いやいや、ホントに大変なことになってまいりました。
私としては、ますます、自分が考えていた因果関係みたいなものの諸々は結構正しいんじゃないかとそこは喜んでいる。つまり、嘘だらけのナラティブで話を作って、それでカバーアップしながら、実はロシアを崩そうと並々ならぬ「努力」をしてきたが、ロシアの政府、軍、国民が動じることなく反撃してきたもんで、大変なことになってるという感じ。
西側がほんとーーーーに怒ってる。
ただ、注意すべきは、国際社会は、全体が動揺してはいるが、全体がロシアに敵意を向けているわけではない。むしろ、イラク人を100万人殺そうが平気の平左だった奴らが何でここまで怒るのだと、そこに腹を立てている人たちもいる。
また、よく見てる人たちもたくさんいる。
イランのハメネイさんのtwitter(をイギリス人たちがリツイートしてた)。
ウクライナの状況は2つの重要なレッスンを教えてくれる。1つは、USやヨーロッパに依存する政府は彼らのサポートは本当ではないことを知るべきだ。今日のウクライナは昨日のアフガニスタン...
#Ukraine’s situation has two important lessons. Governments that rely on the US & Europe should know their support is a #mirage and not real. Today’s Ukraine is yesterday’s #Afghanistan. Both countries’ presidents said they relied on US & Western govts but were left alone. 1/2
— Khamenei.ir (@khamenei_ir) March 1, 2022
■ 狂ってる・狂ってない
そしてまた、西側なる集団が一枚岩かというとそうでもない。
まず大事なことは、ポーランド他の東欧諸国やウクライナの中のアメリカの傀儡成分が、ウクライナに飛行禁止区域を、という、またかよという話をして盛り上がったり、ポーランドから戦闘機を向かわせるとか言ってますが、アメリカの国務省は狂人の館だが、ペンタゴンがそれに呼応している気配はない。
Zelensky Urges Biden To Impose No-Fly Zone Over Ukraine; Turkey Shuts Straits To All Warships
なぜなら、最初から書いてますが、ウクライナの空は現在ロシア軍が支配しているから。つまり、外からモノ持ってきて大きな紛争にしないために、さっさと空を抑えた。抑えたって、宣言しても実効がなければできませんが、ロシア軍はできる軍。特に、自分んちの目の前、元自分んち領のところなので、様々なオプションがある。
(アメリカ軍だって自分んちの周辺だったらできることは多数あり、中国軍やロシア軍が入っていっても多分勝てない。そんなことする意味もない。つまり、軍事大国の周辺で他から行って紛争を起こすというそのアイデアが、狂ってる。)
次に、ロシア中央銀行の準備金を差し押さえる(盗む)という恐ろしいまでの事態になってますが、ここでも、FRBはこの措置に反対したという噂が出ている(噂なのかしっかりとした発言があったのか、私は未確認)。なぜなら、こんなことをしたら、現行の仕組みが西側の持ちものだということがより一層明らかになって、なんとかして離れようとする勢力を加速させるだけだ、という常識的なことを考えたからだろうと思われる。
ここからわかることは、全員狂ってるわけではないということ。
狂ってる部分と狂ってない部分がいる。ということは、事態の推移によっては狂ってる部分が狂ってない部分に負けるかもな、とも思える。まぁ、逆になった場合は、人類的規模で破壊が起こるでしょうが。
■ 2月22日
で、インターネット上で、広く見過ごされているか、何か誤った方向に誘導されている気がするのは、悪いのはアメリカだけ、みたいな感じで、ヨーロッパ各国は、アメリカに従うからこうなのだ、という筋。
しかし、そうですか? アメリカがいなくなったら、ドイツ人は昔のドイツ人に戻らないですか? 今見てるウクライナで、ドイツ人たちは一体どれだけの人間を殺したんでしょうか? それについて、多少なりとも気遣いや、そこを支配しようと奮闘することに対する懸念、躊躇はないのですか? ありましたか? ないのなら、1945年と何も変わってないと言わねばならないでしょう。
しかも、(今回も)まったくやり方が誠実でない。
例えば、2014年2月のウクライナのクーデター騒ぎの時、半日ぐらい騒動が止まりそうな時間があった。それは、ドイツ、フランス、ポーランドの外相が割って入ったから。そこで、当時のウクライナの大統領のヤヌコビッチが早期に辞任して選挙をするという妥協を引き出した。しかし、過激なデモ隊はむしろますます過激化した。つまり、できもしない言葉だけの「外交」で、お茶をにごしたたけ。
