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二重に筋の悪い例を出してた麻生さん

2017-09-03 17:24:10 | 太平洋情勢乱雑怪奇

たいした話じゃないんだけど、この間書いてアップしそこねたので、記録がてらアップ。

先日のエントリーを書いた後、麻生さんのオリジナルの音声の書き起こしを発見して読んだ。ラジオで放送したもののようだ。

8月29日、自民党・麻生派研修会での麻生氏の発言

https://www.tbsradio.jp/178283

少なくともそりゃ動機は、私は問わない。問題は結果を出してもらわないかん。その結果が大事なんだ。いくら動機が正しくても、何百万人殺しちゃったヒットラーはやっぱりいくら動機が正しくてもだめなんですよ、それじゃ。結果をきちっとした国民に、確たる結果を残して、初めてその人がどんな人であろうとも、あるいは名政治家だったと言われる。人がいいだけでやれるような職業じゃないということぐらい、皆さん方もよーく分かっていると思う。

 

これ、誤解もくそもなく、普通に、いくら動機が正しくても、とヒトラーの動機が正しい前提でものを言っていると読むのが普通の理解というものではなかろうか。

と、その確認はともかく、しかし、ふと思うに、この発言は、文脈から考えるとへんではなかろうか。

仲間内の総会で、議員になった動機は問わない、オヤジの後釜だのなんだのでなったやつもいるだろう、みたいな(これこそ問題にしたくなるような発言だが)ことを言い、その上で、

「少なくとも動機は問わない、問題は結果なんだ」という主張をしている。であれば、文脈からは、

動機や最初の考えが悪い、軽い、いい加減だった、しかし、結果が良好な例がふさわしいのではあるまいか?

動機OK、結果ダメ ではなく、動機ダメ、しかし結果OK、がふさわしい例ではなかろうか?

例えば、

動機は問わない、問題は結果なんだ。

Aなんかオヤジの急死で泣く泣く、嫌々大統領になった奴なんだが、B国の侵略を受けて俄然やる気になったんだろうな、結果的には命がけで立派に国を守った。B国は奴をへなちょこだと思ってなめてたこともむしろ幸いだったかもしれないな。

だから、動機じゃないんだ。仕事をしていく中で結果を出すことが政治家には最も重要なんだ。

というのが適切な例ではなかろうか?

私はこのAをアサドのつもりで書いた(笑)。

一方、ヒトラーは、動機ダメ、結果ダメ、の例だと概ね世界中が思っているが、麻生さんは、動機OK、結果ダメだと思ったようだが、これだと、ご自分の話を具体化するための例示として不適切ではなかろうか?

したがって、麻生さんの話は二重に馬鹿げている。例の挙げ方として国語的にバッテンな上に、出した例の解釈にも問題がある。

なんだかなぁ、って感じ。

 

ところが、騒ぎを受けて質問されて答えたんだと思うけど、さらに答えになってないことを言った。

 麻生財務大臣:「『ユダヤ人はいないドイツが一番いい』というのは、動機のもとのもとから間違っているのではないか。悪い例というのはそういうことで、ドイツのためというのは間違っていないと思いますけど、そのためにあったとしても元の前提がアウトなんですよ。ヒトラーとかナチだと、途端に別の話を作られてしまう。別の例をひかないといけないかも。例としてヒトラーという例が適切ではなかった。誤解を招くような形になったということで、その部分は取り下げますと。信念が大事でも結果が大事ということについては、今まで申し上げてきた通りです」

http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000109067.html

 

 一読して何がいいたいのか意味がよくわからない。というか、数日時間があったんだから、ロジック揃えて反論しようよと言いたい。

『ユダヤ人はいないドイツが一番いい』は間違っている、動機のもとのもと、ということはこれが動機だとお考えであるように読めるのだが。そして、オリジナル発言では、明らかに「動機は正しくとも」という。

これで一体何を申し開きできるんだか、わからん。が、たいして考えて話してるようにも思えない。

 

