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奈良一家放火殺人事件◆すべてを呑み込む絶望

2006-07-02 08:29:13 | ニュース
奈良県田原本町の医師(47)方の長男・東大寺学園高校1年生が
自宅に火をつけて家族3人を死に至らしめ逃げた事件。
※テレビで少年の足取りとして学校の最寄り駅を近鉄高の原駅と紹介たら平城高校か東大寺かの二択だってのに,中高一貫の有名私立進学校とまで言ったら高校名を言っているも同然。当初は少年による殺人と断定されていなかったとはいえ…
 まして校長のインタビューも流してるし…


最近になって「3人が死ぬとは思わなかった」と供述を翻したものの
当初の取り調べに対し「家族3人が2階にいることを知っており、死んでも構わないと思った」
と未必の故意を認めていて,「1階のあちこち(寝室の真下の台所や階段近く)に
サラダ油をまいて火をつけた」という犯行からいっても(灯油を用いた可能性もあり)
殺人で立件されるのは濃厚。
なぜ自らの母親と小2の弟,5歳の妹という世界で最も大事なはずの人々の命を絶ち
自分の将来をめちゃめちゃにする凶行に走ったのか。

【県警捜査本部の調べに長男が供述した動機】
「厳しく説教し、殴る父に憎しみを持っていた」
「保護者会で中間試験の成績が親に渡され、成績についてのうそが発覚するから」
「母親は何でも父親に告げ口するので恨みがあった
 (告げ口が原因で父親に殴られたこともあったという)」

【テレビなどで報じられたY家および長男Yの家庭状況】
・火災の第一報で「父が47で医師,母親(38)も医師」。
 不明の長男が16だから22の子…学生出産で医者に?
・と思ったら,やはり後妻で約10年前に再婚。長男だけが前妻の子。
・長男は普段からまじめで、中学に入学して以来、学校での目立ったトラブルはなかった。
 中学1、2年のころには学業をめぐって母親と口論になり、当時の担任に相談があったが
 高校に進学してからは成績も緩やかに上昇するなど安定した状態だった(学校側証言)
・長男は学校を終えると真っすぐに帰宅せず、よく同じ町内にある父親の実家に立ち寄っていた(近所の人)
・長男の姿を見たことはない。4人家族と思っていた(近所の人)
※「長男(16)が殺人と放火の容疑で逮捕されましたので、家族全員を匿名とします」なんてありますけど,ネット上では新聞社の記事でさえ初報(不明の長男以外は一家全員フルネーム)がそのまま読めるんですよね…手間もかかりますし改ざんみたいなものですしから直さないんでしょうけど。匿名か顕名かはマスコミにとっても大したことじゃないんでしょうね。

学校帰りに祖父母の家に立ち寄るなんてのは,
僕も小3くらいの頃,家に何の不満もなくても歓迎されて居心地がいいから
祖母の住まいに頻繁に寄ってましたんで,
これだけでは家庭に問題があるという根拠にはなりませんし,
高校生の息子の存在を知らないという愕然とする証言も,
たまたまその程度しか知らない人に聞いただけかもしれない。
「よく小さい弟妹の面倒を見ていた」(長男の友人など)
という証言もありましたからね。


一番かわいそうなのはもちろん殺された3人。
「こういうことがあったりすると,
 連れ子のいる人と結婚して,子どもをつくるかどうかって
 大問題だよね」
そういう問題じゃないだろう。
血のつながらない親子・きょうだいが必ず憎しみ傷つけ合うなんて。
ある番組が,最近起こった同様の事件4件ほどを表にまとめ,
いずれも再婚など家庭に“問題”を抱えていたと示したらしい。
※この番組についてご存じの方がいたら番組名など教えてください。
 非常識にもほどがある!


