社会生活を営むことにおける知ること・自分で考えることの大事さ
を,東大受験にも攻略法はあるという切り口で教えてくれた秀逸な原作が
阿部寛演じる桜木建二の名セリフと
ドラマオリジナルの演出によって
魅力が倍増,数々の感動を生んできたドラマ『ドラゴン桜』,
その最終回,多くのブロガーが引っかかったのが
極悪ツイン(←単数形は双子の片方)・奥野次郎の毒サンド事件。
「勇介の骨折と一郎の腹痛は余計だった」
「ハプニング起こりすぎ」
「正々堂々と受験させてやりたかった」
といった意見が挙がっていますが,この出来事にはどんな意味があったのでしょうか。
検証してみたいと思います。
感動の最終回!ドラゴン桜◆まずは感想
※本来なら「桜木名言集」とかまとめるところなんでしょうが,
時間かかりそうだし,他の人が先にやるだろうけれど
僕は後回しにしたいと思います。
■違和感その1・ずさんすぎる犯行 その理由
・同居してる兄弟なのに自宅でなく路上で待ちかまえ,
食べ物を渡すという行為を,一郎だけでなく
英喜や麻紀がそばにいる状況で敢行
・10日前に期限切れだとはっきり表示されているパックのまま
手渡している。このとき視聴者には品質表示シールが
見えないが,その気になればその場で確認できる。
超お人好しの一郎は心底弟の好意を信じただろうし,
その目の前で確かめるような,露骨に疑って見せるような
ことはできないだろうが,別れたあとで英喜が「念のため
見てみたら?」とでも言い出すリスクはある。
・1月という寒い時期だけに,10日前のサンドイッチでも
別に体調に影響ない可能性もある。
という,矛盾だらけのこの行動。
一郎が発症しない,あるいは陰謀が露見することで
計画が失敗に終わるリスクを抱えた非常にあやうい犯行だと
言えるわけです。
このような暴挙を次郎が実行に踏み切るにあたって
◆◆◆次のような理由◆◆◆が考えられます。
・10日前の賞味期限が明記されたサンドイッチを食べたのは
一郎の不注意。悪意が露見したところで「もらい物なので
期限切れとは思わなかった」(自分が狙われていた)
「一郎が勝手に不注意で腹をこわした。次郎から貰ったというのは
でっち上げ」(特進の仲間に見られていたって「落ちれば賊軍」)
と言い逃れる腹だった。
※警察沙汰になった喫茶店での乱闘事件のときも,
殴った相手が肉親の兄なのだから正直に言えば注意くらいで済んだのに
「秀明館の僕と流山の不良とどっちの言うことを信じるんですか」
としらばっくれた次郎だけに十分考えられる。
・陰謀がばれて一郎が食あたりにならなかったとしても
弟にはめられそうになったというだけで精神的ショックを与えられる。
どうせ一郎は誰にも訴えないだろうし,
親にちくられたとしても発症せず実害がなければおとがめなしで終わるはず
と読んだ。
・わざと失敗する余地を残して一郎の運を試した。
それでもワナにはまるようなら運も,注意力も,
雑菌に負けるくらい体力もなかった一郎が悪いというわけで
罪悪感にとらわれずにすむ逃げ道を自分用に残した。
どの理由だとしても,次郎,とことん悪いやつですね~~!!
桂朝丸(現桂ざこば)だったら「これがホンマ悪いやつなんですわ~」,
月亭八方だったら「氏ねちゅぅんじゃ!」と
罵倒したくなるような極悪人です。
まさに「そんなジローに騙されて」,
一郎は地獄の苦しみを味わったわけです。
■違和感その2・逃れられなかった発症
そして,この事件に関しては一郎にも問題があります。
◆食感に関する疑問
10日前のサンドイッチ,パサパサで普通気づくだろ?!
これは非常に大きな疑問です。夏場なら室温で最悪半日or一晩,
3日もすれば糸を引くくらい痛みそうな具のサンドイッチ。
食あたりというのは腐敗菌とは別の病原菌が原因ですから
味やにおいに異常がなくても食中毒を起こしてしまうということは多々あるのですが
冬場だから10日前でも腐ってはいなかったにしても
パンがパサパサして異常に気づく可能性が非常に高いということです。
なぜ一郎はむざむざとワナにはまってしまったのでしょうか?
