もはや無敵の「KING?」となったトランプは議会の承認を不要とする大統領令を乱発しているのだが、まだ米国には司法の独立が残っていたらしい。
「米最高裁、トランプ政権による対外援助の凍結を認めず 上訴を棄却」
米連邦最高裁は5日、国際開発局(USAID)などを通じた対外援助の凍結を認めるよう求めたトランプ政権の申し立てを棄却した。2期目のトランプ政権下で、最高裁が政策にストップをかけるのは初めてとみられる。資金援助の再開をめぐる審理は、首都ワシントンの連邦地裁に差し戻される。
連邦最高裁では保守派の判事が多数派を占めるため、トランプ政権に有利な判断を下すとの見方もあった。だが保守派のうち2人の判事が反対に回り、5対4の小差でトランプ政権の申し立てを棄却する結論に至った。 この訴訟は、トランプ大統領が就任初日に対外援助を一時停止する大統領令に署名し、USAIDへの資金提供などが凍結されたのを受け、海外で保健支援などを展開する複数の団体が米政府を相手取って起こしていた。ワシントンの連邦地裁は2月、原告の訴えを一部認め、20億ドル(約3千億円)近くの援助凍結を命じた大統領令の一時差し止めを命じた。 これを受け、トランプ政権は最高裁に対し、介入を求めて上訴していた。最高裁のこの日の判断を受け、凍結されていた対外援助の再開時期などについては今後、改めて地裁が判断することになる。 |
これと比べると日本の最高裁は一体ドッチに向いて判決を下しているのか、と危ぶまれることが起きていた。
「東京電力社員も脱力した「津波対策先送り」 幹部の無責任ぶりを暴いたが…罪には問えなかった強制起訴裁判」
東京電力福島第1原発事故を巡り、最高裁は巨大津波は予見できなかったとして、検察官役の指定弁護士側の上告を退けた。世界最悪レベルの原発事故を起こしても、刑事責任はないとの結論になった旧経営陣の刑事裁判。市民感覚の反映を目的にした強制起訴制度によって、不起訴のままでは埋もれていた東電社内での対策先送りの実態が、公開の法廷で明らかになった。その一方、強制起訴で裁判になった事件の大半が有罪にはなっておらず、立証の難しさをあらためて示した。(小野沢健太、三宅千智) ◆「15.7メートルの津波」試算は出ていた 「対策を進める方向だと思っていたので、予想外の結論に力が抜けた」 一審の法廷で、地震・津波対策を担当していた東電社員は、2008年7月に東電本店であった会議での衝撃をこう振り返った。 この日の会議は、担当社員らが武藤栄元副社長に、津波対策の判断を仰ぐために設けられた。その4カ月前、最大15.7メートルの津波が来るとの試算が出ていた。社員らは防潮堤などの工事に4年の歳月と数百億円の工費がかかると説明。武藤元副社長は「研究しよう」と言い、外部機関への調査依頼を指示した。実質的な対策の先送りだった。 |
福島第一原発事故の責任を、原発を推進してきた自民党、経産官僚、電力会社幹部はまともにとっていません。それどころか、再び原発推進に転じています。一時の反省はポーズに過ぎなかったのか。
— 三浦誠・赤旗社会部長🍉編集センター (@redbear2014) March 6, 2025
原発事故の強制起訴裁判 東電元副社長2人 無罪確定へ 最高裁 https://t.co/cpvFH33wjt
“草野耕一裁判官は、別の起訴内容を構成する余地があったとする異例の補足意見を付けた。「贅言のそしりを免れないかもしれない」としつつ「未曽有の惨事に思いを致すならば、同様の悲劇が繰り返されることのないよう腐心することは最高裁判事の職責だ」と強調した。21日に定年退官する予定。” https://t.co/muWPWDQjn6
— ガイチ (@gaitifuji) March 6, 2025
「国も無罪、東電幹部も無罪。ふるさとを追われ、家を失った私らみたいな被災者は、どこに憤りをぶつけたらいいのか」
— まりーべる・人民 (@mariebell321) March 6, 2025
「結局、誰も事故の責任を取らずに終わるのか。事故後の自分たちの苦闘は何だったのか」 https://t.co/CS0KLsfosG
まさに、こんな気持ちになってしまう。
「『常識』が通用しません……(鈴木耕)」
