2004年2月8日執行の京都市長選挙に日本共産党推薦で立候補、17万票余を得たが落選した日本の都市研究者でもある広原盛明氏が最近の共産党に疑問と苦言を呈していた。
「2025.02.25 田村智子委員長は共産党の代表ではないのか、志位議長が衆院本会議、予算委員会で代表質問に立つ不思議、田村委員長就任1年を顧みて(3)、共産党はいま存亡の岐路に立っている」
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者) 何度も目を疑ったが、共産党機関紙「しんぶん赤旗」が連日1面トップで報じているのだから、やはりこれが共産党の真実の姿なのだろう。他でもない。志位議長が2月13日の衆院本会議で代表質問に立ち、引き続く17日の予算委員会においても共産党を代表して質問に立ったことだ。私は、質問の内容についてとやかく言っているわけではない。また、議会政治において政党代表が首相や閣僚に対して質問するのは民主主義の根幹だから、これについても異論を述べているわけではない。ただ不思議に思うのは、田村智子氏が共産党を代表する委員長なのに、前委員長の志位和夫氏が(議長の職にあるとはいえ)田村氏を差し置いてなぜ国会討論の先頭に立つのか――ということなのである。 田村智子氏が昨年1月、女性初の共産党委員長に選ばれたときは、身分はまだ参議院議員だった。だからこのときは、衆議院議員だった志位氏が衆議院本会議で代表質問に立ち、予算委員会でも質問の先頭に立ったことは何の不思議もなかった。その後、田村氏が昨年10月の総選挙で衆議院に鞍替えして衆議院議員となった。これは、国政政党を代表するのは衆議院議員であることが望ましいとする慣例に従ったものだろう(首相も衆議院議員から選出されることが慣例になっている)。だから、田村氏が衆議院議員になったときから、名実ともに共産党委員長としての活動が始まるものと思っていたのである。 事実、田村委員長が今年1月28日の衆院本会議で「私は日本共産党を代表し、石破首相の施政方針演説に対して質問いたします」として、委員長就任後初の代表質問を行っている。ところが2月13日の本会議では一転して、田村委員長に代わって志位議長が代表質問に立ち、17日の予算委員会においても志位議長が質問権を独占した。田村委員長の出る幕はどこにもなかったのである。 赤旗はこの間の経緯については何一つ語っていない。志位氏が委員長だった時代と同じく、ごく当然のことのように大紙面でその言動を伝えているだけである。また「読者の声」欄には、そのことに対する疑問や批判は一切上がっていない。それだけではない。この他にも「志位議長、大いに語る」といった記事が赤旗の随所に掲載されていて、志位議長の存在感が日ごとに増すばかりの状況が続いている。これでは、女性初の田村委員長に交代して共産党のイメージを「刷新」するシナリオがまったく台無しになるというものではないか。 党指導部においても志位氏の発言力はいっこうに衰えていないように見える。2月4日に開かれた党幹部会では、田村委員長が「党員拡大が止まっている状態はきわめて由々しき事態と指摘し、この状態を2月に何としても打開し、『根幹』から力強く前進する運動にしていかなければならない」と問題提起しているものの、最後は志位議長の「中間発言」で締めくくられている(赤旗2月5日)。この間、党中央の幹部会議においては必ず志位議長の「中間発言」が取り上げられ、党の行動方針を決定する事実上の「結語」としての役割を果たしている。要するに、志位議長の中間発言が議論を締めくくる「最終発言」であって、田村委員長はその前座を務めているだけの話なのである。 このことは、「いま、4日の幹部会と志位和夫議論の中間発言をうけて、要求対話に踏み出す支部と党員が急速に広がっています」という、機関紙活動局の呼びかけにも象徴的に表れている(赤旗2月18日)。そこからは、党中央では幹部会と志位議長の「中間発言」が同列に置かれ、表裏一体の指示として下部組織に降ろされてくる有様が如実に伝わってくる。志位議長の「中間発言」だけが特記され、田村委員長の発言その他は幹部会の中に埋没しているのである。 