「それに,亡くなった奥さんのご両親も娘と孫を一度に失って
 あまりに酷すぎて泣くに泣けないね」
…。

そして,被害者の1人である父親について「有名大学の出身ではない父親は、医者になってから待遇の差で苦労していた。
 息子に同じ思いをさせたくなかったんだろう。 
 今回最もショックを受けたのは父親で、彼も被害者だ」(父子の知人)
「離婚や再婚があって父子の葛藤があって成績を巡る悩みがあってなんてこの国では何十万という同様な家庭があるだろう。そうした苦難の中でもっとも直接的なものは金銭的な窮迫だ。今回の吉川家にはそれはない。要するに人を殺すか殺さないかであって結論は殺してはいけないに決まっている。つまりはYなる長男そのものの問題なのだ。もちろん父親は厳しく躾けあるいは手をあげたかもしれない。しかしそれをことさらに報じるメディアの神経を私は疑う。妻と娘二人を亡くし息子が犯罪者になった彼は被害者以外の何者でもない。」(「勝谷誠彦の××な日々」)
 ↑勝谷氏の記事の主旨は父親擁護というよりステロタイプな報道への批判

といった同情の声がある一方,

・父は勉強部屋を「ICU(集中治療室)」と呼び、
 小学校の時から夜遅くまで付ききりで(ときに殴りながら)勉強を教えていた。
・週1、2回の頻度で暴力行為を受けていた。
 (竹刀や定規で殴ったという話もあれば常に素手だったという記事も)
・使っていたテレビゲーム機を取り上げて破壊したり、
 友人らの訪問中に長男に命じて勉強をさせることもあった。
・テレビで何度も引き合いに出された
 「父親の手術中の写真にあこがれて医者になりたいと思っている」
 という卒業文集のことば,どこも触れていないけれど,その中に
 「お父さんは何も言わないけれど」とも書かれている(下村健一氏の指摘)
・長男を祖父母に預け,両親と下の子2人だけで旅行に出かけていた。
・後妻とは不倫カップルで,前の奥さんを追い出して結婚した。
・父親は病院の当直勤務中で不在だった というのは嘘(今も不倫)。
・旅行や遊びに出かけるときは長男を除く家族4人で行き,
 長男は祖父母宅に預けていった。
・長男には実の妹がいたが,実母が離婚する際に一緒に連れて出て行った。


早速週刊誌などで始まっているバッシング報道の一環とも考えられますから
不倫云々など100%は信じたくない気はしますが,この事件に関しては
「家庭環境が犯行の原因」という面が非常に大きいと感じています。
話が非常によくつながり,腑に落ちてしまうのです。

父親のスパルタ教育のもと,同じ医師を目指して進学校で頑張っていたが
成績の伸び悩みに苦しみ,医者になる夢(目標)に絶望を感じた。
父親を憎んでいたが,直接歯向かうことができず,
父親が大事にしている家族(自分とは血がつながっていない)を
めちゃめちゃに壊し消滅させることで復讐を果たそうとした。


長男にとって父親の期待に応えて医師になることだけが
家庭内で自分の存在を証明するすべだったとすれば,
こういう筋書きが,少なくとも僕の中では完全に成立してしまうのです。

そこで思ったのが,夢や自分の存在理由を喪失してしまうのは
なんと恐ろしいことなのか
ということでした。
一番身近な親が自分の存在を認めてくれる,将来に希望がある,
どちらかでもあれば生きていく力になるのだけれど,
この長男はそれが同一のものに依存していて,同時に失っ(たと思っ)てしまった。
未来につながるすべてを消してしまいたくなる,
今死んでるのも同然なんだから,自分の将来だってどうでもいい。
今自分にとって嫌なことだけでなく,自分が積み上げてきた
将来に必要なものもひっくるめて「リセット」してしまう。

