D.D.のたわごと

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「こうのとりのゆりかご」です。

2007-02-23 18:30:45 | ニュース
時事通信2007/02/23-11:50
他ケースは慎重に見ていく=「赤ちゃんポスト」対応で-柳沢厚労相
 熊本市の慈恵病院が、育児が困難な親が乳児を託す「赤ちゃんポスト」の設置を市に申請した問題で、柳沢伯夫厚生労働相は23日の閣議後記者会見で、今後の類似ケースへの対応について「非常に難しい問題なので、最初の熊本の活動状況、推移を慎重に見ていく姿勢が必要」との認識を示した。


う~ん…辛い話ですねぇ…

「赤ちゃんポスト」…要するに,誰にも見られず,身元も明かさずに
安全に赤ちゃんを捨てることができる設備ってことですよね。
記事の中では「託す」という表現を使ってますけれど,
これは赤ちゃんを“投函”したらすぐ病院内にアラームが出て
すぐに看護師が赤ちゃんを保護しにかけつけてくれることになっているから
赤ちゃんを命の危険にさらす「捨てる」行為とは違うってことなんでしょう。
でもまぁ…世間一般の感覚から単純に言ってしまえば育児放棄なわけで,
虐待やらネグレクトやら給食費を払わないやら,
親が外で子供を放置しておいて事故に遭って死んだりしたら
自治体やビルを訴えて金をせしめようとするなど
親がわが子をないがしろにする身勝手な事件が多々報じられる今,
避妊せずにやってたらできちゃいました。
墜ろせる時期すぎちゃったし産んだけど
育てられないから,赤ちゃんポストに放り込んできま~す

みたいな無責任行為を容認するようなこの行為,
誘発しないかという懸念から嫌悪感を覚える人も多いのではないでしょうか。

だがしかし,なぜ慈恵病院がこのような“サービス”を始めるに至ったのか
を考えると,脊髄反射的に同病院を叩けはしないだろうなという
直感がはたらきます。
なんでわざわざ面倒で精神的にもしんどくて
法律的にもややこしいことを始めることになったのか?

『パフューム』の孤児院のバアサンみたいに預かった子供を
放ったらかしで育てて,運良く生き延びて成長したら
労夫として数フランで売ってやればいいというわけでもない,
「アメリカには優秀なアジア人の孤児を養子に引き取りたい親が
 わんさといるからじゃんじゃんもらえばいいンダ」
という話でもない。

もし仮に裏があるなら追求しなければなりませんが,
そうでなく,単に「捨て子を容認するような行為はけしからん!」
という反発を招くようなことをなぜわざわざ始めるのかという
ことだけで考えると,

・1人でも尊い赤ちゃんの命を救うことを考えれば
 親の責任がどうのという話はさておいて
 赤ちゃん自身を保護することをまず行わないといけない。

・子を捨てようとまで思い詰める親(母親)は
 施設に預けることすら考えられないくらい
 誰一人相談できる人もおらず精神的に追いつめられている。


明快といえば明快な問題です。

慈恵病院HPでは,「こうのとりのゆりかご」
(赤ちゃんポスト)について現時点(申請後厚労相のコメントは
反映していない)で以下のような見解を公開しています。
慈恵病院では数年前より中・高校に出向き、性教育の出張講座を行ったり、妊娠にかっとうする女性の電話相談を行っておりました。そのような活動を続けている中、平成16年、ドイツに「赤ちゃんポスト」というものが設置されていると聞き、視察に行きました。ドイツでは遺棄される新生児の数が毎年40人あまりに及び、そしてその半数は死後発見されていました。その救済策としてドイツの赤ちゃんポストは未熟な子どもの「生命」を保護するための窮余の一策でした。
 日本で妊娠にかっとうする女性のお話を聞く中で、ドイツと同様にどうしても誰にも相談できず、ひとり悩まれている事実に直面し、そしてまた、赤ちゃんの命も絶たれてしまっていることを知り、とても悲しく心が締め付けられる思いをしました。赤ちゃんを預けるという前に相談していただくという事が大前提です。相談して頂くことがご本人と赤ちゃんの幸せにつながっていきます。
 命は尊いものです。私たちはこの尊い赤ちゃんの命だけは救いたい、その一心で“こうのとりのゆりかご”の設置を決めました。
 各種メディアにて“赤ちゃんポスト”と報道されておりますが、私たちは“こうのとりが運んでくれた大切な命”という気持ちを込め、“こうのとりのゆりかご”と名づけております。
 報道されてから多くの方に温かいお言葉を頂いており、そのお言葉が私たちの“力”となっております。感謝の気持ちでいっぱいです。
 現在は実現に向け鋭意努力している所です。
 今後とも、ご支援よろしくお願い致します。
慈恵病院 理事長 蓮田 太二


