先月の安保法案の委員会審議採決は、議場制圧クーデーターですかそれ、という事態だった。それにより議事録には何を採決したのかが残らなかった。
状況の記録はこのあたり。
議会を取り戻せ
議会を取り戻せ(2)
さすがにそれではマズイと気が付いた人は与党内にもいたらしい。
で、どうするか。
安保法「聴取不能」の議事録 与党判断で「可決」追記
2015年10月12日 07時02分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015101290070252.html
議事録は「聴取不能」までは未定稿と同じ内容。しかし「委員長復席の後の議事経過は、次のとおりである」との説明を追加。審議再開を意味する「速記を開 始」して安保法制を議題とし、「質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。なお、(安保法制について)付帯決議を行った」と明記した。
で、そうだ書いちゃえばいいんだ! だそうですよ(笑)
そして、ついでに、どうせ書くなら理想的に書いちゃえばいいんじゃないの、というわけで付帯決議も可決されたと書いたらしい。全然読み上げられていない(少なくとも野党側にはまったく聞き取れていなかっただろうことは映像からもわかる)が、読み上げられたから読み上げられたの! で通ってる模様。
議事録には、安保法の委員会可決だけでなく、付帯決議を行ったことも書き加えられた。この付帯決議は、自衛隊の海外派遣の際の国会関与強化を盛り 込む内容で、次世代の党など野党三党と与党が合意した。法律に付帯決議を入れる場合は、委員会で読み上げられるが、野党側は全く聞き取れなかったと主張す る。
特別委委員だった福島瑞穂議員(社民)は「可決ばかりか付帯決議もしたと書くのは許されない」と批判する。
東京新聞の記事をスキャンしたものが「真実を探すブログ」さんのところにあがっていたので、リンクさせていただきます。ここ
もうね。政府という、要するに行政府というのは常に暴走しがちというか、隙あらば誰にも妨害されずに動きたいとなるところなので、政府が好き勝手していることにはそれほど驚かない。まぁそんなもんだろう、みたいな。
しかし、それでも議会が機能していれば、予算を出さない、これもダメあれもダメといってタイミングは一拍遅れになったり出し抜かれたりはするだろうが、最終的に行政府の暴走を抑えられる。民意を背負うのが議員さんたちなので、民意がチェックしているという話。
これがいわゆるチェック機能というもの。ここが機能している限りにおいて国家は壊れていないだろうと、まぁ思うわけだけど、今回の参議院の行動は、もう議会なんかどーでもいいじゃねーか、形式だよ、形式、にしちゃったわけですね。
戦前の様子とかぶるなぁと思えてくるわけで、どうするのこれ。
■ 輸入品だからなぁ
関係ないけど、アメリカの場合は議会が大統領を制する想定というよりも、逆に、大統領が国民の民意を背景に(直接選ばれているから)議会なり官僚機構に抗する、という機能も結構大きい。
日本の場合は議院内閣制だから、そもそも行政府と議会は癒着気味なのが所与の要件みたいなところがある(メリットとして、だから話が進む)。
で、であればこそ、野党というのが非常に重要な役割を果たすというのがイギリス流議会制民主主義の制度設計なんだよね。
ところが、日本の場合は野党を育てられないどころか許せないというメンタリティーが働くことがある。それが、いわゆる反日だの国賊だのという語が躊躇なく語られる時代。というか、与党側がわさとそうするんだけど。
つまりね、こうやって考えてくると、こういう反日、国賊騒ぎを持ち込んで野党を粉砕しようというメンタリティーを根深く有している集団が存在している中にあっては、議院内閣制は機能しないと考えるべきなのかもしれない。
日本の場合、別に自前でこの制度を開発、発展させたわけではなく、まぁ所詮輸入品なので、どうしても身体にあわんのかもなぁと今更だけどそう思う。
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