小児アレルギー科医の視線

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只今「帯状疱疹ワクチン定期接種化」検討中

2017年03月22日 07時13分59秒 | 予防接種
 現在、日本において帯状疱疹ワクチンの定期接種化が検討されています。
2017.2.10に開催された「第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録」より。

 問題点として挙げられたのは、
・帯状疱疹の全国的なサーベイランスデータが存在しないため、導入後の効果判定ができないのではないか。
・帯状疱疹ワクチンは有効であるが、8年後には効果がほぼ消失するというデータがあり、1回接種でよいのか、追加する場合のルールはどうするか。

 など。
 
 福島委員のコメントが記憶に残りました;
 「真のワクチン先進国を目指すのであれば、公費で接種可能なワクチンの数を増やすだけではなく、ワクチンのインパクト或いは効果をキチンと評価できるような体制を整備しておくというのは非常に大事なことだと認識しています。」

 御意!
 従来から日本では独自の疫学情報・サーベイランス体制の不備が指摘され続けてきましたので。

 以下は気になった箇所の抜粋です;

・2016年3月に乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」が「50歳以上のものに対する帯状疱疹の予防」という効能・効果が追加承認された。
・2016年12月に国立感染症研究所により帯状疱疹に関するファクトシートが作成された。
・従来のワクチンと異なる点は「潜伏感染しているウイルスが再活性化するのを防ぐ」こと。
・85歳以上の約半数がすでに帯状疱疹を経験している。80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験する。
・帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹発症から3ヶ月以上持続する疼痛をいう。帯状疱疹発症者の10-50%に生じ、加齢が重要なリスク因子である。
・ZOSTAVAX®の検討
1.60歳以上の検討では帯状疱疹発症予防51.3%、PHN予防66.5%、疾病負荷予防61.1%。
2.50代の検討では発症阻止効果は69.8%。
3.発症阻止効果の持続性は、接種後4-7年で帯状疱疹39.6%、PHN60.1%。
4.接種後7-11年では、帯状疱疹21.1%、PHN35.4%、疾病負荷37.3%減少。
5.60歳以上の検討で、接種後1年以内の帯状疱疹発症阻止効果は68.7%、接種8年目では4.2%
・諸外国の状況;
 アメリカ、カナダ、オーストラリア:推奨&費用補助
 オーストリア、チェコ、英国、フランス:推奨
・WHOの見解:2014年6月時点で、「ほとんどの国では疾病負荷がはっきりしない部分のある新しいワクチンなので、現時点で定期接種化に関しては推奨していない。各国で高齢化が予測され、あるいは高齢化が進んでいる場合は、疾病負担が十分に秋甍になっている状況下で定期接種化を考えるべし」。
・帯状疱疹発症リスクの評価は水痘抗体価ではできないが、水痘抗原皮内テストで評価可能。
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