「こうのとりのゆりかご」という,美化するようなネーミングも
いかがなものかと思いますが(真意としては,赤ちゃんの命に対して
望まれずに産まれたのではなく尊い命なのだということですよね)
とにかく,性教育の出張講座や妊娠中の女性の電話相談を続けてきて
母親の自覚を促したり精神的・手続き的なフォローは行ってきた
上での,それでも救えない命があるという現実に直面してきた上での
決断であり,生半可な偽善とか一朝一夕の慈善行為では
ないのだと考えます。

特に不自由なく両親に育てられてこの年までのうのうと生きてこられた
人間が,本人には何の責任もないのにこの世に生を受けた途端に
存在を葬り去られてしまう赤ちゃんたち,そしてその現実に直面している
人たちに対して何が言えるのかと考えると…
極端な話を言い出せば,
・施設に預けるのは現状で可能なのだから
 せめて親が身元をはっきり示してきちんと手続きをするのが
 最低の責任。それすらできない親の子を養う義務はない。
・親が育てない赤ん坊を制限なく預かっていたら
 税金がいくらあっても足りない。
・生まれてすぐ死ぬのなら言葉も知能も身に付いてないし
 動物とそんなに変わらないんじゃない?
なんてことも言えるわけで,それこそ子どもなんかは
「だって現実に自分はそうじゃないし関係ない」といって
「自分がそうだったら」なんて考え方を蹴っ飛ばしかねませんから
理屈でどうこうではなく親が命の尊さ,思いやりの大切さを教え,
想像力を身につけさせるようにリードしてやらなければ
今ちゃんと育っている子どもたちも,親になったときに
身勝手で愚かな親になるかもしれません…。
 
と,なんか暴走気味に話を進めてしまいましたけど,
要するに僕自身が今振り返ってみるとそういう想像力の鈍い
小学生だったんで(前にも書きましたけど,ドリフの
「8時だヨ全員集合」で志村人形がギロチンで斬首される
ギャグを見て,親が顔をしかめている前でゲラゲラ笑ってましたから)
こういう問題が出てくると,いろいろな方向に想像力を働かせないと
いけないなと思うのです。

柳沢大臣も,(文脈上全く必要のない)産む器械だの
なんだのってくだらない例え話をして国民のテンションを下げる暇があったら
これから産もうという人たちが,不安はあっても頑張ろうと思える
施策を打ち出しなさいっての。


■関連記事
病気腎移植問題で思うこと(2/6)

浪人生妹バラバラ殺人事件に思うこと(1/5)

ロリペドネクロ教師バッシングに物申す(06/12/05)

「いじめ」って言い方なんとかならんか?/新潮・まさに馬脚(06/10/20)

『天使の代理人』山田宗樹と命の問題(06/09/05)
 人工妊娠中絶をテーマにした重くも,読み手を惹きつける強い力を感じる小説でした。けっこう過激な内容に思えますけど,登場する女性たちが皆等身大の,実在して不思議のないリアルな話でした…。

 それにしても,男が責任をとらないで逃げられる現状って,どう考えてもおかしいですよね。

『ディロン~運命の犬』(本)と命の問題(06/09/04)

なぜ子猫を殺してはいけないのか?(06/08/24)

なぜ人を殺してはいけないのか◆入門編[前](06/08/20)
「なぜ人を殺してはいけないのか」◆入門編◆[後]



