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小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

ところ変われば、花粉も変わる〜フランス編〜

2025年03月30日 07時23分29秒 | 花粉症
前項目では北海道の花粉症を扱いました。
その特徴は、
・スギ・ヒノキは主役ではない、4月にスギが脇役程度に飛散。
・3〜4月はハンノキ
・GW前後はシラカバ
・夏はイネ科花粉
・秋はヨモギ
と本州と少し異なります。

海外の花粉症はどうでしょうか。
基本的知識として、スギは日本の固有種なので海外にはスギ花粉症は存在しません。
花粉症の発見はアメリカの枯草熱ですが、これはブタクサ花粉が原因とされています。
ではヨーロッパは?
私の知識では北欧中心にシラカバ花粉症が主役と記憶しています。

フランスの花粉症事情をあっ使った記事が目に留まりましたので読んでみました。
要約すると、

2月〜4月:北フランスやアルプス地方に樹木花粉(シラカバやヒノキなど)
5月〜7月:イネ科花粉(イラクサなどの干し草)がフランス全土に
8月〜10月:草本花粉(ブタクサなど)が南フランスを中心に飛散

とのこと。
スギに代わってやはりシラカバが主役、
あれ、北海道では名前が出てこなかったヒノキがありますね。
イネ科花粉はカモガヤではなくイラクサ、
秋の花粉は日本と同じくブタクサ。
まあ、ブタクサは観賞用として輸入された帰化植物なので、想定内です。

ちょっと意外だったのが、
フランスでは「花粉症」という単語はなくて、
「アレルギー性鼻炎」に含まれているということ。
有病率も日本の5割の半分程度なので、
まだ独立した病気として認識されていないのかもしれません。

この差はどうして生まれたのでしょう。
それを科学的に解明すれば、日本のスギ花粉症対策に一石が投じられるのでは?
と考えたくなる今日この頃です。


▢ スギはないけど…フランスの花粉症事情とは
2025年03月29日:tenki.jp)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・日本では春になると、主にスギやヒノキの花粉が大量に飛散しますが、筆者が住むフランスでも花粉症を発症することはあるのでしょうか?
結論から言ってしまうと、フランスにも花粉症は存在します。
この記事では、フランスにおける花粉症について、原因となる植物、気象条件との関係、フランス人の花粉症に対する意識、などを日本と比較しながらお伝えします。

▶ フランスの花粉症って?主な原因植物と飛散時期
日本では、春に多く飛散するスギやヒノキの花粉症に悩まされている人が多いですね。
スギは年が明け、2月頃からシーズンが始まり、3月頃にピークを迎えます。ヒノキはスギよりもやや遅れて飛び始め、4月頃にピークを迎えます。
スギ・ヒノキ花粉のシーズンが終わると、5月〜6月頃は北海道でシラカバ花粉が、関東から九州にはイネ科の花粉が飛散します。
その他の季節にも、8月~9月頃は東北から九州でブタクサ花粉、9月~10月頃はほぼ全国でヨモギの花粉が飛散するなど、ほぼ一年中注意が必要です。
一方、フランスで主に影響を及ぼすのは、シラカバやイネ科植物、ブタクサといった花粉です。



2月〜4月頃は、北フランスやアルプス地方に樹木花粉(シラカバやヒノキなど)が多く飛散します。
春から初夏(5月〜7月頃)には、イネ科花粉(イラクサなどの干し草)がフランス全土に、夏から秋(8月〜10月頃)にかけては、草本花粉(ブタクサなど)が南フランスを中心に飛散します。[※1]
日本では春のスギ・ヒノキ花粉が最も影響を及ぼしていますが、フランスでは原因植物や時期に違いがありますね。
フランスはとても広いので、国内の地域によってもその影響は変わってきます。

▶ フランスと日本、花粉症の有病率と意識の違い
日本では、花粉症の有病率が年々増加しており、約10年ごとに10%程度ずつ増加しています。2019年の調査では、42.5%の人が花粉症にかかっているとされており、花粉症対策が社会全体で重要視されています。[※2]
一方、フランスでは花粉症は「アレルギー性鼻炎(rhume des foins)」と呼ばれ、一般的なアレルギーの一種として認識されています。
フランスでも花粉症を含むアレルギー性鼻炎の有病率は、過去30年間で4倍に増加し、現在では人口の25%以上が発症していると言われています。
ただこの数値は、花粉だけでなく、ダニや猫などを由来とするアレルギー性鼻炎も含んだ数値なので、花粉症の有病率はこれよりも少ないと考えられます。[※3]


日本と比べるとまだそれほど有病率が高くはないせいか、あまり花粉症が社会問題化しておらず、マスクをしている人もほぼいません。
これには、文化的にマスクをつける習慣がないことも挙げられますが、そもそもフランスの花粉が日本ほど大量に飛散しないことが影響しています。
私は小学生の頃から花粉症ですが、フランスに住み始めて以来、それほど花粉に悩まされない春を過ごしています。くしゃみや目のかゆみで花粉を感じる日もありますが、日本にいた頃とは比べ物にならないほどで、かなり楽です。ただ、フランスでも都市部を中心に年々増加傾向にあるそうなので、今後はどうなるのか油断はできませんね。

▶ 花粉の飛散と気象条件との関係
花粉の飛散は、気温、風、湿度、降水量などの気象条件に大きく影響を受けます。花粉が飛びやすい条件には、主に以下の3つが挙げられます。

① 「晴れて気温が高い日」
晴れて気温が高い日は、花も開きやすくなる上、上昇気流が発生しやすく、花粉が舞い上がりやすくなります。
② 「空気が乾燥して風が強い日」
湿度が高いと、花粉が湿気を吸って重くなるため、遠くまで飛びにくくなります。一方、空気が乾燥して風が強い日は、都市部から離れた森林からも花粉が飛んできやすくなるため、いっそう注意が必要です。
③ 「雨の翌日以降や気温の高い日が2~3日続いた後」
雨の翌日以降は、雨の日に飛散しなかった分と、その日に飛散する分が重なって、より多くの花粉が飛びやすくなります。さらに、雨で地面に落ちた花粉が舞い上がることもあり、いっそう飛散量が多くなるといわれます。また、気温の高い日が2~3日続いた後も花粉がより多く飛びやすくなります。

日本では、乾燥した晴天の日に花粉がよく飛ぶのに対し、湿度が高い梅雨時期には飛散が減少します。
また、春一番などの強風が花粉を遠方まで運ぶこともありますね。
一方フランス南東部では、ローヌ川沿いに地中海に向かって吹き下ろす、冷たく乾燥した強風「ミストラル」が吹くと大量の花粉が飛散する、とも言われているそうですよ。



▶ フランスの花粉症対策とは
フランスでも日本と同様に、薬局で購入できる抗ヒスタミン薬や点鼻薬などを使用しながら症状を抑える方法も一般的ですが、フランス人は、あまり薬に頼りたくないという考えの人も多いです。
そのような方は、花粉症の症状に効果があるとされるエッセンシャルオイルを使ったケアをしたり、喉に違和感を感じる場合は蜂蜜入りのハーブティーを飲むなど、より自然な方法を取り入れているそうですよ。・・・
また、フランスでは、アレルギーリスクに影響を及ぼす可能性のある空気中の生物学的粒子の含有量を研究する国立の機関「RNSA」が花粉飛散情報を発信しており、リアルタイムの花粉情報を確認することができます。・・・

<出典>
[※1]vidal.fr
[※2]厚生労働省
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ところ変われば、花粉も変わる〜北海道編〜

2025年03月30日 06時23分03秒 | 花粉症
日本ではスギ花粉症が席巻中です。
しかし目には見えませんが、
西日本ではすでにヒノキ花粉に入れ替わり、
関東地方でもスギ → ヒノキに入れ変わり中です。