これは、今年の初めからの混乱の状況でもいえる。マクロンが出てきて、今度こそミンスク合意に向けて、何か多少なりとも実効値のあるようなことをするのかと思えば、これもまた、できもしないアイデアを語るだけの「外交」で終わった。
さらに、そもそもなぜミンスク合意が成り立ったのか。それは2015年に、ドンバスが内戦化した時、戦争の行方としては、実は親ロシア派が親EU/USA派を包囲して、このままいけば親ロシア派が勝ち、同時に、中の何千人かは戦闘で死ぬか投降させられる流れだった。そこでメルケルが飛び込んできて、プーチンに談判して、ウクライナの西部と東部があまりにも違うことを考慮してどちらにも強い自治をもたせた連邦制にする、という案がまとまった。
なぜメルケルが飛び込んだのか。それは、親EU/USA派の中に多数のNATO各国の兵士がいたからだろう、と当時から考えられている。私はそう思ってる。そうでなかったら、合意なんか成り立つはずがない。つまり、実質的に親EU/USA派は降伏したわけです。だから、引いて、東西の自治案を推進させる義務があるのは、EU側。
だが、8年間、本当に推進しなかった。その間に、もちろん着々と馬鹿みたいな金を突っ込んで、ウクライナ内に過激な反ロシアの集団を作ったり、移設したり、大量の兵器を持ち込んだ。今般、ロシア軍は、最初の数日で膨大な量の兵器類を爆破したが、あれはみんな西側諸国の皆さんがお買いになったもの。
つまり、ウクライナに関して、もはや、ヨーロッパ人との外交には何の価値もない、というのがロシアから見た時の結論だと思う。
で、2022年2月22日にドンバスの独立をロシアが承認して、そこから急展開したわけですが、これは、2014年2月22日にヘタレの外交官たちのつかの間の合意が割れた日を選んだんじゃないでしょうか。もとに戻すということ。
付言すれば、ドイツやフランスをアメリカよりマシだと思うというのは、現実を見ているんじゃなくて、そう思いたいという願望だと思う。実際には、彼らの「exceptionalism(自分は特別だ主義)」は、アメリカ人より深刻ではないのか? ただ実行者がたいていアメなので「私は本当はやりたくなかった」という言い訳がついて、みんながそれを本気にしてるだけ。表面に出ないだけもっと卑しいかもしれないのに。
■ いずれにしても世の中変わる
まぁこの紛争は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンといった仲間内の出来事としては、そんなに時間がかからずに落ち着く可能性はあるけど、問題は、西側が、これらの諸国を自分のものだと思ってる状態を、どう解決できるのか、じゃないでしょうか。こっちは長いかもしれないし、それこそ抜本的な変化が生まれるかもしれない。
いずれにしても、下の「国際社会」が決めたルールを国際社会のルール、慣行と呼びならわして、上を全部支配する、みたいな妄想はもはや成り立たない。それが見えたことだけは確実でしょう。
■ オマケ1
個人的には、この間、ミュンヘン安全保障会議でゼレンスキーが演説して、核にふれたりなんだりかんだり夢想を語って、それを西側の代表者が歓迎し、その後も、誰も、どこも、問題視していなかったのを見た時、こんな危険な秩序が現行の国際秩序なら、こんなものは早く壊れた方がいいと思った。
■ オマケ2
セルビアを服従させる、とか言ってた「国際社会」が健全なわけもない。
When we do it vs. when they do it. pic.twitter.com/SNpUUkHXKH
— Alan MacLeod (@AlanRMacLeod) February 28, 2022
すみません、その演説の記事や動画はどこで見ることが出来るでしょうか?「ゼレンスキー 安全保障会議 核」でググったのですが、なかなか見つかりません。
CGTN見てても、こういう内容の西側学者のインタビューが見られる。救いはあるかも。
>著名投資家の多くがロシアのウクライナ侵攻について語りたがらず、インタビューにも出ていない中、ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを立ち上げたことで有名なジム・ロジャーズ氏がWall Street Silverのインタビューでウクライナ問題について語っている。
ロシアのウクライナ侵攻
これはウクライナ侵攻の直前に収録されたインタビューだが、ロジャーズ氏は状況を的確に予想していたようだ。彼は次のように述べている。
ワシントンは戦争を欲しているようだ。ワシントンの政治家は無能でどうしようもない。
ビクトリア・ヌーランドという名前の官僚の女性がウクライナにおける2014年のクーデターを支援し、今の反ロシアかつ親ビクトリア・ヌーランドのウクライナ政権を打ち立て、それが今まで尾を引いている。