折り合って生きる ぼくが子どものころは、学校の先生や周りの大人たちが「常識を持て」とか「そんなことは常識だろ!」「常識を破ってはいけない」などと、ことあるごとに口にしていた。やがて、若者たちはそんな大人たちに反発して様々な「常識破り」を試みた。その軋轢の中から新しい文学、音楽、演劇、表現などが生まれて来た……。 しかし、一方でその「常識破り」が足を踏み外して、社会に衝撃を与えたことも多々あった。だがそこに折り合いをつけながら、社会は動き続けてきた。ぼくも馬齢を重ねるにしたがって、少しずつだがその「折り合い」というものを理解できるようになってきた。 人を傷つけない、むやみにものを毀さない(毀さなければならないものは当然あるが)、他人を踏みつけない、お互いに譲れるものは譲る、なるべく穏やかに暮らす、できる範囲で協力する……。 つまり「常識」というものを感覚的に理解してきたといえる。それが時としてつまらぬことに思えて、自分にイラつくこともあるけれど、社会生活を営むということは、この「折り合い」が大事なのだろうと納得できる程度には歳をとったのだ。 ところが、最近はとんと、この「常識」が通用しなくなってきた。 冗談だろ、それ? 「ほんとうに冗談だろ、それ?」 少し前だったら、そう言われるようなことが、最近は次々とリアルに展開されていく。 兵庫県の斎藤元彦知事を巡る問題は、当初のパワハラ内部告発から奇妙奇天烈な展開となり、まさに理解不能状況に。ことに、これに関わった維新県議たちの言動には、「常識」という言葉がビックリして裸足で逃げだしてしまう。 まず百条委員会の副委員長だった維新の岸口実議員が、真偽の定かではない(というよりほとんどデマ文書)をあの立花孝志氏に手渡した。それを問い詰められると「そこのところは記憶が定かではない」と逃げを打っていたが、窮地に陥るとついに「結論から言うと、その場に同席していた以上、私が提供したということでけっこうだ」と、まるで意味不明の回答。要するに「オレは自分で渡したとは言わない。あんたらがそうだと受け取るならそれでかまわん。オレの知ったことではない」というわけだ。 こういうのをフツーの日本語では「開き直り」や「不貞腐れ」などという。この人、とても議員の器ではない。 続いて同じ維新の増山誠議員(これも百条委員会委員)が、薄ら笑いを浮かべながら「非公開の百条委員会の音声録音データを立花氏に渡したのは私だ」と告白。まるで悪びれる様子もない。なんじゃこれ、冗談じゃないんかい! 非公開ということを分かっていてやったのだから最悪だ。議員辞職が当然だろう! さらに、白井孝明維新議員は、選挙期間中に立花氏と接触していたことを認め、増山議員が立花に提供した文書の内容を確認したという。その理由として「斎藤知事だけが悪者のような報道はフェアじゃいないから」と言う。さらに「今でも立花さんの言うことはデマだとは思っていない」と、これも開き直り。 しかし考えてみると、県議会は全員一致で斎藤知事不信任に賛成したはずだ。この3人の維新議員どもも賛成したのではなかったか? ホント、おまえらに「常識」ってものはないんかい! もうわけ分からん! デタラメもここまでくると、政治そのものの「常識」がガラガラと崩れていく。デマ文書をばら撒いといて、まるで正義の士のような顔をする。その文書の内容を、すでに立花自身が否定しているというのに、である。 こんな連中が陣取る県議会など、さっさと解散してしまえ! と怒鳴りたくなる。するとまた訳知り顔の連中が「県民の大切な税金を、また選挙で使うのは許せない」とかなんとか喚くのだろう。 では、そんな議員どもを選んだのは誰なんだ? なぜ核禁会議に参加しないのか? 「常識外れ」と言わざるを得ないのは、中央政界も同じこと。 石破首相は、ノーベル平和賞を受賞した「日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)」に対し、「心からの敬意とお祝いを申し上げる」と述べていた。ならば、その活動にどう寄り添うかを行動で表すのが「常識」というものだろう。 だが、被団協のたっての要望をあっさりと踏みにじり、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加さえ認めなかった。 例によって「核保有国が参加しない条約では意味がない。むしろ、保有国と非保有国の分断を進めることになりかねない」との理解不能の文言で、被団協や核廃絶を願う国民を裏切った。さらに、当初は「オブザーバー参加はしないが、自民党議員の参加は考える」と言っていたこともあっさりと撤回してしまった。 世界唯一の原爆被爆国である日本が核兵器禁止条約の先頭に立つというのは、普通に考えたら世界の「常識」ではないか。それがいまだに米国の核の傘に気兼ねして、なんの行動をとることもしない。これこそ「非常識」である。 