私自身、お昼ご飯を食べた後に眠くなるタイプです。
昔はずっと「夜の寝不足の影響」と考えてきました。
しかし今を去ること四半世紀前、
某製薬会社の漢方セミナーで、
「昼食後に眠くなる人は“気虚”です、
補中益気湯が効きます」
と聞いて、
「そんなものかな?」
と実際に自分で試してみました。
すると明らかに眠気が軽減したのです。
このエピソードは、私が漢方沼にはまるきっかけになりました。
その後、糖質制限・炭水化物制限のブームが到来、
食後の眠気は「食後の血糖値スパイクのためである」、
と説明されるようになりました。
この考え方によると、
炭水化物中心の食生活からタンパク質・脂質中心の食生活に切り替えると、
食後の眠気が減ることが期待されます。
かく言う私、すでに5年以上「炭水化物制限」をしています。
ただ、厳格ではなく、かなり緩い制限です。
具体的には主食の穀類(ご飯、パン、パスタ、麺類)を食べないだけ。
天ぷらの衣や、とんかつの衣は食べます。
ストイックな人は、揚げ物の衣も外すらしいのですが、
そこまで食べることの楽しみを我慢する気はありません。
でもそのおかげか、
ロカボ(炭水化物制限)を始めてから今日にまで、
体重は標準体重付近で安定しています。
肝心の「食後の血糖値スパイクがないから眠気がない」点に関しては、
補中益気湯での経験ほど明らかには感じていません。
ただ、満腹感とか胃もたれが皆無なので、
食後もすぐに動けます。
「お腹いっぱいで動けない〜」
という表現は炭水化物によるものだったのです。
正体不明の食べ物を食べたとき、
食後の胃もたれ感で私は炭水化物の含有量がなんとなくわかるようになりました。
さて、「午後の耐えられない眠気」という名前の記事が目に留まりました。
私の知識以上の情報があるかどうか、読んでみました。
▢ 仕事がデキない人に共通する「午後の耐えられない眠気」、原因は“残念な食習慣”にあった!
山田 悟:北里大学北里研究所病院院長補佐・糖尿病センター長
柳本 操:フリーライタービジネス課題間違いだらけの「休み方」
(2025.3.25:DIAMOND online)より一部抜粋(下線は私が引きました);
疲労のせい、寝不足のせい、と思いがちな昼食後の猛烈な眠気やだるさは、血糖値の乱高下による「糖質疲労」が原因かもしれない。
▶ ランチの後にいつも眠くなる…大事な仕事は入れたくない
「午後イチには、大事な会議や打ち合わせを極力入れないようにしています」
・・・Cさんのここ数年の悩みが「昼食後の眠気と倦怠感」・・・
「いつも昼食後には眠くなってしまうんです。頭がぼうっとするだけではなく、体もだるくなることがあります。早めに回復すれば良いのですが、夕方過ぎまでダルさが残ることもあって、困っています」
週に3、4日は夜に会食が入っているので、朝と昼は手軽な食事で済ますことが多いというCさん。朝はギリギリまで寝ているので、出勤途中におにぎりや菓子パンなどを買ってデスクで食べることが多い。
「昼食はゆっくり食べている時間がないので、うどんやパスタ、丼ものなど単品が多いですね。食べると眠くなるので抜いたりもしてみましたが、やはり夕方にお腹が空いてしまって仕事どころじゃなくなっちゃって(笑)」
午後の眠気に対する解決法は未だ見出せず、「これはヤバい」というときは栄養ドリンクを飲んで無理やり目を覚ますのが、目下の対策だ。
Cさんのように「毎日決まって」とまではいかなくても、昼食後に眠くなって、午後は仕事のパフォーマンスが低下するというビジネスパーソンは少なくないだろう。
令和元年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によると、週3回以上「日中、眠気を感じた」人は男性32.3%、女性の36.9%を占め、日中の眠気は「睡眠の質」についての悩みのうち最も多い。
日中の眠気は、寝不足だけでなく、血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」が原因の可能性もある。しかもこの血糖値スパイクは、通常の健康診断では発見できない。食後の血糖値乱高下による眠気や疲労感といった不調を「糖質疲労」として問題視するのが、北里大学北里研究所病院院長補佐・糖尿病センター長の山田悟氏だ。
そもそも山田氏が「食後の眠気」に着目したのは、糖尿病治療で糖質摂取を緩やかに制限する食事法(ロカボ。詳しくは後述)を指導した患者から「食事を変えたら昼間の眠気やだるさがなくなった!」という声が多く寄せられたことがきっかけだったという。
▶「低血糖状態」の予兆として眠気やだるさ、イライラが起こる
血糖値が上がりにくくなると眠気が消える――その理由はどこにあるのか。
食事をすると、食事に含まれる糖によって血糖値が上昇する。健康な人であれば、すい臓から分泌されるインスリンの働きによって、食後1~2時間後の血糖値は140mg/dlを超えることなく下がる。しかし、糖質を取りすぎる、インスリンが適切に働かない、といった理由から食後に血糖値が急激に上がり、140mg/dlを超えると、その反動で急激に下がる人がいる。グラフにすると血糖値の乱高下が鋭く尖った形になることからこの現象を「血糖値スパイク」と呼ぶ(下図)。
