昨日、TPPの大枠合意に沸き立つ日本の主流メディアの記事を貼ったけど、米国内では反対派がまだまだ健在。
Historic Pacific trade deal faces skeptics in U.S. Congress
http://www.reuters.com/article/2015/10/06/us-trade-tpp-idUSKCN0RZ0ZV20151006
代表例は、大統領選に立候補している民主党のバーニー・サンダース議員。TPP阻止に全力を尽くすと気勢を上げている。
民主党からの反対が大きいけど、共和党内もまちまち。まぁもう共和党は冗談のような党になってますが。
で、これを推進しているのはいわゆるウォールストリートの議員と呼ばれる人たちと、オバマ政権の両方。
議会状況次第だけど、でも、多分、大筋合意の後延々ぐだぐだという感じになるんじゃなかろうかと思う。
■ おまけの妄想
上のロイターの記事の中に、TPPが成立すれば、貿易障壁を取り除きベトナムからカナダまで同じスタンダードとなるのだ、とあった。改めて考えてみるにこの意味はなんだろう。
昨日も書いた通り、環太平洋諸国が集まったからっつって何になりますねん、だし、今現在スタンダードが異なって困っていることってそんなにないわけですよ。
ということは将来的な展望の一歩ということなんでしょう。ではそれは何か。やっぱり中国の取り込みじゃないでしょうか?
つまり日本をステッピングストーン(飛び石)にして、アジアのみなさんと仲よくできるに決まってるじゃないですか、日本ですよ、日本と、日本が過去何十年か稼いだアジアにおける信用を梃にするという構想。
平和的でがんばりやさんの日本が言うことなら聞いておこうかな、とか、日本が設置した基準なら大丈夫かな、と思われている状況というのは現状あるわけです。これまでのところでは信用高いんですよ、政治以外では。
だから、これをアメリカの資産として確保して、あるいはアメリカのカバーとして利用して、それで大陸アジアへ乗り出そうって感じじゃないでしょうか。別の言い方をすれば、日本をチャイナ、インドを含む大陸アジアへの先兵として利用して、そこで調整させる、みたいな。
だからこれは、潰されても潜在的に存在するEEU+EUに対するカウンターとも言えるのかも。
なんとなくだけど、EEU+EUは先行してきた社会なので社会資産が大きい→どうしてもいわゆる新自由主義という社会資産破壊系統にはなじまない部分がある。だから、こっちに行かせないチームを残りの部分で構築しようという構想もあるような気がするなぁ。
日本国内の資産を自由にコントロールできるようにすることも大きいだろうが、もっと先を見てる人いるだろうな、って思うんです。
最近妙に一部に日本を持ちあげる傾向が見えるのは、この取り組みにおける資産作りと考えれば納得がいく。もう「俺らのもの」と思ってるから誉めて資産価値を高めてる。ミッドウェーは落としたから、後は次の秩序を考えよう、みたいな感じでもある。
ということで、アメリカの世界戦略を考える人々にとっては理由のある構想だと思う。明治維新の頃の日本も、この人たちにとってはこんな感じのツールだったんだろうな、という感じ。
が、それにわざわざ食いついて、これはチャイナの封じ込めなのだ的に理解している日本って何よ、っていうのが私の謎。
石油とか天然ガスはなかなか無くならない実体資産だけど、信用とか技術力というのは相対的な資産なので、これを食い尽くされたらどうするの、日本、とか思うわけですよ。
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