SNS上での人格変貌 「常識」がまったく通じないのは、いまやSNSかもしれない。 維新議員たちが発信した偽情報に、あっさりと乗っかってしまう人たちが大量に増殖することの怖さは、まさに「常識外」の状況だ。 最初に書いたように「他人を傷つけない」は、常識中の常識だろう。多くの人たちはそう思っているはずだ。しかし、SNS上では人格が変わってしまう人たちの、なんと多いことか。平気で悪罵を浴びせ、口汚く見知らぬ他人を傷つける。自殺者が出ても「それはソイツが悪いからだ」などと平気で言い募る。 なぜそんなことができるのだろう? 多分、そういう人たちだって、リアルの状況で対面すれば、あんな汚語満載の言葉を投げつけたりはしないだろう。意外と気弱な人間だったりするかもしれない。ところがSNS上では、それを平然と行う。そこがぼくの「常識」を超えている。 ひどい場合には、殺人予告をするものまで現れる。リアルな現場で相手に対し「おまえ、殺してやるぞ」と言うならば、まさに脅迫罪、手錠ガチャリで一件落着だろう。ところが同じことをSNS上でやっても平気というのが、ぼくの「常識」では考えられない。 これは、匿名性のせいなのか。 ぼくはツイッター(“X”とは呼びたくない)を利用している。もしツイッターを正当な議論や情報伝達の場として機能させたいと願うなら「匿名性」を廃止すべきだと思う。ぼくは名前を公表してツイートしている。そのせいで、かなりひどい罵倒を受けることもある。しかしそれをするのはほとんどが匿名者だ。卑怯だと心から思う。言いたいことがあるなら、名前を明かして言えよ。 しかしそれは無理だということも分かっている。イーロン・マスクが買収してから、それこそ“X”では、ウソとデマとフェイク情報の許容範囲が無限大に拡がってしまったのだ。それを押し進めているのが当のイーロン・マスク氏とトランプ大統領なのだからたまらない。このふたりが率先して、ウソとデマとフェイクをまき散らしている。ツイッターの未来は明るくない、いや、真っ暗だ。 そう考えれば、匿名性のせいとばかりも言えない。権力とカネさえあれば情報システムそのものを掌握し、自分らに批判的な意見は「フェイクだ!」として、先頭に立って徹底的に痛めつける。そして、拍手喝采で迎合する人々。いずれその災厄が、小市民の自分の身に降りかかるとも知らずに……。 それでも微かな希望はある。フランスやイギリス、ドイツなどでは、ツイッター(X)の利用をやめる政府機関や有力メディアなどが続出し始めた。 「世界の常識」は瀕死状態 トランプ氏の矢継ぎ早の大統領令は、これまでの「世界の常識」「国際的約束事」を徹底的に破壊する。まるで馬の糞を踏んづけたように醜悪だ。就任たった1カ月余りで「常識破り」の大統領令を70本以上も乱発した。 そして危険なのは、プーチン大統領との親密さを演出し、ゼレンスキー大統領抜きでウクライナ戦争の終結を図ろうとしていることだ。戦争当事国の一方を排除して決めてしまう。当然ながら、排除された側の意見を聞く耳は持たない。 トランプ氏は「ゼレンスキーは選挙なき独裁者だ」と罵り、「ゼレンスキーはバイデンを騙して3500億ドルもの金を搾り取った」「その金を返却させなければならない」と脅し始めた。つまり、戦争を終わらせるにはプーチンの言うことを聞け、ロシアの占領地域はそのままロシアに渡せ、これまでの米国の援助分の金を、ウクライナに眠るレアアースなどの資源で返せ、ということだ。もう金は出さん、いままで与えた金はお前の国にある鉱物資源で返済しろ。まさに「ディール(取引)大好き」のトランプ手法である。 グリーンランドをよこせ パナマ運河も欲しい メキシコ湾はアメリカ湾に変更しろ アメリカ湾と書かないAP通信は出禁だ WHO(世界保健機構)からは脱退だ ICC(国際刑事裁判所)は制裁する 海外援助のUSAID(米国際開発局)は潰せ カナダは51番目の米州になれ ガザはオレが中東の保養地にしてやる ガザ住民は他の国へ移住しろ 医療保険制度(オバマケア)は廃止だ 地球温暖化はフェイク、パリ協定から離脱 化石燃料を、掘って掘って掘りまくれ 辞書の中でいちばん美しい言葉はタリフ(関税) もはや、書き出しているだけで強烈な頭痛に襲われる。これが世界一の軍事強国の大統領なのだ。しかし、トランプ支持率がかなり低迷し始めた。反トランプのデモが各地で散発的にだが起き始めている。まあ、それが常識的な動きだろう。 世界でも日本でも、瀕死の「常識」を甦らせなければ……。 |
それでは、日本の首相の常識と良識はどうなのか?