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検察はふつうに冤罪やってます

2007-02-23 12:55:56 | ニュース
時事通信2007/02/23-12:00
元県議ら12被告、全員無罪=「自白は不自然」-03年選挙買収事件・鹿児島地裁
 2003年4月の鹿児島県議選で、買収会合を開き現金を運動員に配って票の取りまとめを依頼したとして、公選法違反罪に問われた元県議の中山信一被告(61)と妻シゲ子被告(58)、運動員ら計12被告=いずれも同県志布志市=の判決公判が23日、鹿児島地裁であった。谷敏行裁判長は「被告らの自白は不自然、不合理で、犯罪の証明はない」と述べ、全員に無罪を言い渡した。
 検察側は中山被告に懲役1年10月、シゲ子被告と運動員らに同1年2月-同6月を求刑していた。
 検察側は論告で「多数回にわたる多額の現金買収であり、民主主義の根幹を支える選挙制度を根底から揺るがす悪質事案。被告らは犯行を否認し、反省の態度は認められない」と指摘した。


去年でしたか一昨年でしたか,報道特集だかザ・スクープだかで
この事件を報道されていたのを見たときは
地元の警察が「申し訳ない。よそから来た刑事が捜査しろと
言ってきていて,自分たちは従わざるを得ない」と
詫びている電話の録音テープが紹介されるなど
功名心にはやった警察のでっち上げではないかと示唆されていましたが
とにかく一審で無罪が出てよかったですね。
※検索でヒットしたのは昨年9/17の『NNNドキュメント06』。
 今朝のズームインでもバンバンこの裁判の経緯を判決前から紹介してましたし
 日テレが力を入れていた事件と言えそうですね。

郵便局をしていたシゲ子被告は事情聴取もなく
突然逮捕され(家族によって当時のやりとりが録音されていた。
よくできたものだと思う一方,そんなに異様な様子だったのかと
恐ろしくなります),170日以上も拘留されてたって。

こら,この捜査を指揮していた県警本部のお偉いさんよ。
亡くなった被告人の1人を加えた13人分の拘留期間,
合算して檻に入ってろ!
悪名高い「踏み字」やら,
「ここに封筒があります。いくら入ってるでしょう」などと
雑談ぽく話を振って「1万円かな?」と答えたら
「焼酎2本と現金1万円の入った封筒を渡して票を依頼」などと
リアルな調書を作文して犯罪者を一丁上がりにした刑事も
自分が担当した被告の拘留日数分檻に入ってろ!
それでも十分楽だよな。冤罪でどうされるかわからない恐怖もなければ
何日で出られるかあらかじめわかるんだから。

今週の少年マガジンの『絶望先生』,
なんとテーマが「それでも私はやってます」
なんでもこじつけて犯罪にされてしまう今,
容疑を認めなければ4ヶ月も留置されてしまうのに比べたら
やっていなくても自分から罪を認めて1日で出てこられるほうがまし
と,容疑をかけられるどころか事件が起こっていなくても
「わたしがやりました」と罪を認めてしまう
という強烈な風刺を効かせたネタをやってましたが,
チョットいつもながらタイミングよすぎ…

『それでも僕はやってない』周防監督インタビュー(ほぼ日刊イトイ新聞)
 で,この問題について年月をかけて調べ,話を練り込んだ周防正行監督が
 語ってますけど,やっぱいかにも犯人が一人で語っている形式の
 取り調べの過程で絶対そんな喋り方をしているはずのない調書が
 「それはまさしく真犯人でなければ
 語ることができない迫真性に満ちたもの」

 として有罪の大きな証拠として評価される裁判のあり方がまずおかしいですよ。
 
 ですから,まずは今の形式の調書は即刻全面廃止。
 全部録音テープ(またはDVD)にして,テープ起こしの人に
 速記してもらう。どうせ今でも供述調書を書く刑事様が
 1人ついてるんだから人件費もたかが知れてるだろ。

ということで,いかがでしょうか。

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自白の心理学
藤沢 周平
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なぜ痴漢えん罪は起こるのか―検証・長崎事件
正延 哲士
現代人文社

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