・一郎がとてつもなくピュアで味オンチだった。
※ふだんから残った料理を「捨てるのもったいないから食べておいて」
などといって古い食べ物の処理係をさせられていた
(一郎なら自分から「もったいないから僕が食べるよ」と普段から言いそう),
文字通り「冷や飯を食う」状態だった…だって,次郎の自宅学習が終わるまで
邪魔だから帰ってくるなと言われていた…彼ですから,
多少食感の悪いパンでも違和感を感じなかったと。
…あながち当たっていないともいえないところが恐ろしい。
・パーシャル保存していた
こう考えると,次郎は自分用に買ってあったサンドイッチを冷蔵したまま
忘れていて,いったん食べようと思って持って出かけたけれど
やっぱり食べる気にならず,1日外へ持ち出していた分菌の繁殖も進んで
悲劇の食中毒に至ったということも考えられますね。
なんだ,事故じゃん!
いちおう,1つの仮説にすぎないので先へ進みます。
◆潜伏期間に関する疑問
もう1つ疑問があるのは,
次郎から渡されたサンドイッチを一郎はその場で開封して食べてます。
翌朝,試験会場でカバンの中から空になったプラスチック容器を
取り出し,賞味期限表示を確かめていますから,
その場で全部平らげ,行儀のいい一郎は空容器をポイ捨てせず
カバンに入れて持って帰ったと考えられます
(その場で全部食べずに,残りを家で食べたのなら,
容器をカバンの中に戻すことは考えられません)。
そうなると,次郎が「夜食にでも食べて」と言って渡した
サンドイッチ,予定より早く食べてしまったことになります。
そうなると発症の時間帯は想定の範囲より早まってしまうのでは…。
そのシーンの直後に舞台が病院に移り,
「すわ,早速運び込まれたか?!」と思った人も多いことでしょう。
その日の夜のうちに発症しだしたとすれば,出すもの出すか,
病院で薬をもらうなりして,受験時刻前に症状が落ち着いてしまうのではないかと
思えるわけです。
というわけで調べてみました(→ドクターQ&A 気をつけたい食あたり・食中毒)。
おもな食あたりのうち,腹痛を起こす病原菌は意外と少なく
カンピロバクター(潜伏期間1~7日)
サルモネラ(6~48時間)
O157など腸管出血性大腸菌(3~9日)。
一郎は嘔吐は訴えていませんでしたからO157は除外。
※菌を意図的に仕込むとなると,
傷口を触った手から感染することで有名なブドウ球菌(2~4時間)
が一番手軽なうえ通常1~2日で治るという使い勝手のよい(使うなよ)
菌なのですが,ブドウ球菌の症状には下痢はあるものの
腹痛がなくて嘔吐があるためここでは該当しません。
ですから,潜伏期間の点については,不自然なところはないようです。
お騒がせしました。m(_ _)m
それにしてもタマゴ(動物性タンパク)入りのサンドイッチなんて
腐ったらそうとうやばいだろ…。
なんとか受験できてほんとうによかったね。
■違和感その3・気になる表情
「ごくせん」(2005)第7話ではツッチー速水もこみちと一緒にジョイフル産業の面接に行っていた
水谷百輔くん,キリリとした眼差し&シュッとした顔立ちの中にも
どこかあどけなさの残る彼が演じた次郎の顔にヒントが隠されています。
(画像なしでスマソ。ご自宅のレコーダーか脳内DVDで再生してみてください)
毒サンドを一郎に渡すときの次郎の表情,
陰謀がばれないか緊張しているような,
一郎の様子をさぐりながらの表情にも見えるのですが,
「兄弟だと知られたら恥ずかしいから声をかけるな」と言い放つほど
傲慢だった弟が見せていた,あの見下すような視線が消えているのです。
あるいは逆に,すでに次郎の心の中での立場が逆転していたとして
その裏返しとしての作り笑いをすることもなく,
自分の受験勉強が不調であるいらだちと,生き生きとマイペースで
勉強している一郎に対する嫉妬がないまぜになったような屈折した憎悪,
心の中にためこんでいるであろうドロドロした怨念が
垣間見えることもありません。
私から見ればやらされている感がありありと見えるのです。
実は,時をさかのぼること8月の時点,東大模試が終わって
次郎が一郎に自己採点の結果を訪ねたときの返事
「ふ~ん。僕はBだったけど」
と言ったときにその予兆はすでに現れていたと感じました。
このとき「イヤミな弟!」と憤慨した人も多かったですが,
僕は,次郎は「特進とやらに入ってガリガリ勉強しても
やっぱり合格圏外か」と鼻で笑うような,あからさまに
一郎をバカにする態度をとらなかったことに「あれっ?」と思いました。
よくよく考えれば,一郎より上でもBじゃ決していばれないんですよ。
何より自分が合格して親の期待に応えてこそ
奥野家における自分の地位が守られるわけなので,
あの時の次郎の心境は,まだ自分のほうが上にいることを確認して
しばしほっとしたといったところじゃないでしょうか。
以上のようなヒントを総合して考えた結果,
私は次のような結論に至りました。
■結論・奥野兄弟毒サンド事件の真相
奥野一郎が弟・次郎の渡したサンドイッチによって
東大二次試験2日目に腹痛に襲われたのは
神の意志である。
そこそこ!ずっこけないように。
◆試練を受けなければならなかった一郎
このドラマで桜木が一貫して守ってきた特進クラス指導のポリシーは
「困難だけど本人が乗り越えられる壁を与え,自力で乗り越えるまで見守る」こと。
よくおためごかしな人生訓として
「神は乗り越えられない苦難を人に与えない」などといいますが,
桜木のやってきたことはまさにネ申の仕事だったわけです。
そしてもう1つが「やりもしないで最初からあきらめるな」
→決して平等ではない,与えられた環境や状況を受け入れた上で
ベストを尽くすこと。
これがドラマシリーズ全体のテーマである以上,
最終回だけ万全のスッキリした状態で解答用紙に鉛筆を走らせるなんてことは
神はお許しにならず,イエスが全人類の罪を一人で引き受け
ゴルゴダの丘で磔になったかのごとく,
全受験生を代表して矢島・水野・一郎の3人にアクシデントを与えたわけです。
(うわ,宗教臭い文章!)