関東地方の春の花粉症はGWくらいまでとされ、
それ以降も症状が続くときは、
カモガヤを中心としてイネ科花粉症が疑われます。

さて、同じ日本でも沖縄や島々ではスギ花粉はほとんど飛びません。
そのために重症花粉症患者向けに「花粉を避ける旅行」を提案している地域もあります。

北海道はどうでしょうか。
ここも昔からスギ花粉が飛ばないとされてきました。
が、ゼロではありません。
でもメインはスギ・ヒノキではありません。

それを扱った記事が目に留まりましたので紹介します。
記事の内容をまとめると、
北海道での花粉カレンダーは以下のようになります;

3〜4月:ハンノキ
(一部道南では4月にスギ)
5月:シラカバ
6〜7月:イネ科
9〜10月:ヨモギ

やはりスギは主役ではなく脇役なんですね。
あれ、ヒノキの名前がない!?
それから秋の花粉症の代表格、ブタクサもありません。
このように、本州とはカレンダーに登場する花粉が異なります。


▢ 「花粉症」の季節到来… 北海道で症状を引き起こす花粉は5種類 アレルギーの原因は“タンパク質”にあり
2025年3月29日:日テレニュース)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・
【質問】「花粉症」の症状は出ていますか?
雪解けが進む札幌市。
(愛知県から来た人)「鼻水が止まらなくなるので鼻で息ができなくなる感じ」
(埼玉県から来た人)「北海道は思ったより感じないかなと思って来たんですけど、意外と鼻水が出ています。鼻がむずむずしてサラサラの鼻水もたれていつも鼻をすすっちゃう感じですね」
(千葉県から来た人)「寒いから花粉はないのかなと思ったら全然あって、ホテルでもやばかったよね、くしゃみ」
すでに花粉症に悩む人の声が聞かれました。

▶ はやくも花粉の季節到来… 飛散する時間帯の傾向は?
札幌にある道立衛生研究所です。
(宮永キャスター)「時間帯によって花粉が飛びやすいとかそういうものはないんですか?」
(道立衛生研究所 平島洸基さん)「やはり朝方の気温が上昇していくときにまず花粉が飛びやすいということと、あとは舞い上がった花粉が夕方にかけて下りてきますので、朝と夕方というのはそれなりに花粉が飛散しやすいと言われております」

▶ 肉眼では見えないほど小さい花粉… でも、症状を引き起こす原因は「花粉」ではない!?
実際に屋上で採取された花粉を見せてもらいました。
(道立衛生研究所 平島洸基さん)「・・・形や大きさは花粉それぞれ違うんですけれども、形状というよりは、中に含まれているタンパク質によって花粉症が引き起こされます」
さらに厄介なことがー
(道立衛生研究所 平島洸基さん)「例えばシラカバの花粉とハンノキの花粉というのは花粉症の原因になるタンパク質の構造が似ているなどがございますので、シラカバ花粉症の人が、ハンノキ花粉でも花粉症の症状が出てしまうといったケースがございます」
(宮永キャスター)「そうするとシラカバで最初に花粉症になった人は、もう今時期からハンノキにまた反応して症状が出る恐れがあるということですか?」
(道立衛生研究所 平島洸基さん)「そういう場合がございます。やはり花粉症は一旦発症してしまうとなかなか完治することは難しいと言われていますので、年々患者さんの数というのは増えていく傾向にあります」

▶ 北海道内で花粉症を引き起こす植物は5種類 カレンダーで見てみると…



道立衛生研究所の平島さんによりますと、花粉症を引き起こすと報告されている植物は、道内では5種類ほどあります。
ハンノキ、シラカバ、イネ科、ヨモギ、道南の一部ではスギです。
それぞれ飛散時期はハンノキが3月、スギも3月末ごろからといいます。
そしてシラカバが4月下旬から5月、イネ科のものが6、7月。
そのあと8月下旬から10月ごろにかけてヨモギ。
こうして見ると、雪がない時期は何かしら花粉が飛んでいる状況です。
2025年のシラカバ花粉の飛散予測です。



4月下旬ごろから5月の大型連休にかけてピークを迎えそうです。
飛散量は2024年と比べると半減する予想ですが、そもそも2024年の飛散量はここ10年で2番目に多かったので、平年比では80から120%程度の飛散量になると予想されています。
・・・

▶ 対処療法ではなく「根治」を目指すクリニックも。
医師の診察を受けるのは、札幌に住む小学校4年生の野口彰史くんです。
(野口彰史くん)「目とか鼻とかかゆくなって鼻水出たり咳出たりして。シラカバの花粉が出始める頃から4月から5月くらいまで」
彰史くんは2年ほど前からシラカバの花粉症に悩んでいるといいます。
その治療法は「免疫療法」です。イメージとしては、花粉のアレルギーを起こす成分を薬として注射し、体を徐々に慣らしていきます。
(アルバアレルギークリニック札幌 続木康伸院長)「うちだとシラカバとイネ科の治療薬をアメリカから輸入してるのでやることができる。ただ日本でこの治療できるところはほとんどないので、予約はかなり混んでます」
花粉ではスギだけが保険適用のため自由診療になりますが、このクリニックではシラカバとイネ科の花粉に対応した治療が可能です。
(アルバアレルギークリニック札幌 続木康伸院長)「5年で根治を目指す。ただ大体どれぐらいで薬の効果、要するに花粉症の時期になっても症状が出ないような状態になるのは、早い人で3カ月、長い人で半年~1年ぐらいという感じ」
クリニックによりますと、自由診療の注射の費用は初回におよそ5万円、そのあとは月1回、5千円程度だということで、国外では一般的な治療法だということです。
・・・

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8歳児の6割がスギ花粉症(山梨県)。

2025年02月15日 14時04分15秒 | 花粉症
2月中旬となり、スギ花粉症患者さんの受診が増えてきました。
今年は例年より多く花粉が飛ぶと予想されており、
早め早めの治療をお勧めしています。

近年、子どもの花粉症も増えてきていることを実感しています。

もう20年ほど前でしょうか。
「小学1年生にアレルギー検査を行うと、5割の生徒がスギとダニに陽性」
と聞いて驚いたことがありました。

そして今回、花粉症のメッカ、山梨県の調査によると、
「8歳児の6割がスギ花粉症」
という衝撃の事実が判明!

恐ろしい時代になってしまいました。

▢ 8歳児「陽性」68% スギ花粉アレルギー抗体、成人並み 山梨大
 山梨大学は、山梨県内に住む8歳の子どもの3人に2人がスギ花粉のアレルギー抗体を持っているとの調査結果を発表した。抗体があると必ず花粉症になるわけではないが、全国的にも高い割合だといい、同大は「気になる症状があれば耳鼻科に相談してほしい」としている。
 山梨大は2019~22年、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査」(エコチル調査)に参加した8歳児1531人に採血検査をした。血液を調べたところ、スギ花粉のアレルギー抗体が陽性となった割合は68・6%に上り、成人と同程度だった。女児(64・1%)に比べ、男児(73・1%)の割合が高かった。
 さらに、採血した8歳児を対象にアンケート調査も実施。回答した1196人の62・8%が医師から花粉症と診断を受けていた。このうち、勉強や睡眠、外出に「少し支障がある」「かなり支障がある」と答えたのは約6割に上った。
 山梨は、県民全体の花粉症患者の割合も全国で最も高いとされる。スギ花粉症の有病率について、日本耳鼻咽喉(いんこう)科頭頸(とうけい)部外科学会が19年に全国の約2万人を対象に行った調査で、都道府県で最も高い65・0%だった。全国平均は38・8%。同大によると、県周辺はスギの人工林が多く、乾燥しやすい盆地に花粉が飛散することや、遺伝的要因の影響が考えられるという。

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スギ花粉は100km以上飛ぶ!〜花粉症の基礎知識と対応〜

2025年02月04日 08時48分37秒 | 花粉症
スギ花粉症」の季節到来!