「トランプとゼレンスキー『決裂』会談の動画を観て誰よりも喜んでいたプーチン、さっそく“トランプ擁護”に必死な石破首相」
■プーチンに利する行動に出るのは自明の理。決裂は見えていたトランプとゼレンスキーの“ホワイトハウスの決闘”現地時間2月28日、アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が、ホワイトハウスで首脳会談を行ないました。しかし、トランプ大統領の目的が、ウクライナの鉱物資源レアアースを独り占めするための「鉱物協定の締結」だったのに対して、ゼレンスキー大統領の目的は、あくまでもロシアとの「終戦」とその後の「平和維持」であり、鉱物協定はそのためのカードでした。・・・略 ■必死に中立をアピールしつつトランプを擁護した石破首相 もともとプーチン大統領と仲が良かったトランプ大統領は、1期目の後半になって新型コロナが世界的に流行した際、ウイルスの検査キットが手に入らずに困っていたプーチン大統領に、秘密裡に政府の検査キットを送っていたのです。そして大統領退任後も、少なくとも7回はプーチン大統領と個人的に電話しており、2024年の大統領選挙での水面下での協力も要請していました。そして大統領に返り咲いたのですから、プーチン大統領に利する行動に出るのは自明の理だったのです。 今回、ゼレンスキー大統領との協議が決裂したトランプ大統領は、「安全保障のない停戦交渉には応じられない」というゼレンスキー大統領の主張を「ゼレンスキーは和平を望んでいない」と捻じ曲げて批判しました。ネトウヨの伝統芸ですね。そして「ゼレンスキーに和平への準備ができるまで」、つまり「ゼレンスキー大統領が安全保障なき停戦交渉に応じるまで」という期限を設けて、ウクライナへのすべての武器供与の停止を命じました。ある意味、兵糧攻めですね。 …そんなわけで、すべてが予想通りに展開して行くトランプ大統領によるウクライナへの対応ですが、無理やりに良かった点を探し出すとすれば、今回のトランプ大統領の傍若無人な振る舞いによって、これまでバラバラだったEU各国が、イギリスやフランスを中心にまとまり始めたことです。もちろん、イタリアのように極右が政権を牛耳ってしまった国は足並みがそろいませんが、それでも3月2日にゼレンスキー大統領を迎えてロンドンで開かれた首脳会合では、EUを中心に15カ国の首脳が集まり、ウクライナへの軍事支援の強化やロシアへの経済制裁の継続などで一致しました。 それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…、日本の石破茂首相は3月3日の衆院予算委員会で、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の協議の決裂について問われると、こともあろうに、次のようにトランプ大統領を擁護したのです。 石破首相 「トランプ大統領にはトランプ大統領なりの思いがあって、アメリカがどこまで負担すべきなのか、アメリカの納税者たちのために、アメリカ大統領としてどうすべきなのかという考えはあったんだろうと思います。ウクライナの側から、本当にそれに相応しい思いが提供されていなかったという思いが、少なくともトランプ大統領にあったのだろうと思います」 そして、最後に必死に中立をアピールしつつ、何とか丸く収めました。 石破首相 「私どもとしましては、どっちの側に立つとか、そういうようなつもりは全くございませんが、とにかくG7が結束していくことが何より大事であるし、アメリカの関与なくして本当にこれ(戦争)は終わるのかということです。いかにしてアメリカの関与をつなぎ止めるか、そしてG7全体の結束をどう図るかということに、日本としてさらに尽力していきたいと思います」 |
本当に「日本としてさらに尽力していきたいと思います」というのであるならば、具体的には一体何をすればいいのか。
「トランプとゼレンスキー「交渉決裂」で迎えた大きな転換点。もはや戻らない世界秩序の中で日本はどう生き残るべきか?」