6人中3人が二次試験の1日目が終わった直後にアクシデントに見舞われる
なんてのは,15人の聖歌隊が全員違う理由で遅刻したために教会の
ガス爆発事故から1人残らず助かるくらい低い確率だと思いますが,
一郎の場合は,もともと特進クラス入り前から勉強する習慣が
身についており,特進入りしてからさらに開眼,6人の中で常に上位に
いたわけですから,誰かに抜かれるかハンデを負う必要があった。
試験当日に38度の熱を出して東大に現役合格した例(僕の従兄)
もあるから決して超えられない壁ではなかったのです。
ただ…勇介の右手骨折は,正直あれはシャレにならんですね。
僕も右脳を鍛える&不慮の事故に備えてという理由で,
ときおり左手に箸を持って夕飯の煮豆を食ったりするんですが,
その時のコンディションによって全然やりやすさが違うんですよ。
まして,字でしょ。もともと1つ1つの字は右手で書きやすい筆順に
なっているし,ふだん使わないほうの手で細かい字を書くのはとっても面倒。
そっちに神経がいったり,うまく書けなくてイライラしたら,
とても時間と闘いながら問題を解けるのは無理。
ただでさえ基礎学力が特進クラス最低レベルの勇介だけに
あばらの1本を折る程度にするか(をいをい),
痛くても右手で書かせたほうがよかったんじゃないかなと思います。
直美の場合は母・悠子が最初から爆弾を抱えていたわけで,
入室期限にギリギリ間に合わないタイミングで意識が戻る
という運命のいたずらに翻弄されてしまったわけですが,
決してくさらず,誰も恨まずにすべてを受け入れ
まっすぐに1年後の再挑戦に向けて努力を続けていく
その美しい姿に胸を打たれます(直美自身「1年目駄目でも何度でも
挑戦したい」と特進入りした時点で言っていますので,
挫折した理由は違いますが,浪人は想定の範囲内だったということでしょう)
一浪後の合格に向けての試練だと信じたい。
そして竜山の東大受験生6人の内訳を見ると,
アクシデントに見舞われた3人が2人合格,
アクシデントのなかった3人からは1人だけが合格という
成績となったわけですが,
不純な約束を受験勉強のモチベーションにしていた英喜が
その相手である麻紀を道連れに落ちてしまったというのは
決してそれが理由であったとは思いません(皮肉な話だし,
受験会場の帰り道でさえ念を押してたシーンが不合格を
暗示していたといえなくもないのですが,そんなことで
天罰を与えられたら人間やってらんないですよ)
英喜・麻紀についても,一浪後の合格に向けての試練だと
信じたい(ただ,2年目となると学力もついてきている
ことだし,東大は現役優位の傾向があるので他大学併願も
視野に入れた方がいいような気も)。
◆罰を受けなければならなかった次郎
そして,次郎が犯行に及ぶことの必然性について。
次郎が「違和感その1」で書いたような確信犯でやっていたとしたら
はっきり言って,もう自分の受験勉強どころではない精神状態だった
としかいえないでしょう。
合格する自信がまるでないからこそ一郎を陥れようとしたわけで
合格する意志があればその確率を少しでも高めるほうに
力を注いだはずですから。
違う高校だから相手の状況がよくわからず頭の中で一郎の存在が
どんどん肥大化していったのでしょうが,たとえ陰謀の計画が
頭をよぎったとしても実行に移すか移さないかでは天と地の差,
それでも結局犯行に及んでしまった,
越えてはならない一線を踏み越えてしまったのはなぜか。
100%の自信があったから?
