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小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

2018年シーズンのスギ花粉症予測

2017年10月06日 06時34分51秒 | 花粉症
 早くも2018年シーズンの花粉飛散情報が届きました。

■ 来シーズンの花粉飛散予測は!?天気.jp



 ムムッ、関東地方は160%と多いのですね(T_T)。
 おや?
 こんなニュースも。

■ 来春のスギ花粉は多いか少ないか? 正反対の日本気象協会とウェザーニューズの予想
2017/10/11:J-CASTニュース
来年春のスギ花粉は多いか少ないか。気象予報の民間大手、日本気象協会とウェザーニューズの予想が「まっこうから対立しています」と水卜麻美アナが伝えた。こんなことは初めてだそうだが、どちらにも根拠があるというのだから、花粉症の人は「なんで?」「どちらを信じていいのか」と言いたくもなる。
今月(2017年10月)発表された予想は、日本気象協会が「多い」で、東北から近畿までの広い範囲でスギ花粉が増え、とくに関東地方は前年の2倍になるという。ウェザーニューズは「少ない」で、四国や近畿で減り、とくに関東は半分以下の地域もあると見た。
夏の暑さ、どう評価
根拠は「今年(2017年)7月が全国的に高温のため、花の成長が盛んで、花粉も増えた」(日本気象協会)、「夏前半は猛暑だったが、8月に一転して雨が多かったため、花はさほど成長しなかった」(ウェザーニューズ)という。両社の担当者はそれぞれ「自信がある」「データに基づいている」と強調している。
30年以上スギ花粉を研究している佐橋紀男さんは「たしかに7月の暑さで花は成長したので花粉が多めの傾向はあるが、日本気象協会がいうように東京で2倍まではいかない」と話す。
両社とも年内にもう一度、予想を発表する予定。来年1月には東京都も予想を発表する。


 う〜ん、多いのか少ないのか、予想不能なのですか(^^;)。

 まだ秋なので、現在飛散している花粉はブタクサ、ヨモギ、カナムグラ、それとセイダカアワダチソウです。

■ 花粉症を引き起こす植物と飛散シーズンweathernews

(左からブタクサ、ヨモギ、カナムグラ)




 秋の花粉はスギ/ヒノキの花粉より小さいので、目の結膜や鼻粘膜に付着するだけでなく、期間の奥まで到達しやすいので咳も出やすいとされています。
 毎年この時期になると調子が悪くなる人は、秋の花粉症かもしれません。
 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒み、咳が2週間以上続く場合は、風邪ではなく花粉症の可能性があります。医療機関にご相談を。

スギ花粉症舌下免疫療法の錠剤登場(5歳から使用可能!)

2017年09月28日 06時15分44秒 | 花粉症
 現在、スギ花粉症舌下免疫療法は液剤のシダトレン®のみですが、満を持して錠剤が登場します。
 従来は12歳以上しかできませんでしたが、今回「小児に対し使用可能」とのことですから、小児科医の私としては期待が膨らむニュースです。

■ 鳥居薬、スギ花粉症向け免疫療法薬の国内販売が承認
2017/9/27:日本経済新聞
 鳥居薬品(4551)は27日、スギ花粉症向けのアレルゲン免疫療法薬「シダキュア スギ花粉舌下錠」の国内製造販売の承認を取得したと発表した。シダキュアは国内で初めて成人や小児に対し使用可能となった舌下錠で、14年10月から販売していた「シダトレン スギ花粉舌下液」よりも高力価の製剤という。販売時期は決まり次第発表する。


■ スギ花粉症薬、錠剤で承認取得 鳥居薬品  小児も服用可能に
2017/9/27:日本経済新聞
 鳥居薬品は27日、舌下から吸収して服用する錠剤のスギ花粉症薬について、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。アレルギー疾患の原因になるアレルゲンを低濃度で取り込み、花粉に対する過敏性を減少させる薬。対象患者の制限がなくなり、12歳以下の小児でも服用できる。液剤の従来薬に比べて剤形を工夫して保管しやすくし、利便性を高めた。
 「シダキュアスギ花粉舌下錠」の製造販売承認を取得した。服用方法は1日1回1錠、舌下に1分間錠剤を保持した後に飲み込む。3~5年にわたって服用を続ける必要がある。
 従来の液剤型の薬は冷蔵保存する必要があったが、錠剤にすることで室温保管できるようになり、持ち運びやすくした。対象年齢も従来薬は12歳以上に限っていた。


★ 追記(2017.9.29)
 5歳から使用可能だそうです。
 液体のシダトレン®は冷蔵庫保存が基本ですが、シダキュア®は錠剤なので室温保存が可能です。
 それから、シダトレン®は舌下に2分間保持でしたが、シダキュア®は1分間でOK。