■ロシアをも道具に使うかのようなトランプのディール トランプ氏は、米国の得られる利益を大きくすることを考え、同盟国とか敵対国とかということを、あまり考えないようだ。 米国の国債の利払いが1兆ドルにもなり、他国から得られる米国の利益を最大化と、政府の支出を削減するしか米国の国家としての持続性が確保できないから、他国からの利潤を最大限にしようとしている。 この1つが、7.5億円のゴールドカードで永住権を買える高額商品を作り、税外収入を増そうとしている。 そして、米国に依存している国からの利得は、今まで無償で米国が与えていた利益に対する報酬という形にでき、利得を得やすい。 一方、敵対国は、米国から利益を得ていないことで、簡単には報酬を得られない。報酬を得ようとすると、米国も利得を与える必要がある。 このようなことで、同盟国には厳しく見えて、敵対国に優しく見えることになっている。 依存国からの多大な報酬を得るには、依存国に致命傷になりそうなことを言い、米国の与えていた利益に対する価値を上げる。ウクライナは現在一番、米国からの支援が必要であり、これでいかに高い報酬を得るのかというディールを行っている。 ロシア寄りの立場にして、大きなプレッシャーをゼレンスキー大統領に与えて、思い通りの結果したいようである。ロシアをディールの道具に使っているようにも見える。 ということでわかるが、依存している国をトランプ氏は狙っている。おそらく、次は台湾である。中国の台湾武力統一を認めるような立場にして、半導体産業を米国に移せというディールを行うとみる。 ■気兼ねなく台湾を取りにいくことが可能になる中国 中国に高関税などを掛けても、中国はそれ以上の関税や非関税障壁やグローバルサウス全体に対米貿易を阻害するような施策を打つことになる。敵対国は、すでに制裁がされていたり、米国の大統領にトランプ氏になるとの準備をして、米国への貿易を減らしていたりで、ディールの成功は難しい。 そして、米国は対中関税をさらに10%ト引き上げるとし、平均関税率は20%弱から40%弱に上昇することになる。しかし、中国は交渉を持ちかけるが、報復関税などで対抗する政策を打つ。 しかし、この中国への関税は、コモディティ製品価格の上昇になる。また、中国企業はASEAN諸国での生産にシフトしている。 中国は、米国からの貿易もなくなり、米国に気兼ねなく、台湾を取り西太平洋に出ていくことができるようになる。米国との対決を覚悟することができる。 米国はロシアを味方にして、中国包囲網を作るしかないことになる。西太平洋や豪州、ニュージーランドを守るために、米国だけでは、中国に負ける可能性があるからだ。勿論、日本も必要である。 しかし、トランプ氏は、戦争を起こすことは望まない。米国の今の財政で戦費が出せないので、中国とのディールを行うことになるが、良い結果にはならない。 米国の没落が確定するし、台湾も見殺しだ。日本と欧州でどうできるかだ。難しいことになる。 ■痛い目を見ることになる米国から無償で利得を得ていた国 敵対国の米国への報酬は少ないので、日本や欧州や台湾などの米国への依存がある国から報酬を得るほうが簡単である。 ということで、ディールの基本であるトントンの取引条件の外交交渉が必要である。米国から無償で利得を得ていた国は、痛い目を見ることになる。 しかし、すべての国に関税を掛ける方向なら、これは、国内の税収の落ちを関税の収入で埋め合わせる方向であり、これは取引ではないので、世界全体で対米貿易同盟を作り、米国以外の国では関税戦争にならないようにする必要がある。 世界全体での貿易戦争は、世界全体の経済規模を落とすことになるので、それを阻止する必要がある。早く、米国一国除外経済圏を作り、自由貿易を守ることだ。日本は資源や食糧を輸入する必要にあり、当分自由貿易が必要だからだ。 このため、日欧が連携して、世界全体での貿易戦争になることを防ぐ必要がある。そして、日本の企業が世界に出ていくことで、貿易戦争を防ぐことになるとも思う。 ■ここに来て悪化し始めた中ロの関係。ウクライナ戦争の推移 トランプ大統領とゼレンスキー大統領が2月28日にホワイトハウスで会談したが、ゼレンスキー大統領が米国のロシアに対する外交姿勢を疑問視する発言したことで、鉱物資源の権益をめぐって合意文書への署名には至らなかった。 この影響は大きい。ウクライナへの米国からの軍事支援が無くなり、欧州からの援助だけになるし、米衛星からの情報やシギント等も無くなると、軍事的な影響は大きくなる。 ドイツの首相候補メルツ氏は、長距離巡航ミサイル「タリウス」の供与を表明したが、徐々に米国兵器からドイツ兵器に置き換える必要になる。しかし、米国のような備蓄がないので、潤沢にウ軍に提供できるかが試されることになる。 トランプ氏は、「取引するか、われわれは撤退するかだ」と述べたので、ウクライナや欧州から撤退になる。ロシアとの停戦仲介もなくなり、公然とロシア側に立つことになる。 米国は、ロシアと同じような独裁国家になるということである。トランプ氏が王様になることであり、米国を民主主義の停止に向けて文化大革命を行うことになる。ということで、トランプ政権1ヶ月半で自由陣営の崩壊が確定した。 カナダは、25%関税を掛けられ、米国の51番目の州になれと言われ、欧州と一緒に行動する方向で離米が確定した。豪州やニュージーランドもウクライナ側に着いた。ファイブアイからカナダではなく、米国が抜けるようだ。 欧加豪日は対ロシアで、米国の力を借りずに打ち負かす必要になった。ロシアはすでに、大きな戦力を失い、ウ軍を打ち負かすことができない状態であり、どこまで、戦争を継続できるかである。 ウ軍も同様であり、欧州からの武器支援や資金援助で、どう戦い続けるかになる。 その中、欧州各国、カナダ、豪州は、米との会談決裂のゼレンスキー氏支持を表明している。NATOから米国が抜ける可能性もあり、その時はウクライナを改正NATOに加盟させることができるようになる。 改正NATOからは、ハンガリー、スロベニアも抜かすことだ。対ロ防衛機関化が必要だ。 独首相候補のメルツ氏は「米国からの独立を達成することが優先事項になる」と述べたが、早期に欧州から米国の影響を除外する必要になりそうだ。ドイツは核兵器を持っていないので、核兵器開発ができるまで、核を持つ英仏から核兵器を譲渡してもらうようである。 どちらにしても、英仏独は米国からの軍事独立をするために、軍事費を増強することになる。 一方、ロシアは勝手に対立していく米国と欧州の様子に笑いが止まらないように見える。しかし、形の上でのロシアの勝利での戦争が終われなくなり、今後も戦争継続で、ロシアの衰退が止まらないことになる。 もう1つ、中国は、ドローンの部品をポーランド経由でウ軍に提供しているので、ロシアは、中欧貨物列車の荷物検査を厳重に行い始めた。中ロの関係が悪化し始めているようだ。その分、中欧は緊密化する。 ■3陣営に分割決定の世界で日韓が置かれる難しい立ち位置 というように、ウ米決裂で、世界秩序の大きな転換点を迎えたように見える。逆戻りは起こらないだろう。 世界は、3つの世界に分割されることになる。米ロ同盟、日欧同盟、中国を中心としたグローバルサウス陣営の3つになる。 心配なのが、欧州が親中になり、米ロ同盟対中欧連携になると、日本の居場所は米ロ陣営になり、不都合である。このため、日欧同盟を早期に結成する必要がある。欧州を親中にしないことだ。 マクロン仏大統領は、「3年前、ウクライナを支援し、ロシアに制裁を課した私たちは正しかった。そしてこれからもそうし続ける。“私たち”は米国人であり、欧州人であり、カナダ人であり、日本人であり、そしてそのほかの多くの国の人たちだ」と日欧同盟に言及している。 この3つの陣営になると、自陣営に各国を呼び込む戦いになる。日本は日米同盟もあり、それにも参加しながら、日欧同盟にも参加することになる。非常に難しい位置になる。 韓国はどうするのであろうか? 米韓同盟と中韓同盟の二股は、米国は許さないので、どちらかを切り捨てることになる。その選択により、韓国の運命は定まるとみる。 さあ、どうなりますか? |
トランプの最大の狙いはEU(NATO)の分断なにかもしれないが、今後は日本の立場は「八歩美人」では有用せず「是々非々」の姿勢で臨むしかないのだろう、とオジサンは思う。