だが、志位議長の「中間発言」にもかかわらず、党勢拡大は遅々として進まない。機関紙活動局の呼びかけには、「読者拡大の全国的到達は、現状の延長線では、目標達成どころか、日刊紙、日曜版とも大幅後退する危険にあります。『赤旗を守れ』との募金と購読への全国からの熱い思いにこたえ、100万人読者回復めざして、なんとしても、この2月から日刊紙、日曜版ともの前進をつくりだしましょう」との悲痛な声で溢れている(赤旗2月18日)。 続いて、2月19日に開かれた全国都道府県機関紙部長会議(オンライン)でも、機関紙活動局長が「この2月、読者拡大の後退は絶対に許されない。何としても日刊紙と日曜版の前進をつくりだす」との決意の下に、次のように赤旗発行の危機を訴えた(赤旗2月20日)。 ――(機関紙活動局長は)赤旗独自の印刷・輸送体制の維持が困難になる「最小限部数」を示し、現在の発行部数は「後がなくなっている」とのべ、総選挙後の4カ月連続後退に終止符を打ち、前進に転じるため、「この2月、3月が最大の正念場、ふんばり時だ」と力をこめました。 これまで赤旗発行の危機を言葉で訴えたことは度々あったが、機関紙活動局長が発行を維持できる最小限部数を示して「もう後がない」と訴えたことはなかった。それだけ機関紙発行の危機が迫ってきているのであり、募金活動程度では危機を打開できないことを示している。 一方、国会では予算審議の大詰めを迎えているが、ここでも共産党の影は薄い。メディアでの共産党露出度はこの間ほぼゼロに近くなり、そのことが各紙の世論調査にも端的に表れている。各紙が2月14日から16日にかけて調査した共産党の政党支持率は、朝日・毎日・読売とも全てが2%にとどまっている。このままでは、党勢拡大運動の低迷と相まって参院選挙での後退は避けられない。 私の地元京都選挙区でも、れいわが今年の参院選京都選挙区(改選数2)に初めて候補者を擁立することを2月10日に発表した。驚いたことには、その候補者がこれまで共産党とともに「野党共闘」を担ってきた女性(37歳)であり、前回参院選では共産党の倉林明子氏(現職)を支持した人物なのである。京都新聞(2月11日)は、この事態を「共闘崩れ、共産に衝撃」「参院選京都選挙区、れいわが初参加」と大きく伝え、京都ではいま言い知れぬ衝撃が広がっている。れいわと共産の間では最近になって意見や行動の不一致が目立つようになってきたが、京都選挙区でこのような事態が起こるとは誰も予想していなかったからである。このままで行けば、これまで共産党を支えてきた革新無党派層の票が分散して、倉林氏の再選が危うくなるかもしれない。共産党はここでもかってない危機に直面しているのである。 |
その昔。共産党は「確かな野党」と自負していたことがあったが、世間では「確かに野党」と、「万年野党」の共産党を揶揄していた。
しかし209年の「歴史的な政権交代」では衆院選挙において1人区では野党共闘という名のもとに共産党の候補者を下ろし当時の民主党候補者に一本化した.ことに、それなりの共産党の存在が実証されたのであった。
もはや「野党共闘」は「死語」になりつつあり、先日の「やはり国民を置き去りにした党利党略国会になった」とのつぶやきの指摘通りの展開になってしまった。
「党利党略でデタラメ政権を助けるだけ 予算案を巡る異常国会のグロテスク」
石破政権になぜ、有権者はNOを突きつけたのか。政治とカネ、大企業優遇、物価高放置、経済低迷ではなかったか。政権交代以外にないのに、刹那の手取り増で与党に手を貸すゆ党、狭間で右往左往の政治迷走。この際、下野したらどうだ、石破さん。 ◇ ◇ ◇ 新年度予算案を巡る与野党の“駆け引き”は、一言で言って「グロテスク」だ。 衆院で過半数を割り込む少数与党の石破政権は、野党の協力を得て賛成票を投じてもらわなければ予算案を成立させられず、「ゆ党」を取り込む個別協議が延々と続いている。 「高校授業料無償化」を掲げて予算案修正を求める日本維新の会とは、石破首相─前原共同代表の個人的な親密さもあり、早々に協議が前進。石破が17日に衆院予算委員会で、公立だけでなく私立についても授業料の支援金引き上げを明言し、18日には自民、公明、維新の政調会長がテーブルに着いた。 