TPPを巡って、またまた議会が議会たり得ない状況が作られていた。
TPP法案、賛成多数で可決 特別委、抗議の中採決強行
朝日新聞デジタル 11/4(金) 16:44配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161104-00000064-asahi-pol
環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案は4日の衆院TPP特別委員会で、民進、共産両党が抗議する中、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決された。山本有二農林水産相の失言をめぐり、民進など野党側は辞任を求めていたが拒否したうえで、採決を強行した。政府・与党は8日の衆院通過を目指す方針で、与野党の対立は激化している。
11月8日はアメリカ大統領選挙。日本時間は半日ぐらい早いので、選挙前に通そうという話なんでしょうね。
だって、TPPがどうなるのかはアメリカでは今討議できていないんだから、数日遅れようが数週間遅れようが全体としては何の問題もない。
にもかかわらず今、バカみたいな様を晒してまで通す理由は、選挙前には通すことにしてる、というただそれだけだろうと思う。
で、その流れなんだろうなという記事がこれか。
来年2月の日米首脳会談検討
クリントン氏当選の場合
http://this.kiji.is/166955368258553338?c=39546741839462401
日本側は早期に首脳会談を開催したい意向をクリントン陣営関係者らに内々に伝えている。実現すれば首相は「クリントン大統領」と「最も早期に会談する外国首脳となる公算」(米政府当局者)が大きく、親密な首脳関係をアピールできる。
並べてみれば、クリントン当選に100%かけてます、みたいな感じだよね。
で、ここまでで、日本はバカだ、安倍はアホだと言ってみるのもいいんだけど、私が考えているのはもうちょっと深刻。
つまりね、日本の政権内部には、仕切りをする文字通りのハンドラーズが控えていて、その人たちがシナリオ、原稿を書いて、日本人が選挙で選んだはずの人々はその人たちが付けた振り付けを踊っているだけなのではないのか?ってところ。
まぁ、原稿がおかしいとは前にも書いたことがあるけど、仕切り方が何かだっておかしいじゃんと思うわけですよ。いかな売国奴とはいえ、何も11月8日にあわせて突撃する必要はないわけでしょ。つか、クリントンがどうなるのかもわからないのに。
だからまぁ、ウクライナのキエフ政権が、表面的にはウクライナ人たちがやってるわけだけど、方針も重量閣僚選びも基本的にアメリカ人たちがやってる、なんてか、CIAとオリガーキによる支配です、ってのと似たものを考えればいいんだと思う。
考えてみれば、明治政府も似たりよったりだったんだろうなとかも思うんだよね。ある日突然、西洋万歳主義になって、気がついたら100%民間の中央銀行作ってみたり、台湾、朝鮮に手を出し始めて、日清戦争を戦い、多額の賠償金を得てなんだか得しちゃって、次の日露戦争はもっとビックプロジェクトで、国家予算以上の金を借金して、イギリスから装備を買っって、戦争に向かって、勝ったはいいけど、むしろそこから坂道を転げていくわけですよ。で、その借金は戦争時代を超えて1980年代までかかえって完済した。これは最近有名になったけど、長い間誰も知らなかった。日本ってそんな国。
と、寂しいことしか思い浮かばない。なんとかせねばだわと思うけど、まぁ、前から言ってる通り、外部環境の変化以外に頼れるものがないユニットなんだもの、日本たら、ってのが辛いところ。
■ もっと辛いことを考えてみる
で、多分、この先日本は、むしろ未曾有の危機に遭遇するんじゃないでしょうか。何をもって未曾有というかは人それぞれで、自分の生活が金銭的に問題ないならそれが幸せよ、私は大丈夫、って人もいるでしょう。
しかし、そうはいかない人も多く、こっちの方が数としては多いでしょう。で、この開きが拡大していって、日本人というユニティにヒビが入るんだと思うんですね。
もう一緒に追える夢はない、ということ。
そうすると猶更、中央の政府機構は無理やり、日本人は一体だのと言い出す。既に総括役とか言われてるわけだし。で、世界中によくある話だけど、そうなると人々の気持ちは実は離れていくわけですよ。ただ単に、表面的には面倒くせー、とか、こえーし、ってんで、はいはい日本、はいはい一体、みたいなことを言ったとしても。
で、そこから盛り返すチャンスはあるのか?なんですよね。
アメリカは、偽預言者オバマがチェンジ教を持ってきた時に、多くの人々は偽の希望を希望と取り違え、次第にこれは偽預言者だったとわかって、国内がバラバラになり、今度は右の方からトランプが出て来た。これが凶と出るか吉と出るかわからない。
わからないんだけど、でも、共和国アメリカに戻る、バンキングカルテルを解体しろ、あたりの線はわりと多くのアメリカ国民に支持される、その意味でアメリカ人をまとめるように作用する可能性はありますね。まぁ、そのせいで一極支配的な体制は失われるわけだけど、でも、仮に複数の、5つか6つの国が中心になるリージョン単位のマルチポラーな世界になってもアメリカは依然として強いわけですから、それでいいじゃんという考え方も十分成り立つ。没落しても10年後の捲土重来を期すってのが出来る国ではあるよ。リソース的にも、ものの考え方としても。
この場合、ロシアの復活モデルはかなり参考になると思うな。
と、考えた時、その時日本は何を芯棒にするんだろう。
TPPって、日本は太平洋を見て暮らしましょう宣言みたいな感じがあるわけだけど、こんなんで文化的にやっていけると思ってるんだろうか?
興味深いのは、カナダ、オーストラリアはあくまでイギリス家の人たちなので、実は太平洋だけを見ているわけではないんだよね。文化的紐帯としての欧州を意識してる。アメリカも東海岸はそうだと思う。あくまで中心は大西洋って意識。
でも、野生のイノシシ(つまり明治より前の日本)には戻れないし、明治朝に戻ったって仕方ないし、という状況にあるのに整理がつかない、アイデンティティクライシス状態なんだとは思います。