歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

あなたの詩への賛歌

2014年03月30日 | 日記
映画「いまを生きる」を今までに何回見たことだろう。
思い出すだけで胸に熱いものがこみ上げてくる。

映画では厳格な全寮制の名門高校に赴任してきた教師が、
詩を通して生徒たちに生きることのすばらしさを伝えていく。

その中で語られるいくつもの詩。
「o captain my captain」に並ぶほど心に刺さったのが「O ME!O LIFE!」だ。
生徒たちが徐々にその言葉に引寄せられていく姿が印象的だった。

その詩が最近iPadのCMに使われている。
それが「Your Verse Anthem(あなたの詩への賛歌)」と題されたCMだ。
さすがApple、前のiPadのCMも結構好きだったけど、これはさらにその上を行く。
もちろん見せ方も凄いのだけど、この詩を選んでくる辺りが憎い。
正直なところ映画とCMでは訳が少し違ったので同じ詩とは気づかなかったのだけど、
違う訳でも同じように耳に残ったのだからご愛嬌。

綴られていく言葉の中で一番興味深いのが以下の部分だ。

That the powerful play goes on, and you will contribute a verse.
力強い劇は続き、君も詩を寄せることができる

「君も詩を寄せることができる」とはいったいどういうことか。
詩とは自分から生まれるものではないのか。

私の周りの大人たちも同じようなことを言う。
「あっちからくるんだよ。」

それは詩に限ったことではない。
音楽や絵や、それどころか自分の命というものまでもがあっちからくる。

それを実感したことはないけれど、感覚的にしっくりくるのはなぜだろう。
「自分が、自分が」と分かりもしない自分を無理矢理形作ると、
自己嫌悪に陥ったりするのはそういうところにあるのかな。

自分の話は難しいけれど、たまに人の言葉にはっとする時がある。
詩とまでは言えないにしろ、この人こんな言葉言えるんだと感心するのだ。
それはだいたい唐突で、それゆえにその人が発した言葉とは信じ難いほどの力を持っていたりする。
そして言った本人は時間が経つと言ったこと自体を忘れていたりする。

今日の同居人Kとの会話から
K「いい天気だね。」
どう見ても外は雨に風にと大荒れ模様。
私「おかしいだろ。」
K「だって皆踊ってるよ。」
雨が降るたびにげんなりする必要もないなと思った。

電車にて友達Mとの会話から
Mが途中の駅で何かに手を振る。
私「何してんの?」
M「あそこの葉っぱが手を振ってるみたいだから。」
その日からその手を振る葉っぱを見つけるとほっとするようになった。

思い出せばそんなエピソードはいっぱいあると思う。
そこだけ聞けばただのメルヘンと思うかもしれないけれど、
メルヘンというよりは物語なのだ。

言葉を大切にしていれば、もっとたくさんの言葉に出会うことが出来るのではないかと思っている。
言葉の持つ力は時に人を傷つけることもあるかもしれないけれど、
時に人の価値観を変えてしまうことだってあるのだな。

いったい私はどんな詩を引寄せることができるだろうか。
コメント
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