違います。もしそうであれば,次郎の目は尋常ではなく
イッちゃった状態で一郎に毒サンドを渡していたことでしょうが
そうではなかった。
人としての心を持った状態で,やっちゃったのです。
となると,神に操られていたとしか言いようがない。
(まるで上祐だな,こんな言い方してると)
これは逆に,一郎を除く奥野ファミリーへの罰なのです。
犯行に及ぶまでには次郎の胸中にも葛藤があったでしょう。
それまでカス扱いして見下していた双子の兄が
仲間と楽しく生き生きと受験勉強に励んでいるのに
自分は秀明館で周りはすべて敵というギスギスした環境の中
(隠していた一郎の存在がばれたとたんクラス中の陰口のネタになるという
妄想かと思うくらい露骨なリアクション。ひでえ学校だな)
成績もふるわないし彼女ともうまくいかないし,
親からの期待がプレッシャーとなるし,もし一郎が合格して
自分が落ちたら,親の寵愛を一身に受けていた立場から転落する。
しかし,やっていいことと悪いことの区別は多少はつくわけで
(乱闘の罪を英喜になすりつけた時とはやっちまった後と
まだやってない時とで状況がまるで違いますから)
成功確率から失敗の可能性,失敗したときのリスクとか
グルグル頭をかけめぐったことでしょう。
けれど,そんな背景などまるでなしに,
毒サンドを一郎に渡しました,
合格発表で,自分の不合格を知って走り去りました。
以上!
という,子どもの使い程度の最小限の登場だけで片づけられてしまう
(当然,親の登場シーンなど皆無)。
奥野家にとってはかなりの重大な出来事のはず。
2日目の受験が終わった後や合格の結果を受けて
兄弟で明暗が分かれた日など,兄弟・家族での会話を出したら
昼ドラに換算して2~3日分のネタにはなるでしょう
(そんだけ?!だって昼ドラってすごく濃い~んですものw)
それなのにバッサリカットですよ。
だったら最初からやらせるなというくらいひどい扱いです。
これ以上の罰なくしてどんな罰があると言えるでしょう?!
第5話で,まったく無実の英喜に罪をなすりつけて
警察で始末書を書かせるまで追い込み(無実を主張すれば1晩拘留)
自分をかばって殴られたのと同じ傷を再びつけようとする一郎に
「そんなにして恩を売りたいのか」とウゼえパフォーマンス呼ばわりしたうえ
親もずっと一郎の存在を嫌がっていたと秘話暴露。
とても血の通った人間とは思えない所業をした時点で,
不合格は決定されていたと言えるでしょう。
(ただルックスがいいから「一郎と両方合格して仲直り?」
といった夢を見るブロガーの方も多かったようですが。
僕も,次郎が落ちるとしても一郎はそれを望んでいないと思ったくちです)
だから,毒サンド事件で視聴者から共感を得られる要素を
完全に払拭させられた上で不合格という処刑に遭ったというのが
真相でしょう。間違いない!
■別の可能性
もしかしたら,本当に「もらった」サンドイッチだったのかもしれないですけどね。
だとしたら次郎が狙われていたわけで,すげえ嫌われ者だったってことになりますがw。
その相手はこんなところでしょう。
(1)いつもの暴言癖で,クラスメイトの恨みを買った…80%
※喫茶店の乱闘事件の発端は,まるっきり面識のない英喜に対して
次郎が「笑うの通り越して殺したくなるよな。
龍山のバカが受かるわけないだろ。受けるだけウザイんだよ」
と言ったのが発端。
毎日顔を合わせる同級生=ライバルの恨みを買うなどお手のものでしょう。
(2)秀明館だからという理由でつきあっていた彼女にふられ,
ちょっとおつむの弱い女の子に手を出してみたが
ポイ捨てにした恨みを買い「手作りのコンビニサンド」をプレゼントされた…20%
※だったら捨てろよ。
どう転んでも救いようのない奥野次郎でした。合掌。
念のため言っておきますが,水谷百輔くんには罪はありません(ていうか,スタッフを怒らせたのか?!)。ともあれ彼に幸あれ。
********************
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●脚本家・秦建日子氏のブログ。
※TBいただいた身で不遜きわまりない記事ですが…ゴメンナサイ。
ネット銀行のパイオニア『ジャパンネット銀行』*
を,東大受験にも攻略法はあるという切り口で教えてくれた秀逸な原作が
阿部寛演じる桜木建二の名セリフと
ドラマオリジナルの演出によって
魅力が倍増,数々の感動を生んできたドラマ『ドラゴン桜』,
その最終回,多くのブロガーが引っかかったのが
極悪ツイン(←単数形は双子の片方)・奥野次郎の毒サンド事件。