結局、上の最初の発言といい、二度目のなんかの言い訳といい、この人は、考えなしに、非常に漠然と、ヒトラーは良い動機を持っていた人という前提を持った人なんじゃなかろうか。日本の右派には実は多いから不思議でもないのだが。

が、一歩具体的事情に踏み込まれると、『ユダヤ人はいないドイツが一番いい』に対して、良いとは言えないわけだすよ。

そこで混乱する、と。アホか、いやアホだ、と申し上げたい。

 

結局、ヒトラーの動機は正しかったと麻生が言ったという最初の報道(世界中の)は、それはそれなりにちゃんとした懸念を伝えたことになるとしか言いようがないと思う。

 

ついでだけど、「ドイツのためというのは間違っていないと思いますけど」、というのも実は問題。ヒトラーはドイツ連邦のリーダーではなくて、第三帝国と称されるそれのリーダー。ヒトラーのドイツの中には、唾棄すべき「下等人種」はいないことが理想。

ドイツが国家というより民族共同体として捉えられている世界だって感じだからこそ問題だったわけですよ。国家だったらドライな権利義務関係で済むところが多くあるわけだけど、民族、それもヒトラーの妄想の産物の民族に依拠しているわけだから、いかにも恣意的な運用が可能になる。ワーグナーあたりから来てるんでしょうが、そういえば、ワーグナーが好きでバイロイトに出かけた首相もいましたね、日本に・・・。

そういえば、先日引用させていただいた東京大学大学院の石田先生が、動画の中で、日本ではナチ党を未だに「国家社会主義労働者党」と訳していることが多いですが、ヒトラーはnationを国家という意味では使ってない、言うならば民族ですね、とおっしゃっていた。

「過去の亡霊」をよみがえらせる、だって好きだから?

そう。国家はstate。nationを国家と訳すのは間違い、誤解の元だと私もずっと思ってる。

 

 

ということで、こんな奴らに係る気はないと早めに宣言しようと思ったのか、ドイツのシュピーゲルが、日本の副首相、ヒトラーの動機を「正しい」と言う、という記事を出してた。

Japans Vizepremier nennt Hitlers Absichten "richtig"

http://www.spiegel.de/politik/ausland/japan-vizepremier-taro-aso-nennt-adolf-hitlers-absichten-richtig-a-1165232.html

Taro Aso hat aus der Vergangenheit nichts gelernt: Der japanische Finanzminister bezeichnete Adolf Hitlers Motive als richtig. Der Politiker war bereits zuvor mit einem ähnlichen Fehltritt aufgefallen.

 

中味は詳しく読んでない。

英語、フランス語、スペイン語等々各国で報道されているのは当然として、さらに、中国の報道官のあの女性の言も記録しておこう。

丸めて言うと、私たちがいつも言ってる通り、日本には歴史認識のおかしい一群がいるんですよ、ちゃんとしてもらいたいもんです、と言っていた。思わず笑ってしまった。

A: I have seen relevant reports. It shows that there is still a group of Japanese politicians clinging to the wrong perception of history. We always say that history is the best textbook and it is also a bright mirror. When it comes to historical issues that concern cardinal matters of right and wrong, no wrong words or deeds that deviate from the international social ethics and human conscience will be tolerated. We once again urge those forces in Japan to straighten their view on history, genuinely learn lessons from history, and take concrete actions to win the trust of its Asian neighbors and the international community. 

http://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1488873.shtml

中国としては、ほーら、いつも言ってる通りでしょ、と言えるまさに重要なエピソードとしてエントリーって感じでしょうね。欧州のみなさんにも、米のみなさんにもわかっていただけるでしょ、おかしい人がいるんですよ、と。殆ど日本のオウンゴールですね、これ。

まぁなんてか、どうするのよ日本のリーダーたちって感じがひとしお。

 


 


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1 コメント

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マニュフィスト『我が闘争』 (ローレライ)
2017-09-03 18:22:01
『ヒトラーの動機』としては、マニュフィスト『我が闘争』として見ると『バルバロッサ作戦もユダヤ、スラブ殲滅』など『公約実現』なのだから『動機から問題あり』なのだ!
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