エフェソス。会いたい猫がいた。
ローマ劇場や、列柱通りのあちこちで、キミと同じ柄の若い猫をたくさん見かけた。キミの落としダネもいそうだなあ、なんて思いながら、時の流れと世代交代を感じていたよ。(2008.1/18 2009.1/8 2010.1/13のブログで紹介した猫です)
今度の旅ではもうキミに逢えないと思っていた。それでもセルシウス図書館ではドキドキしながらキミを探した。一度目は、違う猫しかいなかったけれど、諦めきれずにもう一度戻ると、キミはいつのまにか、遺跡の石の上に現れていた。
以前にも増してガサガサに荒れた毛並み。鼻血の跡、あちこちにある体の傷。足の爪は割れ汚れている。堂々とした風情は残るものの、かつての威光は影を潜め、どこか弱々しく痛々しい・・
キミはもうかわいい猫でも、美しい猫でも、勇ましい猫でもなくなっていた。その姿には、何度も戦役に出て、老いの年齢に達し、もう戦うことができなくなった老兵が、住み慣れた我が家の変わりゆく姿を、まるで死の世界から見守っているかのようなうつろさがあった‥‥‥
と、と、ところが!! この老兵、ちゃねこが朝食からくすねてきたソーセージをバックからとり出すやいなや、2メートルもありそうなこの石版から飛び降り、すごい速度でソーセージめがけて突進し、はぐはぐ食べきったのでありました。茶猫のセンチメンタルな思いは、現実の猫世界の生々しさの前に、見事に打ち砕かれました。
考えてみればキミの恰幅は相当いい。つまり食いっぱぐれていなさそう。食べ物をめざとく見つけるわけだから、目も衰えていないはず。この高さにジャンプできるということ、あの突進ぶりから、足腰がしっかりしていることは明白だ。キミがすわっているこの石版に、数分前に別の猫が座っていたことが写真を整理していてわかった。つまり、数分前にここに乗っていた猫を追い払っている。この眺めのいい場所から、エサをくれそうな観光客を物色していたのかもしれない。ここは俺様の場所だと主張していたのかもしれない。
最後に見かけてから3年の歳月が流れた。その間も毎日、毎日、このローマ遺跡で、観光客相手にたくましく生きていたに違いない。狭くなった縄張りを必死に維持していたに違いない。路地猫の世界では、老兵はリタイアするときが死のときとなる。
エフェソスで、またキミに会えるときがくるのかな。もうこれで最後になるんだろうか。老いぼれたキミを見るのはつらいけど、老兵になってもなおしたたかに故郷の遺跡で生きるキミに、やっぱりまた会いたいよ。
をアップしてくださっていたのですね。
嬉しいです!
同じ場所で4度も出会えるなんて・・・
切なくなる風貌ですが、茶猫さんの
ソーセージに一目散を聞いて少し救われました。
最後までご飯にありつけて、猫生を全うしてくれると
いいですね。
毎年、1月に世界の猫特集を組んでますよ~。
エフェソスでは、もう会えないのではと思っていた猫にまた会えたことが、本当に嬉しかったです。すごい存在感のある猫なので。
あの喰いっぷりなら、しばらくはいけそうですかね。会えなくても、元気でいてほしいです。
月日を遡りながら素敵なブログを拝見し、楽しみました。
これからはチエックを続けたいと思います。
更新をお待ちしております。
フランスではいろいろご協力いただきありがとうございます。ブログはしばし更新を怠っていますが、来週からクロアチアに行きますので、またアップしていきたいと思います。お時間のあるおりに、また遊びにきてください!