19、20日は、それぞれ時間を置いて2度にわたる3党協議が行われ、21日、合意文書案がまとまった。柱となる文言は、私立高校生向け就学支援金を「45万7000円に引き上げる」と、維新側のもうひとつの条件だった社会保障改革に関して「医療費総額の年間4兆円削減を念頭に置く」である。 21日中に3党の党首会談が行われ、合意文書に署名するとの見通しも一部で報じられていたが、土壇場で維新がゴネ、3連休明けの25日に正式合意の方向だ。 維新の吉村代表(大阪府知事)は21日出演したBSフジ番組で、合意文書案について「実行すれば維新が掲げたことを実現できる」と発言。文書案には、「予算案を修正した上で、年度内の早期に成立させる」とあり、維新の賛成で予算案成立は確実となる。 ■コソコソ密室協議の茶番 もうひとつの「ゆ党」国民民主党と自公との協議も見苦しい。 所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」をめぐる攻防は、昨年末の「123万円」を不十分だと突っぱねた国民民主に対し、自民は「最大160万円」に引き上げる案を提示。しかし、恩恵があるのは年収200万円以下だけ。500万円以下にも若干、非課税枠を広げるものの、国民民主だけでなく公明にも不評で、ついに21日、公明は非課税枠拡大の年収制限を850万円以下まで引き上げる案を出してきた。 税制はシンプルで分かりやすいことが基本なのに、妥協案をつくるために新たに複数の壁をつくって制度をややこしくしているのだから度し難い。バナナの叩き売りが、「ならば、これでどうだ!」とばかりに奥から商品を出してきたみたいなもので、「手取りが増える」に期待した庶民には、もはや何がどうなっているのか、訳がわからないんじゃないか。 もっとも、維新が予算案に賛成するなら、国民民主の協力は不要。自民の“愛人”の座を巡って維新に敗れ、ポイ捨てされそうな国民民主は唇を噛んでいる状態だ。 ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。 「連日、自公維や自公国の3党協議が行われ、さまざまな案が話し合われているということですが、すべてが密室での協議です。なぜコソコソするのか。国会で堂々とやらないのか。密室である以上、『本当は裏で手を握っているけれど、今日はわざとケンカをしよう』などという可能性だってある。高校授業料無償化や年収の壁については、他党もそれぞれ考えを持っているのだから、しっかり予算委で議論すればいい。3党協議が当たり前のように報じられ、当たり前のように受け止められているけれど、国対政治や密室政治の最たるものです。大事な予算案なのに、決め方、進め方がおかしい。せっかく与野党で議席数が拮抗し、石破首相自身が『熟議』と言うのなら、密室ではなく表でやらないと。3党協議だって、オープンな場でやったらいいじゃないですか。まったく茶番です」 ■野党は自公とは別の国家像を掲げて、別の政権をつくるのがスジ 結局、自公が多数を持ちやりたい放題だった安倍、菅、岸田政権時代と変わらず、水面下ですべてが決まっていく政治が続いている。これは国民が望んだ政権の姿なのか。 昨年10月の衆院選で石破政権が過半数割れしたのは、自公が牛耳る政治にホトホト嫌気がさした有権者がNOを突きつけたからだった。 底ナシ沼のような「政治とカネ」問題はいまだ収束させられない。自民が本気で国民の不信感を払拭しようとしないからだ。旧安倍派の会計責任者の参考人聴取さえ、ドタキャンで逃げる。21日の予算委で石破は、「真相解明に向け、疑惑隠しなどと言われないよう党総裁として努力する」と答弁していたが、毎度口ばっかりで、誰も信用しやしない。 法人税減税や輸出企業が喜ぶ円安誘導など、自民にガッポリ献金してくれる大企業を長年、優遇してきた一方で、トリクルダウンの幻想を振りまき庶民イジメ。それは、2年以上続く狂乱物価高が最たるもので、岸田も石破もこれを放置し、むしろ加速させた。今年は4月までのわずか4カ月で、値上げされる食料品が1万品目を突破するのは確実。海外からのインバウンド客が「日本は安い」と大挙して押し寄せる一方で、庶民はキャベツもコメも高くて買えない。 