患者である私自身、診療中にくしゃみが出たり、朝晩の鼻汁・鼻閉が気になり出しました。
今シーズンも抗アレルギー薬と漢方薬の併用で凌ぐつもりです。
患者さんにお勧めしている舌下免疫療法、私は持病のため出来ないのが残念です。

花粉症の基礎知識と対策をわかりやすくまとめた記事が目に留まりましたので紹介します。


▢ スギ花粉は条件によっては100km以上飛ぶ!花粉症を悪化させる「PM2.5」とは?【前編】
2025/1/31:RSK山陽放送)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・まだ冬の寒い時期の花粉症の代表的な原因は「スギ」です。スギの花粉について掘り下げてみましょう。 環境衛生に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。 
ースギ花粉はどんなものなのでしょうか。 
(東洋産業 大野竜徳さん)
 「スギは『風媒花』といって、風に任せて大量の花粉を飛ばし、その到達距離は条件によっては軽く100kmを超えるといわれます」 
「でも、動けないスギから飛ばされた花粉、風に任せて離れた雌花に偶然くっつかないといけません。ほんの数㎝でもずれたら失敗、…効率が悪いですよね」
 「だから、それでも花粉が届くくらいに確率を上げるようにとてつもなく大量の花粉を飛ばします。とっても雑な計算ですが、ちょっと計算してみましょう」

▶ スギの一つの雄花に40万個の花粉!
(東洋産業 大野竜徳さん) 
スギの一つの雄花に400,000個(40万)ほどの花粉が入っているとされ、花は20,000個(2万個)程度つけるとされます」 
日本には20,000,000本(20億)を超えるスギがあるという説がありますのでこれらをざっくり掛け算で計算すると、とんでもない数の花粉が飛んでいる計算になってしまいます」
 「おススメはしませんが、花粉症がひどくなる時期、スギに近づくと風に吹かれた雄花から私たちの目にも見えるくらいの花粉が出てくるのが観察されます」 
ー画面越しに「嘘でしょう?」というくらいに飛散する様子を見たことがあります!
(大野さん) 
「黒っぽい服なら近くを通りがかるだけで花粉が付着したのが見えるくらいに、さらに枝を持って揺らそうものなら体中に粉っぽいと感じるくらいに花粉が付着します」 
「でも、私たちにとってはつらい花粉症の原因となる花粉は、自分では動けないスギが自分の子孫を広範囲に残すために一生懸命プロポーズをしようとしている姿なのです」
「ところで、スギの雄花は、前年の梅雨があけ、暑くなり始めるとつきはじめます。8月ごろには来年の花粉症の悩みの種がつまった薄い緑色をした雄花のもとを枝先にたくさんつけます」
 「雄花の量は年によって違って、『日照時間が長くて暑い夏の年は多い傾向がある』…と言われますが、雄花をたくさんつけるのにはその分のエネルギーを木の中にしっかり蓄える必要があるらしく、毎年連続で大量の雄花をつけるのは難しいとされます」 
ーウェザーニューズが2025年春の花粉シーズンに向けて発表した「第2回花粉飛散予想」(スギ・ヒノキ・北海道はシラカバ)によりますと、西日本の飛散量は、過去10年で最多に匹敵する可能性があると予想しています。 

▶ 「スギの花がたくさんつくとカメムシが増える」という説も
(東洋産業 大野竜徳さん) 「2023年から2024年にかけて大発生した、ツヤアオカメムシやチャバネアオカメムシ、クサギカメムシなどカメムシの仲間にはこの雄花が大好きな仲間がいて、スギの花がたくさんつく年にはカメムシが増える、とも言われます」
 「すくすく育った雄花が開花するには寒くて日照時間が短くなることが重要で、一回寒い冬にしっかりと休眠に入り、だんだん暖かくなってくると目覚めてきます(休眠打破)」
 「もうこのくらいの時期(1月下旬)になるとスギの雄花は休眠から目覚め、花粉を飛ばす時期を待っています。スギにも個体差があるので、もう花が開いているものもあるかもしれません」
 「一度花が開くと、閉じることはないので、あとは風に乗って花粉が飛ぶ時期に入ります。特に暖かくて風の強い日には大量の花粉が風に乗って飛んできてしまいます」

▶ 花粉症を悪化させる「PM2.5」とは?
(大野さん) 「花粉症を悪化させる原因として『PM2.5』というものもあります。PM2.5という物質があるわけではなく、大きさが2.5㎛以下の小さな塵(ちり)のことを指します」 
ーいろいろな小さな塵の総称ですね。 
「たとえば排気ガスやたばこの煙、スス、砂埃、それにもっと細かい有害物質などがくっついていたり、有害物質そのもののだったり、目には見えない小さな塵です」 
「この時期は地球が回る自転の影響で一年中吹く偏西風に加えて、乾燥して冷たい空気が大陸から日本に向けて吹いて時期です。春先に増えるともニュースでよく出てきますので、勘のいい方はPM2.5=黄砂と思われている方もいるかもしれません。半分正解です」 
「黄砂は大きさが10㎛以下の粒子が多いといわれますので、PM2.5は黄砂、というわけではありません。それでも黄砂にも小さなものが含まれるので、春先の黄砂はPM2.5の数値を押し上げます」
 「乾燥して細かい塵は乾燥すると飛びやすいので特にPM2.5は増えてしまいますね。黄砂=PM2.5ではなく、PM2.5には黄砂の一部も含まれます、というのが正解でしょうか。PM2.5は黄砂が多い春先だけのものではなく、年中飛んでいるもので、春先以外にも問題を引き起こす物質です」 
「ただ、PM2.5はとっても悪い物質!ということではなく、ほかの気象条件などとの関係でPM2.5を核にして雲ができたり、霧やもやの発生条件になっていたりと、地球の大きな活動や、季節を感じる風情の材料になってもいます」
 「ちなみに、スギの花粉の大きさは30〜40㎛ほどあるので、PM2.5と比べると10倍以上の大きさがあります」 ・・・

▢ 花粉やPM2.5対策「マスクはPFEを確認」「室内は加湿して抑制」「換気時は窓の開け方を工夫」環境衛生の専門家が伝授【後編】
2025/1/31:RSK山陽放送
・・・ 【後編】では、花粉やPM2.5を家の中で少しでも減らすにはどうしたらよいのか、環境衛生に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに教えてもらいます。 
(東洋産業 大野竜徳さん) 
「日本では植林事業でスギがたくさん植えられており、大陸から吹く偏西風と乾燥した冷たい風の影響も大きく受けるので、花粉症のもとをなくすのは難しいですね」 
「ですので、空気は塵がたくさん飛んでいる少しでもおうちの中で花粉やPM2.5を減らす方法をいくつか考えてみましょう!」 

▶ マスクの選び方 箱の裏側「PFE」に注目して
「まず、花粉症の時期には手放せない市販のマスク。花粉症対策にはとっても有効です。マスクの箱の裏側を見てください。『PFE』という文字があったらそこを見てみましょう」
 「これは『微粒子ろ過効率』といって、マスクの性能試験で約0.1㎛サイズの粒子をどれくらい止めることができたか、ということを表しています」 「花粉が30㎛、PM2.5は2.5㎛以下ですから、この試験で99%カット、などという表記があればマスクの性能は十分だとお考え下さい(PM2.5には0.1㎛未満のものも含まれ、これはマスクでは止めることは難しいものですが)」
 「市販のマスクで箱の性能をクリアしたものが多くありますので、性能面はそこだけチェックしておけばいいでしょう」 
「それよりも、マスクで重要なのは、きちんと装着できているか、使い捨てマスクでは長期間使い続けていないかです」 

