小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

破傷風&ワクチン関連記事拾い読み(2017)

2017年03月22日 06時48分45秒 | 予防接種
 破傷風は災害時の感染症として重要で、致命的になる事があります。
 そして破傷風トキソイドにより100%防ぐことができる感染症でもあります。
 東日本大震災後にその関連で10例の破傷風患者が発生しましたが、みな確定診断前に治療をはじめていることを不思議に思っていましたが、この記事を読んで「破傷風の診断は難しい」ことを知りました。

■ 「地震・津波災害からの復興と破傷風トキソイド」CDC Watch No.40, 2011年5月)より
・破傷風菌自体は熱に弱く、酸素の存在下では生存できない。しかし破傷風菌の芽胞は熱や一般的な消毒薬に耐えることができる。芽胞は121℃(10-15分)のオートクレーブでも生存できる。芽胞は土壌に広く見られ、ウマ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ラット、モルモット、ニワトリの雛や小腸や糞に含まれている。肥料入りの土壌には多数の芽胞が含まれている。農業地域では相当数の成人が病原体を持っており、芽胞が皮膚表面から検出されることもある。
・破傷風菌は2つの外毒素(テタノリジンとテタノスパスミン)を産生する。
(テタノリジン)作用は正確には知られていない。
テタノスパスミン)神経毒であり、破傷風の臨床症状を引き起こす。テタノスパスミンは現在知られている最も強力な毒素の一つであり、人での最小致死量は推定で体重kgあたり2.5ナノグラムである。
・破傷風の臨床症状
 潜伏期は8日(3-21日)。爪床部分が中枢神経に近ければ近いほど潜伏期は短くなる。潜伏期間が短ければ短いほど死亡する可能性が高まる。
 臨床病型は3つに分けられる;
局所性破傷風)あまり見られない病型。創傷部位と同じ解剖学的部位で持続的な筋肉の痙攣が数週間続き次第に回復する。死亡率1%。
頭部破傷風)稀な病型。中耳炎や頭部の外傷後に発症し、脳神経が巻き込まれ、特に顔面部位で見られる。
全身性破傷風)最も多い病型(80%)。開口障害から始まり、項部硬直、えん下困難、腹筋の硬直へと下降していく。発熱、血圧上昇、頻脈がみられることもある。痙攣(数分間持続)は頻回で3-4週間続き、完全な回復には数ヶ月を要する。
新生児破傷風:新生児期に見られる全身性破傷風のひとつであり、生後4-14日(平均7日)で発症する。治癒していない臍帯断端から発生することが多く、未滅菌の器具で臍帯が切断されたときに見られる。
・破傷風に特徴的な検査データはない。診断は臨床的に行われ、破傷風菌を確認する必要はない。実際に破傷風菌が総称から検出されるのは症例のわずか30%しかないし、破傷風では内患者から検出されることもある。
・外傷を受けた際は免疫の既往と傷の状態によりワクチンと免疫グロブリンで発症を予防する(↓)。

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