そして彼女は今また争いを煽っているようだ。
そしてアメリカやEUがウクライナに反ロシア政権を据え、対ロシアの武器として使っていることに対しては、次のような例えを用いて説明している。
彼女がそうする理由はよく分からない。考えてみてほしいのだが、もしロシアがアメリカの真下にあるメキシコと軍事同盟を結んだりすれば、アメリカ人だって激怒するだろう。それがアメリカのやったことだ。
むしろロシア・メキシコ軍事同盟はアメリカのウクライナ関与に返答する良いジョークになったかもしれない。
バイデン氏は蚊帳の外
このインタビューは侵攻前のものであるにもかかわらず、ロジャーズ氏は事態をよく把握していたようだ。
ビクトリア・ヌーランドは戦争を望んでいるようで、他の人々を説得している。彼女はプロの官僚だ。
一方でプロの官僚、プロの政治家であるためには能力が欠如した人物も居る。ロジャーズ氏はその人物について語る。
バイデン氏は何も分かっていないだろう。彼はウクライナで大金を儲けているからウクライナが何処にあるかぐらいは知っているだろうが。
この発言はアメリカ人が世界地図を見て他国の場所を当てられないというよく知られたジョーク(かつ事実)に基づいている。一方で彼や彼の家族がウクライナで何をしていたかはあまりジョークではない。以下の記事で説明している。
ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
この記事では2014年にウクライナで起こった反ロシア派のクーデターをアメリカとEUが支援した経緯までは解説したが、そもそもこの話はもっと過去に遡る話であり、インタビュワーはその辺りをまず説明している。
ベルリンの壁崩壊
話の始まりは1989年のベルリンの壁崩壊とそれに続く東西ドイツの統一である。
この時東ドイツは西ドイツに吸収される形で統一された。第2時世界大戦の結果、東ドイツを管理していたのはロシアだったが、ロシアが東西ドイツの統一を認めればNATOはそれ以上東に拡大することはないとアメリカが約束したためロシアは自国に撤退し、東西ドイツの統一を承認した。
しかしアメリカのした約束だから当然なのだが、その後NATOはチェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニアを加え、ついにはロシアと国境を接しているウクライナを加盟希望国として認めるところまで至っている。
プーチン氏がウクライナを攻めるにあたり「ロシアはこれ以上何処にも撤退出来ない」と言った時、その言葉には少しの嘘も含まれていない。ロシアは自国の国境まで下がってきているのでもうそれ以上下がりようがない。
ロジャーズ氏はインタビュワーの指摘に対して次のように述べている。
その通り。以前言ったように、われわれは勢力を拡大しないと約束した。そして見事に勢力を拡大した。
もうロジャーズ氏は半笑いで説明するしかない。アメリカの行動はほとんどジョークだからである。ロジャーズ氏はこう続ける。
これは勿論政治家が、特にアメリカの政治家がついた初めての嘘ではない。
わたしがモスクワにいて同じことをされれば、攻められたと感じるだろう。
プーチン氏を擁護するわけではないが、彼が自国の国境付近にそんな巨大な敵がいてほしくないということくらいは分かる。
結論
ウクライナについては十分記事を書いたのでもうそろそろ良いだろう。日本や西洋のメディアがあまりに出鱈目を書いているので、バランスを取りたくなっただけの話である。
世界同時株安の原因はロシアとウクライナではない
ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
西側が制裁で海外資産を凍結したプーチン氏とラブロフ氏、海外口座を持っていない模様
しかし大手メディアの記事を信じ、ロシアに対して敵対的になっている人で溢れているのを見ると、人間にはほとんど馬鹿しかいないのだなと思う。ロシア国民はNATOが悪いと本音では思いながらも戦争行為に反対しているし、ウクライナ国民もこれは自国とロシアの問題ではないと知っている。
だがそういう記事に惑わされる人々は、例えばロシアへの戦争を提案されると容易に賛成するだろう。トランプ政権時にアメリカ人が嬉々としてシリアにミサイルを打ち込んだのを思い出したい。
彼らにとって自国が敵国にミサイルを打ち込むのは戦争行為ではないらしい。彼らがこそが一番愚かな戦争主義者なのである。
CGTNの記事にもあったかもしれませんが、他にも出ていたのでURLを出しておきます。
引用元は付けたいので。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20487
そのうち,あちこちに青と黄の募金の箱が置かれ,何でもない普通の会合の冒頭に黙祷を行うことが流行する,ということになりやしないか,と懸念します.