【食後2時間の血糖値はどう変化する?】

「低血糖は、冷や汗や手足の震え、意識障害などが起こる危険な状態です。低血糖状態にならないように、その予兆として起こるのが、眠気やだるさ、イライラ、飢餓感といった自覚症状です」
低血糖状態の予兆として起こる、このような「糖質疲労」の症状は、ある意味では生き物としての正常な反応だ。
「『今は動くのをやめろ、眠れ』という脳からの命令によって眠気やだるさが起こります。さらに『今すぐ糖を摂取して血糖値を上げろ』という命令によって、何かを食べなきゃと空腹感が強まる。また、自律神経の交感神経系が優位になるために、イライラ感が生じると考えられます」
眠くなったらプチ昼寝をすればすっきりするから大丈夫と思うかもしれないが、糖質疲労を放置するのは危険だ。
「食事のたびに血糖値スパイクを起こしていると、血管に慢性的に負担がかかり、動脈硬化、糖尿病といった病気の発症リスクが高くなります」
▶ 健康診断で血糖値は正常でも「問題あり」の可能性
昼食後眠くなって小腹が空くので「手近にある甘いものを食べ、エナジードリンク(糖質が多く含まれる)で眠気を覚まそうとしている」という人は、さらなる血糖値スパイクを招く可能性があるので、要注意。なお、多くの人は昼食から1~2時間後に糖質疲労を感じるが、朝食後に血糖値スパイクが起こっている人も一定数いる。
「出勤時に必ず電車で居眠りをする、という人は、朝食後の血糖値スパイクが原因かもしれません」
健康診断のときに血糖値の項目で引っかかったことがないという人も、「一度は食後高血糖が起こっていないかどうかを確かめるべき」と山田氏は警告する。
「健康診断で調べているのは、空腹時血糖値(正常110mg/dl未満)で、文字通り空腹時に測っています。一方、食後高血糖は、食後の血糖値の上がり幅が大きく140mg/dlを超えることを言い、健康診断の数値からは判断ができません。近年の研究で、空腹時血糖値が異常になるのは糖尿病発症の1~2年前であるのに対し、食後高血糖は空腹時血糖値が異常となる10年ほど前から始まると考えられています」
つまり、食後高血糖は10年先の糖尿病の発症を予測する重要なサインともいえる。中国で10万人を対象にした大規模研究では、成人の2人に1人が食後高血糖を起こしていた(JAMA. 2017 Jun 27; 317(24):2515-2523.)。山田氏は、日本人も同様の状態であると推測している。
実は、食後高血糖を手軽にチェックできる方法がある。薬局やドラッグストアで「検体測定室(ゆびさきセルフ測定室)」の表示があるところを探そう。500円ほどの費用負担で、自分で指先から採取したわずかな血液を分析し、数分から10分程度で血糖値を確認可能だ。
「例えば、おにぎり2個と野菜ジュース1パックを取ると、合計の糖質量が100gほどとなり、典型的な日本人の1食程度の糖質量になります。これらをセットで食べて、食べ始めから1~2時間のタイミングで血糖値を測定してみましょう。食後の血糖値が140mg/dL以上であれば食後高血糖と推定されます。200mg/dLになるようであれば糖尿病の可能性があるのでなるべく早く医療機関を受診してください」
▶ 糖質過多の食事だけでなく日々のストレスも原因に
食後高血糖を招きやすいのは、当然ながら「糖質の多すぎる食事」だ。丼ものや麺類を食べることが多い、間食で甘い食べ物や飲み物を取ることが多い、また、早食い傾向にある人も血糖値が上昇しやすい。今夜は残業だからしっかり食べよう、と、いつもの定食にミニ丼やうどんを追加するなどの“糖質ダブル食い”をした日は決まって午後の会議で猛烈な眠気に襲われる、という人はまさにこのタイプといえる。
加えて、私たちが日々感じるストレスも血糖値を上昇させる要因になる。
「ストレスフルな環境は、自律神経の交感神経を優位にします。これらは、カテコラミンやステロイドホルモンといった血糖値上昇に関わるホルモンの分泌を高め、日常的に血糖値が上がりやすい状態になります」
では、食事を改善すれば、昼間の眠気は減るのだろうか。山田氏は、メタボリックシンドロームまたは肥満のタクシー会社運転手とコンビニエンスストア従業員101人を対象に、食事から取る糖質量を抑える研究を実施した。1回の食事の糖質量を40g以内におさめ、おかずなどはおなかいっぱい食べて良いとする「ロカボ(Low carbohydrate)食」を続けてもらった結果、3カ月後に、平均体重が減少、肥満指数(BMI) が低下、糖尿病の指数であるHbA1cが減少、LDLコレステロールが低下。また、睡眠時無呼吸症候群(※)の指数(AHI)が大幅に改善する、という結果が得られたという(Diabetes Metab Syndr Obes. 2021 Jun 23;14:2863-2870.)。
「被験者のタクシー運転手さんにアンケートを取ったところ、運転中の眠気が減った方が3分の2を占めていました。少なくともその一部は食後高血糖が改善されたためと考えています」
▶ まずは朝食を見直すことから 糖質疲労を起こさない「食べ方」とは?