「勇介の骨折と一郎の腹痛は余計だった」
「ハプニング起こりすぎ」
「正々堂々と受験させてやりたかった」
といった意見が挙がっていますが,この出来事にはどんな意味があったのでしょうか。
検証してみたいと思います。
感動の最終回!ドラゴン桜◆まずは感想
※本来なら「桜木名言集」とかまとめるところなんでしょうが,
時間かかりそうだし,他の人が先にやるだろうけれど
僕は後回しにしたいと思います。
■違和感その1・ずさんすぎる犯行 その理由
・同居してる兄弟なのに自宅でなく路上で待ちかまえ,
食べ物を渡すという行為を,一郎だけでなく
英喜や麻紀がそばにいる状況で敢行
・10日前に期限切れだとはっきり表示されているパックのまま
手渡している。このとき視聴者には品質表示シールが
見えないが,その気になればその場で確認できる。
超お人好しの一郎は心底弟の好意を信じただろうし,
その目の前で確かめるような,露骨に疑って見せるような
ことはできないだろうが,別れたあとで英喜が「念のため
見てみたら?」とでも言い出すリスクはある。
・1月という寒い時期だけに,10日前のサンドイッチでも
別に体調に影響ない可能性もある。
という,矛盾だらけのこの行動。
一郎が発症しない,あるいは陰謀が露見することで
計画が失敗に終わるリスクを抱えた非常にあやうい犯行だと
言えるわけです。
このような暴挙を次郎が実行に踏み切るにあたって
◆◆◆次のような理由◆◆◆が考えられます。
・10日前の賞味期限が明記されたサンドイッチを食べたのは
一郎の不注意。悪意が露見したところで「もらい物なので
期限切れとは思わなかった」(自分が狙われていた)
「一郎が勝手に不注意で腹をこわした。次郎から貰ったというのは
でっち上げ」(特進の仲間に見られていたって「落ちれば賊軍」)
と言い逃れる腹だった。
※警察沙汰になった喫茶店での乱闘事件のときも,
殴った相手が肉親の兄なのだから正直に言えば注意くらいで済んだのに
「秀明館の僕と流山の不良とどっちの言うことを信じるんですか」
としらばっくれた次郎だけに十分考えられる。
・陰謀がばれて一郎が食あたりにならなかったとしても
弟にはめられそうになったというだけで精神的ショックを与えられる。
どうせ一郎は誰にも訴えないだろうし,
親にちくられたとしても発症せず実害がなければおとがめなしで終わるはず
と読んだ。
・わざと失敗する余地を残して一郎の運を試した。
それでもワナにはまるようなら運も,注意力も,
雑菌に負けるくらい体力もなかった一郎が悪いというわけで
罪悪感にとらわれずにすむ逃げ道を自分用に残した。
どの理由だとしても,次郎,とことん悪いやつですね~~!!
桂朝丸(現桂ざこば)だったら「これがホンマ悪いやつなんですわ~」,
月亭八方だったら「氏ねちゅぅんじゃ!」と
罵倒したくなるような極悪人です。
まさに「そんなジローに騙されて」,
一郎は地獄の苦しみを味わったわけです。
■違和感その2・逃れられなかった発症
そして,この事件に関しては一郎にも問題があります。
◆食感に関する疑問
10日前のサンドイッチ,パサパサで普通気づくだろ?!
これは非常に大きな疑問です。夏場なら室温で最悪半日or一晩,
3日もすれば糸を引くくらい痛みそうな具のサンドイッチ。
食あたりというのは腐敗菌とは別の病原菌が原因ですから
味やにおいに異常がなくても食中毒を起こしてしまうということは多々あるのですが
冬場だから10日前でも腐ってはいなかったにしても
パンがパサパサして異常に気づく可能性が非常に高いということです。
なぜ一郎はむざむざとワナにはまってしまったのでしょうか?
・一郎がとてつもなくピュアで味オンチだった。
※ふだんから残った料理を「捨てるのもったいないから食べておいて」
などといって古い食べ物の処理係をさせられていた
(一郎なら自分から「もったいないから僕が食べるよ」と普段から言いそう),
文字通り「冷や飯を食う」状態だった…だって,次郎の自宅学習が終わるまで
邪魔だから帰ってくるなと言われていた…彼ですから,
多少食感の悪いパンでも違和感を感じなかったと。
…あながち当たっていないともいえないところが恐ろしい。
・パーシャル保存していた
こう考えると,次郎は自分用に買ってあったサンドイッチを冷蔵したまま
忘れていて,いったん食べようと思って持って出かけたけれど
やっぱり食べる気にならず,1日外へ持ち出していた分菌の繁殖も進んで
悲劇の食中毒に至ったということも考えられますね。
なんだ,事故じゃん!