▶ 顔の形・サイズにあったものを 「使い捨てマスクは帰宅後すぐに捨てて」
「マスクをつけるとどうしてもメガネが曇ったり、息苦しくなったりしてずれることもあれば、顔の形やサイズに合っていなくて明らかに空気がマスク以外のところから入ってくることもあります」 
「人の顔の大きさや形などはさまざまなので、まず、自分に合った形や大きさのマスクを探しましょう」 
「また、鼻の高さも異なりますので、しっかりと鼻筋にフィットさせることができ、漏れが少ない状態で長時間つけられるものを選んでください」 
マスクの性能がよいものになればなるほど空気も通しにくくて息苦しくなりやすく、早く目詰まりしてしまいますので、マスクをきちんとつけられないならば本末転倒」 
「どんなに高性能なマスクをしていても、マスクを通して空気を吸わないとせっかくのマスクが無駄になってしまいます」 「花粉症対策ではそこまで高性能のマスクは必要ありません。大切なのは自分の顔にあったマスクをきちんと装着できているか、です」
 「また、マスクの表面には汚れがいっぱいつきます。使い捨てマスクは一日に1枚から2枚くらいを消費するイメージで、使用後のマスクは捨ててしまいましょう」 「当然はたいたりすると補修した汚れが飛び散るので、玄関などにゴミ箱を用意しておき、朝に装着した使い捨てマスクは帰宅後に捨ててしまうのが良いです。長く使えるマスクは帰宅後に水洗いしましょう」

▶ 玄関で花粉を除去 空気清浄機や粘着カーペットクリーナー 
ー花粉やPM2.5を持ち込まないために、どんな対策ができますか? 
(東洋産業 大野竜徳さん) 
「玄関、というキーワードで対策をもう少し考えてみましょう。玄関は外から帰ってきたときに最初に通るところですね」 
「外から花粉を持ち込まないためには重要な場所です。外から帰ってきた体の表面には頭のてっぺんから足先まであちこちに花粉やPM2.5が付着しています」 
「なので、おうちに入る前に頭から足まで軽くはたき、さらにどうしても気になる方は玄関に入ったら体にコロコロ(粘着カーペットクリーナー)をかけるなどして、服についた花粉を除去しましょう」
 「そして、上着やズボンなども玄関で着替えてそこに置いておき、家の中まで持ち込まないのがよいです」
 「また、余裕があれば玄関に空気清浄機を置いて、外から持って入ってしまった花粉などを取り込みにくくする、というのもよい対策です」 
「帰宅後、外に洗濯物を干しに出たりするときには、外出用につるつるした素材のものを羽織っておいてもいいですね。塵は布などの素材の間に入り込みやすいですが、つるつるした素材であれば除去も簡単です」 

▶ 空気中に舞う花粉・PM2.5を加湿で抑制 40〜60%がベスト
ー室内はどのような対策ができますか? 
(東洋産業 大野竜徳さん) 
「花粉やPM2.5は乾燥した空気中では舞いやすいので、空気を加湿するのはよい対策です。加湿は、ウィルス対策やのどの乾燥対策などにも有効ですね」 
「また、乾燥しやすい時期は静電気が起こりやすく、体が静電気を帯びるとくっついた花粉が体から取れにくくなります。湿度が高くなると静電気も起こりにくくなるので一石二鳥です」
 「湿度は高いほど細かな塵は舞いにくくなりますが、あまり高いと結露がひどくなったり、カビの原因にもなったりするので、40〜60%くらいを目安にしましょう」 
「掃除をするときもホウキや花粉を防ぐ性能の無いフィルターがある掃除機は花粉を舞い上げてしまうので、ワイパーや拭き掃除、コロコロなど、ほこりを巻き上げない掃除が有効です」

▶ 「換気」のポイントは窓の開け方とカーテン・空気清浄機
(大野さん) 
「締め切ったおうちも空気がよどんでしまうので、ときどき換気もしないといけないですね。換気は外から花粉が入ってくるという弱点もあります。そうでなくても私たちのおうちは換気扇を回すことが多いですね」
 「お風呂場やキッチンの換気扇が多く、最近では24時間換気などの設備をお使いのおうちもあると思います。換気扇を使う、ということはおうちの中の空気を外に追い出しているので、そのぶんどこかから空気を吸っています」 
「その『どこかから』というのが困りもので、どこから花粉が入り込むかがわからないのです。なので、空気を取り込む場所を作ってやりましょう」 「やり方は簡単。窓を開けるだけです。でも、窓を開けたら花粉やPM2.5が入ってきてしまいますね。空気が効率よく通ればよいので、窓は全開にするのではなく10㎝くらい空けてやれば十分でしょう」 「そして窓の前には通気性がよく、目の細かいレースのカーテンなどを下げておきましょう。こうすることで、どこかから、ではなく窓から空気をたくさん取り込め、カーテンがフィルター代わりになって汚れの侵入を少し減らしてくれます」 
「窓を開ける位置は換気扇からなるべく遠くがよく、窓から換気扇までの空気の通り道を意識することで効率のよい換気が行えます。さらに空気清浄機を窓の近くに置いておくことで、汚れを早期に取り除いて周囲の空気もきれいになります」 
「カーテンにはしっかり汚れが付くので、時々そっと外して洗濯しましょう。24時間換気システムなどがあるおうちは時々フィルターの点検をお忘れなく。汚れていたら交換のサインです」
 「おうちの中のフィルターの位置は把握しておきましょう!フィルターにはたくさんの汚れが吸着しますが、詰まってしまうとせっかくの換気システムがうまく働いてくれません」 

▶ 花粉症の原因はスギの他にもヒノキ、シラカバ、イネ、ヨモギ…
ー対策で多少和らぐとしても、花粉症の症状はつらいですね。 
(大野さん) 
「とってもつらい花粉症。病院で相談するとアレルギー検査を勧めてくれることがあります」 
「花粉症と一口に言っても、有名なもので例を挙げると、この時期はスギ、もう少し暖かくなるとヒノキやシラカバ、梅雨が近づいてくるとイネ、夏から秋にはヨモギやブタクサなどキクの仲間…」
 「いろいろな花粉症の原因があります。花粉症だと思ったらハウスダストなどが原因のぜんそくや乾燥肌など別の原因があるかもしれません。ひょっとしたら風邪などの感染症かもしれません」 
「注射が苦手な方も、今は血液検査でなくてもパッチテストもあるようです。ご心配な方は一度受診してみるのもいいかもしれません。
最近ではアレルギーの研究も進んで『寒暖差アレルギー』なんていうのもわかってきています」 
「体の不調は専門家に聞いてみるのが一番です。寒い冬が過ぎて少し暖かくなると憂鬱な花粉症。少しでも皆さんの生活が楽になりますよう、ご参考にしていただければ幸いです」


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舌下免疫療法、皮下免疫療法(減感作療法)・・・免疫療法の歴史を紐解く

2025年02月03日 08時15分34秒 | 花粉症
現在人気急上昇中の「舌下免疫療法」。
当院での多数のお子さんに行っていますが、
しっかり手応えがあり有効です。
ただ現在、需要と供給のバランスが崩れて新規開始が出来ない状況が続いているのが残念。

この舌下免疫療法とは、
舌下にスギ花粉エキスの塊(すぐ溶ける錠剤)を含み、
吸収させてからだの免疫反応を誘導し、
症状が出にくい体質に変えていくという、
いわゆる“体質改善”です。

ですから内服を止めると症状がすぐ再燃する抗アレルギー薬と異なり、
終了後も一定期間、効果の持続が期待できます。
もっとも、登場した当初は「一生花粉症と縁が切れます」と宣伝していましたので、
夢の治療法ではないことがわかってしまいましたが。

それでも一定期間、薬を使わなくても花粉症症状が気にならないというのはいいですね。
例えば、4年間施行すると、終了後5-6年は調子がよい、つまり合計10年間花粉症に悩まされずに済むのですから。

さて、舌下免疫療法が登場する以前は「減感作療法」という名称で、
皮下注射する免疫療法が行われてきました。
この辺の歴史を遡る記事が目に留まりましたので紹介します。