血糖値スパイクを起こさず、昼間眠くならない「ロカボ」な食べ方とは具体的にどのようなものか。
〈ロカボ食の実践法〉
・1食あたりの糖質の目安量=20~40gに
ごはんなら軽く半膳、食パンは8枚切り1枚が目安。
ごはんなら軽く半膳、食パンは8枚切り1枚が目安。
・おかず、特にタンパク質と脂質はしっかり取る。主食は最後に食べる「カーボラスト」で
おかずに含まれるタンパク質と脂質、食物繊維は血糖値上昇にブレーキをかけ、満腹感を長続きさせるので、おなかいっぱい食べる。これらのおかずをなるべくゆっくり食べ、最後(目安は食事開始から20分後)に主食(糖質)を取る「カーボラスト」にすると、糖質が控えめの量でも十分に満足できる。毎食、満足する量を食べることが、ストレスをためずにロカボを続ける秘訣だ。
おかずに含まれるタンパク質と脂質、食物繊維は血糖値上昇にブレーキをかけ、満腹感を長続きさせるので、おなかいっぱい食べる。これらのおかずをなるべくゆっくり食べ、最後(目安は食事開始から20分後)に主食(糖質)を取る「カーボラスト」にすると、糖質が控えめの量でも十分に満足できる。毎食、満足する量を食べることが、ストレスをためずにロカボを続ける秘訣だ。
・糖質量がオーバーしなければおやつもOK!
大福などの和菓子は内側も外側も糖質でできているので小サイズのものにしよう。一方、洋菓子は生クリームやバター、クリームチーズなどの脂質によって血糖値上昇が抑えられるメリットも。市販の低糖質おやつ(ロカボマークがついている)も利用しよう。
大福などの和菓子は内側も外側も糖質でできているので小サイズのものにしよう。一方、洋菓子は生クリームやバター、クリームチーズなどの脂質によって血糖値上昇が抑えられるメリットも。市販の低糖質おやつ(ロカボマークがついている)も利用しよう。
「朝食で血糖値を上げすぎて血糖値スパイクを起こすと、空腹感に抗えずに昼食で糖質がたくさん欲しくなり、さらなる血糖値スパイクを招きます。昼食も大事ですが、朝食で血糖値を上げないことも大事です」
ちなみに山田氏の休日の朝食は、卵3つで作るチーズたっぷりオムレツ、ツナサラダ(オリーブオイルをたっぷり)、ブランパン(バターたっぷり)、無糖高脂肪ヨーグルト、ナッツ、コーヒーが定番。
「タンパク質と脂質はたくさん取りましょう、とお話すると、高脂質な食事は健康を害するのでは……、と戸惑う方がいらっしゃいます。しかし、脂質を怖れないでください。肉や魚など脂質が豊富な食事を取ると、満腹感を高めつつ血糖値上昇を抑える消化管ホルモンの分泌が高まり、空腹を感じにくくなります。一方、脂質を怖れて摂取を控えると、満足感が減り、結果的にお腹が空きやすくなってしまいます」
昼食後の眠気やだるさに悩んでいるという人は、前述のように、ぜひ一度、食後の血糖値をチェックしてみよう。
「もし食後血糖値が正常であれば、睡眠不足や過労など生活面での見直しを。睡眠時無呼吸症候群などの別の病気が原因の可能性もあります。食後高血糖が判明したら、ふだん取る糖質を控えてみましょう。そのとき、くれぐれも『これからは糖質を我慢だ!』などと思わないこと。糖質を控える分、タンパク質と脂質が豊富な食事をしっかり取るよう心がけると、血糖値上昇にブレーキがかかり、午後もしゃきっと過ごせるはずです」
糖質の取り方を見直すことで、体を「血糖値スパイク」という見えない負荷から解放できる。日々の食事も、仕事の質を高めるための重要な武器になる。
・・・まあ、私の知識の範囲でした。
また、脂質についての疑問も解消しませんでした。
世間一般では「脂を食べると体脂肪になる」と思われていますが、
近年、「食べる脂と体の脂肪は別物」と説明されるようになり、
「体の脂肪は糖質・炭水化物の取り過ぎが原因」
という説が世界標準です。
しかし日本の糖尿病栄養指導では相変わらず、
「カロリー制限」「バランス食」
が継続されており、私の「?」はそのままです。