ほたる
NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演し人気の清少納言の「枕草子」の冒頭の銘文「春は曙・・夏は、夜。月のころさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。」と蛍を夏の風物詩と賞賛しています。また和泉式部の詠んだ和歌に「物思えば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づるたまかとぞ見る」この歌には訳書があり、「をとこに忘れられて侍りけるころ貴船に参りてみたら川に蛍の飛び侍りけるを見て詠める」とあります。その男とは誰であるかはわかりませんが、この場面の貴船詣でや、蛍の斬新かつ実感のあるとらえかたから恋の喪失感の深さが、蛍の青白い浮遊を自らの遊離魂(ゆうりこん)とみる哀しみとともに伝わってきます。恋多き彼女らしい女の悲しい性の心が表れています。蛍はこのように和歌文学を彩る夏の題材としてさまざまな哀楽のすがたを見せてくれますが、最近は暮らしの周辺から姿を消してしまいました。日本人の夏を楽しませてくれた蛍はどこにいったのでしょうか。
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