<ポイント>
■ 花粉の発見
 → 17世紀後半から18世紀初頭
■ 花粉アレルギー(花粉症)の発見
 → (現象としては古代ギリシャ・ローマ時代の記録にも)1828年、ジョン・ボストック博士が花粉症に関する最初の報告。日本における最初の花粉症の報告は、スギ花粉症ではなく、ブタクサ花粉症だった( 1960〜 1961 年に荒木英斉博士によるブタクサ花粉症研究)。スギ花粉症に関する最初の報告は、1964年に斉藤洋三博士や堀口申作博士による。
※ アレルギーという単語は、1906年に、オーストリアの小児科医クレメンス・フォン・ピルケによって初めて造語。
■ 免疫療法の開発 → 様々な投与経路が研究されている
1) 皮膚の下の樹状細胞に伝えるために注射をする → 皮下免疫療法
2) 腸管の樹状細胞に伝えるために食べる → 経口免疫療法
3) 舌の下にいる樹状細胞に伝えるために舌の下に置く → 舌下免疫療法
4) 皮膚にいる樹状細胞に伝えるために特殊なシールを貼る → 経皮免疫療法

日本でスギ花粉症が報告されてから、まだ60年くらいしか経っていないのです。
その後「国民の3人に1人以上が患者」という時代が来るとは誰が想像したことでしょう。


▢ スギ花粉、本格的な飛散シーズンへ 花粉症の「免疫療法」はどう発展した? 
2025-2/2:withnews)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・人類は、花粉をどのように知り、そしてアレルギーの原因として認識し、そして対応しているのでしょうか。その歴史をあらためて振り返り、深掘りしてみました。(小児科医・堀向健太/ほむほむ先生)

▶ 花粉はどのようにみつかった?

 スギ花粉症の本格飛散の時期が近づいています。今年も2月から本格的に飛散がはじまるようです[1]。・・・初期療法といって、症状がではじめたら早めに治療を開始すると、その症状のヤマを低くすることができます[2]。
・・・本来は免疫にとって敵ではないはずの花粉。 人類は、花粉をどのように知り、そしてアレルギーの原因として認識し、そして対応しているのでしょうか。今回は、その歴史を振り返ってみたいと思います。
  そもそも、花粉はどのようにみつかったのでしょう。 その歴史は、17世紀後半から18世紀初頭までさかのぼります。 ドイツの医師であり植物学者であったルドルフ・ヤコブ・カメラリウスは、植物には雄しべと雌しべがあり、植物の有性生殖を初めて証明しました。 そして、進化論で有名な科学者チャールズ・ダーウィンは、1862年に "The Various Contrivances by which Orchids Are Fertilized by Insects"(ランが昆虫によって受粉される様々な工夫)を出版しました。 ダーウィンは、ランが特殊な形や構造をしていることに着目し、ランの見た目はきれいに見せるためではなく、ハチやチョウ、ガなどの昆虫を誘引していると考えたのです。 そして、ランの中には雌の昆虫のように見える部分や匂いを持つものがあり、雄の昆虫を騙して近づけて花粉を拾わせ受粉に役立てていることを示しました。 さらに、1800年代半ばに、オーストリアの修道士であったヨハン・グレゴール・メンデルは、エンドウ豆の花の色、エンドウ豆の形、エンドウ豆の色といった観察しやすい性質があり、花粉で交配し数世代にわたって何が起こったかを記録したのです。 メンデルの法則、有名ですよね。 そうして、人類は花粉の存在を知り、その役割に関する理解を深めていったのです。
▶ ブタクサアレルギーが問題に
 さて、その花粉がアレルギー症状を起こすということは、昔から知られていました。その記録は古代ギリシャ・ローマ時代にまで遡ります。 とはいえ、アレルギーという用語そのものは、1906年に、オーストリアの小児科医クレメンス・フォン・ピルケによって初めて造語されたものです。 ですので、花粉症に関する科学的な研究報告も、19世紀になってからになります。
  1828年、ジョン・ボストック博士が花粉症に関する最初の報告をしました[3]。 そして1869年に、チャールズ・ハリソン・ブラックリーは、アレルギー反応を観察するために花粉を皮膚で反応させるという、アレルギーの最初の皮膚テストの手法を考案し、1873年に、花粉症がイネ科植物の花粉によって引き起こされることを証明したのです[4]。 
 米国では、ブタクサアレルギーが早々に問題となり、ヨーロッパでは、1900年以降、北米からのブタクサが混じった穀物や種子の輸入により、ブタクサの爆発的な拡大が起こります[5]。 しかし1930年代まで日本ではブタクサはめずらしく、当時はブタクサ花粉はアレルギーの原因にはならないと考えられていました[6]。 しかし、ブタクサは、世界に拡大していき、日本でもその植生は変化していくことになります。 そして日本における花粉症の体系的な研究が、 1960 年から 1961 年にかけて、荒木英斉博士によってブタクサ花粉症に対して行われました[7]。 そう、日本における最初の花粉症の報告は、スギ花粉症ではなく、ブタクサ花粉症だったのです。
▶ スギ花粉症の初報告と、その後の拡大
 スギ花粉症に関する最初の報告は、1964年に斉藤洋三博士や堀口申作博士によってなされます[8][9]。 ただ、国際医学雑誌へのはじめての報告は、1987 年に石崎博士らによってであり、日本に特有の花粉症として知られるようになったのです[10]。 
 スギ花粉症が日本独自に大きくふえたのは、第二次世界大戦後、木材用にスギの大規模な植林を行い、これらのスギが成熟して花粉を大量に生産するようになったためと考えられています。 斉藤洋三博士は、栃木県日光市に勤務している際に、スギ花粉症に気がついておられ、スギ花粉が特に飛散している地域であったことがうかがえます[9]。 花粉症は、環境に大きく左右されるアレルギー疾患なのです。
▶ スギ花粉症に対する治療の発展
 1914年、レオナルド・ヌーンとジョン・フリーマンによって、初めてアレルゲン免疫療法が提唱されました[11]。しかし、当時は、まだ『アレルギー』という用語すらまだ提唱されたばかりの時代です。 ですので、普及はまだ時間がかかる状況でした。 1930年代後半に『抗ヒスタミン薬』が普及し、アレルギー症状を抑えるのに役立つようになりました[12]。 
 そして1963年に石坂公成博士と照子博士夫妻により、IgE抗体が発見されました[13]。この発見は、アレルギー反応のメカニズムを理解する上で大きな突破口となりました。 アレルゲン免疫療法が使用される素地ができてきたのです。 スギ花粉症とは、体がスギ花粉を悪いものだと勘違いし撃退しようとして、スギ花粉に出会うたびにくしゃみ、鼻水、目のかゆみを引き起こしているようなものです。 そしてアレルゲン免疫療法とは、スギ花粉は脅威ではないと体に教え込むような治療といえます。 
 スギ花粉に対するアレルゲン免疫療法は、皮下免疫療法(皮下に注射する)、舌下免疫療法(舌の下にスギ花粉の製剤を1分間置く)が使用されています。 以前、この免疫療法のルートに関しては、「食物アレルギーはどこまで治療できる?免疫療法の歴史と、安全な治療法が模索されている話|第6回[14]」で紹介しましたね。
1) 皮膚の下の樹状細胞に伝えるために注射をする → 皮下免疫療法 
2) 腸管の樹状細胞に伝えるために食べる → 経口免疫療法 
3) 舌の下にいる樹状細胞に伝えるために舌の下に置く → 舌下免疫療法 
4) 皮膚にいる樹状細胞に伝えるために特殊なシールを貼る → 経皮免疫療法 
 そして、イネ科花粉に対する舌下免疫療法も開発がすすみはじめています[15]。 変化する環境に対応できるようなこれらの治療が、さらに進むことが期待されています。