いちおう,1つの仮説にすぎないので先へ進みます。
◆潜伏期間に関する疑問
もう1つ疑問があるのは,
次郎から渡されたサンドイッチを一郎はその場で開封して食べてます。
翌朝,試験会場でカバンの中から空になったプラスチック容器を
取り出し,賞味期限表示を確かめていますから,
その場で全部平らげ,行儀のいい一郎は空容器をポイ捨てせず
カバンに入れて持って帰ったと考えられます
(その場で全部食べずに,残りを家で食べたのなら,
容器をカバンの中に戻すことは考えられません)。
そうなると,次郎が「夜食にでも食べて」と言って渡した
サンドイッチ,予定より早く食べてしまったことになります。
そうなると発症の時間帯は想定の範囲より早まってしまうのでは…。
そのシーンの直後に舞台が病院に移り,
「すわ,早速運び込まれたか?!」と思った人も多いことでしょう。
その日の夜のうちに発症しだしたとすれば,出すもの出すか,
病院で薬をもらうなりして,受験時刻前に症状が落ち着いてしまうのではないかと
思えるわけです。
というわけで調べてみました(→ドクターQ&A 気をつけたい食あたり・食中毒)。
おもな食あたりのうち,腹痛を起こす病原菌は意外と少なく
カンピロバクター(潜伏期間1~7日)
サルモネラ(6~48時間)
O157など腸管出血性大腸菌(3~9日)。
一郎は嘔吐は訴えていませんでしたからO157は除外。
※菌を意図的に仕込むとなると,
傷口を触った手から感染することで有名なブドウ球菌(2~4時間)
が一番手軽なうえ通常1~2日で治るという使い勝手のよい(使うなよ)
菌なのですが,ブドウ球菌の症状には下痢はあるものの
腹痛がなくて嘔吐があるためここでは該当しません。
ですから,潜伏期間の点については,不自然なところはないようです。
お騒がせしました。m(_ _)m
それにしてもタマゴ(動物性タンパク)入りのサンドイッチなんて
腐ったらそうとうやばいだろ…。
なんとか受験できてほんとうによかったね。
■違和感その3・気になる表情
「ごくせん」(2005)第7話ではツッチー速水もこみちと一緒にジョイフル産業の面接に行っていた
水谷百輔くん,キリリとした眼差し&シュッとした顔立ちの中にも
どこかあどけなさの残る彼が演じた次郎の顔にヒントが隠されています。
(画像なしでスマソ。ご自宅のレコーダーか脳内DVDで再生してみてください)
毒サンドを一郎に渡すときの次郎の表情,
陰謀がばれないか緊張しているような,
一郎の様子をさぐりながらの表情にも見えるのですが,
「兄弟だと知られたら恥ずかしいから声をかけるな」と言い放つほど
傲慢だった弟が見せていた,あの見下すような視線が消えているのです。
あるいは逆に,すでに次郎の心の中での立場が逆転していたとして
その裏返しとしての作り笑いをすることもなく,
自分の受験勉強が不調であるいらだちと,生き生きとマイペースで
勉強している一郎に対する嫉妬がないまぜになったような屈折した憎悪,
心の中にためこんでいるであろうドロドロした怨念が
垣間見えることもありません。
私から見ればやらされている感がありありと見えるのです。
実は,時をさかのぼること8月の時点,東大模試が終わって
次郎が一郎に自己採点の結果を訪ねたときの返事
「ふ~ん。僕はBだったけど」
と言ったときにその予兆はすでに現れていたと感じました。
このとき「イヤミな弟!」と憤慨した人も多かったですが,
僕は,次郎は「特進とやらに入ってガリガリ勉強しても
やっぱり合格圏外か」と鼻で笑うような,あからさまに
一郎をバカにする態度をとらなかったことに「あれっ?」と思いました。
よくよく考えれば,一郎より上でもBじゃ決していばれないんですよ。
何より自分が合格して親の期待に応えてこそ
奥野家における自分の地位が守られるわけなので,
あの時の次郎の心境は,まだ自分のほうが上にいることを確認して
しばしほっとしたといったところじゃないでしょうか。
以上のようなヒントを総合して考えた結果,
私は次のような結論に至りました。
■結論・奥野兄弟毒サンド事件の真相
奥野一郎が弟・次郎の渡したサンドイッチによって
東大二次試験2日目に腹痛に襲われたのは
神の意志である。
そこそこ!ずっこけないように。
◆試練を受けなければならなかった一郎
このドラマで桜木が一貫して守ってきた特進クラス指導のポリシーは
「困難だけど本人が乗り越えられる壁を与え,自力で乗り越えるまで見守る」こと。
よくおためごかしな人生訓として
「神は乗り越えられない苦難を人に与えない」などといいますが,
桜木のやってきたことはまさにネ申の仕事だったわけです。
そしてもう1つが「やりもしないで最初からあきらめるな」
→決して平等ではない,与えられた環境や状況を受け入れた上で
ベストを尽くすこと。
これがドラマシリーズ全体のテーマである以上,
最終回だけ万全のスッキリした状態で解答用紙に鉛筆を走らせるなんてことは
神はお許しにならず,イエスが全人類の罪を一人で引き受け
ゴルゴダの丘で磔になったかのごとく,
全受験生を代表して矢島・水野・一郎の3人にアクシデントを与えたわけです。
(うわ,宗教臭い文章!)