政権がアピールする大幅賃上げも大企業だけの話で中小企業は置いてきぼりだ。こんなニッポン、こんな経済に誰がした、なのである。 政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。 「政治とカネにしろ、物価高を放置していることにしろ、自民党は反省なんて全然していませんよ。企業・団体献金をもらうことだって当たり前に思っているから、禁止に抵抗するどころか、何が問題なのかと開き直っている。もっとも、野党が国民の意思をしっかり代弁せず、共闘することなくバラバラだから、自民は楽なもの。有権者にNOを突きつけられたはずの今まで通りの政治を続けられる。野党の責任も大きい」 ■「ゆ党囲い込み」で打算と妥協の政治 予算案を巡る密室協議は、そんな国民そっちのけのデタラメ政権を助けるだけのものでしかない。衆院選の結果を受けて、石破政権を下野させるのが野党の仕事じゃないのか。 税制全体の改革からほど遠い、刹那の手取り増で与党に手を貸す国民民主。元来「ゆ党」のうえ、不人気の大阪・関西万博への全面支援の思惑で政権にスリ寄る維新。両党の手柄獲得合戦がこの国の政治をますます劣化させている。 「自分たちの公約を通すために自公にボールを投げ、実現すれば予算案に賛成する。維新と国民民主のやっていることはそういうことですが、それを“新しい政治”だと考えるのなら勘違いも甚だしい。それだったら、永遠に自公政権のままでいいということになる。それに、国の形をつくっているのが本予算だから、一つや二つの政策を通してくれたら賛成するのなら、それはもはや、ゆ党どころか与党ですよ。有権者が自民党に猛省を促したのが昨年の衆院選の結果でした。野党が進むべくは政権交代でしょう。野党は自公とは別の国家像を掲げて別の政権をつくるのがスジです。高校授業料無償化も年収の壁撤廃も、立憲民主党や共産党と協議した方がむしろ進みますよ」(鈴木哲夫氏=前出) 石破政権は国民と維新をてんびんにかけているつもりでも、いがみ合い、張り合う両党がハードルを上げるから、その狭間で右往左往。予算案の金額も膨張していく。熟議どころか政治全体が迷走しているのが実態だ。 3月2日までの予算案の衆院通過は日程的に厳しくなっている。党利党略の密室協議がまだ続くのか……。小泉進次郎元環境相が「維新と国民民主の予算案修正要求を受け入れるなら、連立を打診すべきだ」と批判めいた発言をしていたが、中途半端な「ゆ党囲い込み」で妥協と打算の政治を続けるぐらいなら、この際、下野したらどうだ、石破さん。 |
党利党略でデタラメ政権を助けるだけ 予算案を巡る異常国会のグロテスク https://t.co/68qzeGjWpF #日刊ゲンダイDIGITAL
— kyouji (@xo749100naniha) February 24, 2025
①政権前後は期待される(期待感を持たせる雰囲気を醸し出す)
— T.I@『当事者』として『書く』 (@TI5634219662348) February 22, 2025
②蓋を開けたら予想外(または予想通り)。
③「政権から降りろ」の連呼を受ける。
他の『パターン』の"記事"が見たい。もちろん『実益』を伴う形で。https://t.co/ygkuMNGGKa
「自民党として最大限努力します」低姿勢の石破総理 予算成立に向け野党に協力姿勢 安倍派の元会計責任者“聴取”延期で国会空転【サンデーモーニング】(TBS NEWS DIG Powered by JNN) https://t.co/4DlsyHqH0F
— 中二階堂賢一 (@hanadorikinako) February 23, 2025
平たく言えば「何もしない」ということ。「検討」や「重く受け止め」と同じ。
維新が許せん!
— 🌸TanakaSeiji橙🇯🇵🌸 (@Tanakaseiji14) February 20, 2025
自民党の予算案に賛成し!
たかが!教育税金化で!国民民主の減税案を封じ込める!
維新は国賊野党の頂点を極めた!次の参院選で維新に鉄鎚を喰らわせろ!#維新は最悪の選択肢 pic.twitter.com/SbO3vq6ioA
本来とは真逆のこの展開ぶり!!