■昨年6月20日の東京都板橋区で起こった社員寮管理人夫婦の殺人爆発事件も,
父親にその存在を踏みにじられた長男(当時高1)の犯行でした。
両親が創価学会にはまって金も時間も注ぎ込む(布教勧誘もしまくる)から
暮らしも楽にならないし,職も住所も転々とせざるを得なくて転校続きで
友達もつくれない,できてもすぐ別れることになってしまう。
“仕事”も手伝わされる,そして犯行の引き金となった
「お前とおれとは頭の出来が違うんだ」という父親の言葉。
(大手マスコミでは伏せられているため意味不明の言葉と
 なっていますが,本当は「信心が足りないからお前は
 俺とは出来が違うんだ」であったと宮崎哲弥氏などが明言)
己の道楽同然の傍迷惑な宗教狂いに自分の人生を巻き込んでおいて
あげくに自分の存在を否定する。ゲーム機を何度も壊される,
犬と一緒に段ボール箱に入れられたり,
父親が買ってきた自殺本を読めと言われることもあった。

この境遇にいる限り,自分のすべてを潰され続ける。
将来に何の夢も希望も展望も見えてこないのだから
父親を殺して殺人犯となっても大したことじゃない…

電熱器とサラダ油,殺虫剤のスプレー缶を使った爆破装置のタイマーを
セットした少年は,池袋で映画『バットマン ビギンズ』を鑑賞し,
軽井沢,草津の旅館を転々。
逮捕後,両親のことを他人事のように淡々と話していた少年は,
母親が内緒で貯金していた少年名義の通帳を見せられ初めて涙を流し
初公判では「16年間ここまで育ててくれたのに恩をあだで返してしまった。
大ばかなことをしてしまって本当に後悔しています」と供述,
己の犯行を悔いるようになったといいます。

■母親の愛情を知ってはじめて罪を悔いる心を取り戻した
板橋区の少年,自宅に放火後,京都に移動し民家に侵入して
テレビでFIFAワールドカップを観戦したという奈良のY少年と
共通するものを感じます。

もともと真っ暗だった自分の未来を0にしただけ,
どっちにせよ将来のことなどどうでもいい,
自分のしたことがどんなに酷い罪だろうが,
自分がこの後捕まろうがどうでもよくて,
とりあえず映画とかサッカーなどの目の前にある娯楽を楽しめばいい…

■医師になるためスパルタ教育を受けた,
そして成績がよくなくて(勝手に?)将来の夢に絶望した
これだけだったら世の中によくある話で
殺人の原因として結びつけるのは短絡的なのかもしれません。

けれど,学校の勉強ができないこと・そして自分の息子を
“病気”呼ばわりする「ICU」というネーミング,
旅行に長男を連れて行かず今の妻とその子だけで遊びに行く仕打ち
一家の絶対的存在として君臨して,事件後退学届を出すなど
とことん息子の人生を支配しようとする態度(学校側は本人の
意思が確認できていないと保留)
父親自身は自分勝手な女性関係に励んでいる…
息子じゃなくて医者になるための勉強マシーンとしてしか
存在を認められていなければ,
医者になれないと心が折れた時点で…

母親も同じ“被害者”として長男の心に寄り添うことができれば
まだ救われる余地があったと思うのですが,
もともとは自分が長男から母親を奪った張本人であるうえに
今,自分と実子が一応夫の愛情を受けている現状では
その立場を損ねたくないし,そんな状態で長男に優しく接しても
愛情としては伝わらなかったかもしれない。

憎悪の対象である父親本人ではなく,弱い義母と義妹弟を
手にかけた,しかも自宅への放火で焼き殺したという
手段は卑怯そのもので許し難いものがありますが,
(父親の愛情をとりもどしたくて,今寵愛を受けている家族を
 排除したかったという気持ちもあるのかもしれませんが…)
生育状況を読むかぎりでは,
父親の責任は大ですね…。

父親を殺人犯を生みだした悪者としてバッシングするのではなく
子どもの心や存在そのものをきちんと1人の人間として
認めてあげないといけないという
反面教師として記憶にとどめていくべきだと思います。

Yahoo!ニュース - 奈良家族3人放火殺人事件

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-03-15 03:50:17
今更だが義弟とは知り合いってか幼稚園一緒だった
同じスイミングに通ってて義弟が殺される前日にまた会おうねーって言ってわかれたのを覚えてる
その翌日に死んだってニュースになってポカーンってなったのを覚えてる
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