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NHKミステリースペシャル 満願 第2夜『夜警』

2018年08月15日 | 映画

左から『夜警』の安田顕、『万灯』の西島秀俊、『満願』の高良健吾。



『夜警』
NHKミステリースペシャル満願 第2夜
原作:米澤穂信
演出:榊 英雄
脚本:大石哲也
主演:安田顕



移動時間の暇つぶしのためだけに買った『満願』が、あれほど面白い小説だったのは運が良かった。

今まで触れてきたサスペンスミステリーの中でも特に異質で衝撃的な作品である。

『満願』は6編の短編小説で構成されており、『夜警』はその中で一番初めの物語だ。

そして6つの物語の中で一番好きな話でもある。

以前にも書いたが最も恐ろしいのは非日常ではなく日常の中に潜む狂気だ。

ここで描かれる犯罪の動機を知った時、その凡庸さに恐怖する。



昨日からこのドラマシリーズが始まったのだが、気づかず『万灯』を見逃した。

残念だが、一番好きな『夜警』を観れたことにはホッとしている。

はじめ主人公の柳岡役に安田顕と聞いてイメージとの違いに少し戸惑うが、彼なら大丈夫だろうという漠然とした信頼があった。

案の定、ドラマ鑑賞後一番最初に出てきた感想は「安田顕すごい、やばい」だ。



ドラマ自体は小説に比べてわかりやすく勘のいい人であれば早い段階で謎が解けるであろう脚本だった。

一緒に観ていた夫は小説は未読だが物語の中盤でほとんどストーリーが読めたとのこと。

小説のようにじわじわ悪い予感が広がっていく感じやその予感が確信に変わった時の衝撃と恐怖を是非夫にも味わって欲しかったが、

そのすべてを1時間で表現するのはさすがに難しかったか。

さらに主人公の心中、葛藤、各登場人物の人間性などやはり小説と比べると印象が薄いように思う。



しかし!とても質の高い良いドラマだった。

セリフが少なく重苦しい間が観てる者まで緊張させる。

物語に登場する場所や人物が少ない分俳優一人一人の演技が目立つのだが、皆すばらしい。

中でも主役の安田顕の演技はここ最近観た日本の映像作品の中で最も印象的だったように思う。

顔のみの演技だったが、真相に気づいた瞬間空気が張り詰めた気がしてゾワッとした。

そして全てを知った後のラスト2カット、感情が複雑に入り混じった孤独な演技では彼の気迫に圧倒された。

その場面を観るためだけにあと何回か鑑賞するのだろうなと思う。

明日は本のタイトルにもなった『満願』だ。

これも楽しみ。
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