D.D.のたわごと

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病気腎移植問題で思うこと

2007-02-06 19:14:44 | ニュース
日曜のことなんですが,TBS『報道特集』で,宇和島徳洲会病院の
腎臓売買・病気腎移植等一連の腎臓移植スキャンダルの渦中にあった
万波誠医師のことが報じられていました。

報道特集2007.2.4「腎臓の再利用 医療を揺るがす大騒動」

南日本新聞2006年11月7日「鹿児島徳洲会・病気腎摘出 万波医師、翌日に移植 ~同意書取らず」 

最初にこのニュースが流れた初日~2日後くらいまでは
ドナーの同意書をとらずに勝手に腎臓を摘出して移植に使うわ
レシピエントには病気腎であるリスクをちゃんと説明せずに移植しちゃうわと
あまりのずさんなやり口,「まるでモルモットじゃないか」と憤る
患者の声が流れるのを見るにつけ
このオヤジ,医師の皮を被った移植ジャンキーじゃないか
と思ったものでした。

よれよれの白衣で会見に臨む姿を見ても,
がめつく移植で儲けているのではなさそうだという様子はうかがえましたが
治ればいいじゃんとでもいいたげな態度に
恐ろしさまで感じたものです。

しかし…1週間もすると,早くも様相が変わってきました。
患者サイドから圧倒的に万波医師を支持する声が上がってきたのです。

そういえばそうだ…
人工透析が必要になるまで悪化した腎臓病の患者って,
1度に数時間の透析を週に3~4回,通い続けなければならない。
遠出の旅行に行けないのはもちろん,仕事もかなり制限される。
1度透析を始めたら,決して回復することはない。
血液の毒素や老廃物をこしとって尿として排出する腎臓の機能を
器械にやってもらうわけだから,常にだるく,しんどくなりやすい。
タンパク質をとらないよう食事制限が必要だから家族と同じ食事が
できなかったり家族に負担をかけたりする。
で,病院サイドにとっては透析患者は金の成る木だけに
病状が境界線上にある患者にとっては(以下略)

近所の知人に透析が必要な人もいますし,
私にとってかなり身につまされる問題なのです。
折しも先週,週刊モーニングからビッグコミックスピリッツに場を移して
連載再開した『ブラックジャックによろしく』の新シリーズの題材は
透析が必要な腎臓病患者についてでした。第一回,全然刺激的な画ではないのに
透析を受けている登場人物の姿を見て,気分が悪くなってしまいました。

これが,腎臓移植を受けると劇的にもとの体に戻れるのです。

患者の方々にとっては,
まさに地獄から天国に舞い戻れる切符なのですから
医学界のお偉い先生方が,倫理がどうのルールがどうのとごたくを並べる間に
1日でも早く移植してくれと思うのは当然な話です。

現在,腎臓の移植が可能なのは
脳死や死者から提供を受けての移植と,
家族からの移植。
死者からの移植は数が圧倒的に少なく,家族からというのは
いくら2つある腎臓のうち1個残っていれば十分生活できるとはいっても
当事者にとってみれば重圧が強すぎる。
そこで日本の患者たちはアメリカや中国,フィリピンに腎臓を買いに行く。
日本人が移植を受ければ後回しにされる現地の患者が出てくることになる。

そこで第3の選択肢として出てくるのが病気腎移植。
アメリカでは既に行われているという。
万波医師が行った14例について調べた医師によると,移植後癌が生じた
腎臓は1件だけで,その問題部位を取り除くことで解決できたという。
「患者が皆腎臓を求めて外国に出て行く現状をこのままいつまでも放置するんですか。
 日本の患者を日本人で治さなくてどうするんですか。」

万波医師がバッシングを受け,私も彼のことを
とんでもない移植ジャンキーだと思いつつ,なぜかブログには
書きそびれていたそんな最中,昨年11月18日付和田秀樹先生のメルマガでは
万波医師に関しては病気腎をとったことについては、
多少の問題があるかもしれないが移植の腕は確かで、ほとんどの患者さんが、
移植前よりはるかに幸せに、しかも長生きして暮らしている。
それより日本移植学会の「偉い」先生方のほうがよっぽどひどいと
訴えていた。
◆以下要約。
日本移植学会の前の理事長・深尾立は昭和59年9月に日本初の脳死移植とされる
膵腎同時移植を行なった医師として有名だが,
この移植手術というのが,脳死法案が成立する以前に違法行為を承知で行った
移植で,さらに精神障害者をドナーにするという二重の問題行為。
しかも,移植を受けたほうの患者さんは糖尿病性腎症の患者さんで、
人工透析導入後3年が経過。3年間透析を受けた患者さんが4年生きる確率は
当時の技術でも89%、5年生きる確率は83%あったのに,深尾医師は,
4年生きられる可能性は2割もないというようなうその説明をし,
すい臓の手術をしたこともないのに腎臓移植と同時に糖尿病の治療も
しようと十分なリスクの説明もしないまますい臓移植を提案,
その翌日には手術を行ってしまった。
その結果,腎移植だけならそうは起こらない拒絶反応が生じ
また免疫抑制剤の副作用にも苦しみ、腎臓も膵臓も機能しなくなって、
透析に逆戻り,糖尿病は余計に悪化して失明状態に。
そして,膵臓の縫合不全とそれにまつわる炎症がもとで1年後には
亡くなってしまったのである。

そして今の理事長である田中紘一先端医療振興財団先端医療センター長
は,生体肝移植のパイオニアとして業績は確かなものがあるが,
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)と呼ばれる肝臓の難病の患者さ
んに生体肝移植を行ない、そこで取り出した肝臓を別の人に移植する
ドミノ移植を始めた人。FAPの肝臓は,臓器や神経に沈着して機能を
損なう物質をつくってしまうが肝臓としての機能は正常。FAPの
病気が発病するには20年くらいかかるので,寿命の残りが20年を切っている
ような人には問題ないし,そうでなくてもその次の移植までのつなぎには
使える。しかし,これって,確実に発病するという点では,万波医師の
病気腎移植より質が悪いといえなくないか?

いずれにせよ、これらの移植について、
移植学会は倫理面でなんら問題にしたことはなく、そういう問題がある
(可能性がある)移植をした人を代々理事長にしている学会なのである。

 このように身内の偉い先生はかばい続け、むしろ持ち上げながら
、町の名医といわれている医者(少なくとも万波医師は
やったことのない無茶な実験的手術はしないし、患者からの評価も高い。
自分の移植をマスコミで堂々と発表して威張ることもないし、
その上、生活は質素で築30年の中古住宅に住み、8年落ちのクラウンに乗っている。
深尾氏がどんな家に住んでいるかはジャーナリストが取材に行けばいい)については、
倫理面でこきおろすということが、果たして許されるのか?


『ブラックジャックによろしく』も,連載が進むにつれ,
これらの問題を掘り起こして扱うことになるのでしょう。
これら医療についてもそうですし,今現在問題になっている数々のルールや制度,
政治などの問題についても,何が問題なのか,何を解決すべきなのか
どの目線で見ることが一番解決に近いのかを見極めることが
本当に大事なことなんだと思いました。

林 秀信さん(病気腎移植患者・弁護士)ブログ「病気腎移植推進 瀬戸内グループ支援ネット」

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腎臓放浪記―臓器移植者からみた「いのち」のかたち
澤井 繁男
平凡社

臓器移植体験者の立場から
沢井 繁男
中央公論新社

腎臓に感謝したくなる本―腎移植のための医療情報ガイド
柏原 英彦, NPO「トランスプラントなのはな会」
三五館

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佐藤 秀峰
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