6人中3人が二次試験の1日目が終わった直後にアクシデントに見舞われる
なんてのは,15人の聖歌隊が全員違う理由で遅刻したために教会の
ガス爆発事故から1人残らず助かるくらい低い確率だと思いますが,
一郎の場合は,もともと特進クラス入り前から勉強する習慣が
身についており,特進入りしてからさらに開眼,6人の中で常に上位に
いたわけですから,誰かに抜かれるかハンデを負う必要があった。
試験当日に38度の熱を出して東大に現役合格した例(僕の従兄)
もあるから決して超えられない壁ではなかったのです。
ただ…勇介の右手骨折は,正直あれはシャレにならんですね。
僕も右脳を鍛える&不慮の事故に備えてという理由で,
ときおり左手に箸を持って夕飯の煮豆を食ったりするんですが,
その時のコンディションによって全然やりやすさが違うんですよ。
まして,字でしょ。もともと1つ1つの字は右手で書きやすい筆順に
なっているし,ふだん使わないほうの手で細かい字を書くのはとっても面倒。
そっちに神経がいったり,うまく書けなくてイライラしたら,
とても時間と闘いながら問題を解けるのは無理。
ただでさえ基礎学力が特進クラス最低レベルの勇介だけに
あばらの1本を折る程度にするか(をいをい),
痛くても右手で書かせたほうがよかったんじゃないかなと思います。
直美の場合は母・悠子が最初から爆弾を抱えていたわけで,
入室期限にギリギリ間に合わないタイミングで意識が戻る
という運命のいたずらに翻弄されてしまったわけですが,
決してくさらず,誰も恨まずにすべてを受け入れ
まっすぐに1年後の再挑戦に向けて努力を続けていく
その美しい姿に胸を打たれます(直美自身「1年目駄目でも何度でも
挑戦したい」と特進入りした時点で言っていますので,
挫折した理由は違いますが,浪人は想定の範囲内だったということでしょう)
一浪後の合格に向けての試練だと信じたい。
そして竜山の東大受験生6人の内訳を見ると,
アクシデントに見舞われた3人が2人合格,
アクシデントのなかった3人からは1人だけが合格という
成績となったわけですが,
不純な約束を受験勉強のモチベーションにしていた英喜が
その相手である麻紀を道連れに落ちてしまったというのは
決してそれが理由であったとは思いません(皮肉な話だし,
受験会場の帰り道でさえ念を押してたシーンが不合格を
暗示していたといえなくもないのですが,そんなことで
天罰を与えられたら人間やってらんないですよ)
英喜・麻紀についても,一浪後の合格に向けての試練だと
信じたい(ただ,2年目となると学力もついてきている
ことだし,東大は現役優位の傾向があるので他大学併願も
視野に入れた方がいいような気も)。
◆罰を受けなければならなかった次郎
そして,次郎が犯行に及ぶことの必然性について。
次郎が「違和感その1」で書いたような確信犯でやっていたとしたら
はっきり言って,もう自分の受験勉強どころではない精神状態だった
としかいえないでしょう。
合格する自信がまるでないからこそ一郎を陥れようとしたわけで
合格する意志があればその確率を少しでも高めるほうに
力を注いだはずですから。
違う高校だから相手の状況がよくわからず頭の中で一郎の存在が
どんどん肥大化していったのでしょうが,たとえ陰謀の計画が
頭をよぎったとしても実行に移すか移さないかでは天と地の差,
それでも結局犯行に及んでしまった,
越えてはならない一線を踏み越えてしまったのはなぜか。
100%の自信があったから?
