を外すことにしたそうだ。前は限定容認だったから方針転換。
英、ファーウェイの5G製品排除へ 限定容認から一転 中国反発
[ロンドン 14日 ロイター] - 英国のジョンソン首相は14日、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の製品を第5世代(5G)移動通信システムから2027年までに完全に排除すると発表した。当初は同社の限定的な参入を容認する姿勢だったが、方針転換した。
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2020/07/284379.php
とはいえ、2027年までにというのはだいぶ時間的な猶予があるのではあるまいか。どうなんでしょう、このへん。
全体的には、5アイズ+日本は死守、みたいな恰好の上に、できれば韓国、ベトナム、インドを加えて、アメリカ属国群を維持したいって感じなんでしょう。
「中国と関係を完全に断ち切る」。コロナ禍で支持率低下に苦しむトランプ大統領は5月、感染拡大を中国の責任と糾弾し、経済関係断絶の可能性にまで踏み込んだ。同じ頃、米国務省が描く脱中国化構想が表面化。「経済繁栄ネットワーク」と称する構想は、次世代通信規格(5G)から医療物資まで幅広い分野を網羅し、日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、ベトナムの参加を想定する。今秋の米大統領選に向けた思惑先行の面もあるが、「アジア太平洋以外への拡大」(米高官)も視野に入れた世界戦略だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/db6f1f5fae89fd69e8998fd7d9d1d0f0eaac3ebd
とはいえ、完全になんてことができるわけもなく、アメリカだってそんなことできない。
アメリカが市場開放してくれたって、足らない。アメリカって中国に比べるとサイズ的に見劣りする。部分的には技術的にも見劣りする。
10年ぐらい前は、そうはいってもアメリカの秩序、アメリカが仕切る秩序にそれなりに期待もあったわけだけど、最近はあのお馬鹿で下劣な大統領選挙を見るにつけ、ああいうのに期待しても仕方がないと感じている向きもさぞや多かろうと思う。
仕組みのことより、それより利口なリーダーがいることが何より肝心なんだな、みたいなことを考え出す人は今後ますます増えるでしょう。
そこでアメリカ中心主義の囲い込み運動が行われているのが現在って感じでしょうか。
windowsが世界一優れたOSだというのではない、そうではない、シェアが高いから優れているのだ、みたいな倒錯が現在のアメリカを規律している。
そして、その成果がどうあれ、極東にては日本を中国向けの噛みつき犬にしましょう作戦が何かとっても熱心に行われている気がする今日この頃。
日経はわざわざ電話取材してボルトンからコメントをもらって、こんなことを言わせている。
ボルトン氏「香港自治、侵害防げたかもしれない」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61524090V10C20A7000000/
香港のことを見出しにしてるけど、問題はむしろこっちではなかろうか。予防的先制攻撃を可能にする態勢のこと。
日本が議論を始めた、攻撃を受ける前に相手の拠点をたたく敵基地攻撃能力に関し「日本の検討を支持する」と述べ、歓迎する意向を示した。その理由を「中国の問題に対処するため」だと説明し「米国は特に東アジアや太平洋の同盟国の関係をさらに緊密にしたい」と語った。
日本政府は地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を断念した。その代替策として敵基地攻撃能力を保有する可能性を探っている。
ボルトンは、アメリカ人が嫌いまくっていても尚生き延びてるネオコン。ディープステートのお使いみたいな奴。そこに、日本ちゃん、先制攻撃ですね、いいですねぇ、そういうの、とか言わせるために電話する日経。
なんですかこれ、と驚くばかり。
香港なんかどうでもよくて、対中強硬姿勢をもたせて防衛問題にからめて、きっちり囲い込むという作戦でしょうか。キャッチフレーズは、強い日本を米国は歓迎する、みたいな感じ?
米国務省、F35ステルス戦闘機を日本に105機売却承認 総額2.5兆円
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/f3510525.php
空母もあるし、こうやって日本の前線化を進めて、アメリカは後ろに下がる。
最終的には、核シェアのオフショア・バランシング体制の確立ってやつでしょうか。
これって、アメリカにとっては前で子分が戦争するが、俺は後ろで見てる、武器なら供給するぜという話なので、いいことづくめで、普通の神経なら前に出させられる側は反対したり、戦争にならないよう別方面で相手国(仮想敵国)との対話を進める、みたいなことが想定される。
■ 子分を犠牲にしたがる体制
どこでそんなことが起きたかというと、冷戦期のドイツがまさにこんなでしょう。対ソのミサイルが配備されることにより、自分んちが戦場になる想定なんだと気付いたドイツ人、というよりドイツからイギリスまでの広く欧州人が危機感を覚えて騒ぎになった。それが中距離核戦力全廃条約に繋がる。
この条約は去年トランプが葬り去った。
葬り去ったことで状況的に欧州は危険だと一応言えるけど、ロシアはそれを見越していたので、欧州で火だねを蒔こうが、やったらやられるのはお前だ、聞いとけアメリカという体制を整備し、米露の相互確証破壊状態を再度確認した。
しかしミサイル置かれて喜ぶ国をロシア寄りに作ったため(ポーランド、ルーマニア)、昔よりよほど危険な状況にあるとは言える。
結局、アメリカの属国仕様というのは、アメリカ様のご機嫌によっては自分がミサイルの標的になることを厭わないことが求められる、みたいなもの。
■ 日中
米中対決というのは、全世界的な問題ではあるけど、でもやっぱり就中極東なんじゃないですかね。
そしてそれは、日中問題が核心にある。この2国は経済を通して仲良しになりましたという関係にはなってるけど、政治的な対話のレベルが低い。というか、冷戦時代後半は、米中共同で日本を抑圧することで平衡を見る、みたいな感じだった。
だからこれを一部の日本人が気に入らないというのはそれなりに理由はある。だけどそれは別に外の人のせいではない。日本の側の自家撞着が対話不能の状態を呼び込んでいる。
だからここを解いていって、共存可能な体制にすることが今後20年ぐらいの話になるんじゃないだろうか。隣人関係はプロパガンダでは規律できない。
ゾルゲについては、何年か前に見つけた一橋大学加藤哲郎氏の2007年11月11日の講演の記録を印刷していたのを残していました。その時は何が何やらでしたが、今回読み直してみると、前よりは理解できるようになっています。本当に深いです。各国で研究は進んでいるようです。江沢民時代に上海での資料も出てきたようです。政治的に色々あって難しいでしょうが。米国にあった共産党の組織とか。あと、何十年もかかるかも。