【参考文献】 
[3] Bostock J. Case of a Periodical Affection of the Eyes and Chest. Medico-chirurgical transactions. 1819;10(Pt 1):161-165. 
[4] Blackley CH. Experimental researches on the causes and nature of catarrhus aestivus (hay-fever or hay-asthma). Bailliere, Tindall & Cox; 1873. 
[5] Chen KW, Marusciac L, Tamas PT, Valenta R, Panaitescu C. Ragweed Pollen Allergy: Burden, Characteristics, and Management of an Imported Allergen Source in Europe. International archives of allergy and immunology. 2018;176(3-4):163-180. 
[6] Hara H. Hay Fever Among Japanese: III. Studies of Atmospheric Pollen in Tokyo and in Kobe. Archives of Otolaryngology. 1939;30(4):525-535. 
[7] Araki H. Studies on pollinosis. II. Sensitization with pollens. Arerugi=[Allergy]. 1961;10:354-370. [8] Horiguchi S, Saito Y. [DISCOVERY OF JAPANESE CEDAR POLLINOSIS IN NIKKO, IBARAKI PREFECTURE]. Arerugi = [Allergy]. 1964;13:16-18. 
[9] Saito Y. Japanese cedar pollinosis: discovery, nomenclature, and epidemiological trends. Proceedings of the Japan Academy Series B, Physical and biological sciences. 2014;90(6):203-210. 
[10] Ishizaki T, Koizumi K, Ikemori R, Ishiyama Y, Kushibiki E. Studies of prevalence of Japanese cedar pollinosis among the residents in a densely cultivated area. Ann Allergy. 1987;58(4):265-270. 
[11] Noon L. Prophylactic inoculation against hayfever. Lancet 1911; 1:1572. 
[12] Busse WW. Role of antihistamines in allergic disease. Annals of allergy. 1994;72 4:371-375. 
[13] Ribatti D. The discovery of immunoglobulin E. Immunology letters. 2016;171:1-4. 

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アレルギー性結膜炎に“塗る点眼薬”登場

2025年01月26日 05時14分48秒 | 花粉症
花粉症に関する某セミナーを視聴していて知りました。
抗アレルギー薬の“塗る点眼薬、アレジオン眼瞼クリーム”が認可されたとのこと。

・適応はアレルギー性結膜炎(花粉症を含む)であり、眼瞼湿疹(アトピー性眼瞼炎)ではない。
・夜寝る前に上下のまぶた(上だけではないと強調)に塗れば、点眼薬と同じ効果が期待できる。
・翌日は1日中効果がもつので手間なし、つらさなし。
・塗る場所の皮膚が荒れている場合は、その治療を優先すべし。

こんな内容でした。
私は「点眼を怖がって拒否する子どもにいい薬だな」と感じました。
この薬を扱った記事を紹介します。

▢ 眼瞼に塗る抗ヒスタミン薬が登場、花粉による目の痒みにどう対応する?
2025/01/22:日経メディカル)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 年々患者が増加し、今や国民病とも言われる花粉症。鼻水や鼻づまりなどの症状と合わせて「目の痒み」を訴える患者も多く、2017年に日本眼科学会が行った調査では、国民の4割弱はスギやヒノキによる季節性アレルギー性結膜炎を有していると報告されている。アレルギー性結膜炎に対しては、まず抗アレルギー点眼薬を処方することが多いが、2024年5月に、新剤形のアレジオン眼瞼クリーム0.5%(一般名エピナスチン)が発売された。
 アレジオン眼瞼クリームは、上下のまぶたに塗布することで、経皮から吸収され、眼瞼結膜や眼球結膜に持続的に作用するよう設計された薬剤アレルギー性結膜炎を適応とし、スギなどによる季節性アレルギー性結膜炎にも使用できる。主成分のエピナスチンは、抗ヒスタミン作用とメディエーター遊離抑制作用を併せ持ち、アレルギー性結膜炎による痒みや充血を抑える。同じエピナスチンの点眼液には、1日4回点眼のアレジオン点眼液0.05%、1日2回点眼のアレジオンLX点眼液0.1%などがある(関連記事:【漫画】世界初の新剤型!眼瞼クリームとは)。
 既に、通年性アレルギー性結膜炎患者などに対してアレジオン眼瞼クリームを使用している庄司眼科医院(千葉県木更津市)院長の庄司純氏は、「スギやヒノキによるアレルギー性結膜炎のシーズンはまだ経験していないので、手放しに推奨することはできないが、眼科専門医でなくても比較的安全に処方することができるだろう」と話す。

▶ 「点眼の負担が軽減できる」との声も、ネックは薬価?
 アレジオン眼瞼クリームの用法は1日1回であるため、1日2~4回点眼する必要がある抗アレルギー点眼薬と比較して、患者の負担が少ないのが特徴だ。庄司氏は、「これまで、仕事や学校で忙しい日中に点眼を忘れたり、化粧崩れが嫌で点眼を避けたりして、用法用量が順守できず十分な効果が得られない患者は少なくなかった。アレジオン眼瞼クリームは1日1回の塗布で効果が24時間続くため、使用した患者からは負担軽減を実感する声が上がっている」と説明する。
 点眼が困難な小児や高齢者にも、クリーム製剤のメリットは大きい。特に、高齢者は緑内障などの他疾患に対して既に点眼薬を処方されている場合があり、花粉による目の痒みには「塗り薬」を出すことで、患者の混乱を防げるケースもあるという。一方、庄司氏は「アトピー性皮膚炎患者や、アトピー性皮膚炎の既往がある患者には使用を避けた方がよい。明確な原因は分かっていないが、眼瞼に発赤が生じることがある」と自身の臨床経験を語る。
 ただ、アレジオン眼瞼クリームの薬価は、1gあたり1686.7円。1カ月間で2gチューブを1本使うとすると、後発品がある抗アレルギー点眼薬よりは割高になる。また、クリーム製剤より点眼薬の使用感を好む患者も一定数いるため、患者に選択肢を提示し、希望を聞いた上で処方を決定するとよいだろう。

▶ まずは「寝る前に塗布」、慣れたら患者に合ったタイミングで
 アレジオン眼瞼クリームを処方する際には、幾つか指導すべきポイントがある。まず、片眼あたり約1.3cm長(成人の人さし指先端から第一関節までの長さの半分程度)を指先に取り、上下の眼瞼に半量ずつ乗せてからなじませるような塗り方が推奨されている(外部リンク:参天製薬ウェブサイト)。さらに、「患者処方箋を用いて塗り方を説明しても、アレルギー性結膜炎では初の経皮薬ということもあり、用法用量を理解できない患者もいる。その場合、眼内に点入してはいけないことを強調する必要がある。また、使用しているうちに1回あたりの塗布量が減少したり、症状がない時に塗らない患者もいるため、1本を1カ月程度で使い切るという目安もきちんと伝えた方がよい」(庄司氏)という。
 塗布のタイミングについては、「『いつでもよい』と言うと患者が混乱してしまうことがあるため、アレジオン眼瞼クリームが初めての患者には、まず、就寝前の使用を勧めている」と庄司氏。患者が慣れてきたら、毎日塗ることができる自分なりの良いタイミングを探すよう指導しており、夜勤終わりや、スキンケアのルーティンを妨げない化粧前など、患者によって様々なタイミングで使用しているという。