【巻頭特集】つけあがらせているのは怪しい“ゆ党”。本来、立場が強いはずの多数野党が、少数与党にスリ寄り、予算案に賛成するのは、どう考えてもおかしいのではないか?https://t.co/4opAWQGvvt #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイDIGITAL (@nikkan_gendai) February 21, 2025
ゆ党がすり寄り、予算通過のめどがついたからだろうが、この政党の本質は何も変わっていないことが満天下に露呈した。ふざけた参考人招致も命を軽視した医療費改悪もあり得ないような政治だ。野党は何でもできるのに、こんな政党が政権存続で本当にいいのか。 ◇ ◇ ◇ 少数与党には大きな関門──などと指摘されていたが、2025年度予算案は、あっさり衆院を通過しそうだ。 与党でもなく野党でもない“ゆ党”の「日本維新の会」が、予算案に賛成することがほぼ確実になってきたからだ。野党第2党の維新の会が賛成に回れば、過半数を大きく上回る。 すでに、予算案採決の前提となる中央公聴会の開催が25日に設定されている。ハプニングがない限り、来週28日には衆院を通過する見込みだ。 維新の会が予算案に賛成するのは、一枚看板に掲げている「高校授業料の無償化」について、石破首相が予算案を修正して応じると国会で答弁したからだ。 首相答弁を引き出した前原共同代表は「満額回答に近い」と大喜びし、石破も「維新とはもう大丈夫だ」と、予算案の成立に自信を見せているという。きのう(20日)も前原は、「教育無償化、社会保険料の引き下げで条件が整えば、予算案に賛成する」と記者会見で明言している。 もう一つの“ゆ党”、「国民民主党」は、いわゆる「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、金額をめぐって自民党と駆け引きをつづけているが、いまのところ決裂するつもりはサラサラなく「最後には予算案に賛成するのではないか」とみられている。 しかし、本来、立場が強いはずの多数野党が、少数与党にスリ寄り、予算案に賛成するのは、どう考えてもおかしいのではないか。 「維新も国民民主も、自民党の両てんびん作戦にまんまとはまっている格好です。少数与党の石破政権は、予算案に賛成してくれるなら、立憲でも、維新でも、国民民主でも、どこでもいいというのがホンネでしょう。ポイントは、1つの政党でコト足りるということです。 その結果、維新も国民民主も、先陣争いというか、自分たちの政策実現を優先して欲しいと、自民党にアピールする形になっている。今回、石破政権が維新を抱き込んだのは、安上がりだからでしょう。高校教育を無償化しても歳出は6000億円程度ですが、『103万円の壁』を国民民主の要求通り、178万円まで引き上げると7兆~8兆円の財源が必要になります。それと、関西万博を抱える維新は、どうしても政府の協力が欲しい。石破政権と維新との間には『政府が万博を全面支援する代わりに、維新は予算案に賛成する』という阿吽の呼吸もあったのだと思う。要するに利害の一致、ウィンウィンということなのでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学) ■がん患者には「治療を諦めろ」ということか しかし、維新の会は、この予算案に本当に賛成するつもりなのか。欠陥だらけの予算案を成立させていいと本気で思っているのか。 なにしろ、総額115兆円と過去最大に膨張した予算案は、ムダのオンパレードである。立憲民主党がちょっと見直しただけで3兆8000億円もカットできるという。 防衛費も8兆7000億円と過去最大を更新。2023~27年度の防衛費総額を43兆円にすると決定してしまったため、「規模ありき」で予算が膨らんでいる。 信じられないのは、人命を軽視する「高額療養費制度」の改悪案まで盛り込まれていることだ。 高額療養費制度とは、医療機関や薬局での窓口負担が一定額を超えると払い戻されるというもの。長期入院や大きな手術、がんや白血病などで医療費が高額になった患者の負担を抑えるセーフティーネットである。 たとえば、年収500万円の人が長期入院して医療費が100万円かかった場合、窓口負担は3割の30万円になるが、高額療養費制度を利用すると21万3000円が払い戻され、自己負担は8万7000円で済む。 ところが石破政権は、この自己負担の「上限額」を引き上げることを昨年末に決定。今年8月から27年8月にかけて段階的に引き上げていく予定だ。 