第27回なくせじん肺全国キャラバン長崎実行委員会の最後の取り組みは、10月13日午後6時半から長崎市立図書館多目的ホールで開催した「じん肺・アスベスト学習会」でした。長崎実行委員会の16団体から80人が参加しました。
同実行委員会の代表世話人の戸田清環境科学部教授が開会あいさつを行いました。戸田氏は「講師の三島先生は、一回り若い自分と同じ申年生まれで同じ月」と講師の紹介を行いました。
引き続き長崎県労連の大場雅信議長が支援団体を代表して連帯あいさつを行いました。大場議長は「じん肺をはじめとするすべての職業病の根絶は、労働組合の最重要の取り組み」と述べました。
続いて、中里研哉事務局長が今回のキャラバンについて、「皆さんのご支援で大成功を収めることができた」「わずか40日ほどで6,000筆を超えるじん肺根絶署名が集まった」「特に大半を集約した平和運動センター、長崎地区、佐世保地区労に感謝したい」と報告しました。
いよいよ、健友会上戸町病院三島一幸院長(上の写真)の講演に入りました。三島院長は、地元長崎の小学校、中学校、長崎南高、長崎大学医学部を卒業して長崎民医連に就職して医師として仕事をしていると自己紹介、そして、なぜ呼吸器内科を始めるようになったかのエピソードを語りました。その中でじん肺診察に携わっていた元キャラバン実行委員会の代表世話人であった山下兼彦医師(下の写真)や上尾真一医師から影響を受けたと述べられました。
「じん肺・アスベスト関連疾患」と題した講演は、じん肺がなぜ起きるかというお話から、珪肺、石綿肺、溶接工肺など吸引した鉱物によってそれぞれのじん肺名があること、じん肺アスベスト関連疾患であるにも関わらず見落とされてしまう疾患に「間質性肺炎」「COPD」「肺がん」「悪性中皮腫」などがあり、十分注意する必要性を訴えられました。特に「間質性肺炎は『職業上や生活上での粉じんの慢性的な吸入』で起きるのは『じん肺症』と呼ばれます」と分かりやすく説明されました。
原因などがわからない間質性肺炎は「特発性間質性肺炎」と呼ばれるが、じん肺のような原因のはっきりしている間質性肺炎は、じん肺そのものであると繰り返されました。
COPDとじん肺の関係では、「(当時の喫煙習慣が高い時代の背景から)粉じん暴露者のほとんどが喫煙歴があり粉じん暴露との因果関係が認められにくい」「粉じんの種類によっては繊維化が軽度で局所気腫形成を特徴とするものがあるが、結果としてじん肺の粒状影が消失する」と述べられました。
最後に、悪性中皮腫患者さんの症例を報告されました。患者は、最初アスベスト曝露歴の十分な聞き取りができなかったものの検査技師の長年の経験から複数の検査会社へ細胞診の検査を依頼し、ついに悪性中皮腫の確定診断でき、労災認定に結びつきました。
三島先生の分かりやすい講演に参加者も「大変良かった」と感想を述べていました。
事務局長からは、11月23日に開催される「過労死シンポジウム」の案内があり、たくさんの参加で成功させようと呼びかけました。