・ロシア軍が集合住宅を攻撃したという動画・・・撮影者の右上後方から硝煙を吐きながらロケットが飛んでいき住宅に当たり爆発→ 対戦車砲を使ったやらせ映像くさい、ロシア軍のすぐ前に前に西側カメラマンがいる筈が無い。
・老婆がカメラに向かってロシア非難を叫んでいる→ クライシスアクターを使った映像めいている。
・ロシア軍攻撃で大怪我をしたという少年を病院の手術室に運び込み緊急施術している→男子医師の一人は半袖のTシャツ姿で施術するかたわらカメラに向かってロシア非難の言葉を発している。この男子意思はクライシスアクターではないかTシャツ姿でありカメラは手術台からかなり離れているにも拘わらず非難の音声は明瞭である。向かって左横に正規の手術着の医師がいるようだ。
その他、注目の映像他
・2月26日頃、ゼレンスキー大統領が路上でスマホ自撮りした動画”私はいまキエフにいます、首相も横にいます”と云っていた。→総勢5人ブルゾン姿で写っているが”ゼレンスキーと愉快な仲間達”の感である。
・2月28日夕方ロシア・ウクライナ会談がウクライナ国境沿いのベラルーシで行われ、直前の会議室映像が報道された。注目したのはウクライナ側のメンバー一人はブルゾン姿、CAP(野球帽)をかぶって席中央にいる、他のメンバーは皆スーツ姿である。この男はネオナチ(=NATO)から派遣されたオルグであろう。CAPをかぶって会議に臨むなど考えられない。
・3月1日ゼレンスキー大統領と2人の閣僚(?)がウクライナEU加盟申し込み文書(?)に署名する動画→ブルゾン姿・立ったまま、場所は円柱の大きな柱がある屋内、後ろに土嚢が積んである、更に後ろの暗闇の中で警備する兵士の姿が見える。
判らぬも、1500キロの道のり、餌を運ぶと。
ロシア&プーチン敵視憎悪に熱狂する目の前の異様なファシズム的状況は、ネオリベラリズムの極度の腐朽がもたらしたのではないでしょうか。金融資本の排外主義的なテロリズム独裁という、1935年に提起されたファシズムの定義が不意によみがえります。
2000年代終わりの金融パニック以降、異常な金融緩和による延命措置下にあるネオリベラリズムは2010年代の終わりにウィルス・パンデミックを引き起こし2020年代に突入しています。ロシアに対する経済戦争は米EUに深刻な跳ね返りを及ぼしてネオリベラリズム経済は命運を絶たれるでしょう。
サッチャーより半年早く権力を握った鄧小平によるネオリベラリズムがもたらした2020年代の中国がプーチンから球を受けて、反ロシア・USEUリベラリズムの解体、すなわちウクライナ危機問題の根底的解決である、NATO解体に中心的な役割を果たすという、皮肉な歴史になるのではないでしょうか。
プーチンが立ち向かっているのは、異形のネオナチ小帝国ではなく、ナチ妖怪化したGAFAM&金融ネオリベラリズム@USEUなのですね。