自己負担額の「上限額」は年収によって異なるが、年収約600万円の人の場合、現在の「上限額」は月8万100円だが、27年8月には月11万3400円になるという。月に3万円も増える。 この負担増は、利用者には死活問題だろう。とくに、がん患者など治療が長期になるケースでは、命に直結しかねない。がん患者は、仕事を辞めなければいけない場合もあり、ただでさえ経済的に苦しくなることが多いからだ。医療費負担が重くなったら、支払いが難しくなり、治療回数を減らしたり、治療を断念する患者も出てくるに違いない。 25年度予算案は、この「高額療養費制度」の変更を前提にして組まれている。 「石破政権は昨年末、患者の意見を一切、聞かずに、高額療養費の上限引き上げを決めています。財政が厳しいから上限額を引き上げるというのなら、なぜ、アメリカから購入するミサイルの数を減らさないのか。維新の会は、本当に予算案に賛成するのでしょうか」(五十嵐仁氏=前出) ■「分断作戦」にやられている維新と国民民主 少数与党に陥った自公政権は、野党の協力がなければ、法案を1本も通せず、予算案を成立させることもできない。本来、多数を握った野党は、強気に出られるはずだ。 なのに、維新も国民民主も、われ先にと自民党に近づいているのだから、どうしようもない。 昨年、石破政権が補正予算案を提出した時も、維新と国民民主は、先を争うように賛成に回っていた。これでは、自民党になめられるだけだろう。 その証拠に、あれだけ組織的な「裏金づくり」が批判されたのに、自民党はまったく反省していない。安倍派の会計責任者だった人物の参考人招致を拒否し、やっと国会外での参考人聴取に応じたと思ったら、今度は「日時と場所は非公開にしろ」「質問内容は制限する」などと要求してくるのだから、ふざけるにも程があるというものだ。 その挙げ句、がん患者など、重い病気を抱える人に容赦なく負担増を突きつけている。 庶民をバカにし、腐敗堕落した自民党の本質は、少しも変わっていない。 それもこれも、維新と国民民主が、自民党をつけあがらせているからだ。 「昨年の衆院選で自民党が大敗し、自公政権が過半数を割ったのは、『腐敗した自民党政治はウンザリだ』という有権者のメッセージだったと思う。野党は有権者の意思を重く受け止め、自民党に厳しくあたるのが当然だった。なのに、維新と国民民主は、手柄争いに走り、実績をあげるために、自民党にスリ寄っている状況です。しかも、競い合うだけでなく、いがみ合っている。なぜ、野党同士、タッグを組んで自民党と対峙しないのか。野党が結束して大きな塊となれば、石破政権に対してだって、もっと大きな要求ができるはず。野党が結束していれば、安倍派の会計責任者の参考人招致だって、とっくに実現していたでしょう。ところが、維新も国民民主も、自民党しか見ていない。これでは、少数与党もラクですよ」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏) おぞましいことに、自民党の「分断作戦」にやられた維新と国民民主は、「邪魔した維新にも責任がある」「他党のせいにするな」と罵りあう始末だ。自民党は高笑いしているに違いない。 |
さて、選挙運動中の主だった公約を当選後の大統領就任直後から、公約を実現すべく「大統領令」を連発し、さらに「タリフマン」ぶりを発揮して、世界各国をあたかも敵に回しているかのようなトランプなのだが、このトランプのドラスチックな改革にエールをおくっている御仁がいる。
「本澤二郎の「日本の風景」(5444)」
<冴えるワシントンと眠る永田町>
多くの国際問題の専門家は、ワシントンの空気を誤っていたことに気付いてきた。まさかアメリカの謀略機関・闇の政府のCIAと産軍複合体が、米国際開発庁(USAID)資金を乱用して、各国言論界の情報操作をしていたという、奇想天外な事実を知る由もなかったからだ。意図的なトランプ批判は、日本の新聞テレビも同様である。 トランプはすごい!「もう一度わかりやすくしてほしい」などという場面などなかった。不動産外交を懸念していた筆者の懸念など皆無だった。トランプの答弁はほぼ完ぺきだ。即座に次の質問者を指名して回答する。早口でどんどん進行する。日本のような官邸会見は、事前に電通社員が記者クラブメンバーを調べ上げて、司会者の女性官僚があらかじめ質問者の質問内容を確認したうえで、質問者を指名する。こんな無様な会見で国民を騙してきたのだが。 |
残念ながら日本の、いや最近の首相は決して暗殺されるような器ではないことだけは確かである、とオジサンは思う。