▶ 「目が痒い」だけでアレルギー性結膜炎と判断してよいのか?
 花粉の飛散時期に、患者から「目が痒い」との訴えがあると、花粉によるアレルギー性結膜炎だとすぐ判断しがち。だが、中には別の疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要だ。「特に、花粉症シーズンに間違えやすいのは、ウイルスや細菌による感染性結膜炎で、細隙灯顕微鏡検査を行わない眼科以外の診療科の医師では、見分けることが困難な症例も少なくない」と庄司氏は指摘する。
 非専門医が、アレルギー性結膜炎を見極める上でまず重要なのは、問診で、「痒み」と「既往歴」を確認することだ。花粉によるアレルギー性結膜炎は、ほぼ100%の症例で痒みを伴う。さらに、過去にアレルギー性結膜炎や花粉症、他のアレルギー疾患の既往がある患者はアレルギー性結膜炎の可能性が高い。順天堂大学医学部附属浦安病院眼科教授の海老原伸行氏は、「痒みと既往歴がそろったら、臨床的にアレルギー性結膜炎と診断し、抗アレルギー薬を処方してもよいだろう。逆に、目に痛みがあったり、見え方に異常があったりする患者には、感染性角結膜炎など他の疾患が隠れているかもしれない」と説明する。
・・・
 アレルギー性結膜炎の確定診断を行う場合は、I型アレルギー反応を証明するため、涙液中総IgE抗体を測定する必要がある。一方、流行性角結膜炎の確定診断にはアデノウイルスなどの抗原検査キットを用いてもよい(関連記事:非眼科医でも抗アレルギー点眼薬の積極処方を)。
 庄司氏は、「専門医による確定診断が必要な患者や、重症のアレルギー性結膜炎の患者は紹介の対象になる」と言う。重症のアレルギー性結膜炎とは、日中でも拭わなければならないほどの眼脂が出たり、外用の抗アレルギー薬で十分な効果が得られなかったりするケースを指すという。海老原氏は、「重症患者には、ステロイド点眼薬などで対応するが、眼圧計などのない医療機関では十分な対応が難しい。外用の抗アレルギー薬を1週間使用しても症状が緩和しない場合は、専門医への受診を勧めてほしい」と話している。


・・・上記に追加して以下の特徴を追記しておきます:

・高価!
・処方前にアレルギー性結膜炎と確定診断する必要がある。



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花粉症患者は車を運転してはいけない?

2018年04月08日 09時06分14秒 | 花粉症
 花粉症の症状が激しくなると発作的に「くしゃみ」が止まなくなります。
 すると、目の前のことができなくなり、それが車の運転中、事故を起こす可能性が発生します。
 そして事故を起こすと「有罪」になってしまうのです。
 花粉症を甘く見てはいけません・・・。

■ 花粉症ドライバー要注意 くしゃみ・涙…事故の危険
2018/4/5:日本経済新聞)より
 花粉症に悩む車のドライバーにとってくしゃみや鼻水などの症状は事故を招きかねない難題だ。実際、死傷事故を起こし有罪判決を受けたケースもある。スギ花粉だけでなくヒノキ花粉の飛散も本格化するなか、車間距離を確保し、副作用の少ない治療を選択するなど、対策を徹底して安全運転に努めたい。
 「症状が出た以上、速やかに運転を中止しなければならず、過失は軽いとはいえない」。愛媛県今治市の国道で2017年4月、花粉症のくしゃみなどの症状で追突事故を起こし、3人を死傷させた50代の男性に松山地裁今治支部は18年2月、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
 男性は花粉症の薬を服用していたが、運転中に目のかゆみや連続するくしゃみなどの症状が激化。前方不注意のまま対向車線にはみ出し、軽乗用車と正面衝突した。
 日本自動車連盟(JAF)も「たかが花粉症と甘く考えるのは禁物」と注意喚起する。JAF東京支部で交通安全講師を務める高木孝さんは「正常な運転ができない状態で事故を起こせば、重い責任を問われる恐れもある」と強調する。
 くしゃみは肋骨骨折の原因になることもあるほど衝撃が大きく、ハンドルの誤操作を招きかねないほか、くしゃみ1回で0.5秒、目をつぶると仮定すると時速60キロで走行中ならその間に車は8メートル進む計算になる。高木さんは「花粉症では2回、3回と連続してくしゃみが出る患者も多い。涙や鼻水などの症状も運転に影響しやすく、大変危険だ」と話す。
 高木さんは車内に花粉を持ち込まない対策として、空調で外気を取り込まないように設定を変更したり、空調のフィルターを定期的に交換したりすることを推奨。「症状がひどい時は運転しないことが最も大事。もし運転する場合も、突然の症状に備えて普段よりも車間距離を広く取り、速度も落とすべきだ」と訴える。
 一方、日本アレルギー学会専門医の池袋大谷クリニック、大谷義夫院長は「花粉症の薬は眠くなったり、集中力が低下したりする副作用にも注意が必要」と指摘する。大谷院長によると、抗アレルギー薬には眠気の副作用があるものが多く、薬の添付文書に「運転などに従事させない」「服用中は車の運転に注意」と明記されているものもある。


 その「運転中の花粉症症状(くしゃみ発作)で交通事故を起こし有罪判決」の記事を紹介します。
 治療していても、激しい症状が出たら車を止めなくてはいけないといいますが、突発的なくしゃみ発作はどうしようもないと思うのですが・・・ゆっくり安全運転するしか対策はないようです。

■ 花粉症状で交通死傷事故、高校教頭に有罪 愛媛・今治
2018/2/3:日本経済新聞
 愛媛県今治市の国道で2017年4月に乗用車を運転中、花粉症による連続したくしゃみなどの症状で事故を起こし、3人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた県立今治北高の教頭、藤沢一仁被告(54)=休職中=に、松山地裁今治支部(満田智彦裁判官)は2日、禁錮3年、執行猶予4年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。
 満田裁判官は、被告が花粉症による目のかゆみやくしゃみなどの症状が激しくなった際、容易に駐車できる場所もあったのに運転を続けたと指摘。「事前に花粉症対策の薬を服用していたとしても、症状が出てしまった以上、速やかに運転を中止しなければならず、過失は軽いとはいえない」と述べた。
 判決によると、昨年4月23日午後2時35分ごろ、今治市内で乗用車を運転中、花粉症の症状で前方注視が困難になり、対向車線に車をはみ出させ、軽乗用車と正面衝突。軽乗用車に乗っていた同市玉川町の無職の女性(当時61)を死亡させ、同乗の息子2人にも重軽傷を負わせた。
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2018年春のヒノキ花粉飛散は過去最大?

2018年02月09日 06時19分05秒 | 花粉症
 春の花粉症は、おおまかに「3月まではスギがメイン、4月からはヒノキがメイン」です。
 リアルタイムの花粉飛散情報をみていて毎年感じるのは、スギとヒノキの花粉が区別されていないもどかしさ。
 とそんなタイミングで、ヒノキの花粉も調査されるようになっていたことを知りました。
 今年は多いんですね(T_T)。

※ 下線は私が引きました。

■ヒノキ花粉も過去最大 〜 雄花着花量調査結果
2018.2.8:タウンニュースさがみはら緑区版
◇ スギ同様平均を多く上回る
 自然環境保全センター(厚木市)は2月1日に、スギ(昨年12月に調査)に続き、花粉の飛散量を予測する上で根拠となる、ヒノキの雄花の着花量の調査結果を発表した。それによると、”昨年の5倍増”と予想されたスギ同様、今年の春のヒノキの花粉の飛散量は、かなり多いと予想している。
 近年スギに加え、花粉症の原因となるヒノキの花粉が増えている。ヒノキは植栽された時期が新しく、雄花をつける樹齢に達する樹木が近年増えているからだ。
 同センターは、こうした状況を踏まえ、2012年度からヒノキの雄花の着花量の調査を実施。一昨年度初めて調査結果を公表し、全国で初めてヒノキの雄花量による花粉飛散予測を行った。調査は県内40カ所のヒノキ林で実施した。
 それによると今年度、着花点数の平均値は80・8点。昨年度の34・1点を大幅に上回っている。調査を始めてから6年間の平均値は、50・1点で、今回の結果が過去最高の点数を記録した。また、40カ所の内、緑区が位置する県北部が87・8点と県内で最も高い結果となっている。
 同センターによると、「昨年夏の気象(横浜地方気象台「海老名観測所」)では、7月の平均気温は平年の108%、降水量は66%、日照時間が平年の113%と、雄花が多くなる条件となったためと推測する」と話す。一方、8月の平均気温は平年並みだったが、降水量は平年の106%と多く、日照時間も平年比95%と雄花が少なくなる気象条件だったが、過去最高の着花点数となった結果に対し、同センターは「直接の関係はまだわからないが、7月の猛暑が影響していると考えられる」と話した。
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花粉飛散調査隊「ポールンロボ」、始動準備

2018年01月26日 08時20分03秒 | 花粉症
 私は春の花粉症シーズンのリアルタイム情報を知りたいときにウェザーニュースのHPをよく閲覧します。
 これは、全国の協力者がウェザーニュースから配布された機械「ポールンロボ」を設置して情報を送るというシステム。タイムラグがないので、今の自分の症状が花粉によるものかどうか、判断しやすくなります。
 ことしもその「ポールンロボ」の発送が始まりました;

■ 花粉観測機「ポールンロボ」、全国1,000の企業や家庭に発送中!



2018年1月25日 By ロボスタ編集部
 株式会社ウェザーニューズは、花粉シーズンを目前に控えた今日、全国の花粉症の家庭に向けて、独自に開発した花粉観測機「ポールンロボ」を順次発送していることを発表した。同社は、一般ユーザーとともに花粉症に立ち向かう「花粉プロジェクト」を2005年から実施しており、今年も全国のご家庭や病院、企業に約1,000台の『ポールンロボ』を設置していく予定だという。
 「ポールンロボ」は空気中に含まれる花粉をカウントし、観測した花粉量に応じて目の色を「白」「青」「黄」「赤」「紫」の5段階に変化させる。「ポールンロボ」が観測した花粉飛散量の観測データは、スマホアプリ「ウェザ—ニュースタッチ」やウェブサイトの「花粉Ch.」にて、設置が完了した所から順次公開されていくという。
 ウェザーニューズでは、この観測データと気象データ、そして全国の花粉症の方々から届く症状の報告を合わせて、毎日の花粉予報など各種花粉コンテンツに活用していく。中でも「花粉対策アラーム」では、毎朝その日の予想飛散量や一人ひとりの症状にあった花粉対策を、臨時で大量飛散や花粉シーズンの開始・ピークの情報を、スマホにプッシュ通知でお知らせする。
 今シーズンの花粉は、2月初めに九州南部や関東を中心に飛散が始まり、西・東日本の広範囲で飛散ピークを迎えるのは、スギ花粉は3月上旬、ヒノキ花粉は3月下旬~4月中旬の予想されている。飛散量(全国平均)は、2017年夏と秋に天候不順が続いたこともあり、平年の65%、2017年の75%と少なくなるという。「ただ、強風時や雨の翌日は一時的に大量飛散の恐れがあるため、油断せず備えが必要です」とウェザーニューズは伝えている。

◇ 目を光らせて花粉飛散量を伝える「ポールンロボ」
 「ポールンロボ」は直径約15cmの球体で、人の顔に見立て、目、鼻、口がかたどられている。口の部分からは成人の呼吸量と同量の空気を吸い込み、人の呼吸時とほぼ同量の花粉を観測できるように設計されている。「ポールンロボ」の目の色は、観測した花粉の量によって「白」「青」「黄」「赤」「紫」の5段階で変化し、設置場所の花粉飛散量がひと目でわかるようになっているという。なお、今年は無線LAN対応版のポールンロボを増強し、一部にPM2.5センサーをテスト搭載している(PM2.5のデータを閲覧することはできない)。



 この「ポールンロボ」は、2017年11月13日までに設置の応募をした方の中から、選定された1,000名に送られている。
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日本の花粉飛散情報は春のスギ/ヒノキしかない。

2017年11月05日 06時22分53秒 | 花粉症
 私もこの記事の著者と同じことを以前から感じていました。
 ネット上を探しても、日本の花粉飛散情報は春しかないのです。
 3月はスギがメイン、4月はヒノキがメインとはわかっていますが、その区別さえありません。
 しかし実際には5〜8月のイネ科花粉(カモガヤ、オオアワガエリ)、秋の雑草花粉(ブタクサ、ヨモギ)も重要です。
 そしてスギ花粉の飛散も春だけではないことがわかってきています。
 何とかなりませんかねえ・・・。

■ 今年の秋の花粉症はひどすぎないか? きめ細かい花粉情報を通年で提供してほしい
(2017.11.2:家入龍太 | 建設ITジャーナリスト/株式会社イエイリ・ラボ代表取締役)
春の最盛期のような花粉症が秋にやってきた
 今年の10月中旬以降から2週間以上にわたり、目のかゆみ、睡眠時の口呼吸、止まらない鼻水とくしゃみ、のどのヒューヒュー音、そして頭のかゆみなど、まるで春のように激しい花粉症の症状に見舞われている。
 高校生の頃から約40年の歴史を誇る“ベテラン花粉症患者”の筆者だが、秋にこのような症状を経験したのは初めてだ。
 街中でも、心なしかマスクをした人を多く見かけるような気がする。試しに、ツイッターで「花粉症」というキーワードで検索してみると、昨夜は毎分5~6件の書き込みがあった。その中には、筆者と同様に花粉症の激しさに悩んだり、驚いたりする人も多くいた。耳鼻科の駐車場がいっぱいでなかなか駐車できないというレポもあり、花粉症の症状が出ている人が多いことがうかがわれた。その一方で、自分の症状の原因が花粉症なのか、それとも風邪なのかわからないといった声も少なくなかった。
しかし、花粉の飛散情報は見当たらず
 この症状はおそらく、何かの花粉が大量に飛散しているに違いないと思った筆者は、「今の日本に、どんな種類の花粉がどれだけの量、飛散しているのだろうか」をちょっと調べてみようとウェブサイトをググってみた。
 ところが、春の花粉シーズンにはおなじみの「花粉ナビ」は5月19日以降、更新されていなかった。環境省花粉観測システム「はなこさん」も、6月30日を最後に店じまいしていた。
 また、花粉観測機「ポールンロボ」を一般に配布してきめ細かい花粉情報を提供している「ウェザーニュース」の「花粉 Ch.」も現在は“CLOSED”と表示されている。
 結局、今の日本にどんな種類の花粉がどれだけ飛んでいるのかというリアルタイムな情報はわからないままだ。
通年化する花粉症の原因をリアルタイムで知りたい
 花粉のシーズンである春には多かれ少なかれ、スギやヒノキの花粉が飛び回っていることはわかるので、それなりの対策はしやすい。ところがそれ以外の季節にも、イネやブタクサなどの花粉が飛散することがあり、急に鼻の調子が悪くなったりする。もはや花粉症は春だけの問題ではなく、1年中を通じて対策が必要になっているのではないか。
 こんなときに、何が原因なのかを考えたり、対策したりするうえで、今、どんな花粉が飛んでいるのかを知ることは重要な手かがりだ。花粉情報サイトも、そろそろ通年での情報提供を検討してほしいと思う。
海外では花粉の種類別に通年情報提供の例も
 筆者はちょくちょく米国に出掛ける機会があるが、日本では何ともなかったのに、現地では激しい花粉症に見舞われることも少なくない。そこで役に立っているのが「The Weather Channel」というウェブサイトだ。
 このサイトでは1年中、各地の花粉情報を、植物の種類(樹木、草、ブタクサの3種類)と飛散量で表示する機能をもっている。
 こうした花粉情報が1年中、手軽に入手できれば春以外の季節もきめ細かく花粉対策が行えるほか、体調不良の原因が花粉なのか風邪なのかといった問題の切り分けもしやすい。
 このサイトは日本の天気情報も提供しているようだが、花粉情報のコーナーは不安定だった。日本でも一つくらいのサイトは、通年でのきめ細かい花粉情報の提供を続けてほしいと願う今日この頃である。

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