■ 日本初、5歳から使える免疫療法薬 〜より幅広い適用年齢を有する舌下錠が承認
2017年09月28日:メディカル・トリビューン
 鳥居薬品は9月27日、スギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法薬「シダキュアスギ花粉舌下錠(以下、シダキュア)2,000JAU、同5,000JAU」の製造販売承認を取得したと発表した。同薬は日本で初めて5歳以上の小児から使用できるスギ花粉症に対する舌下免疫療法薬で、「シダトレンスギ花粉舌下液(以下、シダトレン)」より高力価かつ利便性が高いという。
室温保存が可能、服薬も容易に
 同社では、2014年10月よりスギ花粉症に対する免疫療法薬・シダトレンを販売していたが、12歳未満は適用外とされていた。
 そのため、5歳以上から適用できるシダキュアの登場により、治療できる年齢層はより広がると見られる。
 また、シダトレンは冷蔵庫内など冷所での保存が必要で、舌下に滴下後、2分間保持してから服用しなければならなかったが、シダキュアは室温で保存ができ、服用の際、舌下に保持する時間が1分間で済むため、シダトレンより利便性が高いとされる。
 厚生労働省が2011年に報告した全国調査の結果によると、日本人のおよそ25%が花粉症に罹患しており、そのうち約70%がスギ花粉症であると考えられている。"国民病"ともいえる同疾患に対し、同社は「シダキュアが治療の選択肢を広げ、患者に貢献できることを期待している」と述べている。


スギ花粉舌下免疫療法・2年目の検証

2016年06月29日 15時21分45秒 | 花粉症
 2014年10月に認可されたスギ花粉舌下免疫療法。
 2シーズン経過後の評価は良好です。
 ダニによる舌下免疫療法にも期待したいですね。

■ スギ花粉・舌下免疫療法,実臨床2年目を検証
2016.05.14:メディカル・トリビューン
 スギ花粉舌下液を用いた舌下免疫療法(SubLingual Immuno-therapy;SLIT)が,2014年に臨床導入されて2年目となる。SLITは,スギ花粉が飛散していない時期に投与を開始し,1〜2週はアレルゲン増量期,3週以降は維持期のスケジュールで,数年間にわたる毎日の服用が必要となることから,長期継続のための患者教育が重要となる。そこで,花粉症診療のエキスパートに,SLIT実臨床の成績から,治療継続率を向上させる鍵について聞いた。

◇ ほぼ全例が治療を2年間継続,鍵はコミュニケーション
米倉氏 SLITは最低でも2年間は継続することがポイントである。千葉大学耳鼻咽喉科診療講師の米倉修二氏によると,同大学病院耳鼻咽喉科SLIT外来の約60例は,ほぼ全例が2年目(今年2月末現在)まで継続中である。

◇ 生活が不規則な患者への対応が課題
 同外来のSLIT導入例は,2014年に約30例(2年目),2015年は約30例(1年目)である。SLIT中断に至った数例がいたが,その理由は転勤や転校であった。米倉氏は「当外来でSLITを開始したほぼ全例が治療を継続できており,他院でもSLITを継続中なので,真の意味での脱落例はいない。ただ,生活が不規則であるために受診予約を頻繁に変更せざるをえない患者ではアドヒアランスが悪い傾向にある。今後の課題である」と言う。
 この点から,「当外来では患者とのコミュニケーションを重視する。薬剤の手渡しだけにならないよう,服薬忘れがないか,どのような状況下で服薬を忘れやすいかなどを意識してもらう」(同氏)。
 ある主婦の自己管理の例を挙げると,薬剤の冷所保存が必須なことから,冷蔵庫の扉の目に付くところに薬剤の袋を貼り付けている。毎日の服薬を意識付ける工夫として,毎朝,冷蔵庫の扉を開けるたびに袋が目に入るようにしている。また,同外来では患者に花粉症の症状の記録を付けることを指導している。同氏によると,症状の評価を行った記録があれば,前年の花粉シーズンと今年のシーズンで比較できる上,コミュニケーションが活性化するという。
 同大学と協力施設は2014年10月以降にスギ花粉症に対するSLITを開始した約100例に,2015年のゴールデンウイーク明けにアンケートを実施した。その結果,満足度は70%以上で「継続していきたい」は90%以上であった。同氏は「SLIT導入1シーズン目で患者がかなりの手応えを感じている」と評価する。

◇ スギ花粉特異的IgE抗体がバイオマーカーの可能性
 永倉氏ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック(東京都)の永倉仁史院長は,SLIT開始1年目に実施したアンケートと,SLITによる免疫学的変化の検証結果から,「スギ花粉特異的IgE抗体の変動は,SLITのバイオマーカーとなる可能性がある」としている。

◇ 治療開始2〜3カ月目から効果発現
 永倉氏によると,2014年10月〜15年のスギ花粉シーズンまでの有害事象は19%だが軽度で,治療を要するものはなかった。2015年の花粉シーズン後においては特になかった。
 2015年6月に,治療開始1年目の効果に関するアンケートを実施した。対象は,同クリニックで2014年8月〜15年1月にSLITを開始した115例(男性60例,女性55例,年齢12〜76歳,最年長は男性73歳,女性76歳)。その結果,服薬継続率は75%であった。服薬継続例における完全継続率は平均95%で100%の症例も多かった。服薬時刻は,クリニックが対応できる日中を勧めていることもあり,「朝食前」が48%,「朝食後」が35%と多く見られた。
 SLITの治療効果は高く,日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票で見たQOLの自己評価は「晴れ晴れ」18%,「笑顔」45%,「普通」28%で,前年の花粉シーズンと比べた2015年シーズンの成績も良好であった。早ければ開始後2〜3カ月目から効果が現れる可能性があるという。
 また,免疫療法により特異的IgE抗体は,
①治療開始後数カ月から増加
②治療開始後,一時増加した後で減少する
--などが知られている。そこで,アンケート対象のうち65例の免疫学的変化を検証した。その結果,スギ花粉特異的IgE抗体価は,SLIT開始時には著明に上昇,最高のクラス6(100UA/mL以上)判定が約3分の1に認められた。しかし,花粉飛散期前に上昇した特異的IgE抗体価はシーズンに入ると低下した。
 同氏は「SLIT開始初期はアレルゲンの増量により特異的IgE抗体の産生を増加させ,その後,減少するよう免疫応答が変化したためではないか」と考察した。

