大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

NHKは「国民精神総動員運動」のつもりか

2007年06月07日 12時31分52秒 | Weblog
 最初に説明が必要です。「国民精神総動員運動」というのは,1937年に近衛内閣が発令した戦争遂行のための国民精神統一を図った一連の運動であって,日中戦争から太平洋戦争に至る日本の軍閥主導の戦争に対する日本国民の精神的基盤を制定したものといえます。この法令発布以降,小学校が国民学校に変わったり,「欲しがりません勝つまでは」などの標語に代表される国民の生活態度まで規制しました。
 さて,本題は,6月6日水曜日の午後8時から放映された「ためしてガッテン」です。駄洒落も含めて滑りのよいセリフが行き交う番組で,ファンも多いようです。
 しかし,6月6日の放送は全く違いました。「緊急特集」と称して,環境問題を取り上げたのです。テーマよりも内容が問題なのです。
 スーパーのレジ袋を拒否するには勇気がいる,一歩踏み出せば何のことはないレジ袋拒否だとか,ゴミの分別収集に協力できないのはちょっとした努力が足りないのだ,とか。さらに家庭では目に見えない二酸化炭素放出が大量にある,といって,電力を火力発電に換算して,発電所での二酸化炭素放出を家庭での二酸化炭素放出量に換算するメーターとかいうものを持ち出して,最後には放出する二酸化炭素と同じ体積のゴム風船を膨らませてみせる。科学的に見せようと,どこかの研究所での,太陽光らしい光の赤外領域吸収が二酸化炭素濃度増加で上昇するように見せて,いかにも二酸化炭素が悪人のように見せかける。
 NHK教育テレビでのねつ造については昨日のブログで指摘しましたが,今度はゴールデンタイムの総合テレビで堂々と行われたのです。
 見ていて空恐ろしくなるような情報操作です。まるで,太平洋戦争前夜の「国民精神総動員運動」の世界を見ているようでした。これでは,まもなく,政府主導の環境対策に反対するものは逮捕拘束される世の中が来るかも知れません。社民党が好きな「いつか来た道」です。
 NHKの番組は誰がつくっているのかご存じですか。主体となっているのはNHKの職員であって,会長でも理事でもありません。日本放送労働組合(日放労)に所属する職員なのです。かつてそこに君臨していたのは上田 哲であって,この人は社会党から立候補して衆議院,参議院議員を歴任しました。かの荒唐無稽な女性国際戦犯法廷を放映した職員も,上田 哲の直系といわれています。
 環境問題を取り上げるのがいけない,といっているのではありません。ただ,何らかの意図を持って番組をつくり,善良な一般国民を欺くようなことはするな,といいたいのです。上の「ためしてガッテン」にしても,二酸化炭素の放出を削減するのであれば,原子力発電への依存率を上げる,という方向に進まざるを得なくなるものを,あえて火力発電所の発電量に換算する,国民の意識を変えてまで強制しようとするゴミの分別細分化が,実際のゴミリサイクルに本当に反映しているのかも不明です。家庭でのゴミは分別を強制するのに,事業所からのゴミは分別せず,しかも家庭ゴミと事業所ゴミを一緒に回収している。現在のレジ袋などは大部分カルシウム混入の焼却炉にやさしいものであるのに,自治体の回収車は,さらに指定のゴミ回収袋に入れないと回収しない,などなど。
 いま各地の自治体でゴミ焼却炉や廃水処理施設などが談合の対象となり,汚職につながるのは,環境問題に関連する事業は誰も反対できずフリーパスで,関連する業者にとって極めて「おいしい」仕事だからです。
 それを知らずにせっせとゴミの分別をしている一般国民は,本当に馬鹿を見ているのかも知れません。なかには,国民精神総動員令におもねて駅頭で振り袖の袖をハサミで切って得意になっていた女性と同じく,環境対策のつもりで見当違いのことをして得意になっている女性が出ていました。わずか3%しかアルコールを含まないバイオガソリンを使って自分は環境に優しいことをしている,というのと同列です。アルコールを造るためにトウモロコシを取り上げられて飢えた人々が増えているというのに。
 NHKの国民精神総動員運動が,女性国際戦犯法廷問題でミソを付けた政府との関係を改善するために,安倍首相のサミットでの立場を補強しようと,自発的に政府に擦り寄ったのであればなおさら許せません。