違います。もしそうであれば,次郎の目は尋常ではなく
イッちゃった状態で一郎に毒サンドを渡していたことでしょうが
そうではなかった。
人としての心を持った状態で,やっちゃったのです。
となると,神に操られていたとしか言いようがない。
(まるで上祐だな,こんな言い方してると)
これは逆に,一郎を除く奥野ファミリーへの罰なのです。
犯行に及ぶまでには次郎の胸中にも葛藤があったでしょう。
それまでカス扱いして見下していた双子の兄が
仲間と楽しく生き生きと受験勉強に励んでいるのに
自分は秀明館で周りはすべて敵というギスギスした環境の中
(隠していた一郎の存在がばれたとたんクラス中の陰口のネタになるという
妄想かと思うくらい露骨なリアクション。ひでえ学校だな)
成績もふるわないし彼女ともうまくいかないし,
親からの期待がプレッシャーとなるし,もし一郎が合格して
自分が落ちたら,親の寵愛を一身に受けていた立場から転落する。
しかし,やっていいことと悪いことの区別は多少はつくわけで
(乱闘の罪を英喜になすりつけた時とはやっちまった後と
まだやってない時とで状況がまるで違いますから)
成功確率から失敗の可能性,失敗したときのリスクとか
グルグル頭をかけめぐったことでしょう。
けれど,そんな背景などまるでなしに,
毒サンドを一郎に渡しました,
合格発表で,自分の不合格を知って走り去りました。
以上!
という,子どもの使い程度の最小限の登場だけで片づけられてしまう
(当然,親の登場シーンなど皆無)。
奥野家にとってはかなりの重大な出来事のはず。
2日目の受験が終わった後や合格の結果を受けて
兄弟で明暗が分かれた日など,兄弟・家族での会話を出したら
昼ドラに換算して2~3日分のネタにはなるでしょう
(そんだけ?!だって昼ドラってすごく濃い~んですものw)
それなのにバッサリカットですよ。
だったら最初からやらせるなというくらいひどい扱いです。
これ以上の罰なくしてどんな罰があると言えるでしょう?!
第5話で,まったく無実の英喜に罪をなすりつけて
警察で始末書を書かせるまで追い込み(無実を主張すれば1晩拘留)
自分をかばって殴られたのと同じ傷を再びつけようとする一郎に
「そんなにして恩を売りたいのか」とウゼえパフォーマンス呼ばわりしたうえ
親もずっと一郎の存在を嫌がっていたと秘話暴露。
とても血の通った人間とは思えない所業をした時点で,
不合格は決定されていたと言えるでしょう。
(ただルックスがいいから「一郎と両方合格して仲直り?」
といった夢を見るブロガーの方も多かったようですが。
僕も,次郎が落ちるとしても一郎はそれを望んでいないと思ったくちです)
だから,毒サンド事件で視聴者から共感を得られる要素を
完全に払拭させられた上で不合格という処刑に遭ったというのが
真相でしょう。間違いない!
■別の可能性
もしかしたら,本当に「もらった」サンドイッチだったのかもしれないですけどね。
だとしたら次郎が狙われていたわけで,すげえ嫌われ者だったってことになりますがw。
その相手はこんなところでしょう。
(1)いつもの暴言癖で,クラスメイトの恨みを買った…80%
※喫茶店の乱闘事件の発端は,まるっきり面識のない英喜に対して
次郎が「笑うの通り越して殺したくなるよな。
龍山のバカが受かるわけないだろ。受けるだけウザイんだよ」
と言ったのが発端。
毎日顔を合わせる同級生=ライバルの恨みを買うなどお手のものでしょう。
(2)秀明館だからという理由でつきあっていた彼女にふられ,
ちょっとおつむの弱い女の子に手を出してみたが
ポイ捨てにした恨みを買い「手作りのコンビニサンド」をプレゼントされた…20%
※だったら捨てろよ。
どう転んでも救いようのない奥野次郎でした。合掌。
念のため言っておきますが,水谷百輔くんには罪はありません(ていうか,スタッフを怒らせたのか?!)。ともあれ彼に幸あれ。
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※TBいただいた身で不遜きわまりない記事ですが…ゴメンナサイ。
ネット銀行のパイオニア『ジャパンネット銀行』*
そこに食い付きましたかっ
とツボりました(笑)
あの程度なら、スポンサーは大丈夫か……。
U2@バガボンドブログさん
コメントありがとうございます。
われながらバカ記事だと思いますが(無駄に長いw)笑っていただければ幸いです。