◇ アドヒアランスの維持が重要
永倉氏 スギ花粉症に対するSLITの治療効果は皮下免疫療法とほぼ同等で60〜70%といわれるが,用賀アレルギークリニック(東京都)院長の永倉俊和氏によると,同クリニックの有効率は成人,小児とも高かったという。治療効果を高める鍵はアドヒアランスの維持であるとしている。

◇ 30日以内の処方を基本に
 2014年10月にSLITが臨床導入されて以降,同クリニックで治療を開始した症例は成人160例,小児30例である。治療途中の脱落例は,成人では10%,小児では3%。それらを除いた症例の今年2月時点の治療効果は,成人では著効50%,有効30%,やや有効15%,小児ではそれぞれ60%,20%,10%であった。
 治療効果を高めるポイントとして,永倉氏はアドヒアランスの維持と,そのための患者教育の重要性を強調。「SLITを開始しても,長期間にわたって毎日の服用を継続できないのでは意味がない。患者への事前説明で,特にSLITの仕組みについて時間をかけて,正しく理解してもらうよう努めている」と言う。自ら作製したスギ花粉症対策に関するビデオを患者に見てもらうことも実施している。
 患者への適切なフォローアップも重要である。中には,数カ月もすると,治療開始時に説明したことを忘れてしまう患者がいる。再診時には治療経過を確認するだけでなく,適宜説明を繰り返すようにしている。
 SLITによる副作用をチェックするため,同氏は30日処方を基本とする。「生活習慣病の内服薬は60〜90日処方なのに,なぜ30日処方なのか」と不満の声もあるが,小児例では保護者が監視するので治療を継続させやすい。
 こうした対策を行っても,花粉シーズンが終わると受診しなくなり,そのまま治療中断に至る患者が一部存在する。思春期の患者で治療継続を面倒がって中断するケースが少なからずあり,今後の課題である。
 また,最近は小児のスギ花粉症が急増しているが,現在のところSLITの対象年齢は12歳以上に限られる。同氏は「保護者から,小児に対するSLITについて聞かれることが多い。できれば,幼児から実施できるようになってほしい」と期待する。


「舌下免疫療法で重篤な副反応はなし」

2015年05月26日 04時31分58秒 | 花粉症
 昨年秋解禁になったスギ花粉症舌下免疫療法。
 実際に行った症例報告が第116回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会でなされ、頻度は多いけど治療を中止するほど重篤なものはなく安全な方法であることが示されました。

 興味深かったのは、胃腸症状が出た際は飲み込み法から吐き出し方へ変更することによって解決したということ。
 食物アレルギーの急速減感作療法を行う小児科医からは、治療中の胃腸症状が好酸球性胃腸炎に繋がる例が報告されており、スギ花粉症舌下免疫療法の講習を受けた際に「飲み込み法」が採用されたことに違和感を覚えた私です。
 この情報をもっと啓蒙していただきたいですね。

■ 舌下免疫療法で重篤な副反応はなし ゆたクリニックからスギ花粉症207例の実臨床経過を報告
[2015年5月25日:MTProより]
 スギ花粉症に対する舌下免疫療法(SLIT)は,昨年10月に実臨床に導入された。ただし,副反応の懸念からSLITを躊躇する医師は少なくない。ゆたクリニック(三重県津市)は,花粉飛散期の今年3月末まで観察できた207例の経過を検討したところ,副反応の頻度は口腔内・喉の症状,鼻症状,耳の症状などを中心に頻度は約4割であったが,大半は重篤でなく,1カ月以内に消失していたことを報告した。今回の検討結果は,SLITの導入開始から今春の花粉シーズンにおける経過などを,いち早く発表した実臨床報告として注目されるものである。

舌のぴりぴり感,口腔内の痒みが多く,舌下後数分~数時間で消失
 同クリニックでは,SLITを導入したスギ花粉症患者には,症状や自宅におけるSLIT施行状況,副反応に関する舌下免疫療法の最新問診票に記載してもらい,再診時に医師が口頭で確認することにしている。
 今回,同問診票からSLITのスギ花粉アレルゲンエキス増量期,維持期,花粉飛散期における副反応の詳細を明らかにして今後の対応を探ることを目的に,承認された昨年10月以降にSLITを導入した207例を対象に今年3月末までの経過を検討した。その結果,副反応報告は207例中84例(40.5%)から寄せられ,
・口腔内・喉の症状は207例中56例(27.1%),
・鼻症状は29例(14.0%),
・耳の症状(痒み)は20例(9.7%),
・眼の症状は14例(6.8%,そのうち眼の痒みは13例)
などであった。
 口腔内・喉の症状で特徴的であったのは,
・舌のぴりぴり感22例(10.6%),
・口腔内・喉の痒み17例(8.2%),
・口腔内・喉の違和感15例(7.2%),
・舌下の腫れ12例(6.0%)など,
 鼻症状では
・鼻水(鼻汁)19例(9.2%),
・くしゃみ13例(6.3%),
・鼻閉7例(3.4%)
 などであった。その他では,胃腸障害が7例(3.4%)であった。
 これらの副反応のほとんどはWorld Allergy Organization(WAO)分類ではgrade1であった(ただし,症状的にはgrade1だが,患者の自己判断で抗ヒスタミン薬を服用した症例が数例あり,分類上はgrade2となるため)。舌下後,数分~数時間で消失していた。
 SLITのスギ花粉アレルゲンエキス増量期は207例中52例(25.0%),維持期は61例(29.3%)と頻度は高いが,花粉飛散期は4例(2.5%)は低かった。増量期で10例以上の報告があった副反応は,舌のぴりぴり感15例,鼻水17例,くしゃみ11例,維持期では口腔内・喉の痒みと舌下の腫れがそれぞれ13例,まぶたの腫れ10例であった。

腫れ継続例には抗ヒスタミン薬内服,胃腸症状には吐き出し法を指示
 副反応の出現期間別に分析した結果,83.3%が1カ月以内(1週間以内34.5%,1~2週間未満25.0%,2週間~1カ月未満23.8%)に消失していることが分かった。副反応が2カ月以上継続したのは5例で,症状は喉の違和感や痒み,口の痒み,胃腸症状であった。また,年齢,スギ花粉特異的IgE抗体,服用率では副反応の有無に有意差はなかった。
 以上から,副反応に対する同クリニックの方針は,舌下や口腔内,下口唇の腫れに対しては,
①腫れが30分以内の場合は経過観察
②腫れが継続する場合は抗ヒスタミン薬内服
-としており,現在は全例で消失している。また,胃腸症状に対しては飲み込み法から吐き出し法に変更したことで改善または消失に至っている。
 最後に,小川氏は「同クリニックにおける副反応報告は,添付文書に記載されている頻度よりも高かったが,重篤なものはなく,アレルゲンエキス量が多い海外の副反応報告よりも少なかった」と述べた。


東国原英夫氏、花粉症産業の裏事情を暴露

2015年04月07日 22時14分14秒 | 花粉症
 花粉を飛ばし続けるスギがなぜなくならないのか、以前から不思議に思ってきました。

■ 「花粉症は環境問題である」(2008-09-02の当ブログ)

 それに答える内容を、TVタックル(春から深夜帯?)で東国原氏が言ってくれました。
 「やっぱりそうだったのか!」と喉のつかえが取れた私。
 裏事情の一端が垣間見えた瞬間でした;

東国原英夫氏、花粉症産業の裏事情を暴露「対策しようとすると圧力がかかる」
(ライブドア・ニュース:2015年4月7日)
 2015年4月6日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)で、元衆議院議員の東国原英夫氏が、花粉症産業の裏事情を暴露した。
 番組では、花粉症の原因である「スギ植林」を取り上げた。戦時中、資材を必要とした国は大量の木を伐採し、その結果、樹木のない丸裸の山だけが残ってしまった。そこで戦後、政府は「成長が早い」「まっすぐな材木が採れる」という理由から、スギを大量に植林し、現在も34億円もの税金を使って、毎年1500万本のスギを植えている。
 VTR後、参議院議員の山田太郎氏は「スギは植えても良いことなんてひとつもない」と主張し、スギをすべて伐採することを訴えた。すると東国原氏は「木材自給率がゼロになってしまう」と山田氏の意見にストップをかけたのだ。
 東国原氏が知事を務めていた宮崎県は、23年連続でスギ丸太の生産量が日本一。東国原氏も、知事時代に宮崎県のスギを猛アピールしていたという。
 東国原氏は、花粉症に悩んでいる国民の声を聞こうとしないと指摘されると、「改善はしていこうという努力はしてます」と弁解しながら、「言わせてもらいますけど。花粉症の産業で儲かっている人もいらっしゃいますからね」と切り出した。
 東国原氏の発言に、阿川佐和子は「花粉症になったほうが経済効果があるってことですか?」と驚きの声をあげ、スタジオもざわつき始めた。
 東国原氏は「誤解のないように言っておきますよ」と前置きしたうえで、「花粉がないように植林しましょうとか言うと、ウラで圧力がかかるんですよ」と、花粉症産業の裏事情をぶっちゃけたのだ。
 山田氏から「(圧力に)負けなきゃいいじゃん」とツッコミを受けると、東国原氏は「負けたからここにいるんですよ」と切り返して笑いを誘った。
 一方で、スギ植林肯定派である自民党参議院議員の山田俊男氏は、「いやいや、(圧力は)一切かかってない」と東国原氏の発言をキッパリと否定。「スギを植えなければ山が崩れる」「スギは日本の木造建築に適している」と主張し、議論は最後まで平行線をたどった。


 「山が崩れないために」植林するなら、広葉樹の方が適しているはず。
 ならば「なぜスギを植えるのか?」の理由は言わずもがな、ですねえ。
 ひとの弱み(花粉症という病気)につけ込むシステムが国全体に覆い被さっている、日本。
 ヤレヤレ…。

「舌下免疫療法がわかる本」(大久保 公裕 著)

2015年01月31日 08時13分29秒 | 花粉症
日本経済新聞出版社、2014年発行
副題:花粉症は治せる!

話題の「スギ花粉症舌下免疫療法」を扱った本です。
著者はこの治療法のご意見番の一人、大久保先生(日本医科大学耳鼻科教授)です。

一読して舌下免疫療法の基本的なことを一通り知りたい方には、よい内容だと思いました。
新書版で量もそこそこなのでお勧めです。

医師の私が興味深く読んだのは、
・舌下免疫療法が効かない人には理由がある(「鼻過敏症」が多い)
・「鼻うがい」の具体的方法
・なぜ「舌下」免疫療法なのか
・スギ花粉症は100年後にはなくなってしまう
などの項目でした。

<メモ>
自分自身のための備忘録。

■ スギ花粉症の治療満足度は40%しかない。
 その一因は、花粉症の持つ「多様性」。

■ 花粉症患者の「モーニングアタック」
 花粉症患者では、朝起きた時に立て続けにくしゃみが出て鼻水が止まらない「モーニングアタック」という症状が出る人もいる。しかし、夜間布団に入っている時には花粉をそれほど吸い込んでいないはず。
 こうした患者の多くは、さまざまな刺激に鼻の粘膜が過敏に反応してしまう「鼻過敏症」(過敏性非感染性の鼻炎)を併せ持っていることがわかってきた。症状は花粉症と同じだが、アレルギーとは別のメカニズムで起こっている。以下のものがある;
血管運動性鼻炎:毛細血管の拡張/収縮運動を支配している自律神経、特に副交感神経の働きが異常をきたすことによる
味覚性鼻炎:熱々のラーメンやスパイスの効いたカレーなど刺激の強い物を食べた時に鼻水が出る
冷気吸入性鼻炎:スキー場など寒い場所を訪れた時に鼻がムズムズする
乾燥性鼻炎:エアコンや暖房などで部屋の湿度がカラカラに低下した時に起こる

■ 「鼻サイクル」(鼻づまりは左右の鼻で片方ずつ起こる)
 鼻閉の軽症の段階では、左右の鼻で片方ずつ起こる傾向がある。これは「鼻サイクル」という現象で、自律神経の働きによって自然と左右交互の鼻の粘膜が腫れるため。両方の鼻が詰まって呼吸に支障をきたさないようにするために体に備わった働きといえる。

■ 「鼻うがい」の方法
 「鼻うがい」とは、鼻の中に入った花粉などを刺激の少ない温めた「生理食塩水」で洗い流す方法。
・使用する水は「生理食塩水」:
 水道水は刺激が強く鼻症状を悪化させる場合があるので、生理食塩水(500mlの湯冷ましに、小さじすり切り1杯弱の食塩を溶かす)がお勧め。生理食塩水は鼻の粘膜にやさしく、しみることがない。
・生理食塩水の温度は20~30℃が適切:
 温かすぎても冷たすぎても鼻の刺激になる。
・うがいの方法:
 まず生理食塩水をペットボトルなどの口までいっぱいに注ぎ、片方の鼻の穴にあてる。そして、リラックスした状態で「あー」という声を出しながら鼻に注ぎ込むと、生理食塩水が自然に喉へと流れていく。もう一方の穴にも注ぐ。その後、軽く鼻をかむとスッキリする。
・洗いすぎに注意
 1日に数回程度で止めておく。やり過ぎると症状を悪化させるため。

■ 花粉法に対する免疫療法の歴史
枯草熱(hay fever):1870年代にイネ科の花粉が枯草熱の原因の一つであることが科学的に証明された。イギリスの医師ヌーン(L. Noon)は1911年に「枯草熱に対する予防接種」という論文を発表し、イネ科植物の花粉をすり潰したエキスを注射することで症状を緩和することができたと報告した。
◇ 日本でも1969年にスギのエキスが発売され、イネ科植物やブタクサの仲間による花粉症およびハウスダストなどが原因で起こるアレルギー性鼻炎などの病気に免疫療法を用いることが始まった。
◇ 日本医科大学による研究:這うし出す都による通年性アレルギー性鼻炎患者では、やがて花粉症を発症することが多いが、ハウスダストに対する免疫療法を行った患者では、花粉症を発症する割合が非常に少なくなることがわかった。

■ 舌下免疫療法の効果
 花粉症の症状がなくなったり、大幅に症状が軽減したという患者が80%、全く効果が得られなかった人は10%以下。
 これまで治療手段の少なかった重症の患者でも、舌下免疫療法を行うことで、症状の悪化を一定の段階で頭打ちにする効果がある。くしゃみ、鼻水などの症状がある程度出はじめても、治療前と比べて、季節中にどんどん悪化してしまうことが少なくなる。
 効果が得られなかったケースは、そもそも効果の得られにくいタイプの患者(前出の「鼻過敏症」)であった可能性が高いことがわかってきた。
 この治療法は、主にスギ花粉に特異的に反応が強い人に対する治療である。

■ スギ花粉を過量内服すると・・・
 2007年に、スギの若い雄花を採取し、粉砕加工してカプセルに詰めた健康食品を食べた40台の女性が、呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こし、一時重体になった。「たくさん使用したら早く効果が現れるのでは」などと自己判断で誤った使用法は厳禁である。
スギ花粉入りカプセル服用後にアナフィラキシーショックを呈した症例
厚生労働省と和歌山県が花粉加工食品との関連が疑われる健康被害事例を公表
都道府県等から報告されたいわゆる健康食品に係る健康被害事例について

■ スギ花粉症は100年後になくなる?
 世界の花粉症の多くは自然の植生が原因で起こっており、日本のスギ花粉症のような植林による花粉症は医学的にも非常に珍しいケースである。
 現在、原因となるスギ林は、国や地方自治体によって、すでに植林が中止されるなど調整され始めている。
 少なくとも2050年頃までは、スギ花粉の飛散量は増加し続けるが、2050年をピークに少しずつ花粉飛散量は減少し、その70年後、つまり今から100年後にはほとんどなくなると専門家は推測している。

スギ花粉症の「舌下免疫療法」が効かない人/受けられない人

2014年12月31日 07時15分38秒 | 花粉症
 何かと話題のスギ花粉症舌下免疫療法(シダトレン®)。
 寄せられる期待は大きいのですが、残念ながら万能ではありません。

花粉症さん待望の「舌下免疫療法」、受けられない人って?
(2014.12.29 11:00 Excite Bit コネタ:田幸和歌子)
 大雪被害が各地で報じられるなか、早くも春の訪れを日々望む人もいるだろう。まだまだ遠い春。でも、花粉症に悩む人は、そろそろ準備に取り掛かる時期でもある。
 そんななか、花粉症患者にとって待望の「舌下免疫療法」が、今年10月8日から公的保険適応になっていることをご存じだろうか。
 花粉症治療には「薬物療法」「手術療法」「アレルゲン免疫療法」があり、アレルゲン免疫療法は、対症療法ではなく根治が期待できる方法として注目されてきた。
 なかでも、古くからあった皮下注射法と違い、舌の下に毎日少量ずつスギ花粉を原料としたエキス(シダトレン)を服用する「舌下免疫療法」は、副作用の心配がより少なく、注射の苦痛がないこと、自宅で投与できるのが大きな魅力。ただし、これまでは保険外だったことが唯一のネックでもあった。
 保険でできるならと喜び勇んで調べてみたものの、現時点では都内で受けられる病院・医院はまだわずかのよう。
 しかも、花粉が飛び始める前に治療開始しないといけないため、各クリニック等では「12月初旬までに」「12月中旬頃までに初診を受けるのが必要」とされており、今年度分の予約はすでに終了しているところも多数。そんななか、12月半ばに今年度分を受けられる医院を見つけ、受診したのだが……。
 結果から言うと、残念ながら自分は治療前の血液検査を受けるまでもなく、「治療対象外」となってしまった。「舌下免疫療法」を受けられない人はどんな人なのか。医師の説明と資料類から以下にまとめてみたい。

<舌下免疫療法を受けられない人>
〇「スギ花粉症」と明確に診断されない人
……治療開始前に採血検査を行う。その結果、スギの特異的IgEが上昇し、かつスギ花粉の時期に症状が強い人でないと、適応にならない。
〇舌下アレルゲンエキスの服用を毎日継続できない人
〇2週間に一度受診できない人(発売1年以内。その後も少なくとも1カ月に1度は受診が必要)。
〇β阻害薬(インデラル、セロケン、テノーミン、アーチストなど)を使用している人
〇気管支喘息を合併している人
〇全身ステロイド薬の連用や抗がん剤を使用している人
〇妊娠中の人
〇引越しの予定があり、継続的に通院することができない人
〇アナフィラキシーの前兆に気づけない人(視覚異常、視野狭窄、不整脈等)


 必ず知っておきたいのは、エキス剤は2~3年間シーズン外でも毎日投与する必要があること、治療を受けた患者の7~8割は症状が軽減し、1割は症状がなくなるものの、誰にでも効果があるわけではないということだ。
 また、治療不可ではないが、この治療法はあくまでスギ花粉に対するものであり、他のアレルギーを持つ人にはあまり意味がない可能性もあると言う。
 ちなみに、自分が治療NGになってしまった理由は眼科の病気を持っているから。アナフィラキシーが起こった場合、視野狭窄などになる可能性があるのだが、眼科の病気を持っていると重大な副作用が起きていることに気づかない可能性があるというのである。
 実は耳鼻科薬の多くは、眼圧が上がる可能性があるため、これまで自分はもともと強いクスリが飲めず、弱い内服薬+点鼻薬でしのいできた。
 だからこそ、待ちに待った舌下免疫療法だったのだが、現状として最良の方法を聞くと、「弱い内服薬と点鼻薬を併用して、マスクを必ずつけること」とのこと。
 スギ花粉症患者は、種々のアレルギー持ちの可能性もあり、また、喘息患者のケースもあるだけに、残念ながら万能ではないのだ。
とはいえ、受けられる人にとっては夢のような治療法であるのは事実。今年度分の治療はもう難しいかもしれないけど、興味がある人は一度検討してみては?


 私自身もスギ花粉症患者ですので舌下免疫療法を受けたいと期待してきたのですが、上記の「受けられない人」の項目に当てはまってしまい、適応外となっています。
 残念。

花粉症緩和米/治療米~ご飯を食べるだけで花粉症治療ができる時代が来る?

2014年12月30日 06時29分23秒 | 花粉症
 この秋からスギ花粉症に対する「舌下免疫療法」がはじまりましたが、今度は「米を食べて治す方法」が登場しそうです。
 近年、「口から入ると免疫寛容」「皮膚から入ると感作」という説がメジャーとなり、これを利用した治療の開発が進んでいますね。

花粉成分含んだ米、毎日食べると花粉症が緩和?
(2014年12月28日:朝日新聞)
花粉症緩和米をつかった臨床研究
 スギ花粉の成分を含ませたコメを毎日食べると、花粉症を起こす体の免疫反応が抑えられた、とする研究を東京慈恵会医科大などがまとめた。免疫細胞が少しずつ花粉に慣れ、花粉を「異物」と認識しなくなった可能性があるという。研究チームは、コメから抽出した成分を薬として実用化することを目指している。
 このコメは農業生物資源研究所や日本製紙、サタケが遺伝子組み換え技術を使って開発した「花粉症緩和米」。慈恵医大の斎藤三郎・分子免疫学研究部長らは昨年12月から今年5月まで、花粉症患者30人を対象に効果を調べた。
 この結果、緩和米80グラムを毎日食べた人は花粉の飛散が始まってもスギ花粉に反応する免疫細胞がほとんど増えなかったのに対し、普通のコメを食べた人は、研究開始時に比べ3~4倍に増えていた。副作用は特になかった。
 アレルギーの原因となる物質を少しずつとり、体を慣れさせて体質改善を目指す治療法は減感作療法と呼ばれる。スギ花粉を原料とする薬も発売されている。
 農業生物資源研究所ではさらに効果を高めた「花粉症治療米」を開発した。コメのままでは安定して保管しにくく、薬局にも置きにくいことなどから、研究チームは、この米を原料にした花粉症の薬の開発を目指している。高野誠・遺伝子組換え研究センター長は「来年度にも治験を始めたい」と話す。
 国立病院機構相模原病院の海老沢元宏アレルギー性疾患研究部長は「血液中の免疫細胞の増殖が抑えられても症状が抑えられるかどうかはわからず、この点の検証が必要だ」と話している。


「シダトレン®」の錠剤が治験中。

2014年12月03日 08時04分47秒 | 花粉症
 スギ花粉症舌下免疫療法「シダトレン®」、当院では現在2人の患者さんに使用中ですが、問題なく継続できています。
 いずれシダトレン®の錠剤が発売されるらしい、との噂を耳にしていましたが、啓蒙書の紹介文にその記載を見つけました;

 今回発売されたシダトレンは,液剤であるが,舌下錠剤も開発されている。現在,スギ花粉症に対して5歳以上を対象とした治験が始まっている。
 また,シダトレンとは別にダニ(ハウスダスト)アレルゲンに対する舌下錠剤も12歳以上のアレルギー性鼻炎を対象に2015年に発売予定となっている。そして,5歳以上を対象とした治験が2015年から予定されている。


 う~ん、治験中でまだ発売時期は未定のようですね。
 発売元の鳥居薬品のHPを見ても同じ事しか書いてありません。

 それより驚いたのは「ダニ(ハウスダスト)アレルゲンに対する舌下錠剤」が発売予定!?
 これが有効なら通年性アレルギー性鼻炎の患者さんには大きな福音になるはず。
 一年中鼻閉がつらくて薬が欠かせない患者さんにお勧めしたいですね。

 さて、2015年春の花粉症予想です;

スギ花粉飛散ピーク、西~東日本は3月上~中旬-2015年地域別スギ・ヒノキ花粉飛散傾向
(2014年12月01日:QLifePro)
◇ 飛散開始は平年並みか平年よりやや早い予想
 株式会社ウェザーニューズは11月27日、2015年春シーズンのスギ・ヒノキ花粉の飛散傾向を発表した。2015年の花粉シーズンは、九州や西日本では2014年よりも少ない飛散量となるものの、関東を中心とする東日本(太平洋側)で2014年シーズンの2~3倍になると予想されている。
 花粉の飛散開始時期は、九州と関東が最も早く1月末~2月はじめにかけて、以降、2月中旬に東海や西日本、2月下旬には北陸・東北でも飛散が始まる模様。スギ花粉の飛散がピークとなる時期は、九州では2月末~3月はじめに、西日本、関東、東海では3月上旬~中旬に、北陸では3月中旬~下旬に、東北では3月下旬~4月上旬となる見通しとしている。
◇ 関東では前年比2.5倍を超える花粉が飛散すると予想
 花粉が多く飛散した翌年は飛散量が少なくなったり、少ない年の翌年は多くなったりと、花粉の飛散量は交互に増減する傾向がある。2015年の花粉シーズンは、東北~中国、四国(瀬戸内側)では、前年よりも飛散量が多くなる傾向。また、北海道や九州、四国(太平洋側)では2015年春は前年よりも飛散量が少なくなる傾向と言えるが、近年は特に九州や北海道では飛散量の増減がやや不明瞭になる傾向があり、東日本エリアと比べると、飛散量の増減に対しては、夏の天候の影響が大きいと考えられる。

県別に見た前年比の花粉飛散量予想では、関東エリアが最も高く、東京都の295%を筆頭に、関東の1都6県すべてで前年度の2倍以上の花粉が飛散すると予測されている。一方、中国四国の一部と九州では、前年を下回っており、徳島県と高知県では前年の約半分の飛散量と予測されている。
▼外部リンク
株式会社ウェザーニューズ プレスリリース

「舌下免疫療法~小児への適応拡大」(大久保公裕 著)

2014年08月31日 13時07分48秒 | 花粉症
先日届いた日本小児アレルギー学会誌(Vol.28, No.3 2014)に表題の論文が掲載されていました。
著者は日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕先生、アレルギー関連学会では花粉症治療のご意見番です。

2014年10月に発売予定の「シダトレン®スギ花粉舌下液」の適応年齢は12歳以上となっていますが、現在5歳以上の臨床試験の準備が進められているそうです。

免疫療法は花粉症/アレルギー性鼻炎にはほぼ確立された治療法ですが、喘息では有効/無効の両方の報告が混在し、アトピー性皮膚炎では評価されていないようですね。

今後も適応拡大の動向に注目したい治療法です。

メモ
自分自身のための備忘録。

□ 皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy: SCIT)と舌下免疫療法(sublingual immunotherapy: SLIT)
 SCITは100年以上の治療経験があるがアナフィラキシーの可能性や施行法が煩雑等いくつかの欠点があり日本では標準治療になっていない。これを解決すべくSLITが開発され、安全で実用化が近い方法である。

□ SCITの有効率
・国際的にHD/ダニで80%の主観的有効率
・米国におけるブタクサの治療では90%以上の有効率
・日本におけるスギ花粉症に対する効果は70%の有効率
・内科領域では中等症以下のアトピー型喘息に対して80-90%の有効率
・皮膚科領域では一般的にSCITは効果がないと考えられており、ガイドラインでも標準的治療には取りあげられていない。
・小児科領域では、喘息/アレルギー性鼻炎共に有効であるとのエビデンス、花粉症に対するSCITが喘息の発症を抑制したデータが存在する。しかし小児では成人よりアナフィラキシー様の過剰免疫反応の頻度が高いことが報告されている。

SLITの安全性
 SLITは欧州で高い有効性を示し、これを評価した二重盲検比較試験のどれをとってもアナフィラキシーの報告はない。
 しかしアナフィラキシーが生じないと断言することはできない。

□ SCIT vs SLIT
・ダニに対する喘息+通年性アレルギー性鼻炎合併症例36例をランダム化して評価し、SCITとSLITはどちらも鼻炎症状は減少させたが、喘息症状はSCITのみで改善した(1999年)。症例数が少ないのが難。
・シラカバ花粉症58例をランダム化してSCIT19例、SLIT14例、プラセボ15例に分けて検討し、SCIT、SLITとも改善し、またプラセボに対しての優位性が確認されている。症例数が少ないのが難。

□ SLITの有効性
・Wilsonらのコクラン共同メタアナリシスで明らかにSLITに効果があることが証明された。
・現在もっとも新しい評価として再びメタアナリシスを用いた評価研究では、その評価方法や否定的な論文は発表されないことなどの問題点(発表バイアス)をつき、有効だと報告している論文のいくつかSLITの試験でも状況によっては有意な有効性がないと判断されている。

□ 小児科領域でのSLITの有効性
小児のスギ花粉症に対してもSLITの効果が検証されているが、まだエビデンスはない。
・軽症/中等症の喘息小児を対象とした試験では、ダニに対するアレルギー反応を有意に抑制したにもかかわらず、SLITの追加的有用性は証明されなかった。
・喘息の症状は抑制できなかったが、花の抗原反応性は変化させたとの報告あり。
・最近の論文では小児のダニ通年性アレルギー性鼻炎に対して有効との報告。
・喘息に関しては、成人ではその有用性に関して不安視されているが、システマテェックレビューでは小児の喘息で有用であるとの報告もなされている。

□ 外国のSLIT使用状況
国際的には小児では5歳以上の適応が通年性アレルギー性鼻炎にある。その一方で、喘息に関しては小児での効果はまだ国際的に共通のコンセンサスが得られていない。
・Stellergenes社(フランス):ダニ抗原エキスによる12歳以上のアレルギー性鼻炎
・ALK ABELLO社(デンマーク):12歳以上のアレルギー